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不動産担保ローンでいくらまで借りられる?借入可能額の計算方法と審査基準

不動産担保ローンでいくら借りられる?借入可能額の決め方や担保にしやすい不動産をご紹介
セゾンのくらし大研究 編集部

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不動産担保ローンは、所有する不動産を担保にすることで多額の資金調達を可能にする融資方法です。借入可能額は、担保となる不動産の評価額に加え、申込者の返済能力や金融機関独自の基準によって決定されます。一般的には、不動産評価額の60%~80%を目安として借入可能額が算出されます。

本記事では、不動産担保ローンの借入可能額の算出基準や、担保として評価されやすい不動産の特徴について詳しく解説していきます。不動産担保ローンの仕組みや審査基準を理解することで、より効果的な資金調達計画を立てることができるでしょう。不動産担保ローンをご検討中の方は、ぜひ本記事をご一読ください。

この記事を読んでわかること
  • 不動産担保ローンの借入可能額の目安と計算方法
  • 担保不動産の評価方法と借入額への影響
  • 審査基準と通過のためのポイント
  • 銀行とノンバンクの違いと選び方
  • 申込から融資実行までの流れと必要書類

不動産担保ローン
不動産担保ローン

借入可能額がわかる計算式と内訳の算出方法

借入可能額がわかる計算式と内訳の算出方法

事業計画を具体的に立てるには、どれくらいの資金を調達できるのかを把握することが重要です。不動産担保ローンを利用する場合、借入可能額の目安を知っておくことが、実現可能な事業計画を立てる第一歩となります。

金融機関によって具体的な算出方法は異なりますが、多くの場合、以下の計算式を元に借入可能額の目安を算出しています。

担保評価額=(土地の評価額+建物の評価額)×担保掛目

ここで重要なのが「担保掛目」です。これは、将来的な不動産価値の下落リスクなどを考慮して設定される比率で、一般的には60%~80%で設定されていることが多いようです。

例えば、土地の評価額が2,000万円、建物の評価額が1,000万円、担保掛目が70%の場合、担保評価額は

(2,000万円 + 1,000万円)× 70% = 2,100万円

となり、このケースでは、およそ2,100万円が借入可能額の目安となります。過去数年以内に不動産会社による査定を受けている場合、その査定額を不動産評価額の目安として使用することも可能です。ただし、実際に借りられる金額は、金融機関独自の審査基準や、申込者の返済能力によって異なります。

この章では、まず、不動産担保ローンの借入可能額を左右する「不動産の評価額」の計算方法について、土地と建物に分けてそれぞれ詳しく解説していきます。

土地の評価額の算出方法

土地の評価額は、地価を用いて算出します。土地は一物五価といい、一つの土地に対して5つの価格があります。具体的には以下のとおりです。

価格の種類説明評価時点公示地価との関係
実勢価格不動産取引が成立したときの価格取引時
公示地価全国の標準値の価格(土地の取引時の指標となる役割)1月1日100%
基準地価全国の基準値の価格(公示地価を補う役割)7月1日
路線価道路に面する土地の1平米あたりの価格約80%
固定資産税評価額固定資産税を求める際の基準となる価格約70%

不動産担保ローンの融資額を計算する際に、上記のどの価格を用いるかは金融機関によって異なります。本章では代表的な基準地価と路線価について解説します。

基準地価

基準地価とは各都道府県が公表する基準地の価格です。公示地価は1月1日が基準日ですが、基準地価は7月1日であり、半年の差をつけることで公示地価を補う役割があります。

全国の基準地価は国土交通省が運営する国土交通省地価公示・都道府県地価調査で確認できます。基準地価は1平米あたりの価格であるため、担保不動産の近くにある基準地の価格をもとに「基準地価×担保不動産の土地面積」で計算してみましょう。

参照元:標準地・基準地検索システム〜国土交通省地価公示・都道府県地価調査〜

路線価

路線価は道路に面する土地の1平米あたりの価格です。毎年国税庁が1月1日時点の価格を7月に公表しています。国税庁が運営する財産評価基準書で確認できるため、担保にする不動産の路線価を調べてみましょう。

路線価図に記載されている数値は1,000円単位であるため、仮に「210D」と記載されていた場合、1平米あたりの価格は21万円です。

土地の面積が100平米の場合、対象地の価格は「21万円×100平米=2,100万円」となります。アルファベットは借地権割合を指し、相続税や贈与税を計算する際などに用います。

