夕方になると靴がキツく感じたり、足がだるく感じたりする方もいるのではないのでしょうか。それはむくみが原因かもしれません。むくみは特に女性に多い症状といわれていますが、病気が隠れている可能性もあるため注意が必要です。
今回は足のむくみが起こる原因をはじめ、セルフチェックの仕方や、簡単にできるストレッチとマッサージの仕方を紹介していきます。むくみがなかなか解消されずに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
足のむくみとは?
まずはむくみのメカニズムやセルフチェック方法について見ていきましょう。簡単にできるセルフチェックですので、ぜひ試してみてください。
足のむくみのメカニズム
人間の身体は、心臓から全身の細胞に血液が送り出され、酸素や栄養分を届けています。届けると同時に、細胞から排出された老廃物や二酸化炭素を回収し心臓に戻す役割も担っています。この時、足を流れて心臓に戻る血液は、重力に逆らい心臓に戻らなくてはなりません。
そこで重要なのが、ふくらはぎの筋肉です。ふくらはぎの筋肉はポンプの役割をし、血流を心臓に戻す役割があります。しかし、長時間立ちっぱなしで筋肉を動かさなかったり、筋肉が衰えていたりすると血流が停滞し、足がむくむ原因となるのです。
足のむくみのセルフチェック
足のむくみはセルフチェックが可能です。足のすねを指で5秒間押してみましょう。離した後、通常だとすぐにくぼみは元に戻りますが、白っぽい跡が残ったり、くぼみがなかなか元に戻らなかったりする時はむくんでいると判断できます。
また、朝に比べて夜の方がむくみやすくなる傾向があるため、朝と夜で違いがあるか観察するのも良いでしょう。
足のむくみの原因とは
むくみには一過性のものと慢性的なものがあります。それぞれどのような原因があるのでしょうか。一過性と慢性的に分けて原因を見ていきましょう。
一過性のむくみの原因
まずは、一過性のむくみの原因について7つ紹介していきます。
筋力の低下
運動不足によりふくらはぎの筋肉が減ると、ポンプ機能が働かずむくみにつながってしまいます。むくみを予防するためにも、適度な運動を継続して行いましょう。高齢の方は、筋力をすぐに向上させることは難しいかもしれませんが、筋肉を動かすだけでもむくみの予防になるといわれています。
塩分の過剰摂取
塩分の多い食べ物や味の濃い食べ物のとり過ぎもむくみの原因のひとつです。塩分は水分を抱え込む性質があるため、とり過ぎると余分な水分を排出できなくなり、身体の中に溜まってしまいます。むくみの予防のためにも、普段の食事から塩分を控え、素材やだしの味を生かした料理を心掛けることがおすすめです。
長時間同じ姿勢でいる
デスクワークや立ち仕事など、同じ姿勢の状態でいることが多い方はふくらはぎの動きが少なくなります。そのため、ポンプの働きが弱くなってしまい、足の血流が滞ることでむくみを引き起こすのです。立ち仕事が続く場合は、たまにストレッチやマッサージなどを行い、足の筋肉を動かしてあげると良いでしょう。
アルコールの過剰摂取
アルコールを飲んだ次の日に顔がパンパンになっていたという経験がある方もいるのではないでしょうか。この現象は、アルコールの飲み過ぎで血液中のアルコール濃度が高くなることが原因です。濃度が高くなると、血管が拡張しリンパや静脈による水分の処理が間に合わないことで、むくみが生じます。むくみが気になる方はアルコールの摂取もほどほどにしましょう。
ビタミン・ミネラル・タンパク質の不足
ビタミンやミネラル、タンパク質不足もむくみを引き起こします。特にカリウム、マグネシウム、カルシウムなどのミネラルやビタミンB1が不足するとむくみが出やすいといわれているため、注意が必要です。
また、タンパク質の一部は体内でアルブミンという成分になります。アルブミンは水分を引きつける力があるため、アルブミンの量が少ないと血管の外に水分が溜まりむくみが出やすくなってしまうのです。
身体の冷え
身体の冷えは血行不良が原因で引き起こされます。身体が冷えると足の毛細血管まで血液が循環しなくなるため、水分を溜め込みやすくなってしまうのです。また、足首が冷えるとふくらはぎの筋肉が硬くなり、ポンプの役割が果たせなくなります。
その結果、足にむくみが生じてしまうのです。身体を冷やさないように、冷たい食べ物のとり過ぎや冷房の使い過ぎは控えましょう。
女性特有のむくみ
女性は男性よりも筋肉が少なく、心臓に向かって血液を押し戻す力が弱いため足がむくみやすい傾向にあります。また、生理時にホルモンの分泌が増えることもむくみを引き起こす原因です。生理前は黄体ホルモンの分泌量が多くなります。そのため、余分な水分を溜め込みやすくなりむくみが出てしまうのです。
慢性的なむくみの原因
