そろそろ一周忌を迎えるのに何から始めたらいいかわからない方もいるのではないでしょうか。故人を偲ぶ一周忌法要を滞りなく行うには、事前準備が必要です。そこで本記事では、一周忌の法要について、当日の流れや準備すべきこと、参列のマナーなどをご紹介します。これから一周忌の法要を控えている方は、ぜひ参考にしてください。
この記事のまとめ
一周忌法要は、故人が亡くなってから丸1年後の命日に行う法要のことです。一周忌を境に喪が明けるので、大切な節目でもあります。法要は故人を偲び、家族はもちろん親族や親交のあった友人を招き行うものです。そのため、会場の手配や返礼品の用意など、事前に準備することがたくさんあります。日程や会場決めは、遅くとも2ヵ月前には取りかかるようにしましょう。参列者への連絡も、出席確認が必要となるため2ヵ月前までにはしておきたいものです。
また、僧侶に渡すお布施は宗派などによって相場に差があるため、前もって相談しておくことも必要でしょう。当日の法要が滞りなく進むように、しっかりと準備を行うことが重要です。
一周忌とは
一周忌とは、故人が亡くなってから丸1年後の命日のことです。一周忌までは故人を偲び喪に服す期間になります。この期間は「喪中」となり、お祝い事や正月行事、華やかな場への参加は慎んだ方が良いとされています。一周忌を終えると喪が明け、この日を境に日常の生活へ戻るため、次の段階へ進む大切な節目といえるでしょう。
喪中の期間は故人との間柄によって変わります。一般的に2親等までの家族が、喪に服す期間の対象とされています。
一周忌と一回忌の違いはなに?
一周忌と同じような言葉に「一回忌」があります。漢字が一文字違うだけなので、どちらも同じ意味と思われている方も多いかもしれません。しかし、一周忌と一回忌は全く違うものでそれぞれ意味や数え方が異なります。
「一回忌」とは故人の命日、つまり故人が亡くなった日を指します。「一周忌」とは、故人が亡くなった日(命日)から満1年後の命日のことで「二回忌」にあたります。一回忌と一周忌には1年の差があることを知っておきましょう。
一周忌の法要とは?
一周忌での法要では具体的にどのようなことを行うのでしょうか。一般的な時期や場所など一周忌にまつわる基本的なことを詳しく解説します。
一周忌の法要は何をする?
故人が亡くなってから1年目の命日に行う一周忌は、喪が明ける節目でもあり年忌法要の中でも特に大切な法要です。
故人の遺族や親族はもちろん、故人が生前親交の深かった知人などに参列してもらい、読経や焼香などを行います。その後、参列者全員で故人のお墓参りに行き、改めて場所を変えみんなで食事をとります。一周忌の法要は、改めて故人を偲び向き合うことで、気持ちの一区切りをつける機会でもあるでしょう。
一周忌の法要はいつやればいい?
一周忌の法要を行う日は、命日当日に行うのが理想的です。ですが、実際は命日当日が平日の場合など、その日に行うのは難しいことの方が多いでしょう。
最近では参列者の都合に合わせて、比較的参列しやすい週末などに行うことも増えています。ただし、命日を過ぎて法要を行うことはNGとされていますので、必ず命日よりも前倒しで行うようにしましょう。
一周忌の法要はどこでやる?
一周忌法要を行う場所については特に決まりはありません。自宅や法要斎場、お寺やホテルなどから選びます。また地域によっても違いがあり、関東地方では菩提寺などのお寺で行うことが多く、関西地方では自宅で行うことが多いようです。
参列者は?
参列者に関してもとくに決まりはありません。ただ一周忌は故人の初めての法要でもあり喪が明ける大事な節目の法要でもあるので、親族や故人とかかわりのあった友人などできるだけ多く招くのが一般的です。しかし最近では「家族葬」のようにごく親しい近親者のみで法要を行うケースも増えてきています。
法要時の会食は?
一周忌は食事の場を設けた法事を行うのが一般的です。この食事の場は「お斎(おとき)」とも呼ばれ、故人を供養するだけでなく、参列者への感謝の気持ちの意味も込められています。
食事の内容は、鯛や伊勢海老などのめでたい食材を使わない精進料理が中心のメニューです。また法事では会食をせずに、法要だけを行うこともできます。その場合、参列者にはお弁当や返礼品を持ち帰ってもらいます。
ちなみに「法要」とは故人を偲ぶ儀式のこと、「法事」は会食も含めた一連のことになります。間違えやすいので注意しましょう。
一周忌の法要 ~当日の流れ~
一周忌の概要がわかったところで、ここからは一周忌法要のやり方について説明していきましょう。
当日の流れ
一周忌法要では、一般的に以下のような流れになります。ひととおり済ますと所要時間は、だいたい4~5時間ほどになります。開始時間は午前10時ごろが多く、会食終了までとなると夕方あたりでの解散となるでしょう。
- 僧侶の入場
- 施主による開始の挨拶
- 僧侶による読経
- 焼香
- 僧侶による法話
- お墓参り(お墓が近くにある場合)
- 施主による終了の挨拶
- 参列者と行う会食
僧侶が部屋に入る前に全員が着席しておきましょう。僧侶は祭壇の目の前に座ります。祭壇を真ん中とし、右側に施主や遺族、親族の席になり、左側が近親者や友人の席です。祭壇に近い上座には、故人と関わりが深かった方が座ります。
当日の持ち物は?
