銀行融資の返済に遅れがあると、遅延損害金が発生したり、担保物件を売却されたりする可能性があります。今後の資金繰りにも影響するため、融資を返済するのが難しい場合の対処法を知っておきましょう。このコラムでは、銀行融資の返済遅れによるリスクや対処法を解説します。
銀行融資の返済が遅れると何が起こる?
さまざまな事情から、銀行融資の返済が難しくなることはあるでしょう。返済が遅れた際に起こりうるリスクとして、以下の4つが挙げられます。
- 遅延損害金が発生する
- 金融機関から督促がくる
- 保証会社が代位弁済し、求償権を実行する
- 競売で担保物件が強制売却される
返済が遅延すると、ペナルティとして借入金以外のお金を請求されたり、担保物件を売却されたりする可能性があります。確実に返済を続ける意識を持つためにも、返済遅れが生じた際に起こりうるリスクを知っておきましょう。
遅延損害金が発生する
銀行融資の返済が遅れると、金融機関から遅延損害金を請求されます。遅延損害金とは、いわば返済遅れに対するペナルティです。
遅延利息とも呼ばれ、返済が遅れている元金に所定の金利や延滞日数を乗じて計算されます。計算のベースとなる金利は金融機関によって異なります。遅延損害金は日割りで発生するため、返済が遅れるほど金額は大きくなるのが特徴です。
金融機関から督促がくる
銀行融資の返済遅れがあった場合は、金融機関から督促の電話がかかってきます。電話を無視したまま放置すると、督促状が送付されます。督促状が届いても対応しない場合、およそ3ヵ月が経過すると、「期限の利益の喪失」によって一括返済を求められるでしょう。
期限の利益とは、借入金を所定の返済日までに分割で支払うことが認められる権利です。期限の利益により、債権者は債務者に対して「来月までに一括返済してほしい」などの要求ができません。
ただし、期限の利益が認められるのは、約束どおりに返済を続けている場合に限られます。返済が遅れた場合は期限の利益を失うため、債権者は一括返済を要求することが可能となります。
保証会社が代位弁済し、求償権を実行する
銀行融資の返済が遅れた際に起こりうるリスクとして、保証会社による代位弁済もそのひとつです。期限の利益を喪失すると、保証会社が金融機関に対して代位弁済を行います。代位弁済とは、債務者が抱えている借金を保証会社が肩代わりすることです。
代位弁済後は債権が保証会社に移り、債務者は保証会社に対して返済していくこととなります。これを求償権といい、保証会社は求償権を実行することで債務者に一括返済を請求できます。
競売で担保物件が強制売却される
銀行融資の返済が遅れた際は、担保物件が競売にかけられるかもしれません。競売とは、金融機関が裁判所に対して申し立てを行い、担保物件を強制的に売却することです。
競売が行われる主なケースには、期限の利益の喪失が通知されたあとも無視し続けた場合や、代位弁済後に保証会社に返済に関して相談しなかった場合などが挙げられます。競売にかけられた物件は、本来の価値から値下げした価格で売却されるのが基本です。
銀行融資の返済が遅れた際の対処法
銀行融資の返済遅れにはさまざまなリスクがあることがわかるでしょう。リスクを抑えるためには、返済が遅れた際に以下の対処法を実践するのがおすすめです。
- 銀行にリスケジュールを依頼する
- ノンバンクや親族からお金を借りる
返済遅れを放置すると、期限の利益を喪失して手遅れの状態に陥るかもしれません。銀行融資の返済が難しくなった際は、早めに対応することが大切です。ここでは、返済が遅れた際の対処法について解説します。
銀行にリスケジュールを依頼する
銀行融資の返済遅れが見込まれる場合は、まずは銀行に相談しましょう。返済可能な日にちや返済が遅れる理由を説明すると、一時的に返済を待ってもらえる可能性があります。
返済自体が困難になり、現在の借入条件を変更したい場合はリスケジュールを依頼しましょう。リスケジュールとは、返済期日の延長や返済額の変更などをお願いすることです。リスケジュールによって返済額の減額が認められれば、延滞の解消につながるでしょう。
