食欲の秋!長く猛暑だった夏も終わり、秋の風が肌に心地良い季節になりましたね。秋は空気も爽やかに澄んで、過ごしやすく、実りの季節でもありますが、夏の疲れが出て体調を崩しやすい時期でもあります。高温多湿の夏と変わり、気温が下がって空気が乾燥することが多くなってきます。気になる喉や肌の潤いを補いながら、冷えが体内に入らないように過ごし、冬に備えましょう。
今回は、下処理に手間がかかる旬の根菜類「レンコンとサトイモ」を手軽に使えるように選んでみました。食卓から、秋の訪れを感じて、身体を無理なく整えてみませんか。
秋野菜とは?
実りの秋!芋類やキノコ類を中心とした秋野菜は、夏の間に奪われた体力を回復し、冬に向けてエネルギーを蓄えてくれます。水分が豊富だった夏野菜に比べて、秋野菜は水分が少なく、甘みがあり、味が濃いので、汁物や煮物など、火を通す調理が向いています。ビタミンやミネラル、食物繊維などの栄養素が豊富に含まれています。身体に優しいものが多く、冷たいものや塩味、辛みの効いた夏の料理で疲れ気味の胃や腸の調子を整えてくれます。特に、身体を温めてくれる根菜類はおすすめです。
秋野菜たち
秋を代表する根菜類は、レンコン、サトイモ、山芋、さつまいも、じゃがいも、にんじん、ごぼう、ビーツなど。その他の野菜や果物としては、青梗菜、つるむらさき、冬瓜、かぼちゃ、レタス、栗、梨、ぶどう、柚子など。
レンコン
美容にも健康にも、うれしいレンコン!おせち料理に欠かせないレンコンですが、丸い穴が並んでいて、向こうが良く見えることから、「見通しがきく!」と縁起を担いで食べられています。
ハスの地下茎先端部が肥大したものがレンコンです。秋口に出回るものは柔らかくシャキシャキとしているので、薄切りにし和え物や輪切りにして天ぷらに。晩秋から冬のものは粘りが出て甘みも増すので、千切りにしたきんぴらや乱切りにした煮物によく合います。
生のままやサッと茹でて、サラダや酢の物に。炒め物に煮物、揚げ物、すりおろして汁物や蒸し物など、たくさんの使い方ができます。
主成分はでんぷんです。豊富なビタミンCは免疫力を高めてくれます。夏の日差しで疲れた髪や肌を作るコラーゲン生成に必要な栄養素であり、でんぷんに守られているので、茹でても壊れにくいのが特徴です。他に腸内環境を整える食物繊維や抗酸化作用があり老化を防ぐのに役立つポリフェノールの一種であるタンニンも含みます。切ると糸を引いたりするぬめりは胃の働きを整えてくれ、風邪の引きはじめや治りかけに、疲労回復効果も。
選び方と保存方法
泥つきレンコンがあれば、泥つきを選びましょう。芽に近い節がいちばん美味しいです。洗いレンコンは、皮が乳白色で、あまり大きくない、小太りのものが良いです。カットされているものは、切り口が白く、ふっくらとして太くて肉厚、穴は小さめで中が黒ずんでいないものを。重みがあり、全体にツヤがあって傷がなく、皮に色ムラがないものが良いです。白すぎるものは薬品で漂白されたものもあるので、注意が必要です。
泥つきのものは、節がついたまま湿らせた新聞紙に包んでからポリ袋に入れて、冷暗所または冷蔵庫の野菜室に。丸ごとのものは、水分を拭き取り、新聞紙やキッチンペーパーに包んで、ポリ袋などに入れて、冷蔵庫の野菜室に。1週間が目安です。カットしたものは切り口にラップをして、冷蔵庫の野菜室に。なるべく早めに使い切りましょう。
冷凍するには、使いやすい大きさに切り、酢水にさらして、水気を拭き取り、冷凍用保存袋に入れて冷凍します。あるいは、固ゆでにしたり、すりおろしたりしても、冷凍保存可能です。
特徴
レンコンの皮は薄いので、きれいに洗えば、皮ごと食べられます。
また、切り口が空気に触れると黒くなるのは、ポリフェノールのタンニンが酸化して変色するためです。酢水に浸けて、アク抜きをすると白くなります。粘りを抑えて、シャキシャキ感が増します。酢水(水1カップに酢小さじ1/2程度)にサッとさらしましょう。
酢の代わりにレモン汁でもOKです。茹でるときも、湯に酢を少々加えると、白く茹で上がります。すりおろすときは酢水に浸けてから、すりおろします。タンニンには抗酸化作用があり、老化を防いでくれますが、水溶性なのでアク抜きはほどほどにしましょう。
煮物などにするときは酢水を使わずに冷水を使いましょう。冷水を使うことでもある程度の変色も防ぐこともでき、もちもちとした食感が残ります。皮をむいたレンコンは水に浸けておくと変色しにくいですが、ビタミンCが水に流れ出てしまうので、気をつけましょう。調理に使う鍋は金属製のものは黒く変色してしまうので、避けたほうが良いです。
レンコンに含まれる酵素のアミラーゼはすりおろすと活性化してくれます。胃が弱っているときや疲れているときには、汁物に加えたり、熱湯をさしてハチミツなどを加えて飲んだりすると良いです。
炒める、煮るときは、長く火を通し過ぎない、煮込まないことがコツです。加熱し過ぎると、歯ごたえが悪くなります。