この土地を担保とする場合、担保掛目を70%とすると、担保評価額は以下のように計算されます。

2,100万円 × 70% = 1,470万円

したがって、この土地のみを担保とした場合の借入可能額の目安は約1,470万円となります。ただし、実際の借入可能額は金融機関の審査基準や借り手の返済能力によって変動することに注意が必要です。

なお、路線価は公示地価の約8割相当とされています。

路線価がない場合は固定資産税評価額

なお、路線価は市街地に定められるため、路線価がない地域もある点に注意しましょう。路線価が定められていない地域は「固定資産税評価額×評価倍率」で計算します。

固定資産税評価額は納税通知に同封されている課税明細書や固定資産評価証明書で確認できます。評価倍率は財産評価基準書で確認できるため、担保不動産の価値を調べてみましょう。

参照元:財産評価基準書

建物の評価額の算出方法

建物の評価額の算出方法

建物の評価額は積算法で求めるのが一般的です。なお、不動産担保ローンのように長期間のローンの場合、年数の経過による建物の価値の下落を考慮するため、融資額の大部分は土地の価格で決まると考えましょう。

積算法

積算法とは、建物の再調達価格や残存年数などを考慮して評価する方法であり、具体的な計算式は以下のとおりです。

積算法の評価額=再調達価格×延床面積×残存年数÷法定耐用年数

再調達価格とは、同じ建物を新築する場合にかかると想定される価格です。同じ構造、同じ面積の建物でも、20年前と現在では建築費用が異なるため、まずは再調達価格を計算する必要があります。

再調達価格の計算方法は金融機関によっても異なるため、簡易的に計算する際は国税庁の地域別・構造別の工事費用表を参考にしましょう。

また、法定耐用年数は建物の構造によって異なるため、以下の表を参考にしてください。

建物の構造法定耐用年数(住宅用のもの)
鉄骨造(骨格材肉厚が3mm以下)19年
木造22年
鉄骨造(骨格材肉厚が3mm超え4mm以下)27年
鉄骨造(骨格材肉厚が4mm超え)34年
鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造47年
参考:国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表」

例えば、築年数5年・延床面積120平米の木造住宅(再調達価格17.3万円/平米)の評価額は以下のとおりです。

17.3万円×120平米×17年÷22年=約1,600万円

この場合、担保掛目70%とすると、借入可能額の目安は約1,120万円となります。担保不動産の構造や延床面積、築年数をもとに評価額を計算してみましょう。

参照元:地域別・構造別の工事費用表(1m当たり)【令和4年分用】|国税庁

収益物件(賃貸マンションやアパート)の評価額の算出方法

担保不動産が賃貸マンションやアパートのような収益物件の場合は、収益還元法を用いて計算します。通常の不動産とは計算方法が異なるため注意しましょう。

収益還元法

収益還元法とは、不動産収益をもとに評価する方法であり、計算式は以下のとおりです。

収益還元法の評価額=年間収益÷還元利回り

年間収益とは、1年間で得られる収益から物件の維持管理費や租税公課などの経費を差し引いた金額です。

還元利回りは年間収益を不動産価格で割り戻すことで計算できますが、不動産担保ローンの評価では金融機関が独自に設定します。

年間収益が100万円、還元利回りが5%の場合、不動産の評価額は「100万円÷5%=2,000万円」となります。

その他の算出方法:取引事例比較法

積算法や収益還元法以外の算出方法として、取引事例比較法があります。取引事例比較法は、その名の通り、類似した不動産の取引事例を参考に価格を算出する方法です。

取引事例比較法

取引事例比較法は、中古マンションや土地の査定で特に用いられることが多い手法です。近隣にある類似の不動産の取引事例を参考にすることで、より実勢価格に近い価格を算出できます。

例えば、マンションを所有している方が、売却価格の目安を知りたい場合、同じマンションの過去の取引事例を参考にすると、大まかな価格を把握することができます。

取引事例の確認方法

過去の取引事例は、以下の様な方法で確認できます。

これらのサイトを利用することで、過去の取引価格や物件情報などを参照することができます。

返済能力

不動産担保ローンの審査では、不動産の価値以外にも借り入れをする方の返済能力をチェックしています。具体的な内訳は以下のとおりです。

  • 収入
  • 年齢
  • 勤務先
  • 勤続年数
  • 健康状態
  • 借入履歴(信用情報)

