50代は多くの人にとって変化の多い時期。「子どもの成長」「親や実家の心配」「健康や老後への不安」など、前もって考えなくてはならないことがたくさんあります。でも、日常生活に流され、なかなかじっくり考えられない、できれば考えたくない現実。
しかし、なんとなく過ごしていると、なんとなくの後半人生を迎えることになってしまいます。気力も体力もある今こそ、まずは人生の棚卸しをして、「これからどのように過ごすか」という課題に真剣に向き合い、快適な毎日を手に入れていただきたいと思います。そのためにはまず家全体のお片付けがおすすめ。とはいえ、家全体ともなると膨大すぎて何から始めたらいいのか分からない。では、プロに依頼するとしたらどうなるの?という方のために、『美的収納』という片付け術に出会ったことで、人生をより一層輝かせた方々に登場していただきます。
今回は美的収納のお片付け講座で理想の暮らしを手に入れたS様(50代)と対談しながら、家を片付けたらどのような変化があったのかをインタビューしました。
1.自己流で片付けてみたら味気ない家になってしまった
湯淺―美的収納の講座を受講されたきっかけを教えて下さい。
S様―子育てが大変だった時、家事の負担を少しでも減らそうと無駄なものを一切なくしてみたのです。そうしたら、全く潤いのない家になってしまって。
湯淺―珍しいケースですね。かなり思い切ってものを手放したのではないですか?
S様―はい。もう減らすものはないし、一体どうしたら良いの?と悩んでいた時に偶然、美的収納で劇的に変化したお部屋の記事を雑誌で見つけました。
湯淺―どんなところに着目されたのでしょうか。
S様―リビングのあちこちに玩具や衣類、雑誌などが置いてあるお宅でした。それまでの私は、その中から不要なものを取り除くことが片付けだと思っていましたが、美的収納はもっと高い視点でものごとを考えているように感じました。
湯淺―そこに気付かされる感性も素晴らしいですね。
S様―そもそも幼児が遊ぶリビングにソファはいるの?とか、部屋をどうやって分けたら子どもとお母さんが居心地良く過ごせる?など「ものを収納する」「片付ける」とは違う見方に感動したのです。
湯淺―私もその考え方に惹かれたので、よく分かります。
S様―もう本当に感動して、このメソッドを習いたいと講座に申込みました。
湯淺―その頃の講座は2日間の短いコースでしたよね。
S様―はい。片付け方を習いに行ったのに、家の平面図や収納場所の立面図を作成して、という本格的なものでした。
湯淺―ハードだと思われたでしょうね。でも最終的にはしっかり整ったのですよね。一番感動したのはどのエリアですか?
S様―玄関です。分類することで家族全員、何がどこにあるかを把握することができました。そのおかげで忘れものが減り、出掛ける前の「アレがない、コレがない」という騒ぎがなくなりました。
湯淺―朝のイライラが減るのはありがたいですよね。
S様―当時小学校低学年だった子どもたちのハンカチとティッシュ置き場を玄関に作りました。忘れものが多い息子は学校で恥ずかしい思いをたくさんしたようですが、「でも俺、ハンカチとティッシュだけは忘れたことがないよ。」と自慢げに話す姿を見て、美的収納で片付けて本当に良かったなぁと、心の中でガッツポーズをしました。
2.「捨てないお片付け」で考えが変わった
湯淺―ご自身にも変化はありましたか。
S様―一番の変化は「散らかっていても良い」と思えるようになったことです。
湯淺―それはまたユニークですね。
S様―以前は、片付いた状態を保つことに、大きなエネルギーを注いでいた気がします。でも、美的収納メソッドでその考えがスッとなくなりました。
湯淺―なぜそう思われたのでしょう。
S様―美的収納が『捨てないお片付け』だったからです。講座中に、ある受講生さんが「美的収納はなぜものを捨てさせようとしないのですか?」と尋ねたのですが、先生のお答えは「だって人のものでしょう。」でした。その言葉で考えを改めました。
湯淺―衝撃だったのですね。
S様―私はそれまで、散らかっているよりキレイな方が良いと決めつけていたようなところがありました。でも、私には思い入れがないものでも、相手にとっては大事かもしれないという考えを持てたことで、相手の状態を受け入れられるようになりました。
湯淺―部屋の状態ではなく、相手の状態を見る。素晴らしいですね。
S様―ちなみに、先生は「散らかっていても良い」とは仰っていません。当時は片付けても、片付けても子どもたちが散らかすことに悩んでいたので、「先生の家は散らからないのですか?」と質問したのですが、先生は「散らかりますよ。仕事をしたら、机の上はいっぱいになります。でも、散らかってもすぐ元に戻せるから大丈夫!」と。この頃から散らかることに対して考えが緩んできました。
湯淺―心がラクになった、ということでしょうか。
S様―今は緩みきってしまっていて「もう眠いから今日は寝て、明日片付けよう。」ということもあります。
湯淺―ご自身にとって、何が心地良いかを大切にしたいですよね。
S様―そのような時は、夫がキッチンを片付けておいてくれたりもします。
湯淺―まぁ、素敵です。ものの住所を共有しているからこそ、安心してお任せできますね。
3.感激が姉に連鎖した
湯淺―ほかにも変化したことはありましたか?
