美味しさの基礎調味料「酢」。酢は、いうまでもなく酸味をベースにした調味料ですが、料理のアクセントにほんの少し加えることで、料理をグッと美味しくしてくれる調味料です。そこで今回は、調味料ソムリエのMICHIKOさんに、美味しい酢を選ぶポイントを解説していただき、合わせておすすめの商品をご紹介します。ぜひ、参考にしてください。
1.酢の種類とそれぞれの特徴とは?
酢は「最古の調味料」といわれ、歴史は紀元前5000年ごろのバビロニアにまでさかのぼります。医学の父といわれるギリシャのヒポクラテスは、酢のチカラに着目して、さまざまな病気の治療に用いたり、病みあがりの患者に酢を摂ることをすすめていた、といわれています。
今では米酢、穀物酢、りんご酢、柿酢、ワインビネガー、バルサミコ酢など、酢の種類は原料別、製法別にたくさんあり、それぞれ風味や味わいに違いがあります。最近は、黒酢や赤酢も人気です。料理に合わせて使い分けるのも楽しいですね。
1-1.酸っぱい味と香り
酢が酸っぱいのは、酢酸をはじめとする有機酸が含まれているからです。酢の主成分は酢酸で、ほかにアミノ酸や糖分等が含まれています。酢は単に酸味を加えるだけでなく、同時に素材のうまみを引き出し、まろやかな味に整えてくれます。
1-2.そのまま使う米酢
米酢は、香り高く、旨みとコクのある米酢は和食などに使われることが多く、酢の物など加熱しない料理に使って、その風味を生かしましょう。米を原料にしていることもあり、すし飯など米を使った料理との相性も良いです。米酢の中でも米100%を原料にして作る純米酢は米の旨みが豊かで、風味もよりまろやかに感じられます。
1-3.加熱に向く穀物酢
穀物酢は、すっきりとした風味でどんな料理にも合う酢です。他の酢よりも比較的安価のため、煮物や煮込み料理などたっぷり使いたい時や、食材の臭み消しや野菜の色出しなど調理の下ごしらえにも重宝します。無色に近いため、白身魚や野菜等の食材の色を生かして加熱調理する際にもおすすめです。
1-4.ドリンクとして果実酢・黒酢
そのままドリンクするなら酸味が穏やかな果実由来の甘みのある果実酢や、まろやかな風味で香りの良い黒酢がおすすめです。果実酢は、原料の果物由来のカリウムをはじめとするビタミン、ミネラル、ポリフェノールなどが含まれています。黒酢は、果実酢には少ないアミノ酸が豊富で、美容や健康に良いといわれています。飲むときは5~10倍を目安に薄めて飲みましょう。
2.酢を摂り入れた健康改善のポイントとは?
2-1.食欲増進・消化吸収を促進
疲れをため込んでしまったり、風邪気味だったりして、食欲がない時は、酢を使った料理を食べましょう。酢酸が胃を刺激することで胃の動きを良くしたり、酢のさっぱり感で「食」が進みます。また、味覚や臭覚を刺激することで、だ液の分泌も促され、消化吸収も良くなるといわれています。
2-2.若返り(アンチエイジング)
体をサビつかせる問題児は「過酸化脂質」といわれています。体内の酸化が増えると新陳代謝が悪くなったり、老廃物がたまりやすくなるなど、若々しさを失ったり、肌にシワやシミが増えるなど、目に見えない老化が進んでいきます。酢には過酸化脂質を減らす働きがあります。毎日の食事に酢を上手に取り入れて、体の内側からアンチエイジングしましょう。
2-3.疲労回復
酢は疲れたカラダを癒してくれますが、甘いもの(糖分)と酢を一緒に食べると、酢に含まれる酢酸の効果で、素早く疲れをとってくれるといわれています。酢にハチミツを加えたドリンクなどがおすすめです。もうひとつはビタミンB1で、糖質をエネルギーに変える働きがあります。豚肉やレバー、大豆、ウナギなどと一緒に酢を摂ると良いでしょう。
2-4.カルシウムの吸収を促進
カルシウムは、酢と一緒に摂ることで吸収率が高まるといわれています。酢は体内でのカルシウムの吸収を良くするとともに、食品からカルシウムを溶け出させる働きがあり、骨粗しょう症予防におすすめ。酢の物やマリネ、ヨーグルトや牛乳にプラスしたり、香りが気にならない程度にシチューやカレー、ハンバーグなどに加えましょう。酢の抗菌効果で傷みにくく、コクもプラスしてくれます。