一過性のむくみの原因には該当せず、数日むくみが続く場合は病気の可能性もあります。下記では考えられる病気を紹介していきます。
腎臓・肝臓の障害
腎臓は、血液中の老廃物をろ過し、尿として身体の外に排出する役割があります。腎臓に障害が起こると水分が充分に排出できなくなり、身体の中に水分が溜まってしまうのです。腎臓の病気によるむくみは左右対称で起こり、指でむくんでいる部分を押すとそのまま跡が残ります。
肝臓の働きは血液中を流れるタンパク質の合成です。肝臓の機能が低下するとタンパク質も減少し、血液の成分の割合が変化してしまいます。そのため、血液の成分が血管の外に染み出してしまい、手足やお腹に水分が溜まることで、むくみが出てしまうのです。
心臓の障害
心臓は血液を全身に送り出すポンプの役割があります。心臓の機能が低下してしまうと、全身に充分な血液が流れず、静脈で血液がうっ滞してしまうのです。その結果、血液中の水分が足や顔などの組織に染み出しむくみが起きてしまいます。
むくみは水分が増えることが原因のため、体重の急激な増加などで異変を感じる方もいるかもしれません。1週間で2〜3kg増えた時は心臓の病気が隠れていないか疑い病院を受診することをおすすめします。
リンパ浮腫
人間の身体の中にはリンパ管と呼ばれる管が張り巡らされており、リンパ管の中をリンパ液という液体が流れています。このリンパ液がうまく流れないとリンパ管の周辺の組織に溜まり、むくみが出てしまうのです。
生まれつきリンパ管が細かったり、流れが良くなかったりする場合は「原発性(一次性)リンパ浮腫」、手術などでリンパ管が圧迫されたり狭くなったりしてまった場合は「続発性(二次性)浮腫」と呼ばれます。リンパ浮腫は一度発症してしまうと治りにくい特徴があるため、リンパに関する持病を持っていたり術後のむくみに悩んだりしている方は、早めにかかりつけ医に相談してみてください。
エコノミークラス症候群
エコノミークラス症候群は、飛行機で長時間座ったままの状態や、病気で寝たきりの生活が続いている状態で足の血流が滞り静脈内に血栓ができやすくなってしまう病気です。この血栓がはがれて血管の中を流れ、心臓をとおり、肺の血管に詰まってしまうと、肺から酸素が取り込めなくなり急に呼吸困難になってしまいます。最悪の場合、死に至ることもあるため注意が必要です。
特に長時間のフライトやデスクワークで座っていると、足の血流が悪くなり血栓やむくみが発生する確率が高くなります。予防のためにも、長時間動かない状態を作らないようにこまめに足を動かすと良いでしょう。
足のむくみを放置するとどうなる?
むくみを放置するとさまざまな病気に発展する可能性があります。代表的なのが下肢静脈瘤です。下肢静脈瘤は良性疾患ではありますが、血管がぼこっと浮き出たり、蜘蛛の巣状に細い血管が濃く浮き出たりします。女性はその見た目を気にしてスカートを履くことをためらう方も出てくるでしょう。
また、下肢静脈瘤を放置すると、色素沈着を引き起こし足の皮膚が部分的に濃く黒ずむ、潰瘍、出血や血栓性静脈炎を引き起こすなど、さまざまな症状の引き金になります。そのため、早期にむくみを解消することをおすすめします。
足のむくみを予防する方法とは?
足のむくみを予防するにはいくつか方法があります。ここでは4つご紹介していきましょう。
運動
むくみの予防のためには運動が大切です。特に、足の筋肉は血流を良くするポンプの役割があるため、階段の上り下りやウォーキングなどで、鍛えるようにしましょう。
時間がない方は足首回しやストレッチなどをして、筋肉をほぐすだけでも効果があります。むくみが出やすい夜や寝る前に行うのがおすすめです。
充分な休息
長時間同じ姿勢でいると足の血流が悪くなりむくみが発生してしまうため、横になり休息をしっかりとることでむくみの予防ができます。横になると足に溜まった水分が循環し余分な水分を外に排出する効果が期待できます。
仕事中で横になることができない場合は、足を水平よりも高くなるように椅子などの上に乗せて休みましょう。それだけでも血流改善に効果的です。
カリウム・ビタミンEの摂取
むくみの予防には、むくみの原因となる塩分の排出を促すカリウムや血流を良くするビタミンEを積極的にとると良いでしょう。カリウムはバナナやアボカド、納豆、ほうれん草などに含まれており、ビタミンEはアーモンドやピーナッツ、かぼちゃ、いわしなどに含まれています。これらの食材を意識して食事にとり入れることがおすすめです。
医療用弾性ストッキングの着用
医療用弾性ストッキングの活用は、とても簡単にできる予防法です。履くだけで、ポンプの役割がある筋肉のサポートをする効果が期待できます。
また、静脈の血管を収縮させ、本来の働きを改善する効果も見込めます。運動することが難しい方は、むくみ予防に医療用弾性ストッキングを履いてみるのもひとつの手でしょう。
