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要介護認定の段階によって利用できる介護サービスは異なる!認定の流れについても解説

要介護認定の段階
セゾンのくらし大研究 編集部

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現在はさまざまなニーズに備えて多種多様な介護施設があります。しかしどの施設でも、要介護認定審査の結果、受けられる介護サービスの種類を決めるのが一般的です。このコラムでは、要介護認定における8つの段階とそれぞれで利用できる介護サービスの種類、また申請から要介護認定までの流れを解説します。

要介護認定とは?

介護保険制度では、寝たきりや認知症などによって常に介護が必要になったり、家事など日常生活に支援が必要になったりしたとき、介護サービスを受けることができます。そのとき必要になるのが要介護認定です。

介護サービスの種類は多岐にわたりますが、要介護認定の結果によっては利用できるサービスは限られます。かかる費用も変わることから、認定の仕組みは正確に理解しておくことが大切です。ここでは、まず要介護認定の概要について解説します。

どの程度の介護が必要かを認定する仕組み

要介護認定とは、介護サービスの利用を希望する方にとってどのような介護がどの程度必要かを判定するための仕組みです。日本では65歳になると、介護保険被保険者証が交付されますが、この保険証を提示すれば誰でも介護サービスを受けられるわけではありません。

それは介護サービスが、利用する方それぞれの状態に合わせて提供されることが関係しています。まず、利用者一人ひとり異なる身体の状態や生活の状況・習慣、持病の有無や既往歴などの情報を集め、間違いないかどうかを確かめることが必要です。

そのため介護認定では、まずケアマネージャーや医師など複数の専門家が、それぞれの視点で利用者の状態を確認します。そしてその結果をもとに、8段階に分かれた介護の必要度のどれに該当するのか認定する仕組みです。

複数の専門家がそれぞれ確認することで、より客観的な必要性が判定できると同時に、確認の漏れや判断ミスを防ぎます。介護利用希望者にとって必要なサービスが、より正確に判定できるように作られているのが特徴です。

8つの段階のいずれかに認定される

介護認定で定められる段階は、介護や支援の必要がない「自立」から、介護なしでは生活できず、意思の疎通もままならない「要介護5」まで、全部で8段階あります。要介護認定を申請するといずれかの段階に認定され、介護サービスが必要な方には費用が支給されます。

段階を定める基準は、公表してしまうと本来の「自立した日常生活を送れるようにする」という介護保険の本来の目的とは異なる認定が増えてしまいかねません。また利用者の状態が一人ひとり異なることから、一般には公表されていません。

段階によって受けられる介護サービスが異なる

要介護認定の結果が出れば、該当する段階に応じた介護サービスを受けられるようになります。ここで重要なのは、段階が違うと受けられる介護サービスが異なるということです。

これは介護サービスが、利用者が「自立した日常生活を送ることができる」ことを目的にしていることが関係しています。

例えばまだしっかり歩ける方が「楽だから」と介護サービスを使って車椅子を利用し始めたとしましょう。車椅子で移動し続ければ歩く回数や距離は減り、やがて車椅子でなければ移動できなくなるかもしれません。これでは介護サービスが利用者の歩くという能力を奪ってしまっています。介護サービスの本来の目的とは間違いなく合致しません。

介護サービスは、過不足なく提供されることが求められます。それを決定する要介護認定は、利用者の状態がどの段階に該当するのかを、あらゆる視点で判定される必要があります。

要介護認定における8つの段階

要介護認定には、「自立」「要支援1〜要支援2」「要介護1〜要介護5」の8つの段階があります。それぞれの段階で具体的にどのような特徴があるのか、表を使って見ていきましょう。

自立支援や介護がなくても日常生活を送ることができる状態
要支援1ほぼひとりで生活を送ることができる状態だが、食事の支度や掃除など日常生活における複雑な動作に関しては部分的に介助が必要な状態
要支援2ひとりで生活を送ることができる状態だが、複雑な動作には介助や一部見守りが必要なケースが多い
要介護1ひとりで生活できる状態だが、「要支援2」よりも運動機能や思考力、理解力が低いうえ問題行動が見受けられる、入浴や排せつ時の見守りや一部介助が必要な状態
要介護2食事や排泄などの日常生活における基本的な動作の一部、あるいは全体的に介助が必要な状態、「要介護1」と比べて思考力や理解力が低い、また問題行動が見られる
要介護3食事や排泄などの日常生活における基本動作にも全面的に介助が必要で、思考力や理解力の低下、問題行動が見られる
要介護4食事や排泄などを含めた日常生活に全面的な介助が必要で、「要介護3」と比べて思考力や理解力の低下、問題行動が見られる
要介護5日常生活を送るためには介護が必要不可欠、意思の疎通も困難である

