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【医師監修】白髪を抜いてはいけない4つの理由!頭皮への影響が少ない対処法を3つ紹介

【医師監修】白髪を抜いてはいけない4つの理由!頭皮への影響が少ない対処法を3つ紹介
磯野 志真 医師

監修者
磯野 志真 医師

日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会所属の耳鼻科の女性医師です。大学病院、市中病院などでの勤務経験に基づき、一般的な耳鼻科疾患から、小児の難聴・中耳炎、成人の頭頸部癌まで幅広く診療した経験があります。他にもAGA外来、一般内科、健康診断科等の幅広い勤務歴があります。高いエビデンスに基づいた分かり易い内容をお伝えできるように努めます。

「本数が少なければ、白髪を抜いても問題ない?」「白髪を抜くと本数が増えるというのは本当?」「抜くことは良くないと聞くが、どのような方法で白髪を処理すれば良いのだろうか」と、お悩みの方も多いでしょう。

鏡を見て白髪が目に入ると、憂鬱な気分になってしまう方もいるかもしれません。本数が少ないうちは、白髪染めよりも、抜いて処理する選択をする方は多いでしょう。

白髪を抜くと一時的には見た目が改善されますが、根本的な原因が解決されるわけではありません。それどころか白髪を抜く際のダメージにより、頭皮環境が悪化するなどのデメリットを引き起こすため注意が必要です。

このコラムでは、白髪を抜かない方が良い理由や、抜く以外の対処方法を紹介していきます。日頃から白髪を抜いていた方や、白髪染め以外の対処方法を探している方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。

白毛が生える原因と「抜く」行為の関係

白毛が生える原因と「抜く」行為の関係

白髪が生まれる理由は、メラノサイトという細胞の機能が低下するからです。メラノサイトは、髪に色を与えるインクのような役割をするメラニン色素を生成する働きを持っています。

メラノサイトの機能が低下しメラニン色素が髪に入らないと、生成されたままの白色の髪が表面に出てきて白髪となる仕組みです。

メラノサイトの機能が低下する原因は、主に3つあります。

  • 年齢を重ねること
  • ストレスを受けること
  • 遺伝によるもの

白髪を抜いたからといって、本数が増えるという科学的根拠はありません。しかしメラノサイトの機能が低下する理由にアプローチしない限り、白髪を改善することができません。

白髪が生える詳しいメカニズムについては「白髪が生えてくる仕組みを紹介!原因と増加を防ぐ対処法も含めて解説」のコラムでも紹介しています。ぜひご覧ください。

白髪を抜くのがNGである4つの理由

白髪を抜くのがNGである4つの理由

白髪を抜いても一時的に見た目が変わるだけで、根本的な解決とはなりません。その場で気になる白髪をなくせるというメリットと比較すると、抜くことによるデメリットの方が大きいでしょう。

この章では白髪を抜く行為がもたらす悪影響を4つ紹介しますので、ぜひご覧ください。

頭皮環境が悪化する

頭皮や毛根にダメージを与えるため、白髪を抜く行為はおすすめできません。何度も白髪を抜くことで、毛穴の奥の毛細血管まで傷つけてしまうためです。ダメージが重なると、毛穴から血が出てしまうこともあるでしょう。

血が出ることで雑菌が繁殖し、毛穴に侵入して炎症を起こす可能性があります。血液は全身に栄養を運搬する役割を持っているため、雑菌にとっても良いエサとなってしまいます。炎症によってメラノサイトの機能が低下すると、髪を黒く着色するために重要なメラニンが、充分に生成されません。

頭皮環境の悪化は、白髪が増える他にもさまざまな影響があります。例えば、炎症が原因となってフケの量が増えたり、痒みを感じたりすることが考えられます。健康な頭皮の状態を維持するためには、白髪を見つけても抜かない方が良いでしょう。

ヘアサイクルを乱してしまう

ヘアサイクルを無視して白髪を抜くと、髪の成長のリズムを狂わせてしまう可能性があります。ヘアサイクルとは、髪が生えてから抜け落ちるまでの流れを示す成長周期のことです。健康な髪は、次の3段階を経て2〜6年で生まれ変わっています。

  • 成長期
  • 退行期
  • 休止期

休止期に入って2〜3ヵ月経つと自然と抜け落ちますが、その頃には新たな成長期の髪が生まれているため、毛量が変化することはありません。

ところがヘアサイクルの途中で無理に白髪を抜くと、髪の成長周期が乱れてしまいます。髪が充分に成長しないまま本数を減らしてしまうことになるので、未発達な細く短い毛が増えたり、ヘアサイクルの寿命を早めてしまったりする問題が生じます。

健康な髪を長い期間維持するためにも、ヘアサイクルを乱す「抜く」以外の方法で対処することが望ましいです。

健康的に生えている髪に影響を与える

白髪を1本抜くと、抜いた白髪の周りにある健康な髪の毛にまでダメージを与えてしまいます。ひとつの毛穴から2〜3本程度の髪がまとまって生えていることが原因です。

無理に力を加えて白髪を抜くと、頭皮がトラブルを起こします。ダメージにより皮膚の表面にある角質層が厚みを増し、蓋となって毛穴を塞ぐためです。次に生えてくるはずだった髪が毛穴から出られず、内部に埋まってしまうリスクがあります。これは、皮膚の中に髪が埋まる埋没毛という状態です。

さらに無理に白髪を抜くことで毛穴が変形し、次に生える髪の毛が癖毛になったり、炎症を引き起こしたりするため注意しましょう。

白髪を抜く行為を習慣にすると薄毛につながる

白髪を抜く行為は、習慣化すると薄毛につながります。ヘアサイクルが乱れるため、健康な髪が生える準備が整わないまま、毛量が減ってしまうでしょう。

もし白髪を抜くのを気持ち良く感じたり、無意識のうちに手が動くような癖になったりしている場合は、抜毛症という病気を発症しているかもしれません。抜毛症とは、白髪を抜くのは良くないことであるとわかっているにもかかわらず「白髪を抜く」という衝動をコントロールできなくなる病気です。

