この記事では「差し押さえ」について取り上げます。差し押さえになった場合、対象になるものとならないものがあります。いったい、どのようなものが対象になるのでしょうか。また、多くの方が気になるのは差し押さえまでの流れでしょう。差し押さえとはどのようなもので、どのような流れで行われるのかを詳しく解説しています。
差し押さえとは
差し押さえとは、借金などで借りたお金を滞納し続けたときに、給料などの財産を強制的に回収されてしまう手続きのことを言います。
ただし、滞納したからといって、いきなり差し押さえられるわけではありません。
まずは、返済を促す一括請求書や差し押さえの予告通知が届きます。このような状態になるまでの期間は、おおよそ2〜3ヵ月です。すでに差し押さえの通知が届いている場合、差し押さえが確定されるまでの時間はあまり残されていません。
滞納しているときには、できるだけ早く借入先に相談するようにしてください。
差し押さえは、民事執行法に規定されている「強制執行手続」のうちのひとつです。差し押さえが確定すると、どのような財産がどれくらいあるのか、裁判所の執行官が自宅を調査するために訪れることもあります。
差し押さえの対象になるものとは
財産の全てが差し押さえの対象になるわけではありません。
差し押さえとなる財産は、下記のとおりです。
- 給与(手取りの4分の1、または330,000円を超えた分の金額)
- 債権(預貯金、生命保険など)
- 動産(660,000円以上の現金、車、バイク、貴金属、骨董品など)
- 不動産
では、具体的に解説します。
給与(手取りの4分の1、または330,000円を超えた金額)
給与は差し押さえの対象になりますが、全額ではありません。
差し押さえできる上限金額は民事執行法第152条に定められており、次の2つの金額のうち、より高い金額が適応されます。
①税金等を差し引いた給与(手取り)の4分の1(手取りが440,000円以下の場合)
②給与(手取り)のうち、330,000円を超えた分の金額
手取りの給与額が500,000円だった場合を考えてみましょう。
手取り額500,000円×1/4で計算され、4分の1は125,000円です。
一方、330,000円を超えた部分の金額は500,000円-330,000円となるため、170,000円です。
125,000円<170,000円 となるため、このケースでは②の給与(手取り)のうち、330,000円を超えた分の金額が適用されます。
給与だけでなく、賞与(ボーナス)や退職金も差し押さえの対象となりますので注意してください。
給与が差し押さえの対象になるときには、裁判所から勤務先へ「債権差押命令」が送られるため、借金を完済するまで給与は差し押さえられます。
債権(預貯金、生命保険など)
特定の給付を請求できる権利のある預貯金や生命保険も差し押さえの対象になります。これらの差し押さえも法律上可能となっています。
預貯金は、民事執行法第146条2項などに定められていますが、給与の差し押さえとの大きな違いは、差し押さえの上限が決まっていない点です。
預貯金の場合、裁判所から銀行や郵便局へ「債権差押命令」が送付され、差し押さえられます。差し押さえが行われると、口座からお金を引き出せなくなってしまいますが、差し押さえの手続き後に入金されたお金は引き出すことが可能です。
生命保険は、民事執行法第207条に定められています。差し押さえとなるのは、生命保険の解約返戻金、配当金、満期金、保険金請求権です。
なお、債権者は、本人に代わって生命保険の解約手続きを行えます。
差し押さえにより無保険になってしまったときには、新たに生命保険に加入することを考えなければなりません。
動産(660,000円以上の現金、車、バイク、貴金属、骨董品など)
不動産以外の財産、いわゆる動産も、差し押さえの対象です。
具体的な財産としては、下記のようなものがあります。
- 660,000円以上の現金
- 自動車やバイク
- 貴金属
- 骨とう品
文字だけを見ていると、何でも差し押さえられてしまうように思われるかもしれませんが、差し押さえとなる動産は、基本的に手元になくても生活が困らないものです。