この表では、上にいくほど介護の必要度は低く、下になるほどその必要度が高いことを示しています。ここからは、「自立」「要支援」「要介護」の違いを把握するために、押さえておきたい特徴をさらに詳しく解説します。

「自立」は介護が必要でない段階

自立に該当するのは、介護や支援の必要がなく、ひとりでも一般的な日常生活が問題なく送れる方です。

厚生労働省によれば自立は「歩行や起き上がりといった日常生活上の基本的動作」および「薬の内服、電話の利用などの手段的日常生活動作」を行う能力がある状態とされています。

出典元:厚生労働省 資料(3)介護保険制度における要介護認定の仕組み

「要支援」1~2レベルでは部分的な介助が必要

2つのレベルに分けられる「要支援」は、ひとりで生活を送ることができるものの、部分的な介助が必要な状態を指します。なお要支援の方に提供されるのは「介護予防サービス」です。

介護予防サービスは、利用者ができる限り要介護状態に陥ることのないよう状態の悪化を防ぎ、生活機能の維持向上や改善を目的としています。

介護予防サービスを管轄するのは、国または一部の市区町村となることを押さえておきましょう。

「要介護」1~5レベルでは運動機能や思考力の低下が見られる

「要介護」は、全部で5つの段階に分けられるのが特徴です。要介護は、「要支援」と比べて運動機能のほか、思考力や理解力の低下が見られる状態を指します。認知症の進行などによって作話(作り話)や昼夜逆転、暴言暴行、徘徊などの問題行動が見られます。

要介護の方に対して提供されるのは、介護保険サービスです。管轄は国で、程度によっては家族だけで介護するのが難しく、長期間入居できる施設を利用することも多いようです。

要介護認定を受けるための手順

介護認定相談

要介護認定は、必要な方が随時申請することができます。しかし、いくら家族が介護をすすめても、介護サービスを受けることに抵抗がある、または余計な費用がかかるなど当人がなかなか納得できない場合があるかもしれません。

しかし要介護認定は、自覚していない生活上の課題や危険を取り除き、以前のような日常生活を送るための入り口です。これから長く平穏に暮らすために必要な介護サービスを適切に受けるためにも、上手に活用したいものです。

ここでは、要介護認定を受けるための手順について解説します。それぞれの段階での要点も合わせて解説するので、手続きをよりスムーズに進めるための参考にしてください。

要介護認定に必要なもの

要介護認定を申請するために必要なものは、次のとおりです。

  • 介護保険要介護・要支援認定申請書:公式WEBサイト(ダウンロード後印刷する)または市区町村の窓口で入手できる
  • 介護保険被保険者証:利用希望者が40〜64歳の場合は、健康保険被保険者証も用意する
  • 主治医の意見書:かかりつけ医の氏名や病院名、連絡先など必要事項を伝えれば、市区町村から医師へ意見書の作成を依頼する(主治医がいない場合は指定の医師の診察を受け、その医師についての必要事項を市区町村に伝える)
  • マイナンバーが確認できるもの(申請書作成に必要)
  • 印鑑

要介護認定を申請する

必要なものが用意できたら、利用希望者本人の住民票のある市区町村の窓口で申請します。申請に費用はかかりません。窓口の名称は市区町村によって異なるため、あらかじめ公式WEBサイトや電話などで確認しておきましょう。

原則として本人が申請しなくてはなりませんが、入院などで利用希望者本人ができない場合は、代わりに家族が申請することができます。ひとり暮らしで家族・親族の支援が受けられない場合は、地域包括支援センターや居宅介護支援事業者による代行申請も可能です。

病院に入院しているなら、病院のソーシャルワーカーに手続きを依頼しても良いでしょう。

要介護認定調査を受ける

要介護認定を申請すると、次は認定調査です。要介護認定は、最終的に複数の専門家によって行われますが、それは次の4つの要素からもわかります。

  • 認定調査員による訪問調査
  • 医師による意見書
  • コンピュータによる一次判定
  • 介護認定審査会による二次判定

それぞれ異なる視点・基準で介護の必要度を測り、それをひとりずつ念入りに検討・判定する仕組みです。利用希望者一人ひとりを個別に、詳細に調査することから、結果が出るまでには平均で1ヵ月、地域によっては2ヵ月程度かかります。