おわりに
慢性的なむくみは病気が原因で起きている場合もあるため、注意が必要です。むくみが長期間続く時は、早めに医療機関を受診するようにしましょう。
また、足のむくみは簡単なストレッチやマッサージで予防ができます。仕事中やベッドの上でもできるものばかりなので、足のむくみを感じた時は、今回紹介したストレッチやマッサージを行ってみてはいかがでしょうか。
ここからは編集部おすすめストレッチ&マッサージをご紹介します♪
【編集部おすすめ】足のむくみ解消を目指せるストレッチ
足のむくみを解消するためには、ストレッチも有効です。どこでも簡単にできるストレッチを3つご紹介していくので、ぜひ試してみてください。
ふくらはぎのストレッチ
- 椅子に座り右足を前に伸ばし左足は床に下ろす
- 伸ばした右足のつま先を身体の方に向けたまま、太ももの付け根から前に倒れる
- 上体を前に倒したまま膝の裏側からふくらはぎにかけてマッサージを10往復行う
- 足を入れ替えて同様に行う
身体を倒すときは背中が丸まらないようにすることがポイントです。痛みを感じる時は、無理せずできるところから始めましょう。
股関節周りのストレッチ
- 床やベッドに仰向けの状態で寝転び、骨盤の下に丸めたバスタオルを挟んで高さを出す
- 頭や背中は床に付けたまま、右足を胸の前に引き寄せ両手で膝を抱える
- その状態で20秒キープしていく
- 足を入れ替えて同様に行う
痛みがある場合は、足の引き寄せ具合を緩めたり、バスタオルの位置を調節したりしましょう。また、引き寄せていない足は床に付け、リラックスすることがポイントです。
かかと上げストレッチ
- 椅子の背もたれなどにつかまり、かかとを少し浮かせる
- 3秒数えながら背伸びをする要領でかかとを上げ、3秒数えながら下げていく
- これを20回繰り返す
かかとを床に付かないギリギリのところでキープすることで、よりふくらはぎの筋肉が使われ、血流促進につながります。
足裏をほぐすストレッチ
- 椅子に座り右足首を左の膝の上あたりに乗せる
- 右手の親指をかかと側に置き、右足首をつかむ
- 左手で右足のつま先をつかみ、指を反らしていく
- そのまま20~30秒キープする
- 反対の足も同じ手順で行う
溜まった老廃物が流れて足が楽に感じるようになります。デスクワークの方は仕事の休憩中などに行うのもおすすめです。
【編集部おすすめ】足のむくみがスッキリ!マッサージのやり方
ストレッチができない時は、マッサージをするだけでもむくみがスッキリします。足のむくみ解消が期待できるマッサージのやり方を4つ見ていきましょう。
足裏のマッサージ
- 椅子に座ったまま、足の裏でゴルフボール踏む
- その状態で、コロコロと転がしていく
- 20回以上行う
足の裏には全身のツボが集まっています。なかでも、足の先から1/3ほどの位置にある「湧泉(ゆうせん)」は、水分代謝や血行の改善を促すツボといわれているのです。そのため、ゴルフボールで湧泉を主にマッサージをしてあげると、むくみの改善に期待できるでしょう。
足首のマッサージ
- 椅子に座ったまま、片足をもう片方の膝の上に置く
- くるぶしの下にある距骨をつかんで大きくゆっくり足首を回す
- ゆっくり1秒以上かけて1回を5往復程度しっかり回す
足首にもむくみに効くツボがあります。「三陰交(さんいんこう)」と呼ばれ、足の内側の足首より上にあるツボです。生理不順や生理痛など、女性特有の悩みにも効果が期待できるため、気になる方はマッサージをしながら一緒に刺激するものおすすめします。
ふくらはぎのマッサージ
- すねの骨の両きわをくるぶしの上から両手で挟む
- そのまま挟み押し上げる
ふくらはぎの筋肉は、ポンプの役割をしています。この筋肉が張っているとポンプ機能も低下してしまうので、効率良く働かせるためにもふくらはぎをしっかりほぐすようにしましょう。また、ふくらはぎの筋肉が最も高く盛り上がっている位置に「承筋(しょうけん)」と呼ばれるツボがあります。このツボを刺激すると血行改善に期待ができるため、マッサージをしながら押すと良いでしょう。
太もものマッサージ
- 椅子に座ったまま、両手で太ももを挟む
- 膝の上から鼠径部まで手のひらでゆっくりと揉み上げていく
- 心地良い圧でこする感じで10往復程度行っていく
足の付け根の鼠径部は体液の循環のために重要な役割のある大きなリンパ節があります。このリンパ節の働きが鈍ると下半身の流れが悪くなってしまうので、意識的にほぐすようにしましょう。また、太もも内側にはむくみ解消に期待ができる「足の五里(アシノゴリ)」と「箕門(キモン)」と呼ばれるツボがあります。足の五里は太ももの付け根から指4本分下に、箕門は太ももの内側の中央付近にあるため、マッサージをしながら刺激してあげましょう。