あずきは、和菓子に欠かせない“あんこ”の材料やお祝いのときに炊く赤飯に使われるなど、日本人には馴染みの深い食材です。
特に最近は、“あんバター”ブーム! パンやどら焼きにはさんだり、イチゴや抹茶、ミルク味、砂糖たっぷりの甘いものや塩を加えた甘じょっぱいものなど、味わいも様々です。新商品も続々と登場しています。
改めて、あん&バターの美味しい組み合わせに目覚めた!という人も多いのではないでしょうか。
あずきには、私たちの体を健康に保つ大切な成分が豊富に含まれています。あずきの健康パワーを再発見してみませんか。
1.あずきとは
あずきの原産地は東アジアとされ、日本では縄文遺跡からの出土があり、『古事記』や『日本書紀』にはあずきのことが書かれており、古くから親しまれてきました。美しい赤紫色には邪気を払う魔よけの力があるとされ、縁起の良い豆として、宮中儀式や年中行事に使われてきました。「めでたい日に、災いが起こらないように」という意味があり、現在も、ハレの日(特別な日・儀礼や祭、年中行事など)、赤飯やあずき粥を食べる習慣が残っています。
あずきは、軽く水洗いするだけで、水でもどす必要がなく、そのまま煮ることができるので、調理には便利な豆です。煮豆やお汁粉、ぜんざい、羊羹などの餡の材料としても利用されています。
1-1.あずきの種類
普通の粒のものは、赤飯、小豆飯、あずき粥、こしあん、しるこ、ぜんざいなどに利用されることが多く、あずきの中でも粒が大きく煮崩れしにくいものは「大納言(だいなごん)小豆」と呼ばれ、和菓子や甘納豆、かのこや粒あんなどに利用されます。
主な産地は北海道で生産量の9割を占め、十勝地方を中心に全道で生産されています。大納言小豆は、兵庫県や京都府で作られたものが、丹波大納言と呼ばれ区別されています。
普通小豆や大納言小豆は赤あずきですが、他に白あんの材料になる高級な白あずきがあります。乾燥したものや水煮にした缶づめ、あんに加工されたものなどが市販されています。
1-2.あずきの保存方法
乾物は密閉できる袋や容器に乾燥剤と一緒に入れ、密閉されたものは袋のまま風通しの良い冷暗所、常温で保存します。夏場などは冷蔵庫の野菜室などに入れると、よい状態で保存できます。
1-3.あずきの栄養
あずきは栄養の宝庫で、古くから「赤小豆」という漢方薬として利用されていました。主成分は糖質(でんぷん)とタンパク質です。その他、ビタミンB群、カリウム、亜鉛などのミネラルも多く、疲労回復や高血圧、むくみの予防、冷え性の改善効果などが期待できます。不溶性の食物繊維も多く、便通の予防や改善効果に有効です。
皮に含まれている苦味の成分であるサポニンは、生活習慣病の予防、老化予防、優れた利尿作用があるといわれています。また、あずきの赤紫色の色素は、ポリフェノールの一種であるアントシアニンで、活性酸素の害から体を守り、疲れ目の予防や改善する働き、高血圧の予防、肝機能の改善にも効果があるといわれています。
含まれるビタミンCはデンプンでガードされているため、熱や酸素による劣化が少なく、コラーゲンを活性化する働きがあるので、アンチエイジング効果も期待されています。また、腎臓に形が似たあずきは、「類似の法則」といい、腎臓の働きを高めることができると考えられており、実際に利尿作用、心身の疲労、二日酔いなど、腎臓の働き効果を実感できるでしょう。
1-4.あずきダイエット
あずきは栄養豊富で脂肪分は少ないため、ダイエットに向いていると期待されています。
代謝を良くしたり、腸内環境を整えてお通じを良くしてくれたり、むくみ対策、美肌効果にも役立ちます。また、抗酸化作用を持つポリフェノールが豊富で、ダイエットやアンチエイジングに強い効果を発揮するといわれています。
あずき茶を飲んだり、毎食少しずつで良いので煮あずきを食べると良いでしょう。
2.「あずき茶」とは
甘くないお汁粉風でほっとする味!
あずき茶は、カロリーゼロ、ノンカフェイン、添加物も含まれていないので安心して飲むことができます。あずきには赤ワインより、多くのポリフェノールが含まれているといわれ、熱湯によって効率良く溶出し、時間の経過とともに溶出量が増加することがわかっています。
30分ほど煮だすのがおすすめです。あずきを煮ると、泡がでてきますが、この泡は一般に「アク」とよばれ、このアクには有効なミネラル成分が多く含まれているので、茹でこぼすことはしません。
あずき茶を作るときに、少量の塩を加えると、腎臓の働きを改善する効果が高くなるといわれています。また、お好みで、はちみつなどを加えて飲むのも良いです。
あずきのゆで汁は、肝臓や腎臓を強化し、だるさや疲れが軽減されたり、骨粗しょう症の予防、美容効果などに良いスーパードリンクとして、注目されています。
2-1.あずき茶の飲み方
アズキ茶は、1日に2~3回、湯飲みに1杯(約150ml)ずつ飲みます。吸収力の高まる空腹時(食前や食間)に飲むとより効果的だといわれています。
2-2.あずき茶の保存方法
出来上がったあずき茶は、容器に移して、粗熱が取れたら、冷蔵庫で保存し、1週間以内に飲み切りましょう。
2-3.煮だした後の残ったあずき
煮だした後の柔らかくなった豆も、食べましょう。豆が硬ければ、鍋などでさらに茹でて柔らかくしてから食べます。塩を振って食べても美味しいです。
低カロリーで、不溶性食物繊維とタンパク質など、栄養素は残っています。便通を促進したり、食前に食べることで、血糖値の上昇をおだやかにしたりする効果が期待できます。
他に、煮物や炒め物、汁物、スープなどに入れたり、餃子、ハンバーグ、マーボー豆腐、ミートソースなどにひき肉の変わりとして使うことをおすすめします。冷凍保存もできます。
3.美味レシピ
あずき茶の作り方や、あずき茶の煮だした豆のレシピをご紹介いたします。
*鉄なべを使うと、鉄と結びついて黒ずむため、気をつけましょう。
3-1.あずき茶(煮だし用)
ゆっくり煮詰め、香りも楽しむ!
