いよいよキャンプに絶好のシーズンが始まりますね。楽しいキャンプは、行き帰りも含めて安全に過ごせてこそ。今回は、ビギナーのシニア女性に向けた基本的な安全策を挙げていきましょう。
1.キャンプ場を探すときに注意すること
自宅から近いキャンプ場を選ぶ
クルマでも公共交通機関利用でも、最初のうちは自宅からなるべく2時間圏内のキャンプ場を選びましょう。到着後はテントの設営や食事の準備などが待っています。行き帰りの行程で疲れてしまっては楽しめないですね。
最初のうちは遠出せず、土地勘のある場所がベター。道に迷うこともなく、途中で食料品の買い出しをするときや、トラブルがあったときの病院など、目安がつけやすいです。
管理人常駐のキャンプ場を選ぶ
ケガや急病、対人トラブルなどを考えると、夜間も管理人が常駐しているキャンプ場が安心です。ガイドブックや公式サイトで調べ、わからなければ直接電話して問い合わせしてください。
極端な山中や海辺は避ける
山奥は野生動物の出現も多く、携帯の電波も入りにくいところが多いです。海の近くは風が強く、テントが飛ばされる、焚き火や調理用バーナーの火の扱いが難しいなど、ビギナー女性には対処が難しいこともあります。安全な平地のキャンプ場で数回経験を積んだのちに、難易度を上げていきましょう。
2.テントを立てる場所を選ぶ
高い樹木のすぐ下に注意!
つい先ごろ、キャンプ場で立ち枯れの樹木が倒れ、テントで就寝中のキャンパーが下敷きになるという痛ましい事故が起きました。つい木陰にテントを立てたくなりますが、高さ数メートルを超える高木の側は避けましょう。がっしり立っているように見える樹木でも、空洞や根腐れなど、素人が外から見てもわからない危険性をはらんでいるかもしれません。
広々としたサイトの中心に高い木があるような場所は、落雷による被害の可能性もあるので、できるだけ離れてください。雷雲が近づき、雷鳴が始まったら、クルマの人は車内に、徒歩の人は管理棟やトイレ棟などに逃げ込みましょう。
樹木のすぐ下は、雨が上がっても枝先から延々と雫が落ち続け、テントがなかなか乾かなくて困ることがあります。
管理棟や水場に近く、トイレに行きやすいサイトを選ぶ
キャンプサイトが選べる場合、何かあったときにすぐ助けを呼べる管理棟の近くが無難です。水場や炊事棟、トイレに行きやすい場所なら、夜間暗くなってからの移動も比較的安全です。
家族連れの多い場所を選ぶ
キャンプ場の奥や木立に隠れた場所は静かで良さそうですが、女性ソロならファミリー層の多いエリアに近い方が安全でおすすめです。設営が終わったら、近隣サイトの人に軽く会釈程度の挨拶を。
安全な火の取り扱い方法
アウトドア用バーナーの扱いに習熟しておこう
キャンプ料理を作るのに必要なバーナー類。軽い力で簡単に着火できるガスバーナーがおすすめです。ガスの燃料缶には、カセットコンロで使う「CB(カセットボンベ)缶」と、ダルマ型の「OD(アウトドア)缶」の2種があります。ビギナー女性にはスーパーやコンビニで手に入るCB缶のバーナーが簡便です。
バーナーを使う時は、できるだけ水平に置いてください。ガス缶が傾いていると、ボンベの中のガスが液状のまま噴出しやすく、引火の危険性があります。
テント内は火器厳禁!命に関わる
テント内で、バーナー等の火器の使用は厳禁です。ナイロンなど燃えやすい素材のテント生地や衣服、シュラフ等に引火するかもしれません。
そして、もっとも危ないのが、一酸化炭素中毒です。一酸化炭素は無色透明、無臭の気体。狭いテント内で気がつかないうちに中毒を起こし、命の危険が生じます。成人の場合、0.02%で軽い頭痛が起き、0.08%を超えると2時間程度で意識が消失。さらに0.64%以上になると10〜15分で致死、1.28%では1〜3分で死亡します。
毎年、火災や一酸化炭素中毒による事故が発生しています。テント内やバンガローの室内で火器を使用するのは絶対にやめましょう。念のため「一酸化炭素チェッカー」を購入して持っていくと、一酸化炭素濃度の目安になります。
焚き火の注意点
チラチラと燃える炎を眺めながらのくつろぎは、キャンプの醍醐味ですね。安全に焚き火を楽しむために、守るべきマナーがあります。
- 地面へのダメージを考え、直火は避け、焚き火台を使う
- 樹木の枝や根を傷めないよう、立ち木から2〜3m以上離す
- 焚き火の側には消火用の水を用意し、周囲の枯れ草や枯れ葉は取り除く
- 焚き火台の下には、燃えにくい素材の「焚き火シート」「防火シート」を敷き、地面や草木が熱や火の粉で傷むのを防止する
- 周囲に火の粉が飛び散って危険なため、風が強いときは焚き火をしない
- 寝るときは残り火を火消し壺などに入れ、確実に消火する
- 消し炭は炭素なのでこれ以上分解しない。埋めたり草陰に放置したりせず、キャンプ場の炭捨て場に捨てるか、消火していることを確認して持ち帰る
3.身を守るためのテクニック
夜間のトイレはどうする?
