離れて暮らす親の健康や安全に関する心配は、多くの子世代が抱える共通の悩みです。本記事では、親と離れて暮らすときの主な心配ごとや、それに対する対策、さらにおすすめの見守りサービスについても詳しく紹介します。親の生活を支えながら、自分たちの生活も安心して過ごせる方法を見つけましょう。
(本記事は2024年5月15日時点の情報です)
- 離れて暮らす親の生活に不安を感じている人は多く、具体的な心配事として栄養面や健康面、詐欺被害などがある
- 子世代にできる見守りとして、定期的な連絡や環境整備、親の希望の確認、見守りサービスの利用などがある
- 専門的な見守りサービスを利用することで、親の生活を適切にサポートしつつ、子世代自身の負担を軽減できる
離れて暮らす親が心配な人はどれくらい?
セコム株式会社が2023年に全国の30歳~69歳の男女560人を対象に実施した「離れて暮らす親に関する意識調査」によると、別居している親の暮らしについて不安に感じる人は86.6%に上ることが明らかになりました。
具体的な不安の内容は、「病気や怪我」が66.1%で最も多く、次いで「認知機能の低下」が47.3%、「車の運転」が29.6%と続いています。
不安を解消する方法としては、「連絡の頻度を増やす」が48.0%で最多でしたが、すでに連絡や帰省の頻度を増やすなどの対応をしている人のうち、31.9%が「解消できていない」と回答しています。
現状の対応だけでは、離れて暮らす親の暮らしへの不安を十分に解消できていない人が3割以上いることがわかります。
参考:セコム株式会社│「高齢者世帯が3割を超えるなか『離れて暮らす親に関する意識調査』を実施」
親と離れて暮らすときの心配ごと
親と離れて暮らすとき、子世代は親の日常生活や健康面についてさまざまな不安や心配を抱えがちです。特に気になることとして、以下などがあります。
- 栄養のある食事をとれているか
- けがをしていないか
- 病気をしていないか
- 認知症が発症・進行していないか
- 特殊詐欺にあっていないか
以降では、それぞれの心配ごとについて詳しく見ていきましょう。
栄養のある食事をとれているか
一人暮らしの高齢者は、食事の準備や調理が面倒になり、栄養バランスが偏りがちです。特に、野菜やタンパク質の摂取不足は健康状態に影響を及ぼす可能性があります。
子世代としては、簡単に調理できる健康食品やレトルト食品を届けたり、栄養バランスを考慮した宅配食事サービスの利用を検討したりすることで、親の健康的な食生活をサポートできます。
けがをしていないか
高齢者は転倒などのけがのリスクが高くなります。一人暮らしの場合、けがをしても周りに気づかれず、適切な処置が遅れる可能性があります。
親の自宅の安全性を高めるため、手すりの設置や段差の解消などを検討するとよいでしょう。また、定期的な連絡を取り、けがの有無を確認することも大切です。
病気をしていないか
加齢とともに病気のリスクは高まります。一人暮らしの高齢者は、体調の変化に気づきにくく、病気の発見が遅れる可能性があります。
そのため、親の健康状態を把握するため、定期的な健康診断の受診を勧めたり、普段から体調の変化がないか確認したりすることが重要です。
認知症が発症・進行していないか
認知症は高齢者に多い疾患ですが、初期段階では本人や周囲が気づきにくいのが特徴です。一人暮らしの場合、認知症の発症や進行に気づくのが遅れ、適切な治療や支援が受けられない恐れがあります。
親の日常生活の変化に注意を払い、もの忘れが増えていないか、今までできていたことができなくなっていないかなどを確認しましょう。
特殊詐欺にあっていないか
高齢者は特殊詐欺の主なターゲットとなっています。一人暮らしの場合、周りから注意を受ける機会が少なく、被害に遭うリスクが高まります。
特殊詐欺の手口や対策について親に説明し、不審な電話やメールには応じないよう注意喚起することが大切です。また、日頃から親子のコミュニケーションを密にし、異変があればすぐに相談できる関係性を築いておくことも重要です。
離れて暮らす親の見守りとしてできること
親と離れて暮らす子世代にとって、親の日常生活や健康状態を見守ることは大切な役割です。ここでは、離れて暮らす親の見守りとして子世代ができることを紹介します。
定期的な連絡、生活しやすい環境づくり、親の希望の確認、見守りサービスの利用など、さまざまな方法で親をサポートすることができます。
定期的に連絡する
親と定期的に連絡を取ることは、安否確認の基本です。電話やビデオ通話、メッセージのやりとりなどを通じて、親の様子を確認しましょう。体調面だけでなく、日常生活の様子や心理的な状態も聞くようにします。
ALSOKの調査によると、別居している親と週に1日以上連絡を取っている人は43.8%で、主な連絡手段は電話(75.8%)だそうです。コミュニケーションを密にすることで、変化に気づきやすくなり、必要なサポートにつなげることができます。
生活しやすい環境にする
親の自宅の環境を整えることも、見守りの一環です。段差の解消、手すりの設置、照明の改善など、転倒リスクを減らす工夫をしましょう。
また、親の状態に応じて、サービス付き高齢者向け住宅や介護施設への入所も検討します。住まいの選択肢は多様化しているので、親の希望や必要なケアのレベルに合わせて選ぶことが大切です。
親の今後の希望を聞いておく
元気なうちに、親の今後の希望を聞いておくことも大切です。どのような生活を望んでいるのか、医療やケアについてどう考えているのかなど、具体的に話し合っておきます。
エンディングノートを一緒に作成するのもおすすめです。親の意思を事前に確認しておけば、もしもの際に役立ちます。
親の見守りサービスを利用する
親の見守りサービスを利用するのも効果的です。センサーやカメラを使った機器の設置、定期的な訪問や電話連絡、緊急時の駆けつけなど、さまざまなタイプのサービスがあります。
自分が直接親のそばにいられない時も、プロのサポートを受けられる安心感は大きいでしょう。
おわりに
離れて暮らす親の見守りは、多くの子世代にとって切実な問題です。親の健康状態や生活状況を把握し、適切なサポートを提供することが重要ですが、時間的・距離的な制約から、自分だけでは十分な見守りが難しいのが現状です。
そこで、専門的なサービスを利用することで、親の安心・安全な生活を確保しつつ、子世代自身の心配や負担を軽減することができます。