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戸籍抄本と戸籍謄本の違いを解説|取得方法も知ってスムーズに手続きしよう

戸籍抄本と戸籍謄本の違いを解説|取得方法も知ってスムーズに手続きしよう
セゾンのくらし大研究 編集部

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パスポート取得時、結婚や離婚、相続発生時などさまざまな場面で必要となる、戸籍証明書。戸籍抄本と戸籍謄本の2種類ありますが、この違いをしっかりと理解できていますか。

そこで今回は、戸籍抄本と戸籍謄本について解説します。「内容にどのような違いがあるのか?」「どこで取得できるのか?」など、基本的な知識をまとめました。戸籍抄本や戸籍謄本が必要な手続きを控えている方に向けて、必要書類や手続き方法をお伝えします。

この記事を読んでわかること

  • 戸籍とは、出生してから死亡するまでの親族関係や身分関係、その他重要な事項を登録し、公に証明する公簿のこと
  • 記録内容は、本籍地、戸籍の筆頭者氏名、出生や婚姻などの身分事項になる
  • 戸籍証明書は、戸籍抄本と戸籍謄本の2種類で、戸籍抄本は本人など一部について、戸籍謄本は戸籍にある全員分の情報が記載されているという違いがある
  • 取得方法は、自治体の役所に直接請求するだけでなく、郵送やコンビニ交付、電子申請でも取り寄せることが可能
  • 本籍地のある自治体によって手続き方法などが異なるため、事前に確認しておくのが良い
  • 戸籍抄本と戸籍謄本のどちらの証明書が必要になるのかは提出先により決められており「誰のどんな関係を証明するのか」によって異なる
相続手続きサポート
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そもそも「戸籍」とは?

そもそも「戸籍」とは?

戸籍抄本と戸籍謄本の違いを説明する前に、そもそも「戸籍」とは何かを理解しておきましょう。戸籍とは、その方の出生から死亡までの親族関係、婚姻などの身分関係、その他重要な事項を登録して公に証明する公簿です。戸籍に記載すべき事項については戸籍法により定められています。

参照元:法務省|戸籍のABC(Q1~Q5)

戸籍の単位

現在の日本の戸籍は、原則として夫婦単位で編製されています。夫婦1組と姓を同じくする未婚の子(養子も含む)が、ひとつの戸籍となります。「三代戸籍禁止の原則」から、父母・子・孫が同じ戸籍に入ることはなく、また2組以上の夫婦が同じ戸籍に記載されることもありません。

戸籍に記録されている内容

  • 本籍
    本籍は戸籍の所在場所を指しています。現在住所が本籍と異なるケースもあります。
  • 筆頭者氏名
    戸籍の先頭に記載してある方を「筆頭者」といいます。たとえ筆頭者が亡くなっても、筆頭者に変更はありません。また、婚姻時に妻の氏を名乗ることを決めた場合には、戸籍の筆頭者は妻となります。
  • 同じ戸籍の方の名、生年月日、父・母の氏名、出生地、婚姻日や離婚日など
    戸籍の方の全員の出生から死亡するまでの重要事項が記載されています。

夫婦が離婚をした場合には、原則はもといた戸籍に戻る形になります。しかし、戸籍の筆頭者はもとの戸籍に戻らずに身分事項欄に離婚の事実(配偶者の「除籍」)が記載されるのみです。

例)夫が戸籍の筆頭者で夫婦が離婚をした場合は、夫はそのまま戸籍に変動はなし、妻はもといた戸籍に戻る

また、もといた戸籍が戸籍内の全員が死亡しているなどの理由で除籍されている場合には、戻る戸籍がないため、自分で新戸籍を編製することになります。

戸籍抄本(しょうほん)と戸籍謄本(とうほん)の違い

戸籍抄本(しょうほん)と戸籍謄本(とうほん)の違い

戸籍証明書には、「戸籍抄本」と「戸籍謄本」の2種類があります。違いを見ていきましょう。

  • 戸籍抄本
    戸籍抄本は、戸籍の一部の方(戸籍に2名以上の記載があるうちの1名分など)について記載されている証明書類です。戸籍抄本は戸籍の個人のみの情報が証明できるため、「戸籍個人事項証明書」とも呼ばれています。
  • 戸籍謄本
    戸籍謄本は、戸籍に記録されている全員分の身分事項について記載されている証明書類です。戸籍謄本は戸籍の全員の情報が証明できるため、「戸籍全部事項証明書」ともいわれています。