S様―講座終了後に姉の食器棚を片付けたのがきっかけで、姉にまで美的収納の感激が伝わったことでしょうか。
湯淺―お姉様はS様のご実家にお住まいなのですよね。
S様―はい。「整理したら?」ではなく、「私が出し入れしにくいから、並び変えてみても良い?」という聞き方が良かったようで、すんなり受け入れて貰えました。
湯淺―ご実家のお片付けに悩む方にも有効な聞き方かもしれませんね。
S様―その後、姉はひとりで片付けを続けていました。ある日、キッチンからフォークがたくさん出てきて「私、フォークが好きみたい。」という連絡をもらいました。
湯淺―好みやものの買い方にご自身で気付かれたのですね。
S様―その後、一番好きなフォークだけを残すと決めたと聞いて、嬉しくなりました。
湯淺―ご自身で決めることが大切なのですよね。
S様―片付け始めると人のものが気になり出すのはよくあることだと思いますが、姉も案の定、その後お義兄さんの持ちものが気になり出したようで、姉から「夫のものが気になる。これ要るのかな?と思っちゃう。」と相談が来るようになりました。その度に私は「だって人のものでしょう?」と答えました。
湯淺―反応はいかがでしたか。
S様―その結果、姉は義兄に無理強いすることはなかったそうです。そして不思議なことに、いつの間にか義兄がとても協力的になり、姉から「不要になった家具をひとりで解体して、ゴミ処理場まで運んでくれたのよ。ビックリした!」 というような話を聞く機会が増えました。
湯淺―微笑ましいですね。
S様―その度に私の心は浮き立ち、美的収納を学んで本当に良かったと、しみじみ幸せを感じました。
4.姉夫婦が実家を片付けてくれるようになった
湯淺―お義兄さんまで美的収納の連鎖がつながっていくとは、感激です。
S様―そこまで散らかっている家ではないのですが、6DDKKという家のなかを姉が一人で整理をしているのを見て、手伝ってあげたいと思ったのでしょう。
湯淺―散らかりにお困りという訳ではなかったのですね。
S様―愛情から応援してくれたのだと思います。それは姉が義兄に片付けや捨てることを強要しなかったことが大きいと思います。
湯淺―感動ですね。S様もご実家がきれいに保たれているのは、嬉しいですよね。
S様―もし今、使われていない部屋が死んだようになっていたら、悲しい気持ちになると思います。美的収納によって家具やものの見直しがされた事で、明るく爽やかな空間が保たれているのです。
湯淺―そこまで徹底されているのですね。
S様―今日突然、泊まりに行ったとしてもスッキリした和室に布団乾燥器でホカホカに温められた客布団が私を迎えてくれるはずです。
湯淺―それは本当にありがたいことですね。
S様―それに、姉が幸せだということが嬉しいのです。どんなにきれいな家に住んでいても、そこに住む人が幸せでなかったら全然嬉しくありませんものね。人のものにとやかくいわず、指図せず、自身の周りから進めて行ったら良いのだと、改めて感じています。
湯淺―その通りだと思います。
S様―昨年、母は亡くなりましたが、二人の片付けは進化しています。襖や障子、廊下の床も張り替え、今はトイレのリフォームを検討中のようです。
湯淺―お二人とも美的収納プランナーにスカウトしたいです!
S様―私も美的収納のおかげで、『どう暮らしたいか』という目に見えない部分を考える習慣が身に付き、子どもの成長に伴い、フレキシブルに時間の使い方や暮らし方を変化させることができています。
湯淺―美的収納は単なるお片付けではないですね。今日は心温まるお話をありがとうございました。
5.今回の美的収納 3つのポイント
① 捨てるだけでは潤いのある暮らしにはならない!
② 散らかっても、収納システムができていればすぐに片付く!
③ 家族であっても他人!持ちものを無理に捨てさせようとせず、まずはご自身の周りを極める!
(聞き手:美的収納プランナー 湯淺真理子)
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