深夜、どうしてもトイレに行きたい。人が少なく、照明もまばらなキャンプ場では、外に出たくないもの。そんなとき便利なのが、凝固剤・処理袋付きの携帯用トイレです。ソロキャンプならテントの中にいるのは自分ひとり。怖い思いをするよりは、携帯用のトイレでサッと済ませてしまいましょう。
テント内で過ごすときの盲点をチェック
夜間、テント内で明かりを点けていると、自分の影がテントの壁に映り、何をしているのか丸わかりになってしまうことがあります。着替えやスキンケアの様子が影絵になっていないか確認するようにしてください。
ひとりではないことを示す
クルマならある程度余裕を持って荷物を持っていけますね。チェアを2脚持って行く、テーブルにマグカップやカトラリーを2名分並べておく。
テントの入り口にさりげなく男性もののシューズを並べて置く、チェアの背に男物のアウターをかけておく(肌寒いときの羽織ものとして使えます!)など、女性ひとりではないことをアピールしましょう。余計なトラブルを回避しやすいです。
毅然とした態度を示そう
絡まれたり、しつこくされそうになったら、はっきりと「NO」を示しましょう。ひとりで過ごしたくてソロキャンプに来ていることを伝えてください。曖昧な態度は禁物です。あなたの毅然とした姿勢が身を守ることにつながります。あらかじめスマホに管理人に通じる電話番号を登録しておくと、いざというときに役立ちます。
身体を冷やさない道具とテクニック
シュラフは「快適使用温度」をチェック
出かける前に、スマホのお天気アプリなどで、キャンプに行く場所の天候と気温をチェックしましょう。夜間、日の出の前が最も気温が低くなります。ご自分のシュラフのスペックは、その気温に耐えられますか?
シュラフには、「快適使用温度(コンフォート)」と「使用限界温度(リミット)」が設定されています。冷えを感じやすいシニア女性は、「快適使用温度」にプラス5℃を目安にすると寒い思いをせずに済みます。画像のシュラフは、快適使用温度表示がマイナス6℃なので、最低気温がマイナス1℃程度までなら心地良く就寝できます。
マット、コットを使う
就寝中に冷えやすいのは背中側、地面の冷気で体温が奪われます。暖かく休むためには、シュラフとともにマットやコット(組立式簡易ベッド)の利用がおすすめ。
2020年以降、大手メーカーのマットには「R値(R-Value)」という断熱性能が表示されるようになりました。数値が大きくなるほど断熱能力が高くなり、夏場ならR1〜R2、春・秋ならR2〜R4、冬キャンプ向きにはR4〜R6が使用の目安です。
防寒着は余裕をもって持参しよう
真夏のキャンプでも、標高が高いと朝夕は案外冷えることがあります。キャンプは基本、外で過ごすもの。街なかや平地では不要でも、アウトドアジャケットや薄手のフリース、長袖のネルシャツなどを持っていくと安心です。
日焼けや虫刺されの予防に、長袖、長めの丈のパンツスタイルを。クロプト丈のパンツやレギンスだと、くるぶし周辺を集中して虫に刺され、腫れ上がって靴が履けなくなることがあります。
ブランケットが重宝
ハーフサイズのブランケットがあると便利です。チェアに敷く、肌寒いときに腰に巻く、肩にかける。テントの床に敷いてラグの代わりに、寝るときにシュラフの下に敷いて地面からの冷気を遮断する、シュラフの中に入れて保温能力をプラスするなど、重宝します。
SNS投稿は帰宅してからが鉄則!
キャンプ中の絶景をみんなでシェアしたい! インスタグラムやフェイスブックなど、SNSは手軽に人とつながれるツールですが、誰が見ているかわからない面もあります。投稿に紐づけられた位置情報、画像に写り込んだ特徴的な風景などから、ソロキャンプ中の女性がどこにいるのか特定されることも珍しくありません。身の安全を考え、ソロキャンプのSNS投稿は帰宅してからが無難です。
安全の基本を守って、楽しいソロキャンプを!
行きたいときに、行きたいところへ。ソロキャンプの醍醐味はその自由さ。気ままな自分時間を楽しむために、危険のないように過ごしてください。安全対策の基本を身につけたら、連泊したり、憧れのキャンプ場への遠出も叶うことでしょう。