「夢のマイホーム」は誰もが憧れ、いつかは手にしたいと思う方も多いのではないでしょうか。マイホームには戸建てだけでなくマンションもあります。多くの方は、人生最大の買い物となるでしょう。
このコラムでは、マンションの購入を考えている方向けに、マンション特有の『管理組合』についてご紹介します。言葉の響きや、面倒だという理由から、あまり良いイメージを持たない方も少なくありません。購入前に確認しておくべきポイントについてまとめたので、ご参考にしてください。
1.マンションの管理組合とは
管理組合は、マンションの共有場所や敷地の維持管理を目的とする組織です。マンションは、みなさんがご存知の通り、ご自身や家族だけではなく、他の世帯と共同生活を送ることになるため、住人全員がルールを守り、協力しながら生活する必要があるでしょう。
共有のエレベーターの故障やゴミ出しのルールなど、全て管理組合が対応することになります。学校でいう生徒会、戸建てであれば自治会のようなものをイメージしてください。
1-1.管理組合の加入は必須?
分譲マンションには必ず存在する管理組合ですが、まず加入は必須といえるでしょう。実は、分譲マンションを購入すると購入者は、「区分所有者」と位置付けられます。そして区分所有者には、「区分所有法」という法律が適用されます。
その区分所有法には、「管理組合は区分所有者全員で構成されること」と明記されています。そのため、分譲マンションの住人は、管理組合に加入することが法律で義務付けられています。
1-2.管理組合の必要性
組合と聞くと面倒くさいと感じる方も多いと思いますが、管理組合はなくてはならない組織です。同じ建物に多数の世帯が住むにあたり、ルールを定めなければいけません。
各世帯がルールを守らず好き放題していては、平穏な生活を送ることができません。住民一丸となって、マンションを維持、管理することで各家庭の生活が守られ、マンションの資産価値も守られることとなります。
1-3.管理組合と管理会社の違い
管理組合が維持や管理をすると説明しましたが、全て管理できるわけではありません。ゴミ出しなどのルールは、管理組合の話し合いで決めることができますが、たとえばエレベーターなどの設備のメンテナンスは誰でもできるわけではありません。
管理会社は、マンションの設備メンテナンスなど専門的な知識を持ち合わせた、マンション管理の専門会社です。そのような専門的な知識を必要とする清掃業務や設備のメンテナンス、会計などの事務業務を管理会社に業務委託することで、管理組合を主体としたマンションの運営が可能となります。
管理組合が管理会社へ業務委託しますが、委託する業務の範囲は管理組合が決めなければいけません。部分的に業務を委託する「一部委託」、全ての業務を委託するのが「全部委託」となり、委託方法はこの2種類に分かれます。
管理組合によっては、マンションの会計などの事務業務を管理会社へ一部委託し、設備のメンテナンスや清掃業務などを専門業者へ委託するという形をとっています。ただ、委託する業務の範囲が大きくなるほどコストがかかり、委託先の管理も難しくなります。
1-4.役員の選任方法
管理組合に加入すると「組合員」になりますが、組合員をまとめる理事やお金を管理する会計など様々な役員を選任しなければなりません。組合によって役員の選任方法は異なってきますが、基本的に以下の3つの方法のいずれかで選ぶようになります。
- 公募…候補者を公募し、投票で選出する。
- 推薦…現在の役員が中心となり、次期役員候補を推薦し選出する。
- 輪番制…各フロアなどグループを決め順番に選出したり、部屋番号ごとに順番を決め選出する。過去に役員になった組員は除外してクジ引きなどで選出する。
各組員はそれぞれ本業もあり、忙しいことは承知の上で役員を決めなくてはいけません。なので、公平を期すために③の輪番制を取り入れているところが多いのが現状です。
マンションの規模によって様々ですが、役員数は「おおむね10~15戸につき1名選出、最低3名程度、最高20名程度」と標準管理規約でコメントされています。この人数については、法的な拘束力はなく、あくまで目安となります。
2.管理組合の役職と内容
管理組合の役員は、基本的に『1~2年』の任期と定められています。そして、選任する際に役員の任期を明確に定めなければなりません。役員に選任された場合は、任期中理事会という会議に参加する必要があります。
