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リースバックの買取価格は適正?一般売却より安くなる理由は?

リースバックの買取価格は適正?一般売却より安くなる理由は?
石川 裕(株式会社セゾンファンデックス 取締役)

執筆者

株式会社セゾンファンデックス 取締役

石川 裕

株式会社クレディセゾンで長く不動産金融に携わり、現在はセゾンファンデックスのリースバック事業の責任者として、お客様のさまざまな困りごとや悩みごとの解決に取り組んでいます。「リースバックのここが知りたい」というユーザーの声に応え、担当者ならではの目線で分かりやすくお伝えします。

セゾンファンデックスで実際にリースバック事業を推進している立場にある筆者が、リースバックの買取価格が適正である理由を客観的にお伝えします。リースバックでの売却は、一般売却価格の7~8割と認識されているようですが、それは何故なのでしょうか?査定のプロセスが分からないと、買取会社は3割も利益を取るのかと思われるかもしれませんが、実はそうではありません。

セゾンのリースバック
セゾンのリースバック

そもそも一般売却でも、買い手がエンドユーザーか不動産会社かにより価格が大きく異なる

不動産売買の実務に関わっている方には当たり前のような話ですが、自宅不動産を売却する際に、どういった売り方をするかで価格は大きく異なります。不動産会社に仲介を依頼して、買い手であるエンドユーザーを探してもらうケースが価格としては一番高くなるはずですが、時間をかけてゆっくり売れば良いのか、あるいは住み替えなどで、一定の期間内に資金化する必要があるかで、結果が変わる可能性が高いです。売り急ぎは、足元を見られて安く買い叩かれる可能性があり、必ずしも高い金額で売却できるとは限りません。

短期的に確実に資金化するために、仲介ではなく、不動産業者自身に買い取ってもらうこともできます。その場合、エンドユーザーへ売却する価格と比べて、8割位になるのが一般的です。これは、不動産業者が足元を見ているわけではなく、最終的な想定売却価格から、かかる原価、必要経費を差し引いているからです。戸建住宅の不動産会社買い取りの場合、よほど築浅の物件でなければ、買い取った不動産会社は、建物を解体し、整地した上で、土地として再販することが多いので、取得にかかる税金の他、解体・整地にかかる工事費、買取資金の借入費用、再販の際の販売費(広告又は仲介手数料)が原価となります。

マンションの一室を不動産会社が買い取る場合も、リノベーションして再販するのが大半なので、解体・整地費用はかからない代わりに、リノベーションコストが原価に加わるので、やはりエンドユーザーへの売却に比べて、8割位になります。当社セゾンファンデックスはこういった不動産事業者への融資も行っているので、想定していた価格で売却できずに、原価割れまで値下げして販売できた事例を何度も目にしています。従って、8割という価格は妥当であるといえるでしょう。

賃借人がいる物件は買取価格が安くなる?

買い取る不動産会社側目線として、空室又は空き家の売買なのか、賃借人がいる前提での売買なのかは、価格として差が出てきます。投資用ワンルームマンションの場合は、賃借人がいる方が高く売れる可能性がありますが、実需用のマンション又は戸建住宅の場合は、賃借人がいると価格が下がる要因となります。

その理由は大きく2点あげられます。

1つ目の理由は、不確定要素です。最終的に、賃借人が退去してから、マンションの場合リノベーションを実施、戸建住宅の場合は解体・更地化あるいは新築住宅を建築してエンドユーザーに販売することになりますが、賃借人がいつ退去するか分からないと、その間の市況リスクを負います。金銭を支払って立ち退いていただく交渉もあり得ますが、お客様の事情によってはその交渉が困難なこともあるでしょう。

2つ目の理由としては、実需向けの住宅ローンと、不動産投資ローンの金利水準と借りやすさが異なることが挙げられます。住宅ローンは一部のネット銀行で0.3%台もありますが、不動産投資ローンの場合、ワンルームマンションの販売会社提携の金融機関で1.6~1.7%程度が最安値と認識しています。提携のない仲介会社の場合、3%台~4%台が一般的です。特に、賃借人がいる戸建物件を投資用として購入する場合のエンドローンを融資する金融機関は少なく、従って不動産会社側からすると、そういった物件買い取りの場合は、かなり保守的な価格にならざるを得ないと考えられます。

リースバックの買取価格と一般売却(不動産業者買取)の価格の差は?

それでは、リースバックの買取価格と一般売却の場合の不動産会社買取価格を比べるとどちらが高いのでしょうか?

2章で述べたように、賃借人がいることは価格が下がる要因となります。従って、退去する前提での売却の方が高く売却できるはずなので、一般売却を否定はしません。セゾンファンデックスでリースバックを契約いただいた、多くのお客様は、リースバック一択ではなく、一般売却とじっくり比較した上で、リースバックを選んでいただいています。もし、一般売却と価格がほとんど一緒なら、リースバック即決になると思うので、住み続けられるメリットと価格差のデメリットを比較した上で時間をかけて決められていると思います。

セゾンファンデックスでは、複数の不動産会社と提携しており、リースバックを希望するお客様の紹介をいただくなかで、その不動産会社の買い取り目線を聞くこともありますが、多くの場合、セゾンファンデックスがリースバックで買い取る価格とあまり変わらない印象を持っています。

最近は、リースバックでも何社か見積もりを取られる方が増えており、その中でリースバックを選択される方も多くいらっしゃいます。その意味でも不動産会社買取と遜色ない価格で決まるケースが多いと思います。

納得して売るには?

リースバックにしても、一般売却にしても、納得して売ることが重要です。ただ、一般売却と違い、リースバックの場合、賃借人としてそのリースバック会社者との関係が継続します。もしかすると一生のお付き合いとなるかもしれません。従って、価格面も重要ですが、信頼できる会社かを重視して欲しいと思います。

担当者の熱意、丁寧な受け答えはもちろんのこと、会社規模・知名度も含めて判断していただくことをおすすめします。

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