日々使うことの多い浴室はそのぶん汚れやすい場所だといえるでしょう。お風呂場の汚れは酸性・アルカリ性とさまざまな性質を持っているため、汚れの種類を知ったうえで適した洗剤を使うと掃除がしやすくなります。今回はお風呂場で見られる汚れの種類と、それぞれに対応した洗剤を紹介していきます。日々の掃除をラクにするポイントも紹介していますので、お風呂場を清潔に保ちたい方は参考にしてみてください。
- 浴室には皮脂汚れのような酸性汚れや水垢のようなアルカリ性の汚れなど、性質の異なる汚れがある
- 酸性の汚れにはアルカリ性洗剤というように、汚れの性質に合った洗剤を使うと効率良く落とせる
- 浴室掃除にはブラシやスポンジの他にも、つけ置き洗いのためのラップなどがあると便利
- 入浴後にすぐ掃除すると、汚れを溜め込まず浴室掃除がラクになる
お風呂汚れの種類
お風呂の汚れは大きく分けて6種類あります。汚れによって適している洗剤が異なるため、まずは汚れの種類について確認していきましょう。
お風呂汚れその1:皮脂汚れ
皮脂汚れは文字どおり入浴時に分泌される皮脂による酸性の汚れです。人間の皮膚は皮脂の膜で保護されています。
この皮脂膜が入浴中に浮き出たり、身体を洗っているときに飛び散ったりして浴槽や壁・床に付着し、蓄積すると黒ずんだ汚れになります。皮脂汚れは水だけでは落としにくく、時間が経つとさらに落としづらくなるので注意が必要です。
お風呂汚れその2:石けんカス
石けんカスには金属石けんと呼ばれる汚れと酸性石けんと呼ばれる汚れの2種類あります。どちらも石けんと名がつきますが、洗浄成分のある石けんではありません。それぞれアルカリ性と酸性の正反対な性質を持つ汚れです。
金属石けんは白くざらざらとした汚れです。石けんに含まれる油脂成分と水道水に含まれるマグネシウムやカルシウムが化学反応を起こすことで、金属石けんになります。金属の成分と反応してアルカリ性の性質を持つのが特徴です。
酸性石けんは皮脂汚れと石けんの油脂成分が反応して発生します。酸性の特徴を持ち、黒くべたべたとした汚れで金属石けんよりも落としやすい汚れです。
お風呂汚れその3:水垢
水垢汚れは鏡や蛇口などでよく見られる白いうろこ状の汚れです。水滴がついたままになっていると、水道水に含まれるマグネシウムなどが残って結晶化し、アルカリ性の汚れになります。
鏡や蛇口は目立つので水垢汚れに気づきやすいですが、浴槽内にもつくことがあります。浴槽の輝きがなくなり、ざらつきがある場合は水垢汚れが原因かもしれません。
お風呂汚れその4:湯垢
湯垢汚れは水垢汚れと同じように水回りに発生する汚れです。水垢汚れと同じだと勘違いされやすいですが、異なった性質を持っています。
湯垢汚れは、水垢汚れにさらに皮脂汚れや石けんカスが加わった、浴室特有の汚れです。水垢汚れはアルカリ性の性質を持ちますが、皮脂汚れや石けんカスが混ざることで酸性に変化します。
お風呂汚れその5:ピンクヌメリ
お風呂場で見られるピンクヌメリは「赤カビ」とも呼ばれます。正確にはカビではなく、皮脂を栄養源にした酵母菌などが繁殖している状態です。
ピンクヌメリ自体の汚れは簡単に落とせますが、皮脂が菌の餌になるため、掃除を怠っていると発生しやすくなります。ピンクヌメリはそのままにしてしまうと黒カビの原因にもなるため、こまめに掃除するよう心がけましょう。
お風呂汚れその6:黒カビ
黒カビは暖かく湿った場所を好んで発生します。皮脂などの栄養源もそろったお風呂場はまさにカビが増殖しやすい環境です。黒カビは時間が経てば経つほど落としづらくなります。
特に、カビが根を張りやすいパッキンなどやわらかい素材は注意が必要です。黒カビを見つけたら放置せずすぐに取り除きましょう。
お風呂掃除におすすめの洗剤
お風呂の汚れには酸性やアルカリ性の性質があることをおわかりいただけたでしょう。このような汚れの性質には反対の性質を持つ洗剤を使うと、より効率的に落とせます。
ここからは汚れに応じたおすすめの洗剤をご紹介します。
中性洗剤
幅広い種類の汚れに対応でき、日々の掃除にぴったりなのが中性洗剤です。軽度の汚れであれば、皮脂汚れのような酸性の汚れから、水垢汚れのようなアルカリ性の汚れ、ピンクヌメリまで落とせます。
酸性洗剤やアルカリ性洗剤に比べ刺激が少ないのも特徴です。洗剤が飛んで肌についてしまっても荒れにくく、幅広い素材に使えます。刺激が少ない一方で洗浄力もやや弱いため、こびりついてしまった頑固な汚れを掃除するのには不向きです。
