砂糖などの甘いものを食べると、嬉しい気分になったり、ホッとしたりしますよね。皆さんそう思われる方は多いのではないでしょうか。現代のさまざまな料理をはじめ、菓子や嗜好品、バラエティにとんだ食事を支えているのが砂糖といわれています。砂糖は、三大栄養素の糖質にあたり、カラダを動かす重要なエネルギー源としての役割を担う重要な調味料です。
そこで今回は、調味料ソムリエのMICHIKOさんに、美味しい砂糖を選ぶポイントを解説していただき、合わせておすすめの商品をご紹介します。ぜひ、参考にしてください。
1.砂糖の種類とそれぞれの特徴とは?
砂糖の原材料は主にさとうきび、てん菜、さとうかえで、ソルガムなどです。日本では、沖縄や鹿児島などの温暖な地域で栽培される「さとうきび」と、北海道で栽培されている「てん菜」があります。日本国内の自給率は約35%で増えてきていますが、輸入に頼らなければいけないのが現状です。
「砂糖」は、ショ糖の純度により風味が異なります。ショ糖の純度の高い順に、「グラニュ糖」「中ざら糖」「上白糖(白砂糖)」「三温糖」「黒糖」等があります。純度の高い砂糖はクセがなく、洗練された風味があり、食材の味を生かすことができます。また、純度の低い砂糖は濃厚な甘み、独特の風味もあるので、コクを出したい時におすすめです。
1-1.上白糖(白砂糖)の特徴とは?
上白糖は、主にさとうきびから作られ、結晶が細かく、しっとりとした砂糖で、日本で一番多く使われている砂糖です。真っ白に見えますが、実は透明で、結晶の表面が乱反射して白く見えるのです。雪が白いのと同じ理由です。漂白した白さではなく、自然の白さです。
1-2.三温糖の特徴とは?
三温糖は上白糖を作ったあとの糖液を再三再四、加熱していることが「三温」という名の由来になっています。何度も煮詰めることで、糖がカラメル化し、黄褐色をしています。白砂糖にカラメルで着色したものもあります。
三温糖は栄養分が豊富と思われがちですが、成分的には上白糖と大差はありません。三温糖は濃厚な甘さと風味があり、料理にコクと強い甘みを出してくれるので、煮物や味噌料理などに向いています。
1-3.黒糖の特徴とは?
黒糖は主に、さとうきびをしぼった汁をそのまま煮詰めて固めたものです。黒褐色の固まりまたは粉状で、不純物は多く糖度は78~86度、灰分・水分が比較的多い砂糖です。甘さが濃厚で強い風味があり、煮物などにコクを出したいときや、甘みを生かしたお菓子作りに向いています。
1-4.てん菜糖とは?
てん菜糖は北海道を代表する農畜産物の一つで、日本の生産地は北海道だけです。てん菜の見た目は大根のようでいて、ほうれん草と同じアカザ科の植物です。大根のような白い根を細かく切って煮出すことで糖分を抽出し、砂糖に加工します。てんさい糖は癖がなく、まろやかな甘さを持ち、独特のコクや風味があるのが特徴です。カリウムやカルシウムなどのミネラル、お腹の調子を整えるオリゴ糖が含まれています。
2.カラダのなかでの砂糖の大切な働きとは?
糖分は、体内に入るとブドウ糖に変換され、エネルギー源に生まれ変わります。疲れているときに甘いものが欲しくなるのは、エネルギー源を欲しているカラダからのサインともいえるでしょう。また、ブドウ糖は、脳にとっても非常に重要な栄養素で、脳のエネルギー源はブドウ糖だけといわれています。脳は、成人の全体重の約2%の重さを占めていますが、脳が消費するエネルギーは1日の全エネルギーの約20%にも及びます。糖分は非常に重要であるということが分かるでしょう。
3.調味料ソムリエプロがおすすめ「砂糖」3選
ここからは、調味料ソムリエプロであるMICHIKOさんが厳選したおすすめの「砂糖」3選をご紹介します。
(1)「ビート糖」(北海道ビート黒糖株式会社・北海道)
「ビート糖」は北海道で栽培されているてん菜から作られます。戦後、砂糖が配給だった頃は、てん菜を洗い刻んで水を入れて煮込み、濃縮させてドロドロのシロップ(糖液)を、パンや餅につけたり、豆を煮たりして使っていました。その後、さまざまな砂糖が売られるようになり、サトウキビに黒糖があるのだから、ビート糖でも黒糖は作れないものだろうかと考えましたが、同じ製法ではビートの黒糖は作ることができませんでした。
東京農業大学の先生方と試行錯誤をし、現在の黒糖が出来上がるのに、3年の歳月を費やしました。完成したものの、てん菜糖の土臭さが残り、雑味も多かったため、地元のホタテの貝殻を入れることで、黒糖らしい、まろやかな後味のよい美味しさに出来上がりました。網走付近のホテルのシェフも、ビート糖で作る「キンキの煮物は最高に美味しい!」と評判です。コーヒーなどの飲み物やいつもの料理に使えます。
ビート糖にはオリゴ糖やラフィノース、イノシトールという成分が多く含まれ、健康機能の面で大きな可能性を秘めている黒糖です。
- 「ビート糖」を使ったおすすめレシピ 「タイ風スペアリブの甘辛煮」
- ビート糖で煮絡めると、食欲を増すツヤツヤの照りとコクがアップ!
