昔の写真や鏡に映った自分を見て、認めたくないけど「老い」を感じてしまった…という経験はありませんか?老化は誰にでも訪れるものですが、いつまでも若々しくありたいものです。では、若々しくあるためには、どんなことに気をつければ良いのでしょうか。このコラムでは、アンチエイジングに良い食べ物や飲み物、食生活のポイントをご紹介します。
老ける主な5つの原因
老ける原因にはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、老ける主な5つの原因をご紹介します。
遺伝子の働き
老化のスピードは、人により異なりますが、これには長寿遺伝子(サーチュイン遺伝子)が関係しています。長寿遺伝子の働きが鈍くなると、体内に活性酸素が蓄積し、傷付いた細胞の修復が行われなくなり老化が進みます。老化のスピードを遅らせるためには、長寿遺伝子を活性化させることが鍵となるでしょう。
甘味料・糖分の過剰摂取
甘味料や糖分の過剰摂取は、老化につながりやすいといえます。特に、清涼飲料水に含まれることが多い人工甘味料は、老化を促進するAGE(終末糖化産物)と呼ばれる悪玉物質を一般的な糖の10倍ものスピードで作り出します。また、甘いお菓子や果物の食べ過ぎもAGEが作り出される原因となりますので注意しましょう。
糖化によるこげつき
糖化とは、老化を進める原因として注目されている現象です。食事で過剰に摂取した糖分は、エネルギーとしては使用されず余った糖質が脂肪やタンパク質と結び付いて細胞を劣化させると考えられています。
糖化は「身体のこげつき」とも呼ばれており、ヒアルロン酸やコラーゲン、エラスチンなどをつくる肌の細胞にもダメージを与え、黄くすみ・シミ・シワ・たるみなどを招きます。また、糖化で頭皮の真皮層が硬くなることで、毛髪をつくる活力が低下し、髪のハリやツヤなど髪質にも悪影響を及ぼします。
活性酸素によるサビつき
老化の原因には、活性酸素による身体のサビつきも関係しています。鉄が酸化をしてサビるように、人間の身体も酸化をすると「サビ」ができるのです。活性酸素は、ウイルスや病原菌から身体を守ってくれる一方で、過剰に発生すると細胞にダメージを与えます。
そして、ダメージを与えられた細胞は、スムーズな働きができません。この現象が「身体が酸化する」状態に当たります。活性酸素は、呼吸により体内に取り込まれた酸素だけではなく、ストレス・喫煙・電磁波などからも生じるものです。活性酸素により身体がサビつくことで、シミやたるみといった肌トラブルが引き起こされる可能性もあります。
紫外線による肌老化
紫外線も老ける原因のひとつです。紫外線は、波長の長さにより「UVA(紫外線A波)」「UVB(紫外線B波)」「UVC(紫外線C波)」の3種類に分けられます。なかでも波長が長いUVAは、肌の深部にまで到達し肌のハリを維持するコラーゲンやエラスチンを作る細胞を傷付けてしまうのです。この現象は、「光老化」と呼ばれ、シワやたるみへとつながる恐れがあります。
食べ物で老ける!? 老化物質の「AGE」
普段どのような食べ物を摂っているかによっても、老化の進行するスピードが変わります。なかでも老ける食べ物として挙げられるのがAGE(終末糖化産物)を多く含んだ食べ物です。
AGEは、糖とタンパク質が加熱することでできる物質のことで、強い毒性を持ち、老化が進む原因となります。AGEは食べ物に含まれており、消化の過程で約7%が体内に蓄積するといわれていますが、AGEが体内で増えると、血管や肌、骨などが老化していくのです。肌のコラーゲンが糖化しAGEが増えた場合、シミやシワの原因となることもあります。さらに、AGEは骨粗鬆症・動脈硬化といった加齢に伴うあらゆる病気につながる恐れがあるのです。老化を抑えるためにも、普段食べているものを見直し、AGEが多い食品はなるべく控えるようにしましょう。
老ける要注意な食べ物・飲み物
ここでは、老化を早める要注意な食べ物・飲み物について解説していきます。
菓子類・清涼飲料水
菓子類と清涼飲料水に多く使われている果糖ブドウ糖液などの人工甘味料は、一般的な糖よりもAGEが蓄積されやすいとされています。また、小麦粉や砂糖がふんだんに使用され、油で揚げられていることが多いスナック菓子類も、AGEが多いうえに糖を過剰に摂取することにもなるため注意が必要です。
加工肉(ハム•ソーセージなど)
ハムやソーセージなどの加工肉は、長期保存できるようにするため、製造の過程で水分などを除去している場合が多いです。これにより、糖とタンパク質が結合しやすくなりAGEが増えると考えられています。また、砂糖を使っているものであれば、AGEはさらに増加するため注意が必要です。
