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【医師監修】低温やけどとはどのような状態?処置や予防の方法を知ろう

【医師監修】低温やけどとはどのような状態?処置や予防の方法を知ろう
小渕 英里 富士見スキンクリニック飯田橋 院長

監修者
小渕 英里 富士見スキンクリニック飯田橋 院長

日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医。東京女子医科大学卒、同大学病院東医療センター、都内クリニック勤務を経て、2021年9月に飯田橋駅西口すぐに「富士見スキンクリニック飯田橋」を開院。 皮膚科専門医として患者さまの悩みやご希望をお伺いし、保険診療/美容自費治療の両面から最適な治療方法をご提案しています。

カイロを使用した際、赤みが出たりかゆくなったりしたことはありませんか。それはもしかすると「低温やけど」かもしれません。低温やけどとは、低い温度でやけどする症状のことです。つい軽く判断されがちな低温やけどですが、重症化すると皮膚が壊死し、手術が必要になる場合もあります。今回は低温やけどの症状や低温やけどを引き起こしやすいものを紹介するとともに、応急処置の方法についても詳しく解説します。

1.低温やけどとは?

1.低温やけどとは?

低温やけどとは、通常のやけどよりも低い温度(40~50度)に長時間触れることで生じるやけどのことです。数十分~数時間かけて発症します。発症する時間は温度の高さや、皮膚の薄さによって変化し、温度が50度くらいある場合は、約3~4分だけの接触でも低温やけどになることもあります。

低温やけどは、反射的に熱さを感じる通常のやけどと違い、やけどを負っている間に自覚症状が現れにくいのが特徴です。具体的にどんな症状が現れるのか、どんな人が低温やけどになりやすいのかを説明します。

1-1.低温やけどの症状

「低温で焼けたくらいなら、放っておけば治りそう」と思いがちですが、程度によっては手術が必要になるまで重症化することもあります。低温やけどは、やけどの深さによって損傷レベルが4段階に分けられます。低温やけどを発症すると、赤みやヒリヒリとした感覚が現れて水膨れができ、重症化すると細胞が壊死することもあるのです。

低温でも皮膚内部まで損傷するので、皮膚表面が軽いやけどのようでも、実は皮下組織まで症状が進行していることがあります。

1-1.低温やけどの症状

低温やけどの症状は、重症化するにつれて自覚症状がなくなるため、注意が必要です。損傷レベルⅢ度になると、皮膚の切除や移植をしなければならない場合もあります。

1-2.一般的なやけどと低温やけどの違い

一般的なやけどよりも、時間をかけてじっくり進行するのが低温やけどです。通常のやけどが皮膚表面の症状であることが多いのに対して、低温やけどは皮膚の深い組織まで症状が進行するため、治りにくくなります。

皮下組織まで損傷した場合は、感染症にかかりやすくなったり、手術が必要になったりするので注意が必要です。一般的なやけどは本人に自覚があるため、皮膚と熱源との接触は一瞬で済みますが、低温やけどは本人も気付かずに進行するため、通常のやけどよりも重症化しやすくなります。

1-3.低温やけどを起こしやすい人とは

1-3.低温やけどを起こしやすい人とは

高齢者は皮膚の感覚が鈍くなっていたり、身体に麻痺があったりすると熱さを感じにくくなるため、低温やけどになりやすいです。高齢者の他に、冷え性の人や新生児、糖尿病患者の方なども低温やけどになりやすい傾向にあります。

冷え性の人は、冷たくなった手足を温めるために使用する暖房や、湯たんぽなどで低温やけどを発症してしまう場合があります。新生児はまだ意思を伝えることができないため、熱いかどうか大人が判断しにくく、気付くのが遅れることがあります。また、糖尿病患者の場合は進行した神経障害で皮膚の感覚が鈍くなるため、暖房器具の温度設定を高めにしがちです。血流障害で血の巡りが悪いと、傷の治りも遅くなります。そのため、糖尿病患者は一般的な人に比べて低温やけどになりやすく、治りにくいのが特徴です。

上記に該当しない方でも、泥酔している、または熟睡している間は熱さに気付きにくいため、知らぬ間に低温やけどを起こしていることもあります。

【低温やけどを起こしやすい人】

  • 高齢者
  • 冷え性の人
  • 新生児
  • 糖尿病患者
  • 泥酔している人
  • 熟睡している人

2.低温やけどに注意したいものとは?