サトイモ
ヌメリを大切に食べたい!里で採れるからサトイモ。イネより早く食用にされたといわれ、万葉集にも登場する昔から食べられてきた野菜です。お節料理には子孫繫栄の縁起物として使われています。秋の風物詩として、収穫を祝う行事「いも煮会」も人気ですね。
主成分はでんぷんで、水分が多いため、芋の中ではもっとも低カロリーです。でんぷんは加熱すると消化吸収しやすくなります。体内の余分な塩分を排出するカリウムや、腸内環境を整える食物繊維も豊富。糖質をエネルギーに変える働きをするビタミンB1もたっぷり含まれていて栄養価の高い野菜です。ぬめり成分の粘質性物質などは胃腸を保護して消化を助けてくれ、免疫力アップに役立ちます。
いろいろな薬効を持つサトイモですが、タンやセキが出る人は控えたほうが良く、化膿症の人も治りにくくなるので避けたほうが良いといわれています。品種は、土垂、石川早生、八ツ頭、セレベス、海老芋などがあり、そのうち土垂が一般的で粘りが強く、柔らかいのが特徴です。
選び方と保存方法
泥つきで、湿り気があるもの。皮は茶褐色で丸みを帯びていて、縞模様が均等のもの。実が固くしまっていて重いもの。切ると中が白く、ツヤがあるものが良いです。
泥つきの方が保存しやすいです。泥つきのまま、乾燥しないように新聞紙などで包み、風通しの良いところで常温保存します。2週間ぐらいを目安に食べきりましょう。熱帯地方原産なので、乾燥や寒さが苦手で高温多湿を好むので、冷蔵庫には入れません。
冷凍する場合には、洗って水気を拭き取り、皮つきのまま、冷凍用保存袋に入れて、冷凍します。解凍は、電子レンジで数分加熱します。あるいは、皮をむいて、食べやすい大きさに切り、生のまま、あるいはサッと茹でてから冷凍します。
選ぶ時の注意点
- 皮が渇いていたり、ひび割れているもの、傷や芽が出ていたり、お尻がふかふかしているものは、NG。
- 外側が赤くなっていたり、切って中が赤くなったりしているのは、酸化したためです。食べても問題はありませんが、風味が落ちていることが多いです。取り除いたりして、早めに食べましょう。
- 皮をむいて水に浸してあるものは便利ですが、白いものは薬品などを使って、酸化酵素の作用を止めているものもあるので、泥つきをおすすめします。食酢を入れて煮ると白くはなりますが、味は落ちます。また、焼きミョウバンを入れて茹でても白くなりますが、有効成分は失われてしまいます。
- どんなに煮ても柔らかくならない、ガリガリとした食感のものは、土壌や気象の状態によって栄養障害が起こることにより、半透明の水晶状態になっていることが多く、ゴリ芋とも呼ばれ美味しくありません。残念ながら、色目では判別が難しいようです。
下準備の方法
- 包丁で皮をむく場合、ぬめりで手が滑ってしまう時は、少し置いて乾かすとむきやすくなります。汚れを洗って少し乾かし、皮をむきます。(皮が乾いている方がむきやすいです)
- よく洗い、熱湯で3分ほど茹でて冷水にとると、皮がむきやすくなります。ぬめりも旨みも残ります。
- 皮にぐるりと一周切れ込みを入れて、電子レンジで数分加熱してから、温かいうちに皮をむきます。
手がかゆい時には酢のチカラ
- 皮をむく前に、水で薄めた酢を手で濡らしながらむくと良いです。
- かゆくなってしまったら、酢に手をつけるとかゆみが和らぎます。
- サトイモにはエグミの元であるシュウ酸カルシウムが含まれていて、皮膚にささるとかゆみを引き起こしますが、酢や熱に弱いです。山芋も同じです。
有効成分を失わないために
- 皮をむく前によく水洗いして泥を落としてから、調理しましょう。
- 栄養面を考えると、皮をむいてから洗ったり、塩でもんだり、茹でごぼして調理したりしては、せっかくの有効成分を失うことになってしまいます。
- サトイモにはカリウムが豊富ですが、カリウムは水に溶ける性質があるので、皮のまま蒸し調理がおすすめです。サトイモのねっとり感を楽しめます。
- 汁物にすると、水に溶けだした有効成分も丸ごと摂ることができますが、長い時間、火を通し過ぎると、ぬめりが落ちてしまい、有効成分が丸ごと摂れなくなります。煮すぎないように。
秋の過ごし方
秋は空気中の温度が下がることで空気が乾燥し、喉を傷めたり、肌荒れを起こしたりと不調が起きやすくなります。特に、乾燥している秋の風は、喉や鼻、気管支など肺に注意が必要です。汗をかいてそのままにすると、冷えて風邪を引きやすくなるので、気をつけましょう。早めに上着を着たり、ストールを羽織ったりするなど、寒さ対策も大切です。部屋には加湿器を利用するなどの工夫も必要です。
秋は寒暖差が厳しく、身体が冷えますし、心身のストレスの原因で便秘になりやすくなります。身体を冷やさないように手足を温めたり、食物繊維を豊富に含む食事を食べたりするようにしましょう。また、冷たい飲み物ではなく、常温や温かい飲み物にし、日中の水分補給も忘れずに!