高温調理を施した食品
油を使って食品を高温調理すると、AGE量が急激に増加し、その結果、食品の糖化が促進されると考えられています。とりわけ古い油は、糖化だけでなく酸化もしやすいため注意しましょう。老化を防ぐために、できる限り揚げ物を避け、生の食品、もしくは「蒸す・茹でる」調理の食品を選ぶと良いでしょう。
ファストフード
ファストフードは、短時間で多くのお客様に提供するために、高温調理した揚げ物がメインとなることからAGEが高い傾向にあります。ファストフード店のフライドポテトは、茹でたイモに比べ90倍ものAGE量ともいわれているのです。セットとなっているメニューも、ハンバーガーや清涼飲料水といったAGEの多い食べ物なので、なるべく控えるようにしましょう。
アンチエイジングに良い食べ物
ここでは、アンチエイジング効果が期待できる食べ物をご紹介します。
野菜・きのこ・海藻
野菜をはじめ、きのこや海藻には、アンチエイジングに欠かせないミネラルやビタミンが含まれています。1日に緑黄色野菜100g、淡色野菜200g、きのこや海藻類50gを目安に摂るようにしましょう。
にんじんのβカロテンやトマトに含まれているリコピンなどは抗酸化作用があり、肌にも良い栄養素なので、積極的に取り入れてほしい食材です。また、きのこや海藻、イモ類には食物繊維が豊富に含まれており、糖化の予防効果も期待できます。
肉・魚・卵
動物性タンパク質の肉・魚・卵もアンチエイジングのために取り入れてほしい食べ物です。タンパク質に含まれるアミノ酸は、ハリのある肌を作るコラーゲンの材料となります。厚生労働省が推奨している1日のタンパク質摂取量は、成人男性の場合60g、成人女性の場合50gが目安です。
脂肪分の少ない鶏ササミ肉や白身魚などを選び、さらに茹でる・蒸すなどの油を使わない調理をすると摂取カロリーも抑えられます。
ナッツ類
くるみやアーモンドといったナッツ類は「若返りのビタミン」として知られるビタミンEが多く含まれています。ビタミンEは、血行促進の効果や新陳代謝を活発にする効果、さらに肌のターンオーバーを正常に近付ける効果が期待できる栄養素です。また、ナッツにはミネラルも豊富に含まれています。ミネラルは、髪や肌の栄養となり、発毛や美肌にも良いとされている栄養素です。ただし、ナッツは脂質が多いため、食べ過ぎに注意し、1日25g程度を目安としましょう。
大豆・大豆製品
大豆は、アンチエイジングに役立つ栄養素である植物性タンパク質・イソフラボン・ビタミンEなどを豊富に含んでいます。特にイソフラボンは、女性ホルモンのエストロゲンと似た性質を持っており、髪や肌の潤いを守ってくれる働きのある栄養素です。
女性のエストロゲンの分泌は、30代後半から減り始め、閉経前後では卵巣機能が低下してさらに減少します。そのため、大豆イソフラボンを日々の食事に取り入れることが、アンチエイジングにもつながるのです。
発酵食品
発酵食品もアンチエイジングに良い食べ物のひとつです。ポリフェノールやフラボノイド、カロテンなどの抗酸化物質は、発酵させることで体内に取り込みやすくなります。また、腸内環境の改善や免疫力アップも期待できるので、納豆やヨーグルト、味噌などを積極的に取り入れるようにしましょう。朝食にヨーグルト、夕飯に漬物など、毎日複数の発酵食品を少しずつ食べるのが望ましいです。
デザイナーズフード
デザイナーズフードとは、1990年にアメリカの国立がん研究所より発表されたがん予防効果のある植物性食品のことです。デザイナーズフードとして挙げられるものは、野菜と果物を中心に約40種類あります。
がんだけではなく、生活習慣病の予防や免疫力アップにも効果が期待できると考えられており、アンチエイジングの観点からもぜひ取り入れてほしい食品です。デザイナーズフードとして最も優秀であるとされているのが、ニンニク。続いて、キャベツ・にんじん・トマトなどが挙げられます。
アンチエイジングに良い飲み物
続いて、アンチエイジングに良い飲み物をご紹介します。
赤ワイン
赤ワインには、長寿遺伝子を活性化すると考えられているレスベラトロールを含んでいます。さらに強い抗酸化作用を持つポリフェノールも豊富に含まれており、血液をサラサラにしてくれる効果や動脈硬化の予防効果も。ただし、いくら効果が期待できるからといって、飲み過ぎには注意しましょう。1日にグラス1杯〜2杯までを目安にし、休肝日も設けましょう。
緑茶
緑茶は、抗酸化作用のあるポリフェノールを多く含む飲み物です。苦味成分のカテキンもポリフェノールの一種であり、生活習慣病のリスクを低下させる効果が期待できます。1日200mlを目安とし、何回かに分けて飲むようにしましょう。
コーヒー
