賃貸住宅を探していると、「優良物件」という言葉をよく見かけます。しかし一概に優良物件といっても、具体的に何を指して優良といっているのか分からない方もいるでしょう。また物件情報は膨大にあるため、ご自身の希望を満たす物件探しに、疲弊している方もいるかもしれません。
このコラムでは優良物件のポイント、物件探しを行う際の注意点などについて、詳しく解説していきます。物件探しをしている方、引っ越しを検討している方は、ぜひ参考にしてください。
1.「優良物件」の定義とは?
そもそも優良物件の定義とは何を指すのでしょうか。探す方によって賃貸物件に求める条件というものはさまざまなので、一概には定義できませんが、優良物件として取り上げられる賃貸物件の特徴についてご紹介します。
1-1.家賃が安い
賃貸物件に求めることといえば、月々に支払う家賃がどれだけ安価であるかを重要視する方は、少なくないでしょう。そのような方、多少建物が劣化していても家賃の安さを最優先に考えているので、建物のコンディションなどはそれほど気にならない傾向にあります。
なかには前の住民が不幸にあったため格安となっている「訳ありの物件」もありますが、家賃の安さを第一に考えている人は、事故物件でも気にせずに居住する場合もあります。
家賃が安くて部屋の劣化も目立たず設備もハイクオリティであれば、優良物件といえるでしょう。また安価であることを重要視するのであれば、敷金や礼金のかからない物件を探してみるのも良いでしょう。
1-2.駅からの距離が近い
ほとんどの賃貸物件は、駅からの距離が近いと優良物件として扱われます。新しく設備が充実していても、駅から遠いことが理由で優良物件として紹介されないケースも珍しくありません。
家賃が高くても良いから駅からの距離にこだわりたい方は、不動産会社が提示する物件情報の「駅から〇〇分」の表示に注意しながら探すと良いでしょう。
反対に車やバス、バイクなどを移動手段に使っている方は駅をそれほど利用しないので、駅からの距離よりも駐車スペースが広いことなどが重要です。
1-3.エリアの充実度
賃貸物件周辺にさまざまなお店があって買物に便利、治安が良いなどの物件周辺の環境を重視する方は、物件のあるエリアの充実度が高く、住みやすい環境であれば、それが優良物件となります。いくら物件が良心的な家賃設定、充実した設備であっても、治安が悪くて夜中でもうるさかったり、夜に出歩くのが怖かったりしたら、落ち着いて生活できません。そんな環境で外にバイクや自転車を置いていたら、盗難に遭うかもしれません。
ご自身の居住空間も大切ですが、周辺の環境が生活ニーズにあっている場合、生活のしやすさから優良物件と感じる方もいるでしょう。
1-4.間取り、部屋の広さやデザイン
普段からのライフスタイルにこだわりがある方、洗練された生活を送りたい方は、部屋探しをする際、何よりも部屋の広さやデザイン、間取りを重点的に考えます。いわゆる「デザイナーズ賃貸」を探すと洗練されていておしゃれな物件と出会える確率が上がるでしょう。
1-5.築年数
物件における築年数は、その年数によって家賃にも影響を与えます。当然ながら築年数が浅いとそれだけ新しい物件なので、建物の劣化も目立たず安心して居住できます。
逆に築年数が古いほど、見た目は新しくても建物内部のいたるところが劣化している可能性があります。
もちろん物件を建設以降、定期的なメンテナンスは行いますが、築年数が何十年も経過しているとやはり不安になるかもしれません。
築年数にこだわる方にとっては、家賃、部屋のデザインや駅からの距離などより、築年数が浅い物件ほど、優良物件ということになるでしょう。
2.優良物件をチェックする際のポイント
ご自身が「住みたい」と思える物件に出会うためには、「住みたい」基準をしっかりと持ち、どの物件であれば条件を満たしてくれるかどうか、チェックをすることが大事です。では優良物件探しにおいて必要な確認作業とは何か、そのポイントについてご紹介しましょう。
2-1.本当に「駅から徒歩◯分」かかるか確認する
駅から物件までの距離にこだわりたい方は、本当に「駅から徒歩◯分」なのか実際に試してみましょう。徒歩の所要時間は算出基準があり、80メートルを徒歩1分として計算しています。それぞれ個人によって歩く速さは違いますし、坂道の多い場所ではスピードが落ちるかもしれません。すべての物件で歩いてみるのは難しいですが、候補が絞れてきたら実際にご自身で歩いて確かめてみるのが良いでしょう。
2-2.部屋探しをする時期を選ぶ
物件の契約の繁忙期は、新生活に入る前の3月といわれています。この時期は、大学入学・入社に備えて、一人暮らしを開始する人が増える時期です。そのため、良い物件があってもすぐに他の方に契約が決まってしまうこともあります。
もしじっくりと腰を据えて物件探しをしたい場合は、3月は避けると良いでしょう。引越しシーズンではない時期に物件探しを行えば、優良物件の取り合いを回避できるので、落ち着いて物件探しができます。