戸籍の抄本と謄本は、どちらも戸籍簿の写し(コピー)です。もし、戸籍に記載されている方が1名のみの場合は、1名で全ての情報となるため戸籍謄本となります。

戸籍抄本に記載されている事項

戸籍抄本には、本人の戸籍情報のみが記載されています。そのため、本人と父母および配偶者の証明はできますが、戸籍抄本のみでは「子」の証明はできません。記載されている事項は下記のとおりです。

  • 本籍
  • 氏名
  • 戸籍事項、戸籍編製
    戸籍の編製や消除、氏の変更、改製などに係わる内容が記載されています。
  • 戸籍に記録されている者
    名前、生年月日、戸籍上の父と母の名、父母から見た続柄、配偶者区分などが記載されています。
  • 身分事項
    身分事項とは、戸籍上のできごとを指し、出生や婚姻などの情報が記載されています。ここでは、出生と婚姻の内容をご紹介します。
  • 身分事項 出生
    出生地日、出生地、届出日、届出人が記載されています。生まれた場所が病院ならば、出生地は病院所在地の行政区です。届出日、届出人には、役所へ出生届を提出した日付と届出をした方の名前が記載されています。
  • 身分事項 婚姻
    婚姻日、配偶者氏名、従前戸籍などが記載されています。

戸籍謄本に記載されている事項

戸籍謄本は「戸籍全部事項証明書」という名のとおり、戸籍に関する「全ての項目」が記載されている証明書です。本人の本籍や氏名などの戸籍情報以外にも、配偶者や子の戸籍情報も記載されています。そのため、本人、父、母、配偶者以外にも、本人と「子」の戸籍も証明もできます。記載されている事項は下記のとおりです。

  • 本籍
  • 氏名
  • 戸籍事項、戸籍編製
  • 戸籍に記録されている者
    戸籍の最初に記載されるのは、筆頭者になります。戸籍に記載されている配偶者や子など全員が、筆頭者の氏を名乗ることになります。
  • 身分事項
  • 身分事項 出生
  • 身分事項 婚姻
  • 2人目以降の項目

戸籍謄本では、筆頭者以外の在籍者(例えば、配偶者・子)に関する身分事項も記載されます。筆頭者以外の戸籍情報に関しても、筆頭者と同じく基本的な事項、身分事項(出生・婚姻など)が記載されることになります。

戸籍抄本と戸籍謄本の取得方法

戸籍抄本と戸籍謄本の取得方法

ここからは、戸籍抄本と戸籍謄本がどこで請求できるのかなど、取得方法をご紹介します。

請求場所

一般的に、戸籍抄本と戸籍謄本の写しを取得するためには、本籍地のある自治体(市町村の役所)に申請する必要があります。

現在の住所と本籍地が異なる場合は、事前に本籍地を確認しておきましょう。なお、住民票のある自治体が必ずしも本籍地とは限りませんので注意してください。

直接請求する場合には、本籍地のある各自治体の窓口が請求場所となります。

請求できる方

戸籍抄本と戸籍謄本を請求できるのは、原則、本人と配偶者、および父母・祖父母・子・孫などの直系血族のみです。ただし、例外として下記のようなケースに当てはまる場合は、その他の方でも請求可能です。

  • 権利の行使・義務履行するために証明書が必要な方
    例えば、相続の手続きにおいて傍系血族(兄弟姉妹・おじおば・いとこ)が法定相続人となるケースが該当します。
  • 国または地方公共団体などの機関に提出する必要がある方
  • 戸籍に記載される事項を利用するのに、正当な理由がある方

上記のようなケースの場合には、親族関係を証明できる戸籍謄本や相手との関係を証明する資料の提示が求められることがあります。また、請求するのが本人であっても、本籍および筆頭者氏名がわからないと証明書を発行できない可能性があるため、事前に確認しておきましょう。

取得方法

戸籍抄本と戸籍謄本を取得するには、いくつかの方法があります。主に、役所の窓口、郵送、コンビニ交付、電子申請の4つです。必要書類や手続き手順などをご紹介します。

役所の窓口

本籍がある役所の窓口に足を運び、直接請求する方法です。必要書類は、各役所によって異なりますので、事前に問い合わせてください。戸籍抄本などを請求するには、1通につき450円の手数料がかかります。