白髪を抜く行為を止めれば毛量は次第に元に戻ります。しかし薄毛の状態や白髪を抜く行為の程度によっては、クリニックで薬物療法や認知行動療法を受ける必要があります。

白髪を抜く以外で頭皮へ影響が少ない対処法を2つ紹介

白髪を抜く以外で頭皮へ影響が少ない対処法を2つ紹介

白髪は周りの髪の毛と色が違うため、表面部分に生えるとたった1本の存在でも目立ってしまいます。抜いてしまえば簡単に見た目を改善できますが、頭皮にダメージを与えて悪影響をもたらすため、他の方法で対処するようにしましょう。

白髪が生えた時の対処方法は、主に2つあります。お金も時間もかけたくない方はハサミで白髪を切る方法、気になる白髪の本数が多かったり見た目を丁寧にカモフラージュしたりしたい方は白髪染めの使用がおすすめです。ご自身に合う方法で、頭皮にダメージを与えることなく白髪へ対処していきましょう。

白髪をハサミで切る

白髪をハサミで切るようにすれば、抜く行為で問題となる頭皮へのダメージを軽減できます。抜く行為と違って白髪を無理に引っ張ることもないので、毛穴を変形させるようなデメリットもありません。

ハサミで切る際のポイントは、できる限り根本に近い位置からカットすることです。なるべく短くしておくことで、白髪が再び目立つタイミングを先延ばしできます。髪は1ヵ月当たり約1cmずつ伸びています。そのため1cm短くカットすれば、次に白髪を切る時期を1ヵ月後にまで先延ばしできる計算です。

さらに白髪は黒髪よりも硬く太さがあるため、中途半端な位置で切ると反り立って目立ってしまいます。もし切りにくい場所に白髪が生えていたら、ご家族にお願いしたり、美容室でカットする際に一緒に切ってもらうよう依頼したりして対処しましょう。

白髪染めを使用する

白髪染めを使うと、白髪の量が多くても効率的に見た目を改善できます。白髪染めの手段は、ご自宅で市販のカラー剤を使うことと、美容室でカラーメニューを利用することの2つです。

市販のカラー剤を使ってご自身で対処すれば、美容院に足を運ぶことなくお好きなタイミングで髪色を変えられます。また、美容室の施術よりも安く髪を染められることがメリットです。しかし、市販のカラー剤を使った対処では、次のようなデメリットがあります。

  • 頭皮や髪へのダメージが大きい
  • ムラなく満遍なく塗ることが難しい
  • 美容室で使う薬剤に比べ色持ちが悪い
  • 色の入り方がイメージと異なる可能性がある

事前に使用上の注意などをしっかり確認しなければ、髪にダメージを与えてさらなる白髪を誘発する恐れがあります。

「白髪をきれいに染めたい」「頭皮トラブルのリスクを軽減したい」とお考えの方は、美容室のカラーメニューを利用することがおすすめです。美容室なら100%トラブルが起こらないというわけではありませんが、万が一の際に適切な対処を受けられるでしょう。

根本的に白髪を減らすなら生活習慣を改善することが重要

根本的に白髪を減らすなら生活習慣を改善することが重要

白髪が生えないように対策するには、抜くよりも生活習慣を改善することが大切です。生活習慣の改善により頭皮環境が変わり、メラノサイトの働きを活発化させる効果を期待できます。白髪染めやカットのようなカモフラージュとは異なり、根本的な改善となるでしょう。

一時的に休んでいるメラノサイトを再び働かせ、髪に色を与えるメラニン色素の生成を促すには、次のような工夫が有効です。

  • 健康的な食生活でメラノサイトにまで栄養を行き渡らせる
  • 睡眠時間を確保して成長ホルモンの分泌を増やす
  • 優しく洗髪して頭皮のダメージを軽減させる
  • 頭皮マッサージで血行を促しメラノサイトを活性化させる

白髪がすぐに目立たなくなるといった即効性はありませんが、生活習慣を見直すことで、白髪が生えにくい頭皮環境を目指せるでしょう。

白髪が気になったらクリニック・病院の受診も検討を

白髪が気になったらクリニック・病院の受診も検討を

美容クリニック・病院では白髪対策のための注射治療を行なっているところもあります。注射でヒアルロン酸やアミノ酸などの栄養を頭皮に与え、白髪を防ぐ仕組みです。薄毛対策を兼ねた注射もあり、髪で若々しい印象を与えるための効果的な治療のひとつとなるでしょう。

また、白髪は、老化や生活習慣だけではなく、病気が原因で生えることもあります。白髪が増え始めるのと同時に身体の不調が現れたら、次のような病気を疑いましょう。

  • 悪性貧血
  • 甲状腺機能低下症
  • 腎不全
  • 原田病

クリニックで医師による診察を受ければ、病気の早期発見が可能です。「たかが白髪」とあなどらず、気になることがあったらクリニックを受診しましょう。

おわりに

頭皮や健康な他の髪にダメージを与えるため、白髪を抜く行為はおすすめできません。見た目を改善するには、白髪を根本から短く切ったり、白髪染めを活用したりしましょう。

白髪が生えないよう根本的に改善するには、生活習慣を見直してみてください。食事で栄養を摂るなど健康的な生活習慣を意識し、髪を黒くするのに重要となるメラノサイトの働きを活性化することが大切です。

どうしても症状が気になる方は、クリニックで治療を受けることも検討しましょう。

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