①認定調査員による訪問調査

申請後まず行われるのがこの訪問調査です。ここでは利用希望者本人の心身の状態や日常生活の詳細、家族や住まいなどについてヒアリングします。

【訪問調査のチェックリスト】

  • 現在受けているサービスの状況:利用中の介護サービスや今の生活環境など
  • 身体機能や起居機能:麻痺の有無・関節などの動きの制限・視力・聴力 など
  • 生活機能:乗り移りや移動の動作・排尿や排便の状況・衣類の脱ぎ着・外出の頻度 など
  • 認知機能:自分の名前や年齢を言う・短期記憶・医師の伝達 など
  • 精神・行動障害:昼夜逆転の状況・情緒の安定状況・被害妄想の有無 など
  • 社会性への機能:服薬やお金の管理・簡単な調理 など
  • 過去14日間で受けた特別な治療:透析・経管栄養 など

調査は、市区町村の職員または市区町村から依頼されたケアマネージャーなどが実施します。少しでも適切な認定に近づけるためには、家族など身近な人が利用希望者の普段の様子を伝えることも重要です。認定調査には家族も同席し、伝え漏れのないよう、準備をしておきましょう。

医師による意見書

医師による意見書は、申請時に市区町村に医師の名前など必要事項を伝えれば、市区町村が依頼してくれます。かかりつけ医がいれば良いのですが、いない場合はこの機会にかかりつけ医を決めるのも良いでしょう。なぜなら、医師の診断は今後の要介護認定の更新でも受けることになるからです。

普段から健康だと思っていても、症状を自覚していないだけかもしれません。少なくとも年に1回以上は健康診断を受け、心身の状態を確認しましょう。

コンピュータによる一次判定

訪問調査と医師の意見書がそろったら、次はコンピュータによる一次判定です。それぞれの結果をコンピュータに入力すると、それをもとに約3,500人に対して行った「1分間タイムスタディ・データ」から推計し、判定結果が出ます。

1分間タイムスタディ・データとは、介護施設に入所または入院している3,500人の高齢者について、48時間にわたってどのような介護サービスがどれくらいの時間行われたかを調べたデータです。そのデータの中から利用希望者本人に心身の状態が最も近い高齢者のデータを探し出して推計します。

これは一次判定であり、最終判定は次の介護認定審査会という専門家による二次判定です。

介護認定審査会による二次判定

手続きの最後は、介護認定審査会による二次判定です。

介護認定審査会は、市区町村の附属機関として設置され、保健や医療、福祉に関する学識経験者によって5人を標準とした人数で構成されます。委員は市区町村長が任命し任期は2年、厳しい守秘義務が課せられる非常勤の特別職地方公務員です。

ここでは認定審査委員会が、認定調査に基づいたコンピュータによる一次判定結果と、医師の意見書をもとに、利用希望者の要介護度を公平かつ公正に審査・認定します。

要介護認定の結果が通知される

介護認定審査会の審査結果に基づいた認定結果は、介護認定申請からおおむね1ヵ月(地域によっては2ヵ月)程度で届きます。

結果が出て利用できるようになるのは、要介護認定1〜5であれば介護保険サービス、要支援1〜2であれば介護予防サービスです。要介護認定に該当しない(自立)の場合は地域支援事業が利用できます。

結果に納得いかない場合の対処法

中には、認定結果に納得できない場合があるかもしれません。そのようなときは、都道府県の介護保険審査会に不服を申し立てるという方法があります。この方法を取るためには、認定通知を受け取った翌日から60日以内に申し立てることが必要です。なお結果が出るまでに数ヵ月かかることもあるため注意しましょう。

この他、要介護認定の区分変更を申請するのも有効です。区分変更申請は、もともと要介護区分が変わったと判断できるときに行う手続きですが、認定結果に納得できない方も利用できます。申請は要介護認定と同じです。結果は30日以内に通知されますが、必ずしも希望の区分と認定されるわけではありません。

要介護認定の段階ごとに利用できる介護サービス

介護サービス

要介護認定結果によって利用できる介護サービスは、要支援であれば介護予防サービス、要介護であれば介護保険サービスです。どちらにしても、認定されればすぐにでも利用できるサービスなので、申請前でもきちんと把握しておいた方が良いでしょう。