収入が不安定な方や、過去に滞納履歴がある方などは審査で不利になる傾向にあります。また、事業主の場合は、事業の安定性や決算内容、将来性などを加味して審査されていると考えましょう。

不動産担保ローンの借入可能額を左右する5つの要素

不動産担保ローンを組む際、借入希望額がすべて認められるわけではありません。審査では、担保にする不動産の評価額だけでなく、あなたの返済能力も重視されます。借入可能額に影響する主な要素は以下の5つです。

担保不動産の評価額

評価額が高いほど、借入可能額も増加します。

返済能力

年収や勤続年数、他の借入状況などを基に審査されます。返済能力が高いほど、多くの金額を借り入れられます。

担保掛目

金融機関が独自に設定する割合(通常60%〜80%)で、評価額に掛けることで借入上限額が決まります。

年齢

年齢を重ねるごとに借入可能期間が短くなり、返済負担が増加するため、借入可能額は減少傾向にあります。

他の借入金の有無

自動車ローンやカードローンなど、他の借入があると返済能力を圧迫すると判断され、借入可能額が減る可能性があります。

ポイント

・借入可能額は、「担保評価額 × 担保掛目」と「返済能力から算出された上限額」のいずれか低い金額から、既存の住宅ローン残高を差し引いた金額となります。
・たとえ担保評価額が高くても、返済能力が低ければ希望する金額を借り入れることはできません。
・金融機関によって評価額や融資方針が異なるため、複数の金融機関を比較検討することが重要です。

担保にできる不動産の条件

担保にできる不動産の条件

不動産担保ローンを検討する際、気になるのは「自分の物件でいくら借りられるのか」「審査に通るのか」といった点ではないでしょうか?一般的に、金融機関が担保として評価しやすい不動産には、以下のような特徴があります。

  • 築年数が浅い
  • 立地条件が良い
  • 収益物件であれば満室稼働している

これらの条件を満たす不動産は、資産価値が高く、万が一の際にも売却して資金回収しやすいと判断されるため、担保評価も高くなりやすい傾向にあります。

しかし、「自分の物件は築年数が古い」「立地があまり良くない」など、上記の条件に当てはまらないため、本当に担保として認められるのか不安に感じる方もいるかもしれません。

そこで、この章では、物件の条件別に、担保として認められる可能性について詳しく解説していきます。

【〇】名義が本人以外の不動産

不動産担保ローンは親名義の不動産でも借りられるケースが多いです。

多くの金融機関では、親や兄弟などの「第三者所有の不動産」を担保として認めているため、ご自身で所有している不動産がない場合は、親の土地や建物を担保にすることも検討してみましょう。

しかし、親名義の不動産を担保にする際は、親に連帯保証人になってもらう必要が生じる場合があります。

なぜなら、金融機関側が貸し倒れを避けるためです。不動産の価値が低いなど、売却しても資金を回収できない見込みの場合は、連帯保証人を求められます。

親に負担をかけてしまう恐れがあるため、必ず話し合いをしたうえで進めましょう。

【〇】賃貸用の不動産

第三者へ貸している不動産も基本的には担保にできます。

ただし、あまりにも築年数が経過している場合や賃貸需要が低いとみなされる場合は審査にとおらない可能性もあると考えましょう。

金融機関は家賃収入をもとに収益還元法で担保価値を算出するため、賃料の裏付けとなる賃貸借契約書を用意する必要があります。

【×】築年数が古い物件

築年数が古い中古物件は、新築物件と比べて住宅ローンの審査が厳しくなる傾向があります。これは、建物の価値が年数経過とともに低下していくためです。

しかし、不動産の価値は建物だけでなく土地にも左右されます。もし、物件の立地が良く、資産価値が高い、あるいは用途が広い土地であれば、築年数が古くても融資を受けられる可能性は十分にあります。