【材料】来上がり量=約600ml
あづき ・・・・ 大さじ4(約50g)
水 ・・・・ 1ℓ
【作り方】
1.アズキと水を鍋に入れて、強火にかける。
2.沸騰したら弱火にし、3分の2くらい(約30分)になるまで煮だす。
色が濃い赤茶色になれば、出来上がりです。
②あずき茶(保温ポット使用)
手軽に、手間なしで作りたいときは、こちら!
【材料】
保温用のポット(500ml用)使用
あずき ・・・・ 大さじ4(約50g)
熱湯 ・・・・ 400ml
【作り方】
1.保温ポットに湯を入れて温めておく(分量外)。
2.保温ポットの湯を捨て、洗ったあずきを入れ、熱湯を注ぎ入れ、しっかりと蓋を閉める。
3.保温ポットを数回振り、横にした状態で、一晩(6~8時間)置く。
*横に置くと、湯にふれるところが多く、加熱ムラが少ない。
*保温ポットをバスタオルなどを巻くと、なお良い。
***注意
あずきの加熱が不十分だと下痢や嘔吐を起こす危険性があるので、必ず、熱湯を注ぎ入れ、6~8時間以上、置くこと。
*ちょっと甘い煮あずき
茹でたあずきに、ひとつまみの塩とお好みではちみつや黒砂糖などを加えて混ぜ、電子レンジ(500w)でラップをせずに、2分くらい加熱すると煮あずきに。(加熱時間は調整してください。)
3-2.あずきご飯
・手軽に茹でたあずきを加えて、炊くだけ!
【材料】
あずき茶の豆(茹で)100g、米 2カップ、ごま塩 適量
【作り方】
1.米は洗って30分間浸水させ、ざるに上げて水気を切る。
2.炊飯器の内釜に①を入れ、水を2合の目盛りのところまで入れる。茹であずきを加えて、普通に炊く。
3.炊きあがれば、全体を混ぜ、器に盛り、ごま塩をそえる。
*炊飯器に加えるあずき茶の豆は、多少硬くても、炊飯することで柔らかくなります。
3-3.あずきとかぼちゃのチーズ入りサラダ
・茹でたあずきと、レンジカボチャで、簡単マヨサラダ!
・栄養価の高いかぼちゃとあずき、郷土料理の煮物をサラダに!
【材料】
あずき茶の豆(茹で)50g、かぼちゃ 1/8個(180g)、クリームチーズ 30g、マヨネーズ 大さじ2、
【作り方】
1.かぼちゃはワタと種を取り、小さめのひと口大に切り、耐熱容器に入れ、ふんわりとラップをかけ、レンジ(600W)で約3分30秒加熱する。ボウルに入れ、熱いうちにフォークなどでつぶす。
2.クリームチーズは1cmの角切りにする。
3,①に②とあずき茶の豆、マヨネーズを加えて全体を和える。
*豆が硬いようなら、煮たり、レンジ加熱するなど、柔らかくしてから加えましょう。
3-4.あずき入りキーマカレー
・茹でたあずきと肉でダブルのタンパク質を!
・手軽にルウカレーを使って!
【材料】2人分
あずき茶の豆 100g、合いびき肉 200g、ズッキーニ 1/3本、パプリカ(赤・黄) 各1/4個、玉ねぎ 1/2個、生姜、にんにく、各小さじ1(すりおろし)、オリーブ油 大さじ1、あたたかいご飯 適量、
カレールウ(刻む) 50g、トマトケチャップ 大さじ1
【作り方】
1.玉ねぎはみじん切り、パプリカは1cm角に切る。
2.フライパンにオリーブ油を熱し、玉ねぎをゆっくりと炒め、生姜とニンニク、合いびき肉を加えて炒め合わせる。
3.水カップ100mlを加え、ズッキーニとパプリカ、あずき、(A)を加えて全体を混ぜる。ふたをして弱火で時々かき混ぜながら、約10分煮込む。
4.器にご飯を盛り、③をかける。あれば、スライスアーモンドやレーズンをそえる。
*ルウカレーは商品により、量を加減してください。
おわりに
小さい豆と書いて“あずき”ですが、栄養価も高く、体にもとても良い豆です。茹でたあずきは、トーストやヨーグルト、サラダにのせたり、スープや卵焼きに加えたり、カレーなどにプラスしてみませんか。
体に良いといわれるさまざまな作用が期待できるあずきですが、実際に購入して食べるものには砂糖が入ったあんに加工されているものが多く見受けられます。食べすぎないようバランスを考えましょう。