ここでは当日の施主側の持ち物について紹介します。当日に慌てないためにも持って行くべきものをしっかり確認しておきましょう。
- 位牌
- 遺影
- お布施
- 袱紗や切手盆
- お供え物
- 数珠
- ろうそく・線香・ライターなど
位牌は故人を表すものとされているので、忘れてはいけません。黒で漆塗りされた本位牌を持って行くようにしましょう。
お供え物には、果物やお菓子、白や淡い色のお花などを持って行きます。僧侶に渡すお布施は、場合によっては御車代や御膳料も必要です。
また、御布施をそのまま僧侶に渡すことは失礼になるので、必ず袱紗に入れるか切手盆に乗せて渡しましょう。ろうそくやライターなどは、お墓参りの際に必要なものなのです。
一周忌の法要 ~準備の流れ~
一周忌法要は準備や手配するものなどが多く、場合によっては時間がかかってしまうことがあります。当日一周忌法要を円滑に進めるためにも、余裕を持ってしっかりと準備しておきましょう。一周忌法要の準備について順を追って解説します。
日程と会場を決める
まずは日程を決めるところから始めます。故人の命日が平日の場合は、命日より前の土日を選ぶなど参列者が参加しやすい日程にすると良いでしょう。
お寺や斎場で行う場合は、空いている日を確認しておくことも必要です。僧侶のスケジュールも確認しておきましょう。遅くても2ヵ月前には決めておくことをおすすめします。
日程を決めると同時に会食を行うかどうかも判断しておかなければなりません。会食を行う場合は、会食をする場所を決める必要があります。
予約のときは、ご祝儀料理にならないよう法事での会食と伝えましょう。送迎の車なども手配しておくと便利です。会食を行わない場合も持ち帰りのお弁当の予約などが必要になってきます。
参列者への連絡
日程や会場が決まったら次は参列者への連絡です。親族や故人が生前親しかった友人など参列してもらう方に、返信用はがきなどを同封した案内状を送りましょう。案内状に記載する内容は、以下になります。
- 法要の案内
- 日程
- 法要や会食の会場
- 施主の名前、住所、電話番号
- いつまでに返信してもらいたいか
一周忌の案内状には、初めに季節の挨拶を入れることや句読点を付けないことなどが礼儀になります。また、出欠席の確認も必要なので、余裕を持って2ヵ月前までに送るようにしましょう。
お布施と返礼品などの準備
お布施や参列者への返礼品の準備も必要です。御布施は、僧侶へ感謝の気持ちやお礼として渡すものなので金額は特に決まっていません。
しかし、どの程度の金額を渡せばいいか迷う方も多いでしょう。あくまで目安ですが、お布施は30,000円~50,000円が相場です。ただ御布施の金額の相場は、宗派によっても大きな差があるので注意しましょう。
包む金額に迷う場合は、お寺に確認したり親族の年配の方などに聞いてみたりするのもひとつの方法です。2週間前までには用意しておきましょう。お布施を渡すときは、白い無地の封筒に入れ黒墨で表書きをするのがマナーです。
返礼品は法要の当日に参列者に渡すものなので、かさばらずできるだけ持って帰りやすい品を選ぶといいでしょう。香典返しの意味もあり、形に残らない「消えもの」を選ぶのが礼儀です。予算は2,000円~5,000円が目安となり、カタログギフトや食べ物が人気です。
熨斗には「粗供養」や「志」と表書きし、水引には黒か白もしくは銀か黄色のものを使いましょう。会食を伴わない法要の際には、お弁当やお酒とともに返礼品を参列者に渡します。
一周忌法要で身内以外の参列者がいる場合は、初めと終わりに施主が挨拶を行います。事前に挨拶文を考えておくことで、当日も落ち着いて挨拶できるでしょう。挨拶文のポイントとしては、故人の名前ではなく戒名で呼ぶことや終了の挨拶の際はお礼を述べることなどがあります。
お墓参りをするなら事前にお墓掃除も
お墓が近くにある場合は、法要の日にお墓参りも行います。参列者に対して失礼にあたらないように、お墓は前もってキレイに掃除しておきたいものです。
しかし、ただでさえ法要の準備で忙しく、お墓掃除にまで手が回らないという方も多いでしょう。そんなときに便利なのが、「セゾンのお墓掃除代行サービス」です。墓石などの拭き掃除から敷地内の草取りまで、大切なお墓をきれいに清掃します。
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一周忌の法要の参列マナーは?
ここまでは一周忌法要を行う側についてご紹介してきました。以下では、一周忌法要に参列する側として、気をつけておきたいマナーや服装のポイントなどを紹介します。
服装は?
