NISA口座は、全ての金融機関を通じて、ひとり1口座と決まっており、複数の口座開設はできません。これからNISAを始めたい方であれば、「複数の口座を持って非課税枠を増やしたい」と考える方もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、NISA口座の取り扱いや家族でNISA口座を開設する方法を解説します。すでにNISA口座を保有している方向けに、別の金融機関への変更方法も紹介します。NISA口座選びのポイントもわかり、よりご自身やご家族に合った投資が実現できるでしょう。
- NISA口座はひとり1口座までで、複数開設できない
- 家族でNISA口座を開設することはでき、「非課税枠を増やせる」といったメリットがある
- NISA口座の金融機関変更は1年単位で変更可能で、変更を希望する年の前年10月1日から翌年9月30日までであれば、その年に変更できる(ただし変更を希望する年の1月1日以降に新規買い付けがないことが条件)
NISA口座は1人1つまで
NISAは投資で得た利益を非課税にできる制度です。日本在住の18歳以上*であれば口座を開設することが可能です。2024年からは新NISAがスタートし、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」が設立されました。
*利用する年の1月1日時点で18歳以上の成人の方が対象
NISAは二種類の投資枠があり、つみたて投資枠の年間投資枠は120万円、成長投資枠の年間投資枠は240万円、併用できるため、合計すると年間360万円非課税で投資可能です。また、生涯を通じての非課税保有限度額(総枠)が新たに設けられ、上限は1,800万円ですが、成長投資枠はそのうち1,200万円が上限となります。この非課税の恩恵を最大限に利用するために、「口座を複数持ちたい」と考えている方もいるのではないでしょうか。
はじめにNISA口座の取り扱いについて解説します。
NISA口座は複数開設できない
NISA口座は、全ての金融機関を通じて、ひとり1口座と決められており、複数の口座開設はできません。具体的には、「つみたて投資枠でA社、B社」と二つの開設は不可能です。また、「つみたて投資枠でA社、成長投資枠でB社」というパターンも同様です。
なおつみたて投資枠と成長投資枠は併用できますが、同じ金融機関内で併用することが条件です。
証券口座は複数開設できる
NISA口座はひとり1金融機関1口座と制約があるものの、証券口座はどの金融機関でも開設できます。証券口座とは、証券会社等を通じて株式や投資信託などの投資商品を売買するために必要な口座のことです。
例えばNISA口座をA社で持っている状況で、通常の証券口座をB社、C社で開設できます。
複数の金融機関で開設を申し込んだらどうなる?
過去にNISA口座を開設していたのを忘れていたり、誤って同時に複数の金融機関で口座開設を申し込んだりすることもあるかと思います。複数のNISA口座を申し込み、希望しない金融機関で開設してしまった場合には別途変更手続きが必要です。
ここでは複数の金融機関で申し込んだ場合の流れと対処法について解説します。
税務署から通知が届く
NISA口座の開設には税務署での確認作業が必要です。同じ人が複数の金融機関を通してNISA口座の開設手続きをすると、税務署側は手続きが早かったほうの金融機関で口座を開設します。そして税務署は遅かったほうの金融機関に対して「非課税適用確認書の交付を行わない旨の通知書」を送ります。
過去にどこで口座を開設したか忘れてしまった場合には、最寄りの税務署で照会手続きをしてみてください。後日開設している金融機関から回答をもらえます。2023年5月22日からはe-TaxでNISA口座の開設状況を確認できるようになりました。
金融機関変更の場合は別の手続きが必要
希望しない金融機関でNISA口座を開設してしまった際には、変更手続きをしなければなりません。
具体的には書類の取り寄せや提出、審査などが必要で、予定よりも時間がかかってしまうこともあります。手続き内容は金融機関ごとに異なるため、詳しくは問い合わせてみてください。
家族であれば複数のNISA口座を持てる
家族で複数のNISAを開設する場合、「扶養家族である」といった要件は必要ありません。家族内で複数の新NISA口座を持つことで、一世帯で非課税で投資できる年間投資可能額が広がり、ライフイベントに必要なお金を準備しやすくなります。ここでは夫婦での開設について解説します。
夫婦でそれぞれ口座を開設する
夫婦で口座をそれぞれ開設することで、世帯で非課税で投資できる枠が増えます。夫婦それぞれで手続きが必要で、同じ金融機関でも、異なる金融機関でも問題ありません。
結婚を機に開設する際には、本人確認書類の氏名や住所の変更を忘れずに行いましょう。間違って変更前の本人確認書類を提出してしまうと、再提出を求められ、手続きの時間が伸びてしまいます。
家族で複数のNISA口座を持つメリット
夫と妻がそれぞれで別のNISA口座を持つことで、年間の投資可能枠が増え、目的別に口座を持てるといった良さがあります。ここでは家族で口座を持つメリットを見てみましょう。
非課税保有枠を有効に使える
夫婦で口座を持つことで、世帯で年間の投資可能枠が増えます。より資産形成がしやすくなり、学費やリフォーム代、親の介護費用、老後資金などを出費するタイミングで準備しやすくなるでしょう。
例えば夫婦でNISAのつみたて投資枠を利用すると仮定します。つみたて投資枠の年間投資可能枠は最大120万円で、月換算で10万円となります。夫婦それぞれ月10万円、と投資でき、2人で年間最大240万円もの投資が可能です。
