相続手続きは、遺言書がない場合、基本的に1.相続人の確定→2.相続財産の調査→3.遺産分割協議→4.相続財産の名義変更という流れで進められていきます。
今回は、相続手続きの最終段階ともいえる4.相続財産の名義変更についてご説明したいと思います。「遺言書がないケースで、遺産分割協議がまとまった後」という前提で話を進めていきます。
1.相続人の確定→2.相続財産の調査→3.遺産分割協議は、下記記事で紹介しています。
「相続手続き①~相続人確定&相続財産の調査・編~ここだけは押さえておきたいポイントとは?」
「相続手続き②~遺産分割協議・編~ここだけは押さえておきたいポイントとは?」
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相続財産の種類ごとの名義変更手続きの概略
相続財産の名義変更の手続きおよびその窓口は、相続財産の種類によって異なります。「手続きの窓口がたくさんあって大変」「平日しかやっていない窓口が多くて困る」といった声が聞かれますが、相続人が平日は仕事で忙しい場合や、高齢のため手間のかかる手続きに取り組むことが難しい場合などは、専門家に依頼するというのも有効な選択肢です。
まずは、相続財産の種類ごとに名義変更手続きの概略を見ていきましょう。
不動産
対象不動産所在地の管轄の法務局に相続登記の申請を行います。なお、不動産の相続登記にあたっては、対象不動産の固定資産評価証明書に記載された評価額の0.4%相当の登録免許税がかかります。
<必要書類等>
- 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
- 被相続人の住民票の除票
- 相続人全員の戸籍謄本
- 相続人全員の印鑑証明書
- 遺産分割協議書
- 相続関係説明図(戸籍謄本などの原本還付に必要)
- 対象不動産取得者の住民票
- 対象不動産の固定資産評価証明書
- 相続登記申請書 など
なお、不動産の相続登記の手続きは非常に複雑ですので、自分でやろうとする場合、多大な労力と時間がかかりますので、司法書士に依頼するのが一般的です。
預貯金
被相続人の死亡の事実が金融機関に伝わった段階で、その預貯金口座は「凍結」され、引き出せなくなってしまいます。一般的には、相続手続きにおける相続財産の調査のため、預貯金口座の残高証明書を取得することを通じて、金融機関に被相続人の死亡の事実が伝わることが多いようです。凍結された状態では、預貯金を相続することはできませんので、遺言書がない場合、遺産分割協議を行ったうえで、所定の手続きをとることになります。
遺産分割協議が完了したら、金融機関所定の届出書類を記入のうえ、遺産分割協議書などの必要書類を添えて窓口に提出します。これにより、被相続人の預貯金の口座を解約し、解約金を相続人の口座に振り込んでもらう流れとなります(被相続人の預貯金の口座を解約することなく、相続人名義の口座に変更することが可能な場合もあります)。
<必要書類等>
- 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
- 相続人全員の戸籍謄本
- 相続人全員の印鑑証明書
- 遺産分割協議書
- 通帳・キャッシュカード
- 金融機関所定の届出書類 など
手続きの流れや必要書類は、金融機関によって異なります。まずは金融機関のWEBサイトを確認のうえ、相続専門ダイヤルなどに問い合わせてみるのが良いと思います。なお、当然のことながら、手続きは金融機関ごとに必要となります。取引金融機関の数が多い場合は、いざ相続が発生した際に相続人の負担を減らす観点からも、終活の一環として、必要最小限の数に集約しておくことをおすすめします。
上場株式
上場株式については、遺産分割協議が完了後、証券会社所定の届出書類を記入のうえ、遺産分割協議書などの必要書類を添えて窓口に提出し、手続きを行います。具体的には、被相続人の口座の残高を相続人名義の口座に移管する手続きとなります。
このため、相続人が同じ証券会社に口座を持っていない場合には、新たに口座開設が必要となります。相続する上場株式をすぐに売却・換金したい場合でも、いったん相続人名義の口座に移管してから売却する必要があります。
<必要書類等>
- 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
- 相続人全員の戸籍謄本
- 相続人全員の印鑑証明書
- 遺産分割協議書
- 証券会社所定の届出書類 など
手続きの流れや必要書類は、各証券会社によって異なります。預貯金の場合と同様に、まずは証券会社のWEBサイトを確認のうえ、相続専門ダイヤルなどに問い合わせてみるのが良いと思います。
なお、投資信託については、基本的に上場株式と同様の手続きとなりますが、相続人名義の口座を開設することなく解約に応じてもらえる場合もありますので、証券会社に問い合わせてみてください。また、相続財産の中に非上場株式がある場合は、証券会社ではなく、株式の発行会社の総務部等に問い合わせてみると良いでしょう。
不動産の相続登記の義務化
これまで、不動産の相続登記には、法律上の義務や期限はありませんでした。「面倒くさそうだし、登録免許税もかかる。司法書士に手続きを依頼すると手数料もかかるし、当面実害はなさそうだから、とりあえずまた後で…」ということで、放置されてしまうことが多々ありました。
たとえばAさんが亡くなった際にその相続人が不動産の相続登記を怠り、そのまま何十年の歳月が過ぎて、その相続人も亡くなり…ということになると、不動産の名義は何十年も前に亡くなったAさんのままで、誰が本当の不動産の所有者なのか、わからなくなってしまいます。こうした「所有者不明土地」の面積は、2016年現在で410万ヘクタールに及んでおり、九州の土地面積(368万ヘクタール)よりも大きくなっているという報告があります(所有者不明土地問題研究会)。
所有者不明土地は有効活用が難しく、これ以上、所有者不明土地を増やさないようにするため、2021年4月、相続登記を義務化する改正法案が可決され、2024年4月1日から施行されることになりました。
改正法施行後は、相続人が相続や遺贈で不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をすることが義務化され、正当な理由なくこれを怠った場合は100,000円以下の過料が課されることとなります。面倒だからと先送りにせず、相続時にしっかりと手続きを済ませるようにしましょう。
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