3. 調味料ソムリエプロがおすすめ「酢」3選
(1)「5年熟成 シェフの黒酢」(福山黒酢株式会社・鹿児島県)
黒酢は、今から200年ほど前、江戸時代後期、鹿児島県福山町で始まりました。「5年熟成 シェフの黒酢」は、壺酢とも呼ばれていますが有機玄米・有機玄米から作った麹・水だけを壺(=アマン壺)に入れ、風雨にさらされ、太陽の熱を吸収しながら、壺の中で1年弱ほど発酵させると黒酢が出来上がります。さらにじっくり5年熟成させて出来上がるのが、まろやかなシェフの黒酢です。
壺の中には、天然の酵母と酢酸菌が棲みつき、熟成期間が長ければ長いほど、ミネラルも豊富、アミノ酸が増えてたっぷりの旨み、酢角もとれたやさしい味わいになります。「5年熟成の黒酢」は価値のあるものですが、そのサイズを小さくしたのは、レストランのシェフに手軽に料理に使ってほしい、という思いからでき上がりました。
今では家庭の食卓に置いて、味噌汁や納豆に入れるなど日常に使ってほしい商品です。使うときは、ちょっと上下に振るのがコツです。黒酢は、疲労回復に役立つクエン酸、美肌やダイエット、血圧調整、血液サラサラなどの効果が期待されており、美容や健康に役立つ食品として、注目を集めています。
- 「5年熟成 シェフの黒酢」を使ったおすすめレシピ 「ひよこ豆とミニトマトのブルスケッタ」
- フランスパンに、豆や野菜をのせたオープンサンドは、ワインのお供にも!
- 甘酸っぱい味わいがパンにしみて美味しい!
- 【材料】(2人分)
- ひよこ豆(缶詰等) 50g、ミニトマト(カラフル) 9個、赤玉ねぎ 1/8個、イタリアンパセリ 2本、フランスパン 12cm
- A:シェフの黒酢:大さじ1、オリーブ油、はちみつ:各大さじ1/2、おろしにんにく:小さじ1/2
- 【作り方】
- 1)ミニトマトと赤玉ねぎ、イタリアンパセリは粗みじん切りにする。
- 2)ボウルに、1)とA)、水を切ったひよこ豆を加えて、全体をよく混ぜる。
- 3)2cm厚さに切ったフランスパンを軽く焼く。
- 4)3)に2)を汁ごと、のせる。
(2)「お手間とらせ酢」(株式会社九重雑賀・和歌山県)
鰹節と昆布の濃厚な一番だしを使った風味豊かなだし酢です。かけるだけ、つけるだけで簡単に酢の物料理ができ上がります。
(3)「kazusasmoke有機ピクルスの素」(株式会社リオ・千葉県)
オーガニックピクルス酢に燻し味をプラス。スモークの香ばしい深みのあるオーガニックピクルス酢です。好きな野菜を入れるだけでピクルスを作れ、漬けた後の液も美味しく食べられるメニュー付きです。
4.調理で酢を使う際の3つのポイントとは?
4-1.長時間、加熱しない
酢に含まれる酢酸やその他の香り成分は加熱することにより揮発して、その特徴を失ってしまいます。加熱料理や温かい料理に使用するときは、仕上げに使いましょう。
4-2.酢を加えて、美味しく感じる弱酸性に
酢の酸味により、料理の味を美味しく引き立ててくれたり、塩味を抑えた料理でも味がぼやけず、美味しく満足感が感じられます。いつもの炒め物に、煮物に、酢が感じない程度に隠し味として足したり、醤油に酢を加えたり、毎日の料理を工夫してみましょう。
4-3.肉を美味しくする。魚を美味しくする
マリネや煮込み料理など、酢で肉をマリネするとタンパク質分解酵素により、肉が柔らかくなります。アミノ酸量も増えるので旨みも増してくれます。青魚などの臭みのある魚を煮る場合は、2〜3倍に薄めた酢水を沸騰させた中にサッとくぐらせてから煮ると、生臭さがとれます。
酢は、高血圧や高コレステロールの改善、食後の血糖値の上昇を穏やかにする効果、内臓脂肪燃焼を促進する効果、糖尿病予防に役立つとされています。大さじ1杯(約15ml)の酢を摂るよう心掛けて毎日継続しましょう。「酢」を上手に使いこなして、美味しさと健康と美を手に入れよう。