空が高く、秋の訪れを感じられる季節となりました。朝晩がひんやりして、温度が下がって過ごしやすくなり、心と身体が温まる食べ物が恋しい時期でもあります。 夏の間、熱いからと敬遠していた人も、秋とともに、“味噌汁ライフ”をスタートさせてみませんか。
今回は、朝の時間がない時に、お弁当のお供に、ちょっと小腹が空いた時に、手軽に美味しい一杯ができる、「みそ玉」をご紹介いたします。
「みそ玉」は、元祖インスタント食品!
味噌汁は、毎日飲みたいと思っている人も多いはず!味噌の香りで癒され、胃腸を温めてくれ、身体にも良いといわれています。とはいえ、なかなか忙しい毎日の中で、だしを取ったり、手間暇をかけたりするのは難しいのではないでしょうか。そんな時、重宝するのが「みそ玉」です。作り方はとてもシンプルです。
- 鰹節や味噌を具材と合わせて一食分ずつ丸めるだけで完成!
- マグカップにポンと「みそ玉」を入れて、お湯を注ぐだけ!
手作りの良さと活きた酵素を取り入れられる良さがあります。まさに、究極のインスタント味噌汁です。自分好みの具材を組み合わせることで、オリジナル味噌汁ができあがります。
味噌には嬉しい栄養素や機能性成分がいっぱい!
1300年(平安時代)以降の長い間、私たち日本人の食生活を支えてきた伝統食品が味噌です。昔から「味噌は医者いらず」といわれ、発酵食品としても人気です。
味噌は、基本的には大豆と米と塩だけで作られ、大豆は良質のたんぱく質を多く含む食品で「畑の肉」とも呼ばれています。味噌が“カラダに良い!” といわれるのは、大豆の持つ元々の栄養素に、発酵によってプラスαの栄養素が付加されるからなのです。
味噌はタンパク質、ビタミン、ミネラル豊富な機能食品です。大豆イソフラボンも含まれています。抗酸化作用があり、アンチエイジング効果、美容効果、骨粗しょう症や乳がんの予防にも効果的、ホルモンバランスを整える作用、更年期障害の症状を抑えてくれるなど、多くの働きが期待されています。
味噌にこだわる
味噌は1種類でも、合わせみそにしても、土地によっても味わいはさまざまです。味噌を自由に組み合わせて、いろいろな味に挑戦してみるのも楽しいですね。
主な味噌
- 米味噌(信州味噌、津軽味噌など)
大豆に米麹、塩を加えて作られます。色により、赤みそ・淡色みそ・白みそに分けられます。米味噌はクセが少なく、米特有の甘さとまろやかな口当たり、旨みがあります。全国的に作られており、種類や製造方法で味も風味も少しずつ違ってきます。
- 白味噌(西京味噌など)
白味噌はまろやかな甘みと香りがあり、他の味噌より乳酸菌が多く含まれていて、塩分も控えめなので、味噌汁は甘めが好きという方におすすめです。豊富に含まれるGABAにより、リラックス効果や癒し効果があり、寝る前に飲むと身体も温まります。
- 豆味噌(八丁味噌など)
大豆に豆麹、塩を加えて作られ、味も渋みとコクがあり濃厚です。特にだしを入れなくて美味しい味噌です。メラノイジンという抗酸化物質が含まれていて、代謝を上げたり、腸内環境を整えてくれたり、ダイエット効果、美肌効果も。
- 麦味噌
麦味噌は塩分が控えめで旨みと香り、甘味が強いのが特徴です。食物繊維の大麦β-グルカンが豊富で、ダイエット効果、腸内環境を整えて、美容効果、免疫力アップにも。
味噌を選ぶときに、昔ながらの製法で作られている味噌、発酵を止めていない(生)味噌など、酵素が活きている味噌かどうかをチェックして、「みそ玉」作りに活かしてみませんか。
だしにこだわる
だしの味を作っている「旨み」は、甘味・塩味・酸味・苦味の五原味のひとつとして、世界的にも「umami 」として広く知られています。かつお節だけなど単独でも美味しいですし、合わせだしにすれば、相乗効果で旨みがアップします。お好きな味わいを探してみてください。
主なだし
- かつお削りぶし
かつお節は発酵食品のひとつで、とても栄養価の高い食品です。肉体的な疲労だけではなく、精神的な疲労をも改善するといわれています。細削りや糸削りがおすすめです。
- 昆布
昆布は、日本人に不足しがちな栄養をたくさん含むバランス食品で、ヘルシー食品です。豊富なミネラルは体内への消化吸収率が高いといわれています。旨み成分は野菜類と同じグルタミン酸です。あっさりとした味わいです。細切りのものがおすすめです。
- いりこ
煮干しはイワシが代表的ですが、その他、アジやキビナゴなどいろいろなものがあります。煮干しの旨みはかつおぶしと同じイノシン酸です。魚をそのまま煮て干したものなので、旨みも魚の個性もストレートに出ます。味、香りともに強く、コクがあります。パウダーがおすすめです。
「かつおぶし」+「昆布」、「いりこ」+「かつおぶし」、他に、あごだしや干し椎茸のパウダーなどがあります。和風顆粒だしを使う時は、味噌に最初から加えるのではなく、できあがった味噌汁を飲むときに、耳かき1杯くらいの量を味噌汁に加えると風味が良くて美味しいですよ。
「みそ玉」を作ってみよう!
