年齢を重ねると気になるのが、体の老化やサビ。日々の生活で活力が低下していると感じることがある方は、体がサビて活性酸素が体内で過剰になっているかもしれません。現代人はストレスや大気汚染、食生活などさまざまな原因で活性酸素が過剰になりやすい傾向にあります。抗酸化作用のある栄養素を日常的に取り入れて、活性酸素を減らして生き生きとした生活を取り戻していきましょう。
- 抗酸化作用のある食品を摂取すると、体内の酸化ストレスのバランスを整えるのに役立つ
- 抗酸化作用のある栄養素には、ビタミンA・C・Eやポリフェノールなどがある
- 抗酸化作用のある食べ物を摂るためには、栄養素ごとに調理上のポイントがある
- 簡単に栄養素を摂りたい方にはサプリメントの活用もおすすめ
抗酸化作用のある食べ物を摂るべき理由
抗酸化作用のある食べ物を摂る理由は、過剰になった活性酸素のはたらきを抑えるためです。
活性酸素とは、体内にある酸素のはたらきが通常よりも活性化した状態の物質のことです。微量であれば体の細胞のはたらきを促してくれますが、過剰になると逆に細胞を傷つけてしまい老化や体のサビにつながります。
私たちの体の中では、活性酸素のはたらきを弱めたり活性酸素自体を取り除いたりする「内因性抗酸化物質」と活性酸素がバランスをとりながら存在しています。しかし、日々のストレスや紫外線、大気汚染、食生活によって、現代人の体は活性酸素が過剰になりやすい状態です。内因性抗酸化物質だけではなく、抗酸化作用のある食べ物を積極的に摂取することも健康を維持するために大切です。
抗酸化作用のある栄養素と豊富に含む食べ物
抗酸化作用のある栄養素には、ビタミンA・C・Eやカロテノイド、ポリフェノールなどがあります。以下に抗酸化作用のある栄養素と栄養素を摂れる食べ物の一覧をまとめました。
抗酸化作用のある栄養素 | 豊富に摂れる食べ物 |
ビタミンC | ・いちご ・みかん ・レモン ・キウイ ・パプリカ |
ビタミンA | ・レバー ・うなぎ ・まぐろ赤身 |
ビタミンE | ・植物油 ・かぼちゃ ・ごま ・ナッツ類 |
カロテノイド | ・緑黄色野菜 ・柿 ・えび ・かに ・卵黄 |
ポリフェノール | ・オリーブオイル ・緑茶 ・そば ・ブルーベリー |
グルコブラシシン | ・ブロッコリー ・キャベツ |
アリシン | ・にんにく ・玉ねぎ |
ここでは、それぞれの栄養素について、摂取のポイントや注意点を解説します。
ビタミンC
ビタミンCは最も有名な抗酸化作用のある栄養素です。体内で作ることができないため、食べ物から摂る必要があります。
【ビタミンCが豊富に摂れる食べ物】
- いちご
- みかん
- レモン
- キウイ
- パプリカ
ビタミンCは、上記に挙げたような緑黄色野菜や果物に豊富に含まれています。ビタミンCは水溶性ビタミンに分類され、熱に弱いという特徴があります。ビタミンCをしっかり摂りたいときは、これらの食べ物を水にさらしたり加熱調理したりしないよう気をつけましょう。また、一度に大量に摂っても尿として流れ出てしまうため、少量をこまめに摂取することをおすすめします。
ビタミンA
ビタミンA(レチノール)も抗酸化作用があることで有名です。最近では、化粧品にも配合されることが増えてきました。
【ビタミンAが豊富に摂れる食べ物】
- レバー
- うなぎ
- まぐろ赤身
ビタミンAは、動物性の食べ物に多く含まれています。脂溶性ビタミンのため、油と一緒に摂ると吸収しやすくなります。炒め物のような加熱調理をして食べると良いでしょう。ビタミンAは過剰に摂取すると健康障害を起こすことがあるため、上記の食べ物やサプリを大量に摂ることは避けてください。妊娠3ヶ月以内あるいは妊娠を希望する女性では、胎児の先天奇形のリスクが高まるため、過剰摂取を避けるようにすることが勧められています。
参照元:厚生労働省|妊婦初期
ビタミンE
植物油やナッツ類に含まれるビタミンEにも抗酸化作用があります。
【ビタミンEが豊富に摂れる食べ物】
- 植物油
- かぼちゃ
- ごま
- ナッツ類
ビタミンEは脂溶性ビタミンのため、加熱してから摂ると吸収されやすくなります。ただし、抗酸化作用のある栄養素自体も酸化されやすいため、加熱のしすぎには気をつけましょう。例えば、揚げ物などに何度も使い回した植物油には、抗酸化作用はほとんど残っていない可能性があります。
カロテノイド
カロテノイドはプロビタミンAとも呼ばれ、体内でビタミンAに変換されて抗酸化作用をあらわす栄養素です。
【カロテノイドが豊富に摂れる食べ物】
- 緑黄色野菜
- 柿
- えび
- かに
- 卵黄