介護保険サービスにはほとんどの介護予防サービス内容が含まれます。ここでは、それぞれで利用できるサービスの内容をより具体的に見てみましょう。

要支援で利用できる介護予防サービス

介護予防サービスで受けることができるサービスは次の通りです。

  • 介護予防訪問入浴介護:自宅に浴室設備を持ち込んで入浴を介助する
  • 介護予防訪問看護:看護師が訪問し、褥瘡(床ずれ)の手当てや点滴の管理をする
  • 介護予防訪問リハビリテーション:理学療法士や作業療法士が訪問し、自宅でリハビリを受ける
  • 介護予防通所リハビリテーション:介護老人保健施設などで、介護予防を目的とした生活機能の維持向上のための機能訓練などを日帰りで受ける
  • 介護予防福祉用具貸与・販売:介護予防に必要な福祉用具をレンタル・購入できる
  • 介護予防短期入所生活介護:介護老人保健施設などに短期間入所し、食事や入浴といった生活援助や機能訓練を受ける
  • 介護予防短期入所療養介護:介護老人保健施設などに短期間入所し、医療によるケアや介護、機能訓練などを受ける
  • 介護予防居宅療養管理指導:医師や薬剤師などの医療スタッフが訪問し、服薬や食事の方法など療養上の管理・指導を受ける

どのサービスをどのように利用するかは、利用者本人と家族で決めることができます。介護保険からの支給額などの予算内で、できるだけ効果的なサービスを選びましょう。

要介護で利用できる介護保険サービス

介護保険サービスで利用できるサービスには、長期の施設への入居や夜間の訪問介護などが含まれます。

  • 訪問介護・訪問入浴介護・訪問看護・訪問リハビリテーション・居宅療養管理指導
  • 夜間対応型訪問介護
  • 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
  • 通所介護・通所リハビリテーション
  • 短期入所生活介護・短期入所療養介護
  • 福祉用具貸与・福祉用具販売
  • 特定施設入居者生活介護:指定を受けた有料老人ホームや軽費老人ホームなどで日常生活上の支援や機能訓練などを受ける
  • 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)・介護老人保健施設・介護医療院などへの長期間の入居

最近の介護サービスには、非常に効果的なものもたくさんあります。しかし特に要支援または要介護1のように比較的低く認定されていると、予算のために諦めざるを得ないケースがあるのが現状です。そのような事態に備えるためにも、介護保険の加入をおすすめします。しかも「保険@セゾンカード」なら介護保険も、WEBサイトから見積もりを取ることが可能です。

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介護保険の保障内容は、保険会社によって変わります。契約するなら少なくとも2つ以上の保険会社または介護保険を比較検討して、少しでもメリットの大きいものを選びたいものです。経済的な理由で諦めないためにも、介護保険でしっかり備えておきましょう。

要介護認定結果の有効期限

要介護認定の結果の効力は認定申請日に遡って発生します。有効期限は原則として、新規の申請であれば6ヵ月、更新認定の場合は12ヵ月です。更新は、介護の必要度に変更がなくても、自動更新ではないため期限が過ぎると効力がなくなります。同時に介護サービスは受けられなくなるので注意しましょう。

引き続き介護サービスを利用するなら、有効期間満了の日の前日から数えて60日前から満了日までの間に更新を申請することが大切です。

もし有効期間内でも著しく心身の状態に変化があった場合は、区分変更を申請することで早めに見直すことができます。

おわりに

要介護認定は、介護サービスを利用している、またはこれから利用しようとする方が、どのようなサービスをどの程度必要としているかを判定する手続きです。認定では介護の必要度に合わせて8段階のいずれかと判定され、結果によって利用できるサービスが異なります。

それだけ重要な手続きなので、判定は認定調査員による訪問調査と医師による意見書、実際に介護サービスを受けている高齢者のデータをもとにしたコンピュータ判定、さらに幅広い専門家による審査というように複数の専門家の視点で、段階に分けて慎重に検討される仕組みです。

しかし、実際の介護にかかる費用が予算を超える可能性があります。そんな事態に備えるのが介護保険です。介護保険は提供する保険会社によって保障の内容や程度は違います。

大切な家族の介護ほど、快適で不安のない環境を整えたいものです。契約を検討するなら少なくとも2つ以上の保険を比較し、介護にしっかり備えられるものを選びましょう。

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