年齢を重ねるとともに変化が表れる髪の毛。髪に関しては悩みを持つ方も多いのではないでしょうか。本コラムでは、50代から抱えやすい髪の悩みと、加齢だけではない原因について解説していきます。さらに髪にとっていいとされる食べ物や生活習慣もご紹介。豊かな髪を保って自信を持ちたい方、食事や生活スタイルを見直して健康的な髪を目指したい方はぜひご一読ください。
50代の男性・女性に多い髪の悩みは?
頭皮や毛髪の状態など、髪に関する悩みは人それぞれですが、男女によって悩みの傾向は異なります。
ここでは男女別に、50代の方が抱えがちな髪の悩みを見ていきましょう。
男性は薄毛や白髪などに悩みやすい
50代男性の髪の悩みに特に多いのが「薄毛」と「白髪」です。見た目年齢に大きな影響を与えることからこれらの悩みを持つ方が多く見られます。
自身の薄毛に気付くきっかけはさまざまです。枕に付いた抜け毛が増える・シャンプー時に手にたくさんの抜け毛が絡む・髪のセット中にボリュームが減ったと感じるなど、日常生活の中で薄毛のサインは現れます。
白髪については「ダンディ」と称されることもあり、マイナスイメージばかりではないものの、実年齢より老けて見られやすくなることも事実です。
悩みの原因や対策方法を知って、いつまでも若々しい印象をキープしましょう。
女性はボリュームダウンやパサつきが気になりやすい
一方、50代女性が気になりやすい髪の変化として挙げられるのが、「ボリュームダウン」や「パサつき」です。
髪のボリュームダウンは顔周りが寂しい印象になる他、スタイリングのしづらさにもつながります。理想のヘアスタイルにすることが難しいため、自信をなくすこともあるでしょう。
また、意外と目立ってしまうのが髪のパサつきです。髪にツヤやうるおいが失われてしまうと、清潔感や上品さが半減してしまい、疲れた印象を持たれることも。
髪のツヤやボリュームをキープできれば、清潔感を保ちながらスタイリングも楽しめます。
マスク着用が日常的になり、マスクで隠れてしまう顔よりも髪に視線が集まる今、後述する髪の毛にとっていいとされる食べ物や習慣を取り入れることは効果的です。食事や生活習慣など、髪にいいことを日常の中で行い、健康的な髪を取り戻しましょう。
50代からの髪の悩みは何が原因?
薄毛や白髪、パサつきやボリュームダウンといった髪の変化は、どのような原因で起こるのでしょうか。ここでチェックしていきましょう。
色素をつくる細胞の動きが低下する「白髪」
髪の色は、メラニン色素をつくりだすメラノサイトと呼ばれる細胞によって与えられています。このメラノサイトの働きが低下してしまうと、メラニン色素が髪に受け渡されず、色が失われた状態で毛髪が生えてきます。この状態が白髪です。
白髪が生える主な原因は、加齢・遺伝・ストレス。加齢の場合は、老化によってメラノサイトの働きが低下し、メラニン色素がつくられなくなったことが考えられます。若者や子どもの白髪は遺伝性の場合が多くありますが、ストレスによってメラノサイトの活動が止まり、白髪が増えるケースもあります。
抜け毛や細い毛が原因の「ボリュームダウン」
髪のボリュームダウンは、抜け毛によって毛量自体が減ること、毛髪が細くなってハリ・コシが減ることが主な原因です。これが髪のトップのボリュームを出しにくく、分け目が目立ちやすくなるといった女性に多い悩みにつながります。
多く見られるのは、年齢を重ねるごとに髪の本数が少なくなっていき、同時にハリ・コシも失われていくケースです。加齢以外では、ヘアセットの際にブラシで髪が引っ張られて抜け毛が起こりやすくなる、生活習慣によって髪質に変化が起こるといったことも原因としてあります。
皮脂の減少やうねりによる「パサつき」
髪のパサつきは、頭皮や髪のうるおい不足と髪のうねりが原因として考えられます。加齢によって頭皮の皮脂の減少や髪の水分量が低下すると、髪にツヤがなくなりパサつきが起こりやすくなるのです。
また、加齢によって頭皮の筋膜が衰え、頭皮の毛穴がゆがむことでうねりのある髪が生えることもあります。うねりのある髪は、光を乱反射するためツヤが出ず、パサついて見えてしまうのです。
ヘアサイクルが短くなる男性の「薄毛」
男性の薄毛はヘアサイクルの成長期が短くなり、髪が正常に生え変わらなくなることが原因のひとつです。ヘアサイクルとは髪が抜けて生えるまでの周期のことで、正常なヘアサイクルは下記のように発毛から脱毛を繰り返します。
- 成長期(早期) 新しい髪が生え始める
- 成長期(中期) 髪が徐々に伸びる
- 成長期(後期) 髪が太く成長する
- 退行期 髪の成長が遅くなる
- 休止期 成長が止まり髪が抜ける
ヘアサイクルが乱れている場合、「成長期(後期)」が抜けて、「成長期(中期)」からすぐ「退行期」に移行してしまうのです。このように成長期が短くなると、主に前頭部や頭頂部の髪が細く短くなっていき、薄毛につながります。ヘアサイクルが乱れる原因として挙げられるのが加齢や生活習慣の乱れ、ストレスなどです。
加齢やホルモンバランスが関係する女性の「薄毛・抜け毛」
女性にも加齢によるヘアサイクルの乱れが起きることは分かっています。成長期の毛髪の割合が減少し、休止期の割合が増加することで、薄毛につながるのです。
50代以上の方にヘアサイクルの乱れが起こりやすいといわれており、抜け毛のほかに髪が細くなる、ハリやコシがなくなるという変化もあります。また、更年期を迎えた女性はホルモンバランスの影響によって抜け毛や髪が伸びるのが遅くなるケースもみられます。
髪の毛にとっていい習慣はある?