手軽に使えるだけでなく、いつもの材料や棚に眠っている材料で作ることができます。味噌や具材を自由自在にアレンジして、バリエーションを広げましょう。
具材のバリエーション
具材は、基本的に乾燥した食材がおすすめです。水が含まれていると、水分が出ることが多く、腐敗の原因にもなります。また、冷凍にする場合は、冷凍に向く食材を使います。
主な乾燥した食材(冷蔵保存)
かつお節、昆布、とろろ昆布、乾燥麩、乾燥わかめ、鋼や豆腐、桜エビ、じゃこ、焼きのり、青のり、胡麻、乾燥ネギ、乾燥豆腐、切り干し大根、干し野菜など。
冷凍する場合
大葉、みょうが、生姜、長ねぎ、小ねぎ、にんにくなどの香味野菜や旬の野菜類、根菜類(大根やにんじん)はあらかじめ茹でて冷ましてから、加えます。
*油揚げは、オーブントースター等でカリッとするまで焼き、小さめにカットします。
*小口切りにした長ネギをオイルで炒めると風味が良いです。
*生の豆腐は冷凍に向きません。
基本の作り方(1杯分)
- 味噌 大さじ1(およそ18g)
- かつお削り節(パック) 大さじ1(0.5g)
- 湯 200ml~
- その他(ラップ 15cm×15cm 1枚、ラッピングタイ等 1本)
材料(10杯分)
- 味噌 180g
- かつお削り節(パック) 2袋(5g)
- お好みの具材(A)
作り方
① ボウルに、味噌とかつお削り節、(A)を入れて、スプーンやゴムベラで混ぜ合わせます。(基本の「みそ玉」)
② ①を10等分して、手やスプーンでまとめ、ラップに乗せます。もしくは、(A)の具材を最後に乗せて、ラップで包んでも。
③ ②を ラップで包み、空気を抜くようにギュッと絞って、根元をラッピングタイやリボン、ゴムなどで留めます。
④ 保存袋に入れて冷蔵庫で保存、あるいは冷凍用保存袋に入れて冷凍庫で保存します。
飲み方
① 飲みたい時に、お椀やマグカップなどに「みそ玉」を1個、入れます。
② 熱湯をお好みで200mlほど注ぎます。
③ 良くかき混ぜて、温かいうちに、召し上がれ!
*温かい味噌汁にオリーブ油、MCTオイル、えごま油などを数滴入れるのもおすすめです。
*味噌と湯の量は、お好みで調整してください。
*味噌に含まれる塩分量などにより、お湯の量を調整しましょう。ただし、お湯をたくさん入れても、全部飲んでしまっては、塩分量は変わりませんよ。
保存方法
「みそ玉」を保存する
- 冷蔵庫保存の場合は、密閉容器に入れ、1週間ほど保存可能。
- 冷凍庫保存の場合は、冷凍用保存袋に入れて、1ヶ月ほど保存可能。味噌は冷凍庫に入れても、凍りませんので、すぐに使うことができます。
お弁当と一緒に持っていく
- 冷蔵庫や冷凍庫から出したばかりだと結露がつくことがあるので、お弁当箱の中には入れず、別に持ちましょう。夏場は保冷剤を入れても。
- 特に、冷凍庫保存で生の食材を入れている場合、時間が経つと、水分が出てしまうことがあるので、気をつけましょう。
- 出先に、お湯がないようなら、水筒やスープジャーなどに入れて、持っていくのも良いです。
「カップin味噌汁」とは?