【必要書類】

  • 交付申請書
  • 本人確認書類

1枚の提示で足りるものと、2枚以上の提示が必要なものがあるため、事前に確認しましょう。

例)1枚の提示で足りるもの
運転免許証、旅券(パスポート)、マイナンバーカード、個人番号カードなど

【手続き方法】

  1. 役所に置いてある交付申請書を記入して窓口に提出します。
  2. 受付の際に本人確認書類を提示してください。
  3. 窓口にて、戸籍抄本などが発行されます。

郵送

本籍地と現住所が離れていたり、役所まで行くのが物理的に困難であったりする場合は、郵送での取り寄せが可能です。各市町村によって交付申請書が異なりますので、必ず自治体ホームページを確認し、手続きを進めてください。郵送の場合には、請求してから手元に届くまで時間がかかるため、余裕を持って手続きしましょう。

【必要書類】

  • 交付申請書
  • 手数料
  • 返信用封筒
  • 本人確認書類の写し

【手続き方法】

  1. 本籍地がある自治体のホームページを確認し、交付申請書を印刷します。
  2. 必要な情報を記入した交付申請書、手数料分の定額小為替、本人確認書類の写し、返信用封筒を同封して郵送します。
  3. 郵便を投函後、1週間くらいで戸籍抄本などが返送されます。

コンビニ交付

マイナンバーカード(または住民基本台帳カード)を利用することで、全国のコンビニなどのマルチコピー機から、戸籍抄本などを取得できます。

現住所が本籍地以外の場合でも、事前申請により戸籍抄本などの取得が可能です。利用できる時間が長く土日祝日も手続きができるため、平日に役所の窓口へ足を運べない方でも利用しやすいでしょう。

なお、サービス利用の可否、手数料、利用可能な時間などは各自治体により異なるため、ホームページなどで事前に調べておきましょう。また、コンビニ交付が利用できる店舗なのかも、事前に確認しておいてください。

参照元:地方公共団体情報システム機構|利用できる店舗情報

【必要書類】

  • マイナンバーカードもしくは住民基本台帳カード

【手続き方法】

  1. マルチコピー機の画面の「証明書交付サービス」を押します。
  2. マイナンバーカードなどをコピー機に読み取らせてください。
  3. 市区町村の選択、暗証番号の入力を行います。
  4. 証明書の交付種別、記載項目、必要部数を選択します。
  5. 指定の発行手数料を支払ってください。
  6. マルチコピー機より印刷後、戸籍抄本などが発行されます。

参照元:地方公共団体情報システム機構|証明書の取得方法

電子申請

一部の自治体ではインターネットからの電子申請により、戸籍抄本などが発行できます。パソコンもしくはスマートフォンからの申請で、証明書が自宅に届く便利なサービスです。発行にかかる手数料や郵送料は、クレジットカードで支払います。

なお、電子申請を利用するにはマイナンバーカードとマイナンバーカードの読み取りが可能なスマートフォンやカードリーダーが必要となります。電子申請に対応しているかどうかは、各自治体ホームページで確認してみましょう。

戸籍抄本や戸籍謄本が必要となる手続き

戸籍抄本や戸籍謄本が必要となる手続き

戸籍抄本や戸籍謄本が必要となるのは、どんな時が多いのでしょうか。必要となる手続きをいくつかご紹介します。

相続発生時

故人が所有している預貯金、不動産の登記の名義変更、加入している死亡保険金の請求、受け取れる未支給年金の請求、故人名義の墓地の継承など、あらゆる相続手続きの際に戸籍証明書の提出を求められます。相続人を確定するために必要となるため、場合によっては、故人が生まれてから死亡までの戸籍謄本、相続人の戸籍謄本などが必要となるケースもあるでしょう。

セゾンの相続 相続手続きサポート」では、経験豊富な提携専門家のご紹介も可能ですので、相続手続きをまとめて依頼することができます。まずはお気軽にご相談ください。

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旅券(パスポート)申請時

一般旅券の発給申請などの手続きには、戸籍抄本もしくは戸籍謄本が必要となります。なお、現在(2023年4月時点)では、戸籍抄本による手続きも可能ですが、旅券法改正により2024年3月27日以降は申請手続きとして戸籍抄本が利用できなくなり、「戸籍謄本のみ」となるので注意しましょう。