身体に潤いを補う食材
- サトイモ、長芋、山芋、オクラ、豆腐などネバネバや水気の多いもの。
- 梨やぶどう、柿、いちじくなどのジューシーな旬の果物
- 落花生、銀杏、くるみ、松の実などの自然の油が豊富なナッツ類。
秋の食材を引き立てるスパイス類や香味野菜
- 唐辛子、わさび、山椒、カレー粉、ニンニク、ショウガ、ネギ、玉ねぎなど。
- クミン、シナモン、八角、カルダモン、フェヌグリーク、フェンネルなど。
納豆や味噌、甘酒、キムチなどの発酵食品
- 善玉菌を増やして腸内環境を整えてくれ、免疫細胞を活性化してくるなど、健康・美容効果が優れています。
身体を温める飲み物
- 紅茶やウーロン茶、プーアール茶などの発酵した茶葉を飲むと、温まります。ジンジャーティやシナモンティも身体を温めてくれます。珈琲は涼生といわれ、身体を冷やす、ともいわれています。
美味レシピ3選
サトマヨサラダ
- じゃがいものポテトサラダは定番ですが、サトイモで作るとモッチリ感たっぷり!
- レンジでチン、後は混ぜるだけ!
材料
- サトイモ 250g(4個)
- 赤玉ねぎ(粗みじん切り) 20g
- カイワレ 1/4パック
- 黒炒りごま 適量
- マヨネーズ 大さじ2
作り方
① サトイモは皮をむき、ふんわりとラップに包んで、電子レンジ(600w)で4分ほど加熱する。赤玉ねぎは薄切りにして、水にさらして水気を拭く。カイワレは根を切り長さを半分に切る。
② ボウルに①とマヨネーズを加えて混ぜ合わせる。
③ 器に盛り、黒炒りごまを振る。
すりおろしレンコンの食べる中華スープ
- すりおろしたレンコンがいいとろみをつけてくれます!
- 小腹がすいたときなど、ボリューム感たっぷりのスープ!
材料(2人分)
- レンコン 50g
- しめじ 1╱4パック
- 春雨(乾燥)10g
- 卵 1個
- 小松菜 適量
- ごま油 小さじ1
- 白炒りごま 適量
- 塩こしょう 各少々
(A)
- 水 400ml
- 鶏ガラスープの素 小さじ1
作り方
① レンコンはすりおろす。しめじは石づきを切り取り、手でほぐす。春雨はキッチンバサミで半分に切る。
② 鍋に(A)を入れて煮立て、①を加えて弱中火で数分煮る。
③ 2cmの長さに切った小松菜を加え、溶き卵を回し入れ、蓋をして火を止めて1~2分おく。
④ 器に盛り、ごま油を回し入れて、白炒りごまを振る。
サトイモとレンコンと牛肉の煮物
- 醤油を加えて沸騰した汁にサトイモを加えて煮ると、ぬめりがでない!
- 味が染みた甘辛の煮物おかず!
材料(2人分)
- サトイモ 250g
- レンコン200g
- しいたけ(生) 2枚
- 甘長ししとう2本
- 牛肉 150g
- オリーブ油 小さじ2
(A)
- だし汁 1カップ
- 醤油・みりん・酒 大さじ2
- 砂糖 大さじ1╱2
作り方
① サトイモは皮をむき、食べやすい大きさに切る。レンコンは皮をむいて、乱切りにし、水に浸ける。しいたけは十字に切り、甘長ししとうは長さを3等分する。
② フライパンに、オリーブ油を熱し、牛肉としいたけ、甘長ししとうを加えて、炒め合わせる。
③ 鍋に(A)を加えて、沸騰させ、サトイモを加えて7分ほど弱火で煮る。レンコンを加えて3分ほど煮る。
④ ③に②を加えて、サッと火を通し、器に盛る。
※ 塩系(醤油・味噌等)が入っている中に切った生のサトイモを加えて煮ると、汁にほとんどぬめりはでません。
おわりに
季節は秋へ、そして冬至に向かい、日も短くなります。秋はこれから迎える寒い冬に向かって、身体を整えるのに良い季節です。温度が下がり、過ごしやすく、美味しいものが出そろいます。
食欲も出て、睡眠にも気持ち良い時期なので早寝早起きを心がけたり、散歩やウォーキングなどの有酸素運動をしたりして基礎代謝を高め、血流を改善しましょう。
食事は温かい食べものを選び、夜はお風呂(38℃〜40℃の微温浴)でゆっくり身体を温めれば、胃腸の働きも良くなります。朝晩の冷え込みには上着を持ち歩くなどして、温度調節をしましょう。実りの秋を楽しみ、心地良く過ごしましょう。