例えば、テレビや冷蔵庫の家財道具は差し押さえされることはありませんが、複数台所有しているときには、1台のみ残して差し押さえされることもあるようです。
不動産
土地や建物などの不動産も差し押さえの対象です。
その中でも、住宅ローンを滞納しているときには、自宅の建物や土地が差し押さえられる可能性が高くなります。その理由は、住宅ローンを利用するときには、土地や建物に抵当権が設定されていることがほとんどだからです。
もちろん、住宅ローン以外の借入金の場合であっても、給与や預貯金の差し押さえだけでは回収できないときには、不動産が差し押さえられることがあります。
差し押さえの対象にならないものとは
財産の中には、差し押さえの対象にならない財産もあります。
差し押さえとならない財産は、下記のとおりです。
- 660,000円までの現金、家具や生活必需品など
- 生活保護給付金、厚生年金、国民年金など
では、具体的に解説します。
660,000円までの現金、家具や生活必需品など
民事執行法第131条により、差し押さえできない財産として定められているものもあります。具体的には、66万円までの現金、衣服や家財道具、1ヵ月間の生活に必要な食料などです。
そのほかにも、子どもの勉強に必要な筆記用具や道具類。仏具なども対象外です。
基本的に、そのものがないと生活できなくなってしまうものは、差し押さえの対象外であると考えられています。
生活保護給付金、厚生年金、国民年金など
給与の4分の3や厚生年金や国民年金、生活保護給付金、児童手当などは、各種法律で「差押禁止債権」とされています。そのため、差し押さえされることはありません。
ただし、預金口座に入金されると「預貯金」となり、差し押さえの対象になってしまうことがあります。
公的年金などで、差し押さえると生活ができなくなってしまうときには、裁判所に「差押範囲変更」の申立てを行うことで、差し押さえを解除してもらえる可能性もあります。
ただし、これらの債権を差し押さえられると生活ができなくなってしまうことを証明することが必要です。
差し押さえまでの流れ
ここからは、差し押さえがどのように行われるのか、流れを確認しておきましょう。
~差し押さえの流れと期間~
・滞納2、3ヵ月~
いきなり差し押さえされるのではなく、催告書や差押予告通知、一括請求の通知が届く
↓
・一括請求が払えない、無視したとき
裁判所から支払の督促や訴状が届き、債務名義が取得される
↓
・支払督促などから1ヵ月後
強制執行により、差し押さえが行われる
↓
・一括返済、債務整理をしたとき
債権の回収が終了もしくは債務整理を行ったときには、差し押さえの解除ができる
ここで掲げている流れは、あくまでも目安ですので、全てがこのような流れ、スピードとなるわけではありません。
商品紹介
差し押さえは借金の返済が滞ることがきっかけになるため、そもそも無理のない返済計画や条件の良い借り入れを行っておけば、差し押さえを回避することは可能になります。
特に不動産などを所有しているなら、不動産を担保に借り入れを検討しても良いでしょう。
セゾンファンデックスで取り扱っている不動産担保ローンには、自宅以外の不動産を所有している方が利用できる一般の不動産担保ローンのほか、事業者向けの不動産担保ローンもあります。
不動産担保ローンは、20歳以上70歳以下、完済時85歳未満の方が利用でき、融資額は最高3,000万円までOKです。
事業者向け不動産担保ローンは、利用できるのは法人・個人事業主で、個人事業主は原則、申込時満20歳以上70歳以下、完済時85歳未満となり、一般の不動産担保ローンと同じです。ただし、融資額は最高で5億円と高額になります。
また、審査の基準は銀行とは異なっていますので、銀行での融資が断られたとしても、借りられる可能性はあります。
不動産担保ローンの金利は、一般の不動産担保ローンでは固定金利で年6.8%〜9.9%。事業者向けの不動産担保ローンの金利は、変動と固定があり、変動金利 は年2.75%〜4.55%、固定金利は年 4.5%〜9.9%です。※金利は適宜見直しがあります。
このように、不動産担保ローンは、長期にわたって借りやすい金利で使途が自由であるという特長があります。まずは不動産担保ローンで余裕のある資金を用意することをおすすめします。