参照元:外務省|令和4年の旅券法令改正による申請手続の主な変更点

婚姻届または離婚届の提出時

婚姻届または離婚届の手続きには、一般的に戸籍謄本が必要になります。婚姻届の提出先が本籍地のある自治体と同じ場合は、戸籍謄本が不要なケースもあります。

また、離婚届を提出する届出地、または離婚後に戻る戸籍(または、新しく編製する戸籍)のいずれか、もしくはその両方が婚姻中の本籍と同じ自治体ではない場合は、夫婦の戸籍謄本が1通必要になります。

公正証書遺言作成時

公正証書遺言を作成する(遺言者の相続人に相続させたい場合)時には、遺言者と相続人の戸籍謄本が1通ずつ必要になります。

ただし、遺言者と相続人が同じ戸籍の中に入っている場合は、戸籍謄本1通のみで可能です。また、戸籍謄本1通では相続人であることが証明できない場合には、相続人である事実が証明できる全ての戸籍謄本が必要になります。

その他にも、生命保険や簡易保険の保険金を受け取る手続きなども戸籍証明書が必要となります。戸籍抄本で手続きができるケースもありますが、多くの場合で戸籍謄本が必要となることが多いでしょう。

また、1部ではなく複数枚の提出が求められる場合もありますので、行う手続きに必要となる枚数を確かめてから請求手続きを始めると良いでしょう。

戸籍抄本・戸籍謄本に関するQ&A

戸籍抄本・戸籍謄本に関するQ&A

最後に、戸籍抄本・戸籍謄本に関する、よくある質問にお答えしていきます。

有効期限はある?

戸籍抄本などに、有効期限はありません。しかし、提出先を指定するケースがあるでしょう。例えば、パスポートの申請などには「過去6ヵ月以内に発行されたもの」、婚姻時の提出では「有効期限はないが、最新の内容が記載されたもの」などと指定されることがあります。

一般的には、発行日から3ヵ月以内が目安となっていますが、それぞれの提出先に確認しておきましょう。

戸籍の筆頭者って誰のこと?

戸籍における筆頭者は、戸籍の先頭に記載されている方を指します。

既婚者の場合には、婚姻時に苗字が変わっていない、夫または妻のどちらかが筆頭者となります。筆頭者になると、亡くなったり離婚をしたりする場合でも、戸籍上は筆頭者の氏名が残ります。未婚者の場合には、父母のどちらかが戸籍の筆頭者です。なお、今まで婚姻歴がある方や、養子縁組・分籍などをしている方の中には、これに当てはまらないケースもあります。

本籍地を確認する方法はある?

自治体など役所の窓口あてに、自分の本籍地の所在を問い合わせても確認はできません。万が一、自分の本籍地がわからない場合には、下記のいずれかの方法で調べてみましょう。

本籍地を記載した住民票を請求する

住民登録のある自治体で、自分の本籍地が記載されている住民票を請求してみましょう。本籍地、筆頭者の確認が可能です。

親族に確認してみる

自分の本籍地を知っていそうな親族に確認してみましょう。未婚者の場合は、親もしくは未婚の兄弟姉妹、既婚者の場合は配偶者と未婚の子と同じ本籍地となります。離婚歴のある場合は、婚姻前の戸籍に戻っているか、自分が筆頭者である新たな戸籍を編成している可能性があります。

運転免許証にあるICチップの情報を確認する

運転免許証を取得している方は、運転免許証にあるICチップの情報を確認すると本籍地がわかります。警察署や免許センターなどに運転免許証を持参し、確認端末で本籍地情報を確認してみましょう。また、免許証情報の読み取りができるスマートフォンのアプリでも確認できます。

おわりに

戸籍抄本と戸籍謄本の違いについてご紹介しました。さまざまな手続きの際に必要となる、戸籍証明書。さまざまな取得方法があることや、提出先によって戸籍証明書の種類が異なることがおわかりいただけたでしょうか。「戸籍抄本か戸籍謄本か」迷った時には、「誰のどんな関係を証明するのか」をポイントに判断してみてください。また、必要となる戸籍証明書の種類や枚数を提出先に事前確認しておくと手続きがスムーズに進められるでしょう。

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