更新日
公開日

日焼けしたお肌のお手入れ方法

日焼けしたお肌のお手入れ方法
瀬戸 佳子 国際中医薬膳師・登録販売者

執筆者

国際中医薬膳師・登録販売者

瀬戸 佳子

早稲田大学理工学部卒、同大学院理工学研究科修了。北京中医薬大学日本校(現・日本中医学院)薬膳科卒業。会社員を経て、東京・表参道の「源保堂鍼灸院」併設の薬戸金堂で、漢方相談を行いながら東洋医学に基付いた食養生のアドバイスを行う。雑誌やWEBセミナーの講演などでも幅広く活躍。 『1週間で必ず体がラクになる お手軽気血ごはん』『季節の不調が必ずラク~になる本』(共に文化出版局)が好評発売中。

夏の暑さもひと段落し、秋の気配を感じるようになりました。夏の疲れとともに、気になるのが日焼けではないでしょうか。こんがり小麦色に綺麗に焼ければ良いのですが、現実はそうはいかず、シミやクスミになってしまうことも。

シミやクスミを作っているのは、夏の太陽だけではなく、普段の生活にも原因があるかもしれません。

東洋医学の知恵を活用して、シミやクスミのない綺麗なお肌を目指しましょう。

東洋医学で考える日焼け

1.東洋医学で考える日焼け

東洋医学では、夏は”陽気(ようき)”を育てる時期と考えます。夏の暑さや日差しの強さは必ずしも悪い影響ばかりとは考えません。

例えば、梅干しの最後の仕上げに土用干しをしますが、夏の日差しがあるからこそ適度に水分を蒸発させ、紫外線により殺菌もされ、保存食としても美味しさとしても完成するのです。

身体も同じく、夏の暑さや日差しによって、冷えが解消されたり、代謝が上がって水分の循環が促されたりするのです。

一方で、暑さや日差しにより、身体の水分が奪われ過ぎてしまって、もしくは適切な潤いが不足することによって、血液が煮詰まってしまうことがあります。東洋医学ではこれを「瘀血(おけつ)」と呼びます。熱中症の初期や、暑さが厳しい時期から秋にかけての肩こりや頭痛、身体のだるさなどはこの瘀血によることが多いです。

そして、この瘀血がシミやクスミの原因になります。

ですから、日焼けによるシミやクスミを予防するにはこの瘀血を少なくすることが大切なのです。

シミやクスミは外からケアするもの、と思っているかもしれませんが、瘀血は身体の中にあるものです。

身体の中の瘀血を減らせば、シミやクスミができにくい体質になります。瘀血が少なくなると、化粧品や美容液に頼らずとも透明感のある肌に近付くことができます。

普段の生活でシミやクスミの原因を作っていませんか

2.普段の生活でシミやクスミの原因を作っていませんか

シミやクスミができるのは、夏の日差しで血液が煮詰まって瘀血ができるから、とお伝えしましたが、実は瘀血の原因は普段の生活で増やしてしまっていることの方が多いのです。

大して日に当たっていなくても、シミやクスミが多かったり、肌の透明感に自信のない方は、瘀血が多い可能性があります。まずは瘀血体質でないかチェックしてみましょう。

瘀血体質チェック

  • 肩こりがある
  • 頭痛がある
  • クマができやすい
  • アザができやすい
  • 唇や舌が紫色
  • 静脈が浮き出ている
  • 生理痛がある
  • 生理に血の塊がある

当てはまる項目が多い方は瘀血が多くなってしまっているかもしれません。

ではどのようなことが日常生活で瘀血の原因となっているのでしょうか。日常生活で瘀血を増やしやすいことを挙げてみました。当てはまる項目がないかチェックしてみてください。

日常生活に潜む瘀血の原因

  • アルコールが多い
  • 乳製品の甘いものが多い(パン、ケーキ、アイス、甘い乳飲料など)
  • コーヒーが多い
  • 脂っこいもの(揚げ物、肉の脂など)や味の濃いものが多い
  • タバコを吸う
  • 寝不足
  • 目の酷使(PC、スマホ)
  • ストレス
  • 過労
  • 運動不足