アルカリ性洗剤
アルカリ性洗剤は酸性の汚れを落とすのに向いています。放置してしまってなかなか落ちない、頑固な皮脂汚れや湯垢汚れの掃除におすすめです。特に排水口のぬるぬるした汚れは、アルカリ性洗剤で洗うとしっかり落とせるうえに、ニオイやカビ予防にもなります。
アルカリ性洗剤のなかでも近年よく耳にするのが重曹とセスキ炭酸ソーダです。人体や環境に優しい天然素材なので、安心して使用できます。セスキ炭酸ソーダは弱アルカリ性の重曹に比べてアルカリ性が強く、汚れが落ちやすいでしょう。水にも溶けやすいので、セスキ炭酸ソーダの水溶液をスプレーにすると幅広く使えて便利です。
酸性洗剤
しつこい石けんカスやうろこ状になっている水垢汚れといったアルカリ性の汚れには、酸性の性質を持つ洗剤がおすすめです。
ただし、酸性洗剤は刺激が強いため、肌だけではなく金属やプラスチック、天然石などを傷めてしまう恐れがあります。また、塩素系の洗剤と混ざると有毒なガスが発生する恐れもあります。そのため、使用する際には充分に注意しなくてはいけません。
酸性洗剤の中でも比較的人体に優しいのがクエン酸です。重曹やセスキ炭酸ソーダと同じ天然素材の洗剤として人気があります。クエン酸も水に溶かしスプレーとして使用すると使い勝手が良くなります。
塩素系洗剤
通常の洗剤ではなかなか取り除けない黒カビのような頑固な汚れには、塩素系洗剤が効果的です。塩素系洗剤には高い殺菌力や漂白効果があります。ゴムパッキンやタイルなど深く根を張ってしまった黒カビを落とすのにピッタリです。
ただし、洗浄効果が強いぶん、洗剤の取り扱いには細心の注意が必要です。使うときには目や皮膚を保護し、しっかり換気しながら使用しましょう。他の洗剤と混ざらないようにすることも重要です。
お風呂掃除用洗剤の他にあると便利なアイテム!
汚れの種類とそれに対応する洗剤について確認したら、掃除用具を用意しましょう。以下のアイテムがあるとお掃除を効率的に進められます。
- スポンジ
- ブラシ
- ゴム手袋
- キッチンペーパー
- ラップ
- 水きりワイパー
- フロアモップ など
掃除用具として一般的なスポンジやブラシに加え、洗剤から手肌を守るゴム手袋は必須アイテムといえるでしょう。
一見掃除とは関係なさそうなキッチンペーパーやラップもつけ置き掃除に重宝します。キッチンペーパーなどに洗剤を染み込ませた状態で掃除したい部分を覆い、ラップでふたをして放置すれば効率的に汚れを取り除けます。
洗剤を水で流した後には、ワイパーを使って水気を切っておくと水垢がつきにくくなるのでおすすめです。
お風呂掃除のやり方
それでは実際にお風呂掃除を始めましょう。掃除の基本は「上から下」です。お風呂では特に水が上から下に向かって流れるため、天井や壁など上にある部分から始め、床や排水口など下へと進めましょう。
天井・壁・床
見落としがちな天井は掃除が行き届きにくく湿気が溜まりやすいため、カビが発生しがちな場所のひとつです。天井のカビは放置してしまうと、カビ胞子が浴室全体に広がってカビが生えやすくなるので、こまめに掃除しましょう。
カビ取り用の洗剤を天井に直接吹きかけてしまうと、自分に降りかかり大変危険です。雑巾やキッチンペーパーに洗剤を染み込ませてフロアモップに取りつけ、カビや汚れを拭き取りましょう。
壁や床は比較的掃除しやすいため、頑固な汚れになる前に日々掃除するのがおすすめです。汚れがひどくなければ中性洗剤を使い、スポンジやブラシでこするだけで汚れが落とせます。
浴槽
浴槽を毎日掃除する方も多いでしょう。軽い汚れであればお湯で汚れを浮かせて中性洗剤でこすれば簡単に落とせます。
浴槽の黒ずみが気になる場合、皮脂汚れである可能性が高いです。そのため、酸性の皮脂汚れに作用するアルカリ性の洗剤がおすすめです。重曹を少量の水でペースト状にして汚れに乗せ、20~30分放置すると汚れが落ちやすくなります。
鏡・蛇口・シャワーヘッド
鏡や蛇口、シャワーヘッドで気になるのは、白いうろこ状の水垢汚れでしょう。水垢はアルカリ性のため、酸性洗剤で効率的に取り除けます。汚れが落ちにくい場合はつけ置きがおすすめです。
シャワーヘッドは、クエン酸を溶かしたぬるま湯につけ置きしましょう。鏡や蛇口の場合はクエン酸を溶かした水溶液を吹きつけ、ラップで覆うと効果的につけ置きできます。