ただ髪の状態は、生活習慣によって改善を目指すことも可能です。ここからは、髪にとっていい習慣を紹介していきましょう。
頭皮の毛細血管にしっかりと栄養を送る
髪は頭皮の状態の影響も受けています。頭皮にも巡っている毛細血管は、髪に栄養を運ぶ働きをするため、血流が悪くなると髪に栄養が行き届かなくなってしまいます。その結果、抜け毛が増えて薄毛につながる他、髪が細くなってボリュームダウンしてしまうのです。
頭皮の血流を良くして髪の成長を維持するには、睡眠不足の解消や冷えの改善の他、手軽にできる方法として頭皮マッサージがあります。毎日続けることで血流促進効果が期待できるので、シャンプーをするときなどに行ってみましょう。
毛穴の汚れを取り除く
頭皮は身体の中でも多くの皮脂が分泌されている部位です。皮脂を洗い残すと毛穴がつまる原因となり、臭いが気になるほか、頭皮環境が悪化して髪の成長が妨げられてしまいます。さらに髪が細くなったり、抜け毛が増えたりして薄毛につながってしまうこともあるでしょう。
皮脂を取り除き毛穴のつまりを起こさないためには、シャンプー時に髪の根元や頭皮に泡をしっかり行き渡らせることが大切です。すすぎの際も指で根元や頭皮に触れながら泡を落とします。
しかし、ご自身では髪や頭皮をきちんと洗えていると思っていても、汚れを取り除けられていないケースが多いもの。美容院などでマイクロスコープ診断を受けて毛穴の状態を確認してもらうと安心です。
ストレスを減らす
頭皮は日々のストレスからも影響を受けています。ストレスにより頭皮が血行不良を起こすと、頭皮の筋肉が凝って硬くなってしまいます。血行不良で頭皮が硬くなると、メラニンと呼ばれる色素を生み出す細胞「メラノサイト」に送られる栄養が不足し、白髪の増えるおそれもあり、また、毛根内部にある「毛母細胞」へ充分に栄養が送れないことで薄毛になる可能性もあります。
髪や心身のためにもストレスをできるだけ溜めないことが大切です。趣味や休息など、ご自身に合ったリフレッシュ法を見つけてストレスにうまく対処しましょう。
ホルモンバランスを整える
髪の成長とホルモンの関係は、切っても切り離せないものです。
男性ホルモンのひとつである「ジヒドロテストステロン」は、多くつくられると薄毛を引き起こすとされています。増やさないためにはもうひとつの代表的なホルモン「テストステロン」の量をコントロールすることが大切です。
女性ホルモンは30代をピークに減少し、閉経前後にホルモンバランスが乱れ始めます。ホルモンバランスが乱れると表れるのが、抜け毛が目立ったり髪にハリやコシが失われたりといった変化です。
男女ともに生活パターンを見直し、ホルモンバランスを整えることを意識しましょう。適度な運動と良質な睡眠、食事内容に気を配ることが髪の悩み対策につながります。
良質な栄養バランスの食事を摂る
髪の状態には日々の食生活も大きく関わっています。摂取した栄養は、まず身体にとって重要な生殖器や脳、内臓に優先して送られ、髪の毛に届くのは最後のほうです。髪にまで充分な栄養が行きわたるよう、髪にいいとされる食べ物を積極的に摂りつつ、栄養バランスの良い食生活を心掛けてください。
髪の毛にとっていいとされる食べ物とは?