「みそ玉」を切らしている、または作る時間がない時に活躍する、カップに味噌汁と具材を入れるだけで作れるのが、「カップin味噌汁」です。
レシピ
- カップ等に、味噌(大さじ1)とかつお削り節(大さじ1)、お好きな乾燥食材や生の野菜、冷凍野菜等の具材を入れて、お湯を注ぐだけ!
- 「レンチン味噌汁」お湯もない時は、水を入れて、電子レンジ(600w)で2分ほど加熱し、良くかき混ぜます。香りが逃げてしまうので、沸騰させないように注意!
- 「豆乳味噌汁」水だけでなく、豆乳や牛乳などを半分くらい加えて、レンチンするのもありです。
- 生の野菜類(特に根菜等)だけを最初に電子レンジで加熱させておいて一緒に加えたり、生の豆腐、チーズや天かす、細ネギ(小口切り)、キムチ、鮭フレークを最後にトッピングしたりするのもいいですね。「みそ玉」を食べる時にトッピングするのもおすすめです。
美味レシピ4選
わかめとにんじん、手まり麩の「みそ玉」
- 定番のわかめと野菜を加えて!
材料(1食分)
- 味噌(米味噌) 大さじ1
- かつお節 大さじ1
- 乾燥わかめ・乾燥にんじん 各小さじ2
- 乾燥手まり麩 4個
桜エビと切り干し大根、梅麩、とろろ昆布の「みそ玉」
- 風味豊かに!
材料(1食分)
- 味噌(麦みそ) 大さじ1
- 昆布(細切り) 小さじ1
- 桜エビ・切り干し大根(長さをカット) 各小さじ2
- 梅麩 2個
- とろろ昆布 適量
焼き油揚げと大葉と生姜入り味噌汁
- 冷凍「みそ玉」にして!
材料(1食分)
- 白みそ(西京味噌) 大さじ1と1╱2
- いりこ(けずり粉) 小さじ1
- 焼き油揚げ 1/5枚
- 大葉 1/3枚
- 生姜すりおろし 小さじ 1╱3
*塩味が少なく甘みがある白みそは少し多めに加えると、まったりして美味しいです。
八丁味噌と豆乳のサラダ「カップin味噌汁」
- 八丁味噌と豆乳でだし入らず。全部入れて、レンチンするだけ!
材料(1食分)
味噌(八丁味噌) 大さじ1
ミニトマト 2個
モッツアレラチーズ(チェリータイプ) 3個
レタス(フリル) 適量
豆乳・水 各100ml
作り方
① ミニトマトは半分に切り、レタスは食べやすい大きさに手でちぎる。
② 材料を全て耐熱容器に入れて、電子レンジ(600w)で2分ほど加熱する。
③ よく混ぜる。
*カップが熱くなっているので、別の容器に移しましょう。
*八丁味噌、冷蔵庫や冷凍庫から出したばかりの味噌は冷たく溶けにくいので、一度、水を少量入れて、電子レンジで30秒ほど加熱して味噌を溶かし、再度加熱すると味噌が良く溶けます。
アレンジ方法
- 具材は冷凍野菜や味噌汁用の乾燥具材、乾燥野菜などを使えば、お湯を入れるだけでできるので、お手軽です。
- 味噌にかつお節を加えたり、飲むときに粉末だしの素を加えたりするのもいいですね。
おわりに
味噌汁は「御御御付(おみおつけ)」とも、言いますよね。「御付=おつけ」とは味噌汁や汁ものを指し、ご飯に添えるものです。「御」が「御御御」、長い間丁寧に大事にされてきたことが、文字からもうかがい知ることができます。
週末のお休みの間に「みそ玉」を作っておけば、エコでカラダが喜ぶマイインスタント味噌汁をいつでも飲むことができます。時間があるときは、いつものように味噌汁を作り、忙しい時や体調が悪い時は、「みそ玉」を使うなど工夫すると、お助けグッズになってくれます。
また、「みそ玉」は味噌汁だけでなく、炒め物や煮物の調味料として使うことができます。食欲の秋、食べ過ぎてしまった時や胃腸が弱っている時にも消化の良い味噌汁はおすすめです。 一日一杯の味噌汁を召し上がってくださいね。