2-3.部屋内をチェックする
優良物件探しで重要なのは、実際に物件に出向いて下見をすることです。文字や写真などの物件情報だけを鵜呑みにしないで、お目当ての物件を実際にチェックすることが大事です。次で下見のチェックポイントをご紹介します。
2-4.日当たり
明るい部屋を希望する方は、日当たりの良い物件かどうか確認しましょう。部屋の設備や家賃が良くても、目の前に大きなマンションなどの建物があると、部屋の位置によっては常に影となってしまうかもしれません。
また日光をたくさん取り込める大きな窓があるかどうか確認しましょう。また内見(家を見に行く)の時間は、日中の日の当たる時間にするのがおすすめです。
2-5.防音
隣人の音が気になる方、音楽や映画を大きな音で楽しみたい方は、防音設備がしっかりしているか確かめましょう。
静かに暮らしたいのに常に隣人の話し声やテレビの音などが聞こえてくると、気になって落ち着いた生活が送れません。また生活サイクルの違いで夜中に活動する人が隣人だった場合、うるさくて眠れず満足に睡眠が取れなくなるでしょう。
またその逆で、映画・音楽鑑賞が趣味で、ヘッドホンなしで大きな音で鑑賞を楽しみたい方の場合、防音がしっかりしてないと隣人に迷惑をかけてしまいます。防音設備が完璧であるかチェックしましょう。
2-6.壁や床
部屋の清潔感を重視したい方は、壁がきれいであるかを確認しましょう。ほとんどの物件は新しい入居者が入る前に部屋内のメンテナンスを行うので、基本的に部屋はきれいになっています。しかし、なかには壁にシミや汚れがある場合があります。そのような部屋は湿気がたまりやすいケースが多いです。
湿気が多いとカビも発生しやすく、衛生的に良くありません。それが原因で部屋に置いてある服が傷んでしまったり、場合によっては居住者にアレルギー症状が出てしまう可能性もあります。
2-7.トイレ、風呂
トイレやキッチン、風呂場の水回りも優良物件かどうかを見極める重要な要素です。毎日熱いシャワーを浴びる方が、設備に欠陥があると(シャワーの水圧が弱いなど)、気持ち良く生活できません。さらに浴室は換気が十分に行われる設備や窓があるか確認しましょう。
またトイレの水の勢い・水位もチェックする必要があります。トイレの水位が低いと下水の匂いが上昇して悪臭の原因になる場合があります。水回りを確認して、水漏れがないか、カビの発生や悪臭がないか確認しておきましょう。
2-8.ドアの広さ
引っ越しをスムーズに行う際で重要なのは、住居の出入口であるドアの大きさです。ドアが大きいと大型家具の搬入・搬出を円滑に行えますが、そうでない場合は時間がかかり、最悪の場合、搬入が不可能などということもあります。
もし大きな家具、インテリアを所有している場合、搬入・搬出のことも考慮して、ドアの大きさを確かめておきましょう。
3.「未公開物件」にも注目しよう
「未公開物件」を見かけたことはありますか?果たして未公開物件とは、他の普通に公開している物件と、どのような違いがあるのでしょうか。次より未公開物件に関しての詳細を説明します。
3-1.未公開物件とは
未公開物件とは不動産会社が所有している、文字とおり表に出していない物件情報です。未公開であるのは次のような理由があります。
➀まだ確定していない情報のため
②手数料を払えば、未公開情報を紹介するという仕組みのため
③不動産業者の問合せフォームから希望の条件や個人の連絡先を登録してもらいたいため
このような理由で未公開物件は存在します。興味をそそられますよね。通常の公開物件より優良物件であるものも含まれるので、不動産会社に相談してみると良いでしょう。
3-2.未公開物件を紹介してもらう方法
物件が未公開であるのは2つの理由があります。1つ目は不動産会社が自社でしか見せられない限定情報として取り扱いたい場合です。2つ目は物件を保有しているオーナーがその建物に住んでいて、静かな住環境を望んでいる場合です。
初対面の不動産会社から未公開物件情報の提供を受けることは難しいでしょう。未公開物件を紹介してもらうには、決まった1つの不動産会社と密なコミュニケーションを取り信頼関係を構築することが必要です。
物件探しのポイントの1つに、複数の不動産会社に連絡をして比較をするという手段がありますが、この方法だと不動産会社とは広く薄い関係になってしまいます。多くの物件情報をチェックすることはできますが、本当にお得な情報は得られないでしょう。
未公開物件の情報を得るためには、不動産会社のWEBサイト経由だけではなく、電話や店頭に出向いてしっかりとしたコミュニケーションを図るように努めることです。そうすれば、不動産会社も「この人なら信頼できる」と判断して未公開の情報を提供してくれるでしょう。
賃貸における優良物件のための条件は、人それぞれです。あなたの住まいには何が最も重要なのかを明確にして、その条件を満たす物件を探し出すことが、物件探しにおいて大事なことです。