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元気だから始められる!認知症対策

セゾンのくらし大研究 編集部

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セゾンのくらし大研究 編集部

豊かなくらしに必要な「お金」「健康」「家族」に関する困りごとや悩みごとを解決するために役立つ情報を、編集部メンバーが選りすぐってお届けします。

認知症を患う高齢者の増加が社会問題になっています。2025年には、65歳以上の高齢者のうち約20%の約700万人が認知症になるとの予測もあり、誰もが認知症への備えや対策を必要とする時代になりました。そこで今回は、元気だから始められる認知症対策として、「任意後見」と「民事信託」をご紹介します。

認知症による資産凍結リスクに備える

「親が認知症になったら、親の口座からお金を引き出せないと困る」「親が認知症になったあと、親の介護費用や生活費を立て替えないといけないと思うと不安」そんな方におすすめなのがクレディセゾングループの「セゾンの相続 家族信託サポート」です。元気なうちに財産管理を信頼できる家族に託す「家族信託」の仕組みがいま注目されています。認知症による財産凍結リスクに備えたい方は、ぜひご相談ください。
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家族信託サポート
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認知症になったら何が困るの?

そもそも認知症になると何が困るのでしょうか?はじめに、何も対策しないまま認知症になってしまった場合のよくある3つの認知症トラブルをご紹介します。

トラブル① 金銭トラブルに巻き込まれる

認知症になり判断能力が衰えると、それまで当たり前のようにできていた家計の管理が難しくなってきます。振込め詐欺に巻き込まれたり、生活に必要のない高額な買い物をしてしまうなど、金銭がらみのトラブルには特に注意が必要です。

トラブル② 財産が凍結される

認知症が進行して判断能力を失うと、預貯金や不動産などの大事な財産の管理や処分が制限されてしまいます。日々の生活で真っ先に困るのは金融機関による本人名義の口座の凍結です。口座凍結後は、たとえ本人の生活費の支払いに充てるためであっても、もはや以前のように自由に引き出すことはできなくなってしまいます。

トラブル③ 大事な契約ができなくなる

その他、認知症が悪化すると、売買契約や贈与契約などの大事な契約ができなくなることも大きな問題です。判断能力が無いのに不動産の売買契約や贈与契約を結ぶことはできませんし、遺言書を書いても無効とされる恐れが高くなります。

認知症発症後は基本的に相続対策ができません。そして、相続の時まで財産を動かせなくなり、元気だった頃の本人の想いを叶えることができなくなってしまうことも考えられます。

成年後見制度の問題点

判断能力を失った後に本人の預貯金を引き出す方法としては、成年後見制度の利用があります。具体的には、家族や親族等が家庭裁判所に申立をして、本人の代理人となる成年後見人を選任してもらいます。成年後見人は、本人のために預貯金を引き出してくれます。しかし、成年後見制度(「法定後見」といいます)には、いくつかの問題点があります

第一に、財産管理の自由度が低いことです。成年後見人による財産の管理や処分は家庭裁判所の監督下に置かれるため、本人の希望どおりに財産を処分することができないことがあります。また、高齢者施設への入居費用を捻出するために自宅を売却する場合は、家庭裁判所の許可を得ることが必要になります。

第二に、成年後見人を選任するのは家庭裁判所であり、家族や親族が後見人となることを希望していても、本人と面識のない専門家(弁護士や司法書士など)が選ばれる可能性があります

以上、よくある認知症トラブルと成年後見制度の問題点をご紹介しました。これらの問題を回避するために、認知症になる前に始められる対策として、「任意後見」と「民事信託」の二つをご紹介します。

【認知症対策①】任意後見

「任意後見」とは、判断能力が低下した場合に備えて、自分の代わりに財産の管理や身上監護等の手続きを行う人(任意後見人)を、元気なうちにあらかじめ契約で決めておくことです。

