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NMNで未来はどう変わる? 抗老化物質として話題のNMNを徹底解説!

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村上 友太 医師・医学博士

監修者
村上 友太 医師・医学博士

福島県立医科大学医学部卒業。初期臨床研修修了後、福島県立医科大学脳神経外科学講座に入局。2019年同講座助教。2022年3月より、東京・新橋にある東京予防クリニックの院長として、一般内科疾患や脳神経疾患、予防医療を中心に診療している。脳神経外科専門医、脳卒中専門医、神経内視鏡技術認定医、抗加齢医学専門医。認知症学会会員、内科学会会員。医師の副業プラットフォーム「頼めるドクター」を主宰

新しいエイジングケアの方法として、メディアや雑誌などで取りあげられる機会も多いNMN。名前は聞いたことがあるけれど、中身についてはよく知らない、という方も多いのではないのでしょうか?NMNとはどのような物質なのか、注目されている理由や取り入れ方まで、詳しく解説いたします。

NMNは、「ニコチンアミドモノヌクレオチド(Nicotinamide mononucleotide)」を略した言葉です。ニコチンアミドモノヌクレシオチドは、ビタミンB群の中に含まれる成分であり、私たちヒトをはじめとする、生き物の細胞に存在しています。

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NMNとは

このNMNに注目し、マウスを使った実験をしたところ、生後5ヶ月から1年間NMNを飲ませたマウスは、人の60代にあたる17ヶ月になっても若いときと同じように活発に動き、骨格筋、肝臓、脂肪などの遺伝子変化が抑えられた、という抗老化がみられました。

参照元:日経ビジネス/若返り薬「NMN」が、超高齢化の日本を救う

その他にも、マウスを用いたアルツハイマー型認知症の研究では、「10日間のNMN投与で認知機能が回復した」という報告があります。

参照元:日経BP 今井眞一郎ワシントン大教授が語る「NMN、抗老化効果の真実」

東京大学が、実際にヒトを対象にNMNを投与する実験を行ったところ、「NMNで高齢男性の運動機能が改善した」という研究発表もあります。

参照元:東京大学医学部付属病院

このように、抗老化が期待できる研究が次々とされる一方で、NMNは食事などから摂るのが難しく、NMN125mgを摂取するにはトマトなら300個、アボカドなら200個、ブロッコリーなら2000房という膨大な量が必要です。

参照元:日清ファルマ/次世代成分として注目の「NMN」とは?

NMNで抗老化できるメカニズム

次に、NMN摂取が抗老化につながるメカニズムをみてみましょう。体内に入ったNMNは、NAD(ニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチド)という補酵素に変換されます。

NADに変換されてNADの量が増えると、長寿遺伝子とも呼ばれるサーチュイン遺伝子を活性化するため、抗老化につながるといわれています。

NADはNMNのように、直接体内へ取り込めません。消化管で分解されてしまうため、NMNを摂取し、NADからサーチュイン遺伝子へアプローチする方法に注目が集まっているのです。

参照元:日経BP 今井眞一郎ワシントン大教授が語る「NMN、抗老化効果の真実」

NMNの安全性は大丈夫?

先ほど触れたように東京大学をはじめとする日本の大学でも、すでにヒトを対象としたNMNの安全性臨床試験などの研究がはじまっています。

慶応義塾大学医学部では2019年、1日あたり500mgまでのNMNであれば、安全に使用できると発表しました。その後、三菱商事ライフサイエンスの安全性確認を目的としたヒト臨床試験で、1,250mg/日、4週間でも問題となる有害事象が認められなかったと確認されています。

参照元:食品と開発/NMNのヒト安全性評価を綿密に

老化防止のために……と、飲み過ぎてしまうのは危険ですが、安全に使用可能とされている範囲であれば、身体に問題のない成分といえます。

取り入れる場合は量だけでなく、安全な工場で製造されているかどうか、原料やカプセルの質などにも注意して、不安なく口にできる製品を選びましょう。

NMNはどう摂取する?

NMNの人気が高まり、最近はドラッグストアやインターネット通販でもNMNの入った商品を見かけるようになりました。

NMNをはじめるなら、このような身近で購入できるサプリメントから摂取する方法、もしくはクリニックで点滴を受ける方法があります。それぞれの違いをみてみましょう。

NMNサプリメント

NMNサプリメントは、カプセルに入ったNMNを水などで飲む方法です。NMNの吸収を良くするために、サポート成分が入った商品もあります。自宅にいながら注文できる点、通院なく気軽に続けられる点が、サプリメントのメリットです。

NMN点滴

美容クリニックなどを中心に、NMN点滴のメニューが用意されています。初回は1~2週間に1回、その後は月1回のペースで点滴に通い、NMNを身体に取り入れます。所要時間は15~20分程度です。

NMN点滴は多くのクリニックで受けられるメニューですが、NMN研究の第一人者であるワシントン大学医学部の今井眞一郎教授が、点滴での投与に警鐘を鳴らしてします。点滴の安全性が確立されていないこと、大量にNMNを投与してしまうと逆にNADを壊すという研究結果があることからです。つまり、NMNはサプリメントでの摂取がおすすめなのです。