カロテノイドは植物性の食べ物に豊富に含まれています。ビタミンAと同様に加熱調理してから摂ると吸収されやすいでしょう。また、カロテノイドの過剰摂取はビタミンAと同様で、健康障害のリスクが高まると言われていますが、普段どおりの食事をしていれば問題ないといわれています。
参照元:内閣府|食品安全委員会|ビタミンAの過剰摂取による影響
ポリフェノール
ポリフェノールも抗酸化作用のある栄養素で、LDL(悪玉)コレステロールの酸化も防ぐといわれています。
【ポリフェノールが豊富に摂れる食べ物】
- オリーブオイル
- 緑茶
- コーヒー
- ブルーベリー
ポリフェノールは苦味のある食べ物に豊富に含まれています。緑茶やコーヒー、ココアなどさまざまな飲み物からも取れるため、間隔をあけながらこまめに摂取するのがおすすめです。ただし、カフェインや糖質が含まれている飲み物の場合、摂りすぎには注意しましょう。
グルコブラシシン
あまり馴染みがありませんが、グルコブラシシンという栄養素にも抗酸化作用があることがわかっています。
グルコブラシシンはブロッコリーやキャベツなどのアブラナ科に含まれる栄養素で、体内で食べ物中の酵素や胃酸などによってジインドリルメタンという栄養素に変換されます。このジインドリルメタンに抗酸化作用があるといわれています。
グルコブラシシンからジインドリルメタンへの変換は、加熱調理でも増えることがわかっています。生ではなく茹でてから食べると良いでしょう。
アリシン
にんにくや玉ねぎに含まれるアリシンも抗酸化作用のある栄養素です。アリシンは、にんにくや玉ねぎ特有の刺激臭の原因でもあります。
アリシンを効率よく摂取するには、にんにくや玉ねぎを生の状態でよく刻むかすりおろして食べましょう。細胞が傷つくことでアリシンが発生するためより効率よく摂取できます。
逆に、匂いをおさえるためには、アリシンを発生させないようにしましょう。にんにくを丸ごとレンジで加熱し、水にさらしてから刻むと良いでしょう。
体を酸化させる食べ物とは
抗酸化作用のある食べ物を摂ることと同じくらいに「体を酸化させる食べ物を避ける」ことも重要です。
次のような食べ物は、体内で炎症や酸化を起こして老化を加速させてしまう食べ物です。つい食べたくなってしまいますが、食べ過ぎには注意しましょう。
【体を酸化させる食べ物】
- 抗酸化作用のある栄養素が極端に少ない食べ物
ここまでご紹介したビタミンやポリフェノールなどの栄養素がほとんど入っていない食べ物は、活性酸素のはたらきを弱めることができないため体を酸化させやすいでしょう。食事の際には品数を増やして野菜や果物などの抗酸化作用のある栄養素をバランス良く取り込むことが大切です。
- ウインナーやベーコンなどの加工食品
ウインナーやベーコンなどの加工食品は、AGEs(終末糖化産物) の含有量が多い食べ物です。AGEsは体の酸化や糖化を進めて老化を促す物質です。そのため、加工食品を食べる頻度もなるべく減らした方が良いでしょう。
- 油で高温調理した食べ物
揚げ物や高温調理した炒め物などもAGEsが増えやすくなるため、できるだけ避けるようにしましょう。AGEsは炭水化物やたんぱく質の高温調理で発生しやすいため、フライドポテト・唐揚げ・焦げるまで焼いたベーコンや食パンなどは特に食べる頻度を減らすことをおすすめします。
忙しい日々にサプリメントで手軽に栄養補給
抗酸化作用のある食べ物を毎日しっかり摂ることは難しいと感じてしまいますよね。仕事や家事、育児で忙しく、食事の栄養バランスを考えることが大変というときにはサプリメントも活用してみましょう。
サプリメントを使用するときは、以下の点に注意してください。
- パッケージに記載されている摂取量(目安量)を必ず守ること
- 現在、病気の治療中・妊娠中・授乳中の方は主治医に相談してから使用すること
- サプリメントを数種類組み合わせることはしないこと
サプリメントとはいえ、過剰に摂取すると健康被害が起こりやすくなります。サプリメントにはさまざまな栄養素が含まれているので、同時に複数のサプリメントを飲むと栄養素の過剰摂取にもつながります。また、サプリメントは健康な成人向けに作られた商品のため、病気の治療を受けている方や妊娠中の方などは摂取する前に医師に相談しましょう。
おわりに
体のサビを取り除いて老化を防ぐには、体内の過剰な活性酸素を減らして酸化を防ぐことが重要です。抗酸化作用のある食べ物を摂ったり、運動や睡眠などの生活習慣に気をつけたりして、体の酸化ストレスを少なくしていきましょう。抗酸化作用のあるビタミンやポリフェノールなどの栄養素は、サプリメントで簡単に摂ることもできます。ご自身の生活スタイルに合わせて活用してみてはいかがでしょうか。