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【医師監修】フケの原因とフケをなくす対策について解説!実は皮膚病の可能性も!?

フケの原因とフケをなくす対策について解説!実は皮膚病の可能性も!?
小渕 英里 富士見スキンクリニック飯田橋 院長

監修者
小渕 英里 富士見スキンクリニック飯田橋 院長

日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医。東京女子医科大学卒、同大学病院東医療センター、都内クリニック勤務を経て、2021年9月に飯田橋駅西口すぐに「富士見スキンクリニック飯田橋」を開院。 皮膚科専門医として患者さまの悩みやご希望をお伺いし、保険診療/美容自費治療の両面から最適な治療方法をご提案しています。

「毎日シャンプーをしているのにフケが多い」と悩んでいる方もいるかもしれません。頭皮を清潔にしているつもりでも、意外なところにフケの原因があることも。このコラムでは、フケの原因とフケが出ないようにする対策について解説します。場合によっては皮膚病の可能性もあるので、症状や治し方についても詳しく説明していきましょう。

フケが発生する仕組みとフケの種類

1.フケが発生する仕組みとフケの種類

フケというと不潔なイメージを持つ方も多いでしょう。しかし、毎日髪の毛を洗って清潔にしていてもフケが出てくるのはなぜでしょうか。フケが発生する仕組みと、種類について解説します。

フケが出るしくみ

フケは、頭皮から出る老廃物です。肌から出る垢のようなもので、どんなに清潔にしていてもフケは発生します。皮膚には「ターンオーバー」といって、約1ヵ月の周期で生まれ変わる機能が備わっています。このターンオーバーによって剥がれ落ちた古い角質がフケです。フケは誰にでも発生するものですが、通常は小さく、洗髪すると洗い流されるので目立つことはないでしょう。

フケには2タイプある

頭皮には、汗や皮脂などを栄養にしている「マラセチア菌」という常在菌が存在しています。適度な皮脂は頭皮に潤いを与え、マラセチア菌は細菌や雑菌の侵入を防ぐ役割を果たしています。

しかし、何らかの原因により、皮脂やマラセチア菌が多過ぎたり少な過ぎたりすると、ターンオーバーのリズムが崩れてしまい、フケが大量に発生してしまいます。フケは「乾性フケ」と「脂性フケ」の2種類に分けられ、同じフケでも形や性質、発生する場所が異なります。以下で詳しく解説します。

乾性フケ

乾性フケ

「乾性フケ」は、カサカサと乾燥していて、白く細かいフケです。肩にパラパラと落ちてくることが多く、頭皮も乾燥しています。洗浄力の強いシャンプー剤の使用や過度な洗髪により、必要以上に皮脂が落とされてしまうことが原因です。皮脂が少なくなると、ターンオーバーのリズムが早まり、未熟な角質細胞まで剥がれ落ちてしまいます。また、乾燥肌の方は頭皮も乾燥しやすく、乾性フケができやすいでしょう。空気が乾燥する、秋から冬の寒い時期も乾性フケで悩む方が多くなります。

脂性フケ

「脂性フケ」は白~やや黄色がかったフケで、湿り気がありベトベトしています。大きな塊となって髪の毛の根元に付いており、頭皮や髪の毛に貼り付くのが特徴です。洗髪不足などにより皮脂が過剰になると、マラセチア菌が増殖してターンオーバーが乱れ、大量のフケが発生します。そして酸化が進むと汚れやホコリを吸着し、ベトベトした脂性フケになります。

もともと脂性肌の方は、頭皮にも汗や皮脂が多く発生しやすいので、脂性フケになりやすいでしょう。湿度の高い梅雨時期や夏場にも多くなります。

フケが出る理由はさまざま

フケの原因はさまざまですが、頭皮の乾燥によるものが多いとされています。ここでは、フケが出る理由を詳しく説明していきましょう。

頭を洗い過ぎている

2-1.頭を洗い過ぎている

フケが気になるとシャンプーをし過ぎてしまうことがありますが、それは逆効果です。シャンプーは頭皮を守っている皮脂も同時に洗い流してしまいます。そのため、何度も髪の毛を洗うことや洗浄力が強いシャンプーの使用は、頭皮を乾燥させる原因になります。皮脂が少なくなり頭皮が乾燥してしまうと、角質が剥がれてフケが生じてしまいます。

季節の変わり目や紫外線の浴び過ぎ

秋から冬の寒い季節は肌が乾燥しやすいですが、頭皮も同じです。乾燥した外気や暖房によって頭皮が乾燥すると、乾性フケが発生しやすくなります。頭皮にダメージを与える原因のひとつとして、紫外線も挙げられます。

特に夏場の紫外線は、頭皮が日焼けをすると赤くなり、そのあと剝がれ落ちてフケとなります。また、頭皮の皮脂は紫外線によって酸化するため、それが刺激になってフケを増加させてしまうこともあります。