特に一戸建ての場合、築年数が長いとその建物の価値はあまり評価されないケースもあるため、土地の評価額が重要になります。

【△】評価額が低くなってしまう物件

金融機関に審査を依頼したところ、想定よりも評価額が低くなってしまう場合もあります。具体的には以下のような不動産です。

  • 利便性が低い土地
  • 用途に制限のある土地
  • 遵法性に問題がある土地・建物
  • 状態の悪い建物
  • 形状が悪い土地

このような不動産は高値での売却が難しいため、金融機関の審査で評価額が低くなってしまう傾向にあります。

【△】住宅ローンが残っている不動産

住宅ローンが残っている不動産は担保にできる場合とできない場合があります。具体的には以下2つの要素によると考えましょう。

  • 返済余力の有無
  • 金融機関側の条件

返済余力の有無とは、不動産の評価額と住宅ローンの差額です。例えば、2,500万円で売却できる価値がある不動産に対して1,500万円の住宅ローンが残っている場合、1,000万円分の余力があります。この場合、住宅ローンが残っていたとしても1,000万円分の借り入れができる可能性があります。

ただし、すべての金融機関で担保にできる訳ではありません。金融機関によっては住宅ローンが残っている不動産への融資を行っていない場合もあるため、事前に条件を確認しましょう。

【△】すでに抵当権が設定されている物件

住宅ローンや他の不動産担保ローンですでに抵当権が設定されている物件は、第二抵当権になるため融資をしていない金融機関が多いです。とくに銀行は厳しいと考えましょう。

一方、ノンバンクであれば抵当権順位にかかわらず融資を行っている金融機関もあります。セゾンファンデックスで提供している事業者向け不動産担保ローンも抵当権の順位は問いません。

過去に不動産担保ローンを断られた経験がある方でも、融資を受けられる可能性があるため、ぜひ一度ご相談ください。

事業者向け不動産担保ローンの詳細はこちら

不動産担保ローン
不動産担保ローン

不動産担保ローン融資条件で銀行とノンバンクの違い

項目銀行ノンバンク
金利年1.5%〜3%程度年3%〜15%程度
審査の厳しさ厳格やや柔軟
審査期間2〜4週間程度最短3日程度
借入可能額担保評価額の最大70〜80%程度担保評価額の最大100%まで可能な場合も
資金使途の自由度限定的(事業資金、住宅ローン借り換えなど)比較的自由(事業資金、生活資金、借金返済など)
年齢制限65歳や70歳までの上限年齢がある場合が多い緩やか(80歳以上でも借入可能な場合あり)

まずは、大手銀行2〜3行とノンバンク2〜3社に相談し、それぞれの見積もりを取得しましょう。各金融機関の特徴や強みを比較し、自身の状況に最も適した選択肢を見つけることができます。

複数の金融機関に相談する重要性

借入可能額を最も正確に知るには、実際に金融機関に相談することが重要です。金融機関によって評価方法や担保掛目が異なるため、複数の金融機関に相談して比較検討しましょう。

最適な条件を見つけられる

金利や借入可能額、返済期間などの条件は金融機関によって大きく異なります。

審査の可能性が高まる

1つの金融機関で断られても、他の金融機関で承認される可能性があります。

交渉の余地が生まれる

複数の見積もりを比較することで、より有利な条件を引き出せる可能性があります。

不動産担保ローンを利用する時の流れと必要な書類

不動産担保ローンを利用する時の流れと必要な書類

担保にできる不動産の種類が分かったところで、本章では不動産担保ローンを利用する時の手続きの流れと必要書類を解説します。

融資の全体像を理解して、スムーズに融資を受けられるようにしましょう。

申し込みから融資まで

融資審査の申し込みから融資実行までは以下のような流れで進みます。

  1. 申し込み・事前相談
  2. 本申し込み
  3. 審査
  4. 契約
  5. 実行

申し込み・事前相談では、現在の状況の説明や希望借入額など、一般的な項目のヒアリングや相談を行います。そこで問題ないようであれば、本申し込みへと進みます。金融機関によって審査にかかる時間は異なりますが、銀行の場合は1〜3週間程度の時間がかかると考えましょう。

銀行は審査の受け付けを行いますが、実際に審査をするのが保証会社であり、保証会社の審査が立て込んでいると時間がかかってしまうためです。一方、ノンバンクであれば受け付けから審査まで一括で行っているため、銀行よりも審査期間が短い傾向にあります。