身体の内側から髪の悩みにアプローチしたい方に、髪の悩みにとっていいとされる食べ物を栄養素別に紹介します。
身体のためには、バランス良くさまざまな栄養を摂ることが前提ではありますが、食材選びの参考に頭に入れておくといいでしょう。
肉や魚などの「タンパク質」
髪の毛を構成する成分の99%は、ケラチンといわれるタンパク質からできています。そのため、髪の成長にはタンパク質を多く含む食品が欠かせません。しかしタンパク質は、髪だけではなく筋肉や内臓、皮膚などの主要成分でもあります。タンパク質の摂取量が少ないと髪に栄養が届かないため、他の栄養素とともに、しっかり摂取するといいでしょう。
タンパク質を多く含む食べ物は、肉・魚・卵・豆が挙げられます。薄毛に悩む方で、これらが普段の食事に足りていないと感じる方は、積極的に取り入れるといいでしょう。
高野豆腐やブロッコリーなどの「亜鉛」
亜鉛は、髪の主成分であるケラチンの合成を助ける働きをする栄養素です。ケラチンができるまでには、食事などで摂取したタンパク質が分解されてアミノ酸となり、アミノ酸を再結合してケラチンが生成されるという過程があります。亜鉛は、アミノ酸を再結合しケラチンを生成する際に必要不可欠です。そのため健康的な髪を育むためには、タンパク質とともに亜鉛も欠かせません。
亜鉛を多く含む食べ物の代表格は牡蠣です。亜鉛のほかにも、髪にいいとされるミネラル類やビタミン類を含んでおり、髪の悩みをサポートしてくれます。また、豚レバー・赤身の肉・鶏肉・カニやロブスターなどの魚介類も亜鉛が豊富です。
そのほか、亜鉛をはじめとした栄養素がたっぷりの高野豆腐やブロッコリーも日常的に取り入れるといいでしょう。
レバーやホウレン草などの「鉄分」
女性に多い貧血症状、鉄分不足を実感している方もいるでしょう。体内の鉄分が不足すると、抜け毛の増加や毛髪が細くなるといった髪へのダメージもあります。髪は、毛根にある毛乳頭が酸素や栄養素を吸収して成長するので、鉄分不足によって体内の酸素が足りなくなると、毛乳頭に酸素や栄養素が届かず、健康な髪をつくれなくなってしまいます。鉄分不足を解消すると、髪だけでなく肌にもいい影響が期待できますので、鉄分を効率良く摂って美容に役立てましょう。
鉄分を豊富に含む食べ物は、レバー・ひじき・あさりの水煮・小松菜やホウレン草などです。特にレバーは鉄分の他、亜鉛やビタミンB群も多く含まれています。薄毛やボリュームダウンの悩みの解消が期待できます。
柑橘類やナッツなどの「ビタミン群」
ビタミン群も髪や頭皮にとって大切な栄養素です。多くの種類があるビタミン群ですが、その中でも以下の3つは特に髪の健康に関わりがあるとされています。
- 〈ビタミンB群〉細胞の生成に関わり、髪の成長をサポートする働きが期待できます。魚類・玄米・牛レバー・豚肉などに多く含まれます。
- 〈ビタミンC〉抗酸化作用によって、頭皮をダメージから守る作用が見られます。ピーマンやブロッコリーなどの緑黄色野菜や柑橘類、いも類から摂取可能です。
- 〈ビタミンE〉抗酸化作用とともに血液の流れを良くする働きがあり、髪や頭皮へ栄養を運ぶサポートが期待できます。特にアーモンドをはじめとするナッツ類に豊富であるほか、ホウレン草やブロッコリーなどの緑色野菜にも含まれています。
髪にいいとされる食べ物を手軽に摂りたいときは、コンビニで売っているミックスナッツを間食用に購入するのがおすすめです。
豆乳や納豆などの「大豆イソフラボン」
女性ホルモンのエストロゲンと似た働きをするのが大豆イソフラボンです。閉経前後の女性に見られるエストロゲンの減少による薄毛や白髪、そして男性の薄毛対策に効果が期待できます。
大豆イソフラボンは、大豆が原料の食べ物の多くに含まれています。特に豆腐や納豆、きな粉に豊富ですが、より手軽に摂るには豆乳もおすすめです。豆乳の中でも砂糖の入っていない無調整豆乳は、多くの大豆イソフラボンを含んでいます。甘みを足したい場合はハチミツを入れるといいでしょう。毎日の習慣として取り入れてみてください。
おわりに
50代の髪に関する悩みの原因や対策についてご紹介しました。日頃から髪にいいとされる食べ物を取り入れながらバランスの良い食生活を心掛け、髪に必要な栄養を送りましょう。また、睡眠の質やストレス、運動習慣の有無など、思い当たる点がある方は改善に努めてみてください。髪にいい生活を心掛けて、健やかで美しい髪を目指しましょう。