コーヒーには、ポリフェノールの一種であるクロロゲン酸が豊富に含まれています。クロロゲン酸は抗酸化作用を持っており、免疫バランスを調整する役割があるのです。また、コーヒーには利尿作用があり、老廃物の排出とむくみ解消の効果も期待できます。しかし、水分不足になりやすいともいえるため、同時にミネラルウォーターなどで水分補給するようにしましょう。
硬水ミネラルウォーター
アンチエイジングに良い飲み物のひとつに、硬水ミネラルウォーターが挙げられます。硬水は、マグネシウムやカルシウムといったミネラルが豊富です。マグネシウムは、血管を若々しく保つ作用があり、カルシウムは、骨や歯を丈夫に保ってくれます。ミネラルが豊富に含まれる硬水は、飲みづらさを感じたり、お腹が一時的にゆるくなったりするケースもあるようです。慣れるまでは、少しずつ飲むようにしましょう。
アンチエイジングのために!心掛けたい食生活のポイント
アンチエイジングのために食生活で意識することをご紹介します。
腹八分目に抑える
長寿遺伝子が活性化するためのスイッチとなるのが「空腹」であるということがわかっています。そのため、満腹になるまで食べず、摂取カロリーを抑えるように意識しましょう。また、炭水化物を摂りすぎると、余分な糖が体内のあらゆる細胞にくっついて細胞の糖化が引き起こされます。タンパク質やビタミン、ミネラルなどをしっかりと摂って、炭水化物や脂質の摂取を抑えた腹八分目の食事を心掛けましょう。
食べる順番を意識する
食物繊維豊富な野菜などから食べ始め、次にタンパク質の肉・魚、その後に炭水化物のパンやご飯を食べるようにしましょう。この順番で食べることにより、炭水化物が消化吸収のスピードが緩やかになり、血糖値の急激な上昇を防げます。
また、食べる時は、ゆっくりとよく噛んで食べるように心掛けましょう。消化の促進や食べ過ぎの防止、活性酸素の活性化を減少できるなどのメリットがあります。
決まった時間に食事を摂る
朝・昼・夕の食事を、決まった時間に食べるようにしましょう。なかでも朝食は重要です。朝食を抜いてしまうと低血糖状態が続き、血糖を補うためにインスリン拮抗ホルモンが昼食前に大量分泌されます。その状態で昼食を摂ると、血糖値が急上昇して血糖値を下げる作用があるインスリンが分泌されるのです。このように血糖値の上下が激しいと、体調不良の原因となります。また、次の食事までの時間が長くなった場合、低血糖状態が続いて脳は飢餓を認識し、食欲のコントロールができなくなる可能性も。その結果、ドカ食いをして太りやすくなるという悪循環が生じるため注意しましょう。
日常生活に取り入れたい!アンチエイジング対策
ここでは、アンチエイジングのために日常生活で意識してほしいポイントをご紹介します。
質の良い睡眠を取る
アンチエイジングには、質の良い睡眠が大切です。寝ている間に「成長ホルモン」と呼ばれる物質が体内で分泌されます。成長ホルモンは、肌のハリや弾力を作るコラーゲンやヒアルロン酸の材料となる線維芽細胞の増殖に大きく関係する物質です。眠りが深いと成長ホルモンが多く分泌される傾向にあるため、寝る前のスマホやパソコンの使用など、眠りが浅くなる行為はなるべく控えましょう。
紫外線対策をする
老化の原因となる紫外線対策も、アンチエイジングに役立ちます。日焼け止めクリームや帽子、サングラスなどを上手に活用して、肌に当たる紫外線を防ぎましょう。曇りや雨の日であっても紫外線は降り注いでいるため、紫外線対策は天気に関係なく行うことをおすすめします。
適度な運動をする
筋肉量や骨密度は、何もしなければ加齢とともに減少していきます。それらを保つためには、適切な運動が必要です。アンチエイジング対策において有効とされる運動には、有酸素運動・筋トレ・ストレッチが挙げられます。適度な運動をすることで、成長ホルモンの分泌や血行促進、基礎代謝のアップが期待できるでしょう。
お酒・タバコを控える
お酒は、体内における代謝の過程で「アセトアルデヒド」という物質が作られ、タンパク質と結合して糖化と似たような反応を起こします。その際に、AGEが作り出されてしまうので、なるべく控えるようにしましょう。
また、タバコもアンチエイジングには大敵です。喫煙することで、身体の酸化を促進させます。さらに、ビタミンCを消耗させるため、シミやシワの原因にもなってしまうのです。老化を進めないためにも、飲酒や喫煙の習慣を見直しましょう。
おわりに
アンチエイジングは、日頃身体に取り入れる食べ物や飲み物をどう選択するかが大きく関係しています。老化を進める食べ物をなるべく控え、必要な栄養素が摂れる食べ物や飲み物を食事に取り入れましょう。ぜひ、この記事を参考に食生活や生活習慣を見直してみてくださいね。