一周忌法要では、施主や親族などは「喪服」を着用しますが、参列者はご遺族が着用する喪服よりも格下の「略喪服」を着用するのがマナーです。案内状に「平服でお越しください」と記載があった場合は、この略喪服で参列するといいでしょう。略喪服の服装について男性・女性・子ども別に紹介します。
男性 | 黒やグレー、濃紺などのダークカラー系のスーツに白のワイシャツ 黒のネクタイ 飾りなどが付いていないシンプルな黒の靴 |
女性 | 黒や濃紺など控えめな色味のスーツやアンサンブルまたはワンピース 黒のストッキング シンプルで光沢の少ない黒のパンプス 布製の黒のバッグ アクセサリーをつける場合は、一連のパールネックレスとイヤリングをセットで(結婚指輪はOK) |
子ども | 学生服 白いシャツに暗い色のズボンやスカートまたはワンピース 乳幼児は地味な色味の服 |
香典やお供え物
一周忌法要に招待された場合、基本的には断らずに参列するのがマナーです。やむを得ない事情があり出席できないときは、早めに欠席の連絡を入れましょう。その際はお詫びの手紙とともに香典やお供え物を送るのが望ましいです。
参列する際は、香典を持参します。金額は特に決まりはありませんが、合計の金額が縁起のよくない4や9が付く数字にならないように注意しましょう。香典は故人との関係性などによっても変わってきますが、だいたい5,000円~10,000円が相場です。親や親族など関係性が濃い場合は10,000円~50,000円を目安にするといいでしょう。
表書きは「御仏前」が一般的で、薄墨ではなく濃い墨で書くようにします。またお札の向きは、中袋を裏として肖像画の部分が表側を向くように入れ、人物が下になるように入れます。新札を入れるのは失礼になるので、あまりボロボロではない古札を入れるようにしましょう。
またお供え物も準備しておきましょう。お供え物は、形の残らない「消えもの」がいいとされています。故人が好んで食べていたお菓子や飲み物、お線香、花や果物なども喜ばれるでしょう。お菓子は日持ちのするもの、花はなるべく派手な色のものは避け淡い色の花などを選んで持参します。
一周忌法要やらなくてもいい?
年忌法要の中でも重要な一周忌法要ですが、近年は一周忌法要をしない方も増加しています。その背景には、高齢化やライフスタイルの変化などがあるようです。
また、コロナ禍の影響で法要の中止や延期が相次いだことも原因のひとつでしょう。以前は親族が集まり大勢で取り行われることが多かった一周忌法要ですが、少子化や核家族など家族のスタイルの変化により法要の形も変わりつつあります。
最近では、一周忌法要を家族のみで行い法要はしないスタイルやお墓参りだけで済ませるスタイルなど法要の形も多様化しています。一周忌法要は必ずしも形式どおりに行わないといけないものではありませんので、できる範囲でその時に合った法要の形を選びましょう。
一周忌以降はいつ法要を行う?
ここまで一周忌法要について紹介してきましたが、法要は一周忌だけではありません。一周忌以降の法要や法事についても事前に確認しておきましょう。
一周忌のあとは三回忌
前述したとおり、故人が亡くなった日の翌年は「一周忌」です。その翌年に行われる法要は「三回忌」ですが、なぜ一周忌の翌年が三回忌になるのか疑問に思う方もいるでしょう。理由は数え方です。命日を一回忌とすると、満1年後の一周忌は「二回忌」にあたります。その翌年に行われる法要は「三回忌」となるわけです。
年忌法要は三回忌以降も七回忌・十三回忌と続きます。一周忌は遺族や親族以外にも広く招待しますが、三回忌は親族のみ、七回忌・十三回忌以降は身内のみで行うことが多いです。一般的に、三十三回忌や五十回忌をすぎた後に「弔い上げ」といって法要を切り上げ、代々の先祖と一緒に法要を行うようになります。
法要がない年もお墓参りは忘れずに
お墓参りでの供養の基本は、香・花・灯燭・浄水・飲食の五供(ごごく)を供え合掌します。ですが、気持ちを込めてお墓参りすれば、5つ全て揃っていなくても問題ありません。お墓参りは基本的にいつでもいいとされています。
法要に限らず、月命日やお盆、お彼岸など節目にはなるべくお墓参りに行きたいものです。しかし、お墓が遠方にあるため思うようにお墓参りができないケースもあるでしょう。そんなときは、「くらしのセゾン お墓参り代行サービス」がおすすめです。依頼主さまの代わりにお墓参りや清掃、草取りなどを行います。
お墓参り後は、写真付きの報告書をお送りしますので様子を確認できます。お墓参りに行きたくても行けないときは、代行サービスを利用してはいかがでしょうか。
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おわりに
一周忌法要は、親族だけでなく故人と親しかった友人なども参列するため何かと事前準備も必要です。近年では法要の形も変わりつつありますが、故人を供養するという気持ちは今も昔も変わりません。ご自身が納得のいく法要を行い、当日は故人を思う存分悼めるよう準備をしっかりとしておきましょう。