ポイントは《誰を任意後見人に選ぶか》を慎重に検討することです。誰を選ぶかに制限はありません。多くは本人の家族や兄弟姉妹・甥姪などです。頼みとする家族や親類が身近にいない場合は司法書士などの専門家を選ぶこともできます。

もっとも信頼できる方を選び、その方との間で任意後見契約を公正証書で結びましょう。そうすれば、いざ認知症になった時でも、あらかじめ選んだその方が任意後見人として、当初作成した契約書の内容に沿って、預貯金の管理や病院の入退院手続きなどのサポートをしてくれます。

また、法定後見と異なり、任意後見人がサポートを開始する際に、不正を防止するためのお目付け役として、家庭裁判所が選んだ監督人が必ず付くのも任意後見の特徴です。

任意後見は、法定後見に比べて財産管理の自由度が比較的高いといわれています。例えば、任意後見人が契約に従って本人の自宅を売却する場合、家庭裁判所の許可は不要です。任意後見を活用することで、信頼する方を任意後見人に指定し、元気な頃に思い描いた通りの支援を安心して受けることができます

【認知症対策②】民事信託

「民事信託」とは、財産の所有者(委託者)が、家族や親族などの信頼できる方(受託者)に特定の財産を託し、受託者が託された財産(信託財産)の管理・処分を行うことをいいます。

民事信託は、財産を託す委託者と託される受託者の間で信託契約を結ぶことで利用できます。ポイントは《どの財産を信託するか》です。以下では「お金を信託する場合」と「不動産を信託する場合」の2つのパターンを見ていきましょう。

お金を信託する場合

預貯金等の金融資産を信託する場合、金融機関で受託者名義の信託口座を開設し、お金を預けて信託します。お金を信託財産とすることで、委託者が認知症になった場合でも、受託者は自らの裁量で信託口座内のお金を引き出して、委託者のために使うことができます。また、判断能力が衰えた委託者に代わり受託者が信託口座を管理することで、委託者の負担を軽くしたり、振り込め詐欺などの被害を防ぐことができるメリットもあります。

不動産を信託する場合

不動産を信託する場合は、不動産の名義を受託者名義に変更する信託登記が必要となります。例えば、自宅を信託財産とすることで、本人が認知症になった際に自宅の売却資金を介護施設の入居費用に充てたい場合、受託者である家族が自らの裁量で自宅を売却することができるようになります。家庭裁判所で許可を得る必要もありません。

民事信託のメリット

民事信託は、信託財産が受託者名義となるため受託者の裁量が大きく、財産管理の自由度が高いのが最大の特徴です。任意後見では不可能な財産の組み換えなど、信託財産の特性に合わせて柔軟な管理・運用が可能です。なお、任意後見と異なり、民事信託では身上監護(病院の入退院手続きや介護・福祉サービスの利用契約の締結など)ができない点に留意が必要です。

【民事信託と任意後見の比較】

 民事信託任意後見
財産管理の対象財産信託行為の定めによる
個別的な財産管理
契約の定めによる
包括的な財産管理
財産管理  信託行為の定めによる
自由度が高い
契約の定めによる
現状維持が原則
身上監護×
監督人信託行為の定めによる必ず付される
遺言代用機能×

お困りごとがあれば山田エスクロー信託に相談してみよう

山田エスクロー信託は、司法書士事務所を母体に発展した信託会社です。税理士・弁護士・行政書士・社会保険労務士など、山田グループ内の各士業と連携して、相続対策や認知症対策をワンストップで提供しています。

民事信託や任意後見についても経験豊富な専門家がお客様に寄り添いながら各種のご提案をしています。国内に4支社41支店を展開し全国対応しておりますので、最寄りの支店にぜひお気軽にお問い合わせください。

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おわりに

今回は認知症対策として「任意後見」と「民事信託」をご紹介しました。

どちらも本人が元気で意思表示ができる状態でなければ利用することができません。早いうちからご家族で認知症対策について話し合っておくことをお奨めします。

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出典:内閣府『高齢社会白書(平成28年版)』

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