- ご飯もすすむこと間違いなし!
- 【材料】(2人分)
- 豚スペアリブ(ぶつ切り)400g、オリーブ油:大さじ1、ニンニク1片、赤唐辛子(輪切り)、香草、サラダ類:各適量
- A:ビート糖:大さじ2、ナンプラー:小さじ2
- B:ビート糖:大さじ2、水:200ml
- 【作り方】
- 1)ビニール袋などに豚スペアリブと「A」を加えてもみ込みようによく混ぜ、30分ほどそのまま置き、下味をつける。
- 2)鍋にオリーブ油と1)を加えて炒め、全体に焼き色がつけば、みじん切りにしたニンニクと赤唐辛子を加えて、さらに炒め合わせる。
- 3)「B」を加えて、ときどき混ぜながら、汁が少し残っているくらいまで煮詰める。(中弱火で10分ほど)
- 4.器に盛り、香草やサラダ等を添える。
- *煮汁は冷めるとトロミがつくので、完全に煮詰めないようにしましょう。
- *赤唐辛子はお好みで調整してください。
(2)「甘麹蜜」(あおき味噌株式会社・新潟県)
米麹の甘酒のエキスを低温濃縮した酵素が生きている自然な甘さの甘味料です。シロップ状なのでヨーグルトやドリンク、和え物、炒め物にと使い勝手の良い調味料です。
(3)「お米のシロップ」(株式会社アグリード・山口県)
もち米と有機麦芽を薪炊きのかまどでゆっくり丁寧に煮詰められた昔ながらの甘味料・米飴を再現したものです。パンケーキや卵焼き、煮物の照り出しなど幅広く使えます。
4.砂糖の使い方のポイントとは?
砂糖の使い方についてのポイント3つをご紹介します。
4-1.料理で砂糖を使う際のポイント
砂糖は甘みだけを加えるものという役割だけでなく、下ごしらえにも大活躍するほどたくさんの働きがあります。例えば、肉のたんぱく質と水分を結びつけて固くなるのを防ぎます。すき焼きに砂糖を使うのはこのためです。同じようにシチューやカレーの肉に砂糖を揉み込んでおくと、煮込んだ肉が柔らかくなります。
また、余計な水分を引き出す性質があることから、魚の臭みを取りのぞく効果もあります。塩の分量の1╱3~1╱2程度の砂糖を加えるとよいでしょう。酢飯や餅菓子、パンやケーキなどが柔らかいのは、砂糖の効果によるものです。また、果物をジャムや砂糖漬けにすると、砂糖が食材の腐敗を防ぎ、保存性を高めてくれます。
4-2.砂糖を効率よく摂るためのポイント
砂糖(糖質)は、豚肉や大豆などの豆類、うなぎなどのビタミンB1と一緒に摂ることで、効率よくエネルギーにすることができるといわれています。また、砂糖と一緒に酢をとると、酢酸の作用により疲れはより早く回復します。酢の持つ「酢酸」は、食欲増進効果と疲労回復効果によって、疲れた体をしっかり癒してくれます。
4-3.砂糖を摂るベストなタイミング
砂糖は肥満の原因と思われがちですが、糖質の一つである砂糖を摂ったから肥満になるわけではありません。砂糖を摂りすぎれば太るのは仕方ありませんが、太りにくいタイミングがあるといわれています。
朝に摂った方が血中の脂肪量が低いことが証明されています。とくに砂糖はすぐにエネルギーになるので、夜や寝る前に食べることはなるべく避けましょう。甘いケーキなどは、朝か午前中にいただき、エネルギーとして消費しましょう。ほどほどに食べることをお忘れなく。
おわりに
砂糖は甘いだけじゃなく、沢山の効能が秘められています。「砂糖」を使いこなして、美味しさと健康と美を手に入れよう。