不規則な生活習慣

不規則な生活もフケが出る原因のひとつです。生活習慣が乱れると肌荒れを起こしやすいように、頭皮も荒れてフケの発生につながることがあります。肌細胞の調整や修復に必要な「成長ホルモン」は、午後10時~午前2時の間が多く分泌されるといわれています。

皮膚のターンオーバーを促すためにも、充分な睡眠が大切です。また、偏った食事も頭皮に良くありません。栄養のあるものをバランス良く摂るようにしましょう。

ストレス

2-4. ストレス

ストレスで自律神経のバランスが崩れてしまうと、血流にも影響が出ます。頭皮のターンオーバーがスムーズに行われず、フケを発生させてしまう原因にもなります。血流が悪くなると、フケだけではなく抜け毛のリスクも高まってしまいます。フケを防ぐためにはストレスを軽減し、ホルモンバランスを整えるようにしましょう。

男性と女性の頭皮環境の違い

男性と女性で皮脂の分泌量には差があります。男性の皮脂分泌量のピークは20歳頃で、その後あまり減ることなく60代を迎えます。女性は30代です。男性の場合は「男性ホルモン」が大きく影響しているので、ピークの期間が長くなっており、頭皮の皮脂は女性に比べて男性の方が多い傾向にあります。

その一方で、男性の頭皮は女性より水分が失われやすいというデータもあり、頭皮は乾燥しやすい環境でもあるようです。女性は、更年期を迎える40代半ば~50代半ば頃から女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量が減り、同じく乾燥しやすくなります。乾燥が進むと皮膚の角層に水分を保てなくなり、フケだけではなくかゆみも起こりやすくなります。

フケが多いのは皮膚の病気である可能性も

フケが出る原因についてご説明しましたが、フケが多いのは皮膚の病気である可能性もあります。ここではフケの多い場合に考えられる病気について解説します。該当する場合は医療機関を受診して、適切な処置をしてもらうことが大切です。

乾燥性の湿疹の可能性

4-1.乾燥性の湿疹の可能性

乾燥性の湿疹は、乾燥を放置したことにより湿疹となった状態です。治療にはステロイド外用薬が用いられ、頭部に使いやすいタイプのローションやシャンプーが処方されます。乾燥性の湿疹は、保湿剤の使用で対策できます。

ローションやスプレータイプのものがあるので、こまめに使うことで湿疹を防ぐことができるでしょう。一日に何度も髪の毛を洗ったり、シャンプー時に擦り過ぎたりすると、頭皮を傷付けてフケや乾燥を悪化させる原因になります。シャンプーは頻度や洗い方にも気をつけながら、しっかりと泡立てて洗いましょう。

脂漏性皮膚炎の可能性

脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)は、皮脂の多いところに出やすく、皮膚の赤みを生じる皮膚炎のことです。銀白色や黄色のフケで、頭だけではなく顔や脇など、皮膚の擦れるところにも見られます。

治療には、ステロイド外用薬や抗真菌薬、抗ヒスタミン薬を使用します。ステロイド外用薬は、炎症を抑えるのに有効です。抗真菌薬は、原因菌であるマラセチア菌の増殖を抑えてくれる働きがあります。

抗ヒスタミン薬はかゆみ止めの薬で、かゆみが強い場合に処方される薬です。脂漏性皮膚炎は、ストレスやビタミンB群の不足によっても起こりやすいとされています。健康的な生活をしてストレスをため込まず、バランスの整った食事を心掛けましょう。

乾癬の可能性

乾癬(かんせん)は、カサカサしたかさぶたのようなものが身体のさまざまな場所にできる病気です。頭皮に症状が出ると、フケが付いているように見えます。

一般的に頭だけではなく身体にも症状が出るので、乾癬を疑う場合は、全身も確認してみましょう。治療法には、ステロイド外用薬や活性型ビタミンD3軟膏、紫外線療法などがあります。ステロイド外用薬は、先述したように炎症を抑えてくれる薬です。活性型ビタミンD3軟膏と紫外線療法は、免疫の異常を整えるのに用いられます。

その他にも、症状に合わせて内服薬や注射薬があります。乾癬の発症は、ストレスや高脂肪食が原因といわれているので、規則正しい生活や栄養の整った食事をすることも大事になります。

白癬菌の可能性

4-4.白癬菌の可能性

白癬菌(はくせんきん)はいわゆる水虫です。白癬菌が頭部に感染すると、「頭部白癬」として発症します。カサカサとした領域が円形状に広がってあらわれ、髪の毛が抜けたり切れたりします。感染するため、不特定多数の方と同じマットで戦う格闘技や柔道などのスポーツをしている方は、特に注意が必要です。治療には抗真菌内服薬が処方されます。

白癬菌は湿っているところを好むので、清潔を保つようにすることが大切です。帽子などをかぶる場合は定期的に洗うようにしましょう。帽子やシャツ、タオルなどの共用はやめましょう。

頭皮はご自身で症状を確認しにくいこともあり、知らない間に悪化して、フケだけでなく浸出液や脱毛を生じてしまう場合もあります。早めに医療機関を受診することをおすすめします。