排水口
排水口は髪の毛や皮脂、石けんカスなどのぬるぬるした汚れが溜まりやすい場所です。そのままにしておくとカビの原因にもなってしまいます。あまり触りたくない場所かもしれませんが、放置せずこまめに掃除しましょう。
ひどくなってしまった汚れにはカビ取りスプレーがおすすめです。まずは排水口に溜まった髪の毛や石けんカスなどのゴミを取り除きます。直接触れたくない場合はティッシュなどを使うと便利です。
その後、カビ取りスプレーを吹きかけて放置し、シャワーで洗い流します。汚れが気になる場合は歯ブラシのような細かなブラシでこすり洗いしてください。
小物類はつけ置き洗い
お風呂の椅子や洗面器などの小物は、週1回を目安につけ置き洗いがおすすめです。お風呂の残り湯を使えば、浴槽も同時に洗えるので手間がさらに省けます。
夜お風呂に入ってから残り湯に重曹を溶かし、小物類を一晩ほどつけておくと良いでしょう。次の日シャワーで洗い流し、汚れが残る部分はブラシやスポンジなどでこすり洗いします。
参照元:ベルメゾン 暮らしのコラム|簡単で感動!『お風呂掃除術』とキレイを保つコツを現役主婦が写真で解説|
普段のお風呂掃除をラクにする方法!
お風呂掃除をできるだけラクしたいという方も多いのではないでしょうか。ここからは普段のお風呂掃除をラクにする方法をご紹介していきます。
お風呂に汚れが残りにくい環境づくりをする
まずはお風呂場に頑固な汚れを残さないことがポイントです。汚れが残りにくくなる環境や習慣を意識してください。
お風呂の掃除は入浴後すぐにする
お風呂をキレイに保つためには、入浴後すぐに掃除する習慣をつけましょう。ついたばかりの汚れは柔らかく落としやすい状態です。毎回すぐに取り除けば頑固な汚れになってしまうのを防げます。
水分は残さず乾燥させる
入浴後にすぐ掃除をしても水滴が残ったままでは掃除の効果が充分に得られません。水滴はそのまま放置すると水垢になるだけではなく、湿度が下がらずカビが生えやすくなってしまいます。特に水垢が目立ちやすい鏡はお風呂を出る前に水分を拭き取り乾かすようにしましょう。また、換気扇をつけたり窓を開けたりして浴室を換気し、乾かすことも意識しましょう。
お風呂グッズの収納を工夫する
シャンプーやボディソープのボトルなど、床や棚に接している部分はヌメリ汚れが溜まりやすい場所です。ボトルや小物が直接床や棚に触れないように工夫すると、汚れが溜まりにくくなり、掃除もしやすいのでおすすめです。浴室のタオルハンガーを活用したり、吸盤や磁石で壁にフックをつけたりして浮かせる収納を取り入れてみてはいかがでしょう。
防カビ剤などのアイテムを活用する
湿度や温度が高く、雑菌の栄養源が豊富にある浴室はカビが生えやすい場所です。そこで、カビの発生を予防することが重要になります。こまめな掃除も必要ですが、防カビ剤などカビが繁殖しにくくなるアイテムの使用もおすすめです。
防カビ剤にはスプレータイプ・直置きタイプ・燻煙タイプの3種類があります。なかでもお風呂場の防カビに向いているのはスプレータイプと燻煙タイプです。スプレータイプは水回りなど狙った所に吹きかけることでカビを予防できます。一方で燻煙タイプは防カビ成分の煙で部屋をまるごとカビ予防できます。
お風呂掃除のプロに依頼する
こまめな掃除も大切ですが、長く蓄積した汚れがなかなか落ちず掃除に苦労する場合もあるでしょう。また、排水口をどれだけ掃除しても嫌なニオイがなかなか落ちないということもあるかもしれません。そんなときには掃除のプロに任せるのがおすすめです。
くらしのセゾンの「浴室クリーニング」では、普段の掃除ではなかなか掃除できない換気扇や照明の掃除をはじめ、手が届きにくい天井や排水口も部品を外して徹底的に洗浄します。なかなか落ちない汚れはプロに相談してみてはいかがでしょうか。定期的に依頼するのも、日々の掃除がラクになるのでおすすめです!
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おわりに
お風呂場の汚れは、皮脂による酸性の汚れから水垢によるアルカリ性の汚れまでさまざまです。頑固な汚れは性質に適した洗剤を選ぶとより効率的に掃除できます。汚れに合った洗剤の使用と日々のこまめな掃除を意識して、清潔な浴室を保ちましょう。