現代社会ではどうしても瘀血が増えやすいライフスタイルになりがちです。当てはまる項目が少なくても、その項目の頻度が多かったりすると瘀血が多くなってしまいます。

瘀血の原因が多いと、せっかくの美白対策が無駄になってしまうことも多いです。まずは瘀血の原因となることをひとつでも減らしてみてください。

女性に多い、貧血と冷えによるお肌の不調

瘀血だけでなく、意外に多いのが貧血によるシミやクスミです。

これは肌の表面まで血液がいかず、老廃物=瘀血を回収できないために、シミやクスミができてしまうのです。日々治療院で患者さまを拝見していると、ほとんどの女性は貧血になってしまっています。

もし、シミやクスミと共に、お肌の乾燥、足のむくみがあるようなら、貧血による瘀血の可能性が高いです。貧血が解消すると、自然とお肌の透明感も増していきます。

瘀血対策とともに、鉄分の多いレバーやイカ、タコ、血合いの多い青魚、脂身の少ない肉をよく摂って、血液を増やすようにすると良いです。

同じく多いのが冷えによるお肌の不調です。特に夏は冷たいものや生ものをたくさん摂る方が多いので、胃腸の冷えによる血行不良が目立ちます。

血液の流れが悪いと、老廃物の回収もうまくいきませんので、美肌の大敵である瘀血が多くなってしまいます。

一日中冷房の効いた部屋の中にいると、どうしてもからだも冷えがちです。手足や下腹部を触って冷たい感じがあれば、冷えている可能性があります。冷たいものが多くならないように気をつけたり、ぬるめの温度で入浴したり、冷えを溜め込まないように気をつけましょう。

また、貧血の方は血液の量が少ないために末端まで血液を送ることができず、冷え性になっている方が多いです。その場合は貧血対策も同時に行うと良いでしょう。

なお、貧血や冷えは、シミやクスミだけでなく、肌の乾燥やシワの原因にもなります。どちらも一緒に対策できますので、解消して肌力アップを目指すと良いです。

シミ・クスミ対策のおすすめ食材

シミ・クスミを解消するのにおすすめの食材をいくつかご紹介いたします。いくつかの食材を組み合わせると、相乗効果が期待できます。

トマト 

トマト

夏の暑さにより奪われた水分を補いつつ、血流を良くしてくれる食材です。抗酸化作用もあり、夏の紫外線対策におすすめです。また、暑さを予防する効果や食欲増進効果もあります。

玉ねぎ

玉ねぎ

血液の流れを良くし、瘀血を予防してくれる食材です。食欲増進効果もあり、夏の疲れで落ちた食欲も回復させてくれます。胃が弱い方は加熱して食べるようにしてください。

青魚

青魚

青魚の脂は血液の流れを良くしてくれます。また、脳の血流も高めてくれます。血液が不足しがちで瘀血が多い方に良い食材です。鯖缶など缶詰もおすすめで、汁ごと使うとより良いでしょう。

酢

血流を良くし、疲労回復してくれる食材です。他の食材と一緒に摂ることで相乗効果もあります。胃が痛くなりやすい方は取り過ぎに注意しましょう。

クコ

クコ

抗酸化作用が強く、滋養強壮にも良いクコは美肌の食材でもあります。目が疲れやすい方、貧血ぎみの方やホルモンバランスが気になる方に特におすすめです。

ハイビスカス

ハイビスカス

血流を良くし、暑さにより疲れた身体を回復させてくれます。眼精疲労や消化不良にも良いです。ビタミンCの多いローズヒップと一緒に使うとさらに効果的です。

お肌がきめ細かく、透き通っているのは健康のバロメーターでもあります。瘀血を解消して、美肌と健康を手に入れる秋にしましょう。

よく読まれている記事

みんなに記事をシェアする