目的別に口座を作ることができる
「夫は長男の教育費を、妻は次男の教育費を」と目的別に口座を作れるのも、メリットです。目的別に口座を持つことで、管理がしやすく、目標金額までいくらかわかりやすくなります。
NISA口座の乗り換え方法
NISA口座を別の金融機関に変更したいときには、変更前と変更後の金融機関で手続きが必要です。希望する時期にNISAを始められるよう、早めに変更手続きを申し出ましょう。ここではNISA口座の乗り換え方法を解説します。
NISA口座の金融機関変更のタイミング
NISA口座の金融機関変更タイミングはどの金融機関も共通です。希望する年の前年10月1日から翌年9月30日までの変更で、その年分として変更できます。
2024年分の非課税枠から利用したいときには、2023年10月1日から2024年9月30日までが変更期間となります。ただし2024年分の非課税枠を利用していると、2024年分での変更はできません。その年の非課税枠を利用していると、その年ではなく翌年の非課税枠を金融機関変更することになり、変更期間はその年の10月1日から翌年の9月30日までとなります。
NISA口座の金融機関変更の流れ
はじめに変更前の金融機関のホームページ等からに金融機関変更の申込みを行い、「金融商品取引業者等変更届出書」を請求します。その後「金融商品取引業者等変更届出書」が届いたら必要事項を記入し、本人確認書類を添付し、返送しましょう。しばらく経つと「非課税管理勘定廃止通知書」が届きます。
次に変更したい金融機関に口座変更を申請しましょう。しばらくすると「非課税口座開設届出書」が送られてくるため、必要事項を記入し、本人確認書類と「非課税管理勘定廃止通知書」を合わせて返送します。
その後税務署と金融機関で審査に通れば、手続き完了です。
※お手続きの詳細については、お取引の金融機関にてご確認ください。
NISA口座選びのポイント
NISA口座を作る際には取扱商品や手数料などをホームページで確認することが大切です。ここでは口座選びのポイントを4つ紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
取扱商品で選ぶ
NISAで扱う商品は投資信託や株式、REIT、ETFなど、種類は豊富です。自分が投資したいと考えている商品を取り扱っているか、取扱商品のラインナップを確認しましょう。自分の考え方やリスク許容度に合わせた商品であれば、長期間運用がしやすくなるでしょう。
NISAで購入できる銘柄はさまざまです。
特につみたて投資枠で購入できる商品は、金融庁が定めた基準を満たした投資信託に限定されているので、長期の積立・分散投資に適した投資信託を選べることが特徴です。
インターネットなどで情報を集め、ぴったりの商品を見つけてみましょう。
購入時手数料や運用管理費用料が安いところを選ぶ
NISA口座は開いただけでは手数料等はかかりませんが金融商品の運用期間中、負担する信託報酬などがあります。
まずはインデックスファンドといった信託報酬が安い銘柄がたくさんある金融機関を選んでみるのも一案です。
最低購入額で選ぶ
100円や1,000円など、最低購入額で選ぶ方法もあります。金融機関によって最低購入金額は異なり、ネット証券だと100円で始められるところが多い印象です。NISA(成長投資枠)で株式を購入したいときには「単元未満株」という少ない資金でできる商品がおすすめです。ホームページで商品を調べてみましょう。
使いやすさで選ぶ
持っているクレジットカードで積み立てたり、ポイントで投資できたりと、「日常生活にフィットしているか」を基準に選ぶのも良いでしょう。
普段使っているクレジットカードで積み立てれば、他の支払い代金と一緒に引き落としされるため、便利に感じるかもしれません。ネットショッピングやコンビニの買い物などで貯めているポイントがあれば、金融機関によっては余ったポイントで運用できます。
ここで投資初心者におすすめの金融機関として「大和コネクト証券」、「セゾン投信」をご紹介します。
大和コネクト証券
「大和コネクト証券」ではセゾンカードでのクレカ積立ができ、dポイントやPontaポイントが使えて、貯まります。取扱商品はひな株(単元未満株)まいにち投信、ポイント投資、クレカ積立、ひな株USA、現物取引などです。
まいにち投信では「毎日100円から」投資ができます。またNISA(つみたて投資枠)の取扱銘柄数は29銘柄と豊富です。より多くの商品からお気に入りを見つけたい方は大和コネクト証券を検討してみてください。
セゾン投信
セゾン投信は「セゾン・グローバルバランスファンド」「セゾン資産形成の達人ファンド」、「セゾン共創日本ファンド」の全部で3つの商品でとてもシンプル。
特におすすめなのが「セゾン・グローバルバランスファンド」と「セゾン資産形成の達人ファンド」です。世界中に分散投資されていて、リスクを抑えながら長期でのリターン獲得を目指すファンドで、17年間の運用実績があります。世界の経済成長を取り込めるファンドで生涯投資を支えてくれます(将来の運用成果等を示唆、保証するものではありません。)
おわりに
NISA口座はひとり1口座と決まっており、複数開設できません。誤って複数申し込んで希望する口座が開設できなかった場合には、別途金融機関での変更手続きが必要です。
NISA制度で非課税枠をより有効活用したい場合には、家族でNISA口座を開設ことをおすすめします。世帯での年間投資可能額を増やすことができます。
※対象年齢18歳以上
口座選びに迷う方は「取扱商品数の多さ」や「手数料の安さ」「最低購入金額」「使いやすさ」で選んでみてください。