返済に関する交渉を行う際は、金融機関に誠意を見せることが重要です。利息だけでも返済することを相談したり、返済計画を説明したりして、返済の意思があることをきちんと伝えましょう。
ノンバンクや親族からお金を借りる
銀行融資の返済が難しい場合は、ノンバンクから個人でお借り入れを行い、返済に充てるのも選択肢のひとつです。ノンバンクではスピーディーに借り入れできるため、返済遅れの解消に役立つでしょう。一方で、金利が高めである点や、一時的な解決方法に過ぎない点には注意が必要です。
ノンバンク以外では、親族からお金を借りることも検討しましょう。親族から借り入れする場合は、金融機関よりも低金利または利息なしで借りられる可能性があります。
ただし、ノンバンクと同様に親族からの借り入れも応急措置に過ぎません。親族からの借り入れが膨らんで返済が難しくなった場合でも、身内にお金を借りていることが心理的な負担となり、自己破産をしにくくなることも考えられます。いずれの場合でも、返済を一時的にしのぐ方法であることを理解しておきましょう。
不動産を所有している場合は、不動産を担保にして借り入れできる不動産担保ローンを利用するのもひとつの方法です。不動産担保ローンには多数の商品がありますが、なかでもおすすめは「セゾンファンデックスの事業者向け不動産担保ローン」です。
銀行融資の返済を繰り延べしていたり、すでに不動産を担保に融資を受けていると、審査に通過するのが難しいでしょう。その点、セゾンファンデックスの事業者向け不動産担保ローンでは独自の基準によって審査が行われるため、一般的には難しいケースでも融資を受けられる可能性があります。
不動産の担保価値を重視しており、二番抵当に対応しているのも特徴です。他の金融機関で不動産を担保にしている場合でも借り入れできる可能性があるため、現在の借り入れとは別に融資を受けたい方にも向いています。
不動産を担保にしてお金を借りたい方は、ぜひセゾンファンデックスの事業者向け不動産担保ローンの利用を検討してみてください。
銀行融資の返済滞納に関するよくある疑問
銀行から融資を受けている場合、以下のような疑問が生じる方もいるでしょう。
- 滞納中に別の銀行融資を受けられる?
- 過去の滞納は借り入れに影響する?
返済滞納の解消方法として別の金融機関の融資を検討している場合は、滞納と新規借入の関係が気になるところです。また、過去に滞納した経験がある方は、滞納の履歴による借り入れへの影響が心配になるかもしれません。
ここでは、銀行融資の返済滞納に関するよくある疑問について解説します。
滞納中に別の銀行融資を受けられる?
銀行融資の返済を滞納している場合、別の銀行で新たに融資を受けるのは難しいでしょう。滞納の情報は銀行間で共有されないため、本来であれば他の金融機関との取引状況が融資審査に影響することはありません。
しかし、融資審査では決算書などの資料をチェックされ、資料の内容から他の銀行融資を受けていることが知られてしまいます。その際に他の金融機関との取引状況や滞納の事実を把握されると、審査に通過するのは困難です。
場合によっては融資が認められる可能性もありますが、返済を滞納している状況では新規借入も借り換えも難しいと理解しておきましょう。
過去の滞納は借り入れに影響する?
結論として、過去の滞納の履歴は借り入れに影響すると考えられます。過去の滞納や遅延の情報は、事故情報として個人信用情報に登録されます。
申込者の属性や個人信用情報は、融資審査で重視されるポイントです。法人の場合は個人信用情報に法人の貸付情報が記載されないため、法人代表者の個人信用情報がチェックされます。
個人信用情報に傷がついている場合は過去の利用実績に問題があると判断され、審査に通過するのが難しくなるでしょう。
おわりに
銀行融資の返済遅れには、督促状の通知や期限の利益の喪失、担保物件の強制売却などのリスクがあります。過去の滞納が将来的な借り入れに影響する可能性もあるため、返済が遅れる場合は早めに対策することが大切です。
返済遅れの対処法には、リスケジュールの依頼やノンバンクからの借り入れなどが挙げられます。銀行融資の返済が遅れた際は、対処法を検討して迅速な対応を心がけましょう。