理事会は、月に1回や数か月に1回など定期的に開催する必要があります。そこでは、情報共有や運営に関しての問題点の抽出などを話し合います。管理会社へ業務委託している場合は、管理会社が理事会で役員全員に業務内容を報告する必要もあります。
任期満了により、新しく役員を選任しなければならないとき、自身の意思により再度立候補することは可能となります。役員継続については、管理組合の規定や組合員の投票なども関わってきますので注意が必要です。
マンションの規定によっては、役員報酬が支払われるところもあります。ただ、基本的には報酬なしのところが多いので、報酬目当てで役員をすることはあまりおすすめできません。どうしても気になる方は、管理組合規定を確認することをおすすめします。
2-1.理事長
管理組合の代表として、定期的に理事会を開き、時には緊急で役員を招集し理事会を開いたりと、組合の調整役として組合の中でも非常に重要な役割を担います。そして、役員だけでなく組合員を含めて招集する『総会』を開く必要もあります。理事会や総会など話し合いの場では、議長を務めて進行役を担うのも理事長の仕事となります。
話し合いの場を設けるだけでなく、解決しなければならない事象を早期解決に導くための計画や立案など、仕事内容もその時その時で変化していきます。そして、計画されたことを遂行していくのも理事長の大事な仕事となります。
2-2.副理事長
理事長を補佐し、サポート役をするのが副理事長の大事な仕事となります。理事長の本業が忙しくスケジュールが合わなかったり、病気を理由に職務遂行が難しい時などは、副理事長が理事長代行として活動しなければなりません。
2-3.理事
マンション運営にあたり、様々な分野で業務が割り振られています。これらをすべて理事長が取り仕切るのは非常に難しく、運営に支障が生じかねません。なので、各分野には理事という役員を置き、その業務を担当します。
マンションの管理費などをまとめる「会計担当理事」や、防災関係を担当する「防災担当理事」などマンションによって理事とする人数や種類は様々となります。
2-4.監事
管理組合の活動や財産を監視し、不正がないかを確認するのが主な仕事です。そして、その結果を総会にて組合員に報告しなければなりません。もし不正や不備が発覚した場合は、臨時総会を招集する必要があります。
3.管理組合の役職は断ることは可能!?
どうしても本業が多忙だったり、スケジュールが普通の方と合わないという方もいるでしょう。しかし、役員選任方法が輪番制の場合は、嫌でもいつかは順番が回ってきます。必ず引き受けなければいけないと思っている方は多いと思いますが、役員を断ることは可能です。
区分所有法により管理組合の加入は必須となっていますが、選任された際に役員になることは明記されていません。
3-1.断り方には注意が必要
役員になることに関しては、拒否できるなら拒否したいという方もいるかと思います。ただでさえ、マンションを購入してこれからの本業を頑張っていかなければいけないなか、役員のような労力を使うことはなるべく避けたいところでしょう。
ですが、もし役員を断る場合には、それなりの理由を用意しておく必要があります。なぜなら、役員を断ることで他の組合員からの心象が悪くなる可能性が大きいからです。もし役員を断ったことが原因でマンションに住みづらくなってしまっては、せっかくのマイホームライフも水の泡となってしまうでしょう。
それ相応の理由があるなら仕方ないですが、極力引き受けるようにするのが賢明でしょう。
3-2.周囲と協力しながら役員をこなす道もある
もしご自身に役員が回ってきた場合も決して役員を一人でこなす必要はありません。まだマンションに住んで間もない方や未経験の方は、不明な点も多いので職務遂行に障害が生じてしまうこともあるかもしれません。
その場合は、ほかの役員に相談したり、過去に役員経験のある方からアドバイスをもらうと円滑に職務遂行をすることができます。ご自身一人で悩まず、時には周囲と協力することも大切です。
おわりに
管理組合は、分譲マンション特有のシステムですが非常に重要な役割を担っています。管理組合が機能していれば、マンションの質が守られ、生活満足度だけでなく資産価値も上がっていきます。
そのため、面倒かもしれませんが人生経験だと思って、管理組合の活動には積極的に参加するようにしましょう。他人事だと思わずに、自身も組合の一員だという意識が大切です。
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