効果的なフケ対策とは?シャンプーのしかたや生活習慣の見直しを

毎日のシャンプーやドライヤーのかけ方でフケを防ぐことができます。ご自身で簡単にできるセルフマッサージもご紹介するので参考にしてみてください。

シャンプーの種類とやり方を見直す

フケが気になり、一日何度もシャンプーをしてしまう方もいるかもしれません。しかし、洗い過ぎは乾燥の原因となり、皮膚のバリア機能が壊れてしまうこともあります。そんな時は、薬用シャンプーを使用してみるのも良いでしょう。

シャンプーは主に「アルコール系シャンプー」、「石鹸系シャンプー」、「アミノ酸系シャンプー」に分類することができます。アルコール系と石鹸系シャンプーは、洗浄力が強く必要な皮脂まで取り除かれてしまうリスクもあります。フケ対策におすすめなのはアミノ酸系シャンプーです。低刺激で頭皮や髪の毛に優しい成分で作られているのが特徴です。シャンプー剤はさまざまな種類があるので、選ぶ時は成分を確認するようにしましょう。

乾性フケの方は、シャンプーを使わずシャワーで流すだけの日を設けるのもひとつの方法です。一方で脂性フケの方は、洗髪不足が原因となっていることが多いので、洗髪の頻度を増やして清潔を保つようにしましょう。

ここで頭皮を傷付けない洗髪方法をご紹介します。正しい洗い方をマスターしましょう。

  1. シャンプーはそのまま頭皮に付けず、手に取り泡立てる
  2. 指の腹を頭皮に当て、頭皮をマッサージしながら洗う
  3. 38℃くらいのぬるま湯で約3分すすぐ

ポイントは頭皮をやさしく洗い、しっかりとすすぐことです。洗髪の回数が多過ぎると必要な皮脂まで落としてしまうため、1日1回または2日に1回くらいが理想とされています。

頭皮の保湿やセルフマッサージをする

5-2.頭皮の保湿やセルフマッサージをする

頭皮の保湿やマッサージなどのケアは、フケ対策にもなります。マッサージは頭皮の血行を良くするので、シャンプーの前や就寝前などにマッサージをするのも良いでしょう。マッサージの方法を以下で説明します。マッサージは爪を立てず、リラックスして行いましょう。

  1. 両手の指の腹を使って頭皮の地肌全体を優しく押さえる
  2. 生え際から頭頂部に向かって押さえ指圧する
  3. 指先で頭皮を軽くつまみ上げてマッサージをする
  4. 両手のひらで頭を抱えるように押さえ、円を描くように地肌を揉む

ポイントは、痛気持ち良いくらいの力で、指の腹を使って指圧することです。じんわりと圧をかけたら、ゆっくりと力をゆるめましょう。

ドライヤーの正しい使い方をマスターする

高温のドライヤーも、頭皮を乾燥させる原因のひとつです。ドライヤーの吹き出し口は100℃くらいまで上昇することもあり、必要以上に水分を蒸発させてしまいます。ですが、自然乾燥も頭皮や髪の毛を痛める原因になるので正しくドライヤーをかけましょう。

  1. タオルで頭皮や根元の水分を拭き取る
  2. 髪の毛から約10㎝離してドライヤーの風を当てる
  3. ドライヤーを振りながら頭皮と根元を乾かす
  4. 根元が8割くらい乾いたら毛先に向かって乾かす

最終的には、根元が8割ほど乾いていれば毛先は半分くらい乾いていなくても構いません。根元をしっかりと乾かすことがポイントです。

生活習慣を見直す

フケの発生は、生活習慣の乱れが原因になっていることもあります。皮膚のターンオーバーを促すためには、充分な睡眠が大切です。特に成長ホルモンの分泌が活発な午後10時~午前2時には眠るようにしましょう。

健康な頭皮を保つためには、バランスの良い食事も大事です。特に脂性フケの方は、ナッツ類など皮脂の分泌を増やす働きのある食材を避け、レバーや魚などビタミンB2・B6を多く含む食品を摂るようにしましょう。

また、長時間紫外線を浴び続けると、皮脂の酸化を招き、地肌に刺激を与えやすいので注意が必要です。喫煙は毛細血管を収縮させ、血行不良を起こすとされているので、ほどほどにしましょう。

習慣化していることの中に、良くない習慣があるかもしれません。まずは習慣やシャンプーを見直してみてください。適切な対処をして良好な頭皮環境を維持したいですね。

おわりに 

おわりに 

フケはどんな健康な方にでも発生します。しかし、頭の洗い過ぎや紫外線、生活習慣の乱れなどから悪化する可能性もあります。毎日のケアで防ぐこともできるので、髪の毛の洗い方やドライヤーの使い方、マッサージなど正しい知識を身に付けることが大切です。薬用シャンプーも有効なので、フケのタイプに合ったシャンプーを選ぶと良いでしょう。

また、フケが多いのは皮膚の病気である可能性もあるので、医療機関を受診して適切な処置を行うことも大切になります。フケに悩まされないように、まずは健康的な生活を心掛けましょう。

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