無事に審査が通り次第、契約を締結し融資を実行します。

審査に必要な書類

不動産担保ローンの審査で、一般的に必要とされる書類は以下のとおりです。

個人事業主向け

  • 不動産担保ローン申込書
  • 事業内容確認書
  • 身分証明書(運転免許証、パスポートなど)
  • 収入証明書(源泉徴収票、確定申告書など)
  • 実印、印鑑証明書
  • 取引先からの請求書

法人向け

  • 不動産担保ローン申込書
  • 身分証明書(運転免許証、パスポートなど)
  • 収入証明書(源泉徴収票、確定申告書など)
  • 実印、印鑑証明書
  • 取引先からの請求書

収入証明書や印鑑証明書はすぐに用意できない可能性もあるため、事前に用意しておくことでスムーズに審査を進められます。

不動産担保ローンを申し込む際のアドバイス

不動産担保ローンを検討する際、スムーズな手続きと有利な条件を引き出すためには、いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。

事前準備を徹底する

以下リストにあるような必要書類を早めに準備しましょう。

  • 本人確認書類(運転免許証やパスポートのコピー)
  • 収入証明書(源泉徴収票や確定申告書のコピー、直近2〜3年分)
  • 不動産の登記簿謄本(発行から3ヶ月以内のもの)
  • 不動産の評価証明書(固定資産税評価証明書など)
  • 実印と印鑑証明書(発行から3ヶ月以内のもの)

書類の準備を事前に2週間かけて行うことで、申込みから審査結果の受取りまでの期間を1週間程度短縮することも可能です。また登記簿謄本や印鑑証明書には有効期限があるため、申込み直前に取得するのが望ましいです。

担保不動産の価値を高める

担保となる不動産の状態を確認し、必要に応じて対策を行いましょう。不動産の評価額が上がって借入可能額が増える可能性があります。

  • 建物の軽微な補修や外壁の塗り直し
  • 庭や外構の手入れ
  • 室内の清掃や整理整頓

ただし、大規模な改修は費用対効果をよく検討することが必要です。

金融機関により、期待する評価額よりも低い金額で評価される可能性もあります。この場合は、借入可能額も低くなるため、お申込みの時点から借入希望額を低めに設定するのがおすすめです。もともとの借入額が少ないと、ご返済の負担も軽減できます。

返済計画を綿密に立てる

借入可能額だけでなく、実際に返済可能な金額を慎重に計画を立てると良いでしょう。

  • 月々の返済額は、年収の35%以下に抑えるのが一般的な目安です。
  • (例)年収600万円の場合 月々の返済額 ≦ 17.5万円(600万円×35%÷12ヶ月)

急な出費や未来の収入減少、金利の変動も視野に入れた余裕のある返済計画が重要です。

複数の金融機関に相談する

少なくとも3社以上の複数の金融機関に相談し、条件を比較することで、より有利な条件を見つけ出しましょう。

  • 金利、借入可能額、返済期間を比較
  • 審査基準の違いを確認
  • 手数料や保証料などの付随費用も考慮

金利だけでなく、繰上返済の条件や手数料なども重要な比較ポイントです。

信用情報を整える

審査の数ヶ月前から、以下の点に注意して信用情報を整えましょう。信用スコアが改善し、審査でより有利になる可能性が高まります。

  • クレジットカードの支払いを遅延しない
  • 他の借入の返済を確実に行う
  • 新たな借入れを控える

なお、信用情報の改善には時間がかかるため、余裕を持って取り組みましょう。

事業計画書の作成(事業資金として利用する場合)

事業資金として利用する場合は、詳細な事業計画書を作成しましょう。計画書に含めるべき内容は以下の通りです。

  • 事業の概要と市場分析
  • 収支計画(最低3年分)
  • 資金計画(借入金の使途を含む)
  • 返済計画

計画が現実的で具体的であることが重要であるため、必要に応じて中小企業診断士など専門家のアドバイスを受けるのも良いでしょう。

担保不動産の選択を慎重に行う

複数の不動産を所有している場合、担保として最適な以下のような条件の物件を選びましょう。評価額が上がれば、借入可能額の増加が期待できます。

  • 立地条件の良い物件
  • 将来的な価値上昇が期待できる物件
  • 金融機関が好む物件タイプ(例:都市部の住宅用地)