参照元:日経BP/今井眞一郎ワシントン大教授が語る「NMN、抗老化効果の真実」

NMNサプリメントの選び方

軽に購入できるのがNMNサプリメントの魅力ですが、種類が多すぎて迷ってしまうという声が少なくありません。NMNサプリメントを選ぶなら次の5つの点に注意して、商品を選択しましょう。

1.NMNの含有量

NADを増やし、サーチュイン遺伝子を活性化させるために、1日あたりの含有量が500mg程度、しっかり含まれているサプリメントを選びましょう。

中には、「金額は安いけれど、1日あたりのNMN量がほんの少しだった」「1ヶ月分10万円以上もするのに、NMN量が300mgに満たなかった」という製品もみられます。

サプリメント選びで失敗しないために、1日量でどのくらいのNMNを摂取できるのか、事前にたしかめておくと安心です。

2.NMNの品質

NMNと一言でまとめがちですが、サプリメントに含まれている原料の質は、商品やメーカーによってさまざまです。NMN製品が増えていることもあり、中には質の悪いサプリメントや、何が混ざっているのかわからないサプリメントもあります。

個人輸入などで海外のNMNサプリメントを購入するよりも、国内メーカーが製造、検査している商品を購入することをおすすめします。NMNをはじめるなら、NMNの純度が高い製品、きちんと検査結果を提示している製品を選びましょう。

3.NMNの販売元

NMNの人気で、サプリメント製造、販売に乗り出す企業が増えています。その結果、質の良くないNMNサプリメントも、残念ながら市場に出回ってしまっています。

安心して購入、継続するためにも、大手メーカーのNMNサプリメントもしくは、以前からNMNを取り扱っている老舗メーカーのサプリメントを選択すると安心です。

販売ページに成分や検査結果がきちんと掲載されているメーカー、製造環境が記されているメーカーの商品を選んでみてください。

4.NMNの飲みやすさ

NMNサプリメントは、毎日継続することで、抗老化が期待できます。この時、大きなボトルに入っていて持ち運びづらかったり、カプセルが大きくて飲み込むのがつらかったり、という商品では、継続に支障がでてしまいます。

飲み込みやすいサイズのカプセルかどうか、個包装やシートタイプになっていて、持ち運べるかどうか、といった点もチェックしてみましょう。

5.続けやすい価格

NMNは体内に留まらず、余計に摂取しても尿から排出されるといわれています。そのため、毎日決まった量を、継続するのが重要です。

未来の自分のために、NMN習慣を取りいれるなら、お財布に負担の少ない、続けやすい価格の商品を選びましょう。続けやすい価格のNMNの中から、高品質なサプリメントを探して、新世代のエイジングケアをはじめてみましょう。

NMNを取り入れる際の注意点

NMNをはじめる前に、知っておくべき注意点があります。間違った取り入れ方をしてしまわないために、事前に覚えておきましょう。

注意点1:若い世代は変化を感じにくい

将来老けたくないから、と20代30代でNMNサプリメントを検討するケースがみられます。ですが、サーチュイン遺伝子が活発な若い健康体がNMNを摂取しても大きな変化はなく、40~50代以降に効果が期待できるといわれています。老化を自覚してからでも十分間に合うNMN。若すぎるうちに、むやみに飲む必要はないようです。

注意点2:妊娠中・授乳中のサプリメントは慎重に

NMNサプリメントを販売している企業の多くが、妊娠中・授乳中でNMNサプリメント摂取を検討する方へ、かかりつけ医に相談するよう促しています。

妊娠中、授乳中の世代はまだ若いこともあり、子育てが落ち着いてからの摂取でも大丈夫ですが、どうしても取りいれたい場合は、医師へ相談してみましょう。

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NMNで変わりゆく私たちの未来

マウスの若返り実験を行った、米国ワシントン大学の今井眞一郎教授。現在は、マウスだけでなくヒトを対象にしたNMNの実験がスタートしており、2020年には米国防省の予算が投入された、第二次臨床試験もはじまっています。

はじめの実験は糖尿病予備群で肥満かつ閉経後の女性(55~75歳)が対象で、第二次では糖尿病予備群で肥満の男女が対象となりました。この実験でヒトの抗老化につながる結果が出れば、よりNMNが普及する未来につながると予測されます。今後、どのような論文が発表されるのか、今から楽しみです。

2020年9月には、ハーバード大学医学大学院の教授であり、老化研究の第一人者であるデビッド・A・シンクレア教授による「老いなき世界」が、日本でも発刊されました。この書籍でも、NMNサーチュイン遺伝子やNADの活性化に触れられ、「老化は病気である」という新しい概念が吹き込まれています。

参照元:東洋経済ONLINE/科学的根拠が示す「老いなき世界」のリアル度

老化は誰もが当たり前に経験するもの、そんな私たちの常識を覆す未来が、もしかしたらこの先、待っているのかもしれません。

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