担保に入れる不動産は、将来売却の可能性も考慮して選択しましょう。

以上のアドバイスに従って不動産担保ローンの申し込み準備を進めることで、審査の通過率が高まり、より有利な条件で借入が可能になる可能性があります。ただし、各人の状況によって最適な方法は異なり得るので、必要に応じて専門家の意見を参考にすることをおすすめします。

不動産を活用した資金調達の他の選択肢

不動産担保ローン以外にも、所有する不動産を活用して資金を得る方法があります。従来の融資とは異なるアプローチで、新たな可能性を探ってみましょう。

将来を見据えた選択「リバースモーゲージ」

リバースモーゲージは、所有不動産を担保に融資を受け、契約者の死後に不動産売却で返済する仕組みです。生前は利息のみの支払いで済むため、経済的負担が軽減されます。

メリット

  • 生きている間の返済は基本的に利息のみ。
  • 契約者が亡くなった後、配偶者が契約を引き継げるケースが多い。

注意点

  • 金利変動によって返済額が変動する可能性がある。
  • 担保にした不動産は相続人に相続できない。

リバースモーゲージは、老後の生活資金を確保したい方や、自宅に住み続けたいという強い希望をお持ちの方にとって有効な手段となりえます。

所有から利用へ「リースバック」

リースバックは、自宅を売却後、賃借人として住み続ける方法です。売却によりまとまった資金を一度に得られる一方、家賃支払いが必要になります。

メリット

  • 売却によってまとまった資金を調達できる。
  • 住み慣れた環境を変えずに生活できる。
  • 将来的に老人ホームへの入居や、住み替えを検討している場合にも有効。

注意点

  • 不動産の所有権を失う。

リースバックは、まとまった資金を必要としつつも、住み慣れた場所に住み続けたいという方にとって、有力な選択肢となり得ます。また、相続対策としても有効です。

リバースモーゲージとリースバックのどちらもそれぞれメリット・デメリットがあり、ご自身の状況や将来設計によって最適な選択は異なります。重要なのは、それぞれの方法をよく理解し、ご自身の状況に合った資金調達方法を選択することです。

よくある質問 (FAQ)

  • 不動産担保ローンの金利はどのくらいですか?
    • 不動産担保ローンの金利は通常、年1.5%〜5%程度です。ただし、金融機関や借入条件によって大きく異なります。一般的に、銀行系のローンは低めで、ノンバンク系は比較的高めの傾向があります。具体的な金利は、担保となる不動産の評価額や借入期間、借入目的などによって決まります。また、変動金利と固定金利の選択肢がある場合もあるので、自身の状況に合わせて検討することが重要です。
  • 不動産担保ローンの審査にはどのくらいの時間がかかりますか?
    • 審査期間は金融機関によって異なりますが、一般的に2週間〜1ヶ月程度です。銀行系のローンは比較的時間がかかる傾向にあり、ノンバンク系は比較的早い傾向があります。ただし、必要書類の準備状況や不動産の評価に要する時間によっても変動します。急ぐ場合は、事前に金融機関に相談し、スピード審査などのオプションがないか確認することをおすすめします。
  • 不動産担保ローンを組む際に必要な書類は何ですか?
    • 一般的に必要な書類は以下の通りです。具体的な必要書類は金融機関によって異なる場合があるので、事前に確認することをおすすめします。また、事業資金として利用する場合は、事業計画書や決算書類なども必要になる場合があります。
      • 本人確認書類(運転免許証やパスポートなど)
      • 収入証明書(源泉徴収票や確定申告書など)
      • 不動産の登記簿謄本
      • 不動産の評価証明書(固定資産税評価証明書など)
      • 実印と印鑑証明書
  • 年金生活者でも不動産担保ローンを組むことはできますか?
    • はい、可能です。年金収入があれば、多くの金融機関で不動産担保ローンを組むことができます。ただし、年齢や年金額によっては借入可能額が制限される場合があります。また、一部の金融機関では年齢制限を設けている場合もあるので、事前に条件を確認することをおすすめします。年金生活者向けの特別プランを用意している金融機関もあるので、複数の選択肢を比較検討するとよいでしょう。
  • 担保となる不動産に既に住宅ローンが残っている場合でも、不動産担保ローンを組むことはできますか
    • 可能な場合があります。ただし、既存の住宅ローン残高と新規の不動産担保ローンの合計が、不動産の評価額を超えないことが条件となります。また、金融機関によっては、既存の住宅ローンを借り換えることを条件に不動産担保ローンを組むことができる場合もあります。具体的な条件は金融機関によって異なるため、詳細は直接相談することをおすすめします。
  • 不動産担保ローンの返済期間はどのくらいですか?
    • 不動産担保ローンの返済期間は、一般的に5年〜30年程度です。ただし、金融機関や借入目的によって異なります。事業資金の場合は比較的短期(5年〜10年)、個人の住宅ローン借り換えなどの場合は長期(20年〜30年)となることが多いです。返済期間が長いほど月々の返済額は少なくなりますが、総支払額は増加するため、自身の財務状況を考慮して適切な期間を選択することが重要です。
  • 不動産担保ローンの担保評価額はどのように決まりますか?
    • 担保評価額は通常、以下の要素を考慮して決定されます。
      • 不動産の立地条件
      • 建物の築年数と状態
      • 周辺の不動産取引価格
      • 将来の価値変動の予測
    • 金融機関が独自に評価を行う場合もありますが、一般的には不動産鑑定士による評価を基準とします。なお、担保評価額は必ずしも市場価格と一致するわけではなく、通常は市場価格の70%〜80%程度に設定されることが多いです。
  • 不動産担保ローンを利用する際のデメリットはありますか?
    • 主なデメリットとしては以下が挙げられます。
      • 担保不動産を失うリスク:返済が滞った場合、担保不動産が競売にかけられる可能性があります。
      • 借入額の制限:担保不動産の評価額によって借入上限が決まるため、希望額を借りられない場合があります。
      • 手続きの煩雑さ:必要書類が多く、審査に時間がかかることがあります。
      • 金利が比較的高い:無担保ローンと比べると低金利ですが、住宅ローンよりは金利が高くなる傾向があります。
    • これらのデメリットを十分に理解した上で、自身の状況に合わせて判断することが重要です。
  • 不動産担保ローンの途中返済や繰上返済は可能ですか?
    • 多くの場合、途中返済や繰上返済が可能です。ただし、金融機関によっては手数料がかかる場合や、返済額に制限がある場合があります。また、固定金利型の場合、市場金利よりも契約時の金利が高い場合には、繰上返済に対して手数料が高く設定されていることがあります。具体的な条件は契約時に確認し、将来の資金計画に合わせて検討することをおすすめします。
  • 法人でも不動産担保ローンを利用できますか?
    • はい、法人でも不動産担保ローンを利用することができます。ただし、個人向けと比べて審査基準が厳しくなる傾向があります。法人の場合、以下の点が重要になります。
      • 事業の安定性と将来性
      • 財務状況(決算書の内容)
      • 代表者の個人資産状況
      • 担保となる不動産の事業との関連性
    • 法人向けの不動産担保ローンは、事業用資金の調達や設備投資などに活用されることが多いです。金融機関によっては法人向けの専用商品を用意している場合もあるので、複数の選択肢を比較検討することをおすすめします。
  • 審査に落ちた場合はどうすればいいですか?
    • 審査結果の理由を確認し、改善可能な点(例:担保不動産の評価額アップ、収入増加の証明)に取り組んでから再申請を検討しましょう。

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おわりに

不動産担保ローンは、多額の資金調達を可能にする有効な選択肢です。本記事では、借入可能額の計算方法、担保評価の仕組み、審査基準などの重要ポイントを解説しました。以下に、主な重要なポイントをまとめます。

  1. 借入可能額は通常、担保不動産評価額の 60%〜80% 程度
  2. 担保評価には様々な方法があり、金融機関によって異なる
  3. 借入可能額は不動産価値だけでなく、申込者の返済能力も考慮される
  4. 銀行とノンバンクでは審査基準や融資スピードが異なる
  5. 事前準備と適切な書類提出が審査通過の鍵

不動産担保ローンの利用を検討されている方は、自身の財務状況と担保不動産の価値を慎重に評価し、複数の金融機関に相談することをおすすめします。適切な情報と準備があれば、あなたのニーズに合った最適な融資を受けられる可能性が高まります。

資金調達の方法は他にもありますので、不動産担保ローン以外の選択肢も含めて比較検討し、最適な資金調達方法を見つけてください。

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