身の回りには低温やけどにつながるものがたくさんあります。冬は身体を温めるためにさまざまな暖房機器やアイテムを使用するので、低温やけどになりやすい季節です。寒さを感じている部位に気を取られて、その他の部位の熱さに気付かないことがあります。そこで、特に低温やけどに注意したいものをピックアップしてご紹介しましょう。

2-1.使い捨てカイロ

カイロは就寝時や長時間の仕事・運転時に使用すると、同じ場所に当たり続けるので低温やけどを引き起こしやすくなります。特に、貼るタイプのカイロや靴下用カイロには注意が必要です。貼るタイプのカイロは必ず衣服の上から貼るようにしましょう。

中には湿布の上からカイロを貼る方もいるようですが、湿布を貼った部分は肌がデリケートになっているので、重ねて貼らないことをおすすめします。また、靴下用カイロは、酸素の少ない靴の中で使用することを前提に作られているため、靴を脱いで使用したり、靴以外の部位に当てたりすると過剰に反応が起きて高温になることも。使用直前にカイロを開封して、すぐに靴下に貼るようにしましょう。

2-2.湯たんぽ

2-2.湯たんぽ

湯たんぽは、厚手のタオルや専用カバーで包んでも低温やけどを発症する可能性があります。就寝時に布団の中に湯たんぽを入れた状態で寝てしまい、足が湯たんぽに触れたまま朝を迎えて、低温やけどになるといったケースもあります。

足は特に感覚が鈍く、血液が圧迫されやすいので低温やけどになりやすい部位です。湯たんぽは就寝前に布団を温めるために使用し、就寝時には取り出すようにしましょう。

2-3.暖房器具・加温機能付き便座

ホットカーペットや電気あんか、電気毛布、加温機能付き便座なども低温やけどを引き起こしやすいアイテムです。使用しながら横になったり、座ったまま眠ったりしてしまうと低温やけどを引き起こしやすくなります。ホットカーペットや電気毛布を使用したまま寝ることはおすすめできません。就寝時にどうしても使用したい場合は、タイマーを利用し、長時間触れないように工夫しましょう。

2-4.携帯電話・周辺機器

夜寝る前に布団の中で携帯を触る方も多いかもしれません。しかし、携帯電話本体や充電器は熱くなりやすいため注意が必要です。

いつの間にか寝てしまい、枕元に落ちた携帯電話や充電器が身体に触れていることに気付かない場合、低温やけどにつながる可能性も。眠るぎりぎりまで携帯電話の画面を見ていることは睡眠の質が下がる原因にもなるため、就寝前はあまり携帯電話を触らないようにするのがおすすめです。

また、膝の上にノートパソコンを置いて作業する方もいらっしゃるかもしれませんが、これも低温やけどを引き起こす危険な使い方です。特に高齢者の方は皮膚が薄いので、ノートパソコンを長時間利用する際は、肌に触れないよう机の上で行うようにしましょう。

思わぬものがやけどの原因になる場合がありますので、注意したいですね。

3.低温やけどはどのようなときに起こりやすい?

3.低温やけどはどのようなときに起こりやすい?

低温やけどは、温かいと感じる程度の温度に長時間触れることで起こります。暖房器具を使っているときや就寝時、泥酔時など意識がないときは特に注意が必要です。

3-1.暖房器具を使っているとき

暖房器具が活躍する冬場には、低温やけどが起こりやすくなります。身体が自由に動かせない方や、新生児・乳幼児は特に注意が必要です。暖房器具はある程度部屋が温まったら切るようにしましょう。切るのを忘れそうな方は、タイマー機能で自動的に電源が切れるよう設定しておくと安心です。

3-2.寝ているとき

寝ているときは少々の痛みに気付きにくいため、知らない間に低温やけどになり、皮膚の奥まで損傷する可能性があります。

また、少し離れたところに携帯電話や湯たんぽ、電気あんかを置いていても寝返りをして肌に触れてしまうこともあって危険です。低温やけどになる可能性のあるものは、寝具の中、または上に置かないよう心掛けましょう。

3-3.たくさんのお酒を飲んだとき

3-3.たくさんのお酒を飲んだとき

意識を失ってしまうほど多量の飲酒をしているときは、低温やけどになりやすくなります。また、服薬によって意識を失ってしまった場合も危険です。いずれも意識がない状態では、熱さを感じることはもちろん、痛みにも気付かないことがあります。

意識を失っている状態で負ってしまった低温やけどは、熱源と皮膚がどれくらい接触していたか分かりません。低温やけどの可能性がある場合は、すぐ病院を受診するようにしましょう。

4.低温やけどになったときの応急処置

見た目にそれほど異常がないように見える低温やけどは、実は皮膚の奥深くまで損傷している場合もあります。見た目に惑わされず、適切な応急処置を行って医療機関でしっかり治療を行うことが大切です。医療機関に行く前の応急処置として覚えておきたいことを3点ご紹介します。

4-1.流水で痛みがなくなるまで冷やす

まず低温やけどに気付いたら、痛みがなくなるまで約10~30分間、清潔な流水で冷やしましょう。水疱がある場合は、直接水が被らないようにします。また、一気に冷やそうと思って患部を氷水につけると、凍傷になる恐れがあるので注意してください。衣服が脱げない場合は無理に脱がず、衣服の上から水をかけて冷やしましょう。また、冷却スプレーや熱冷ましシートは冷感を感じるのみで患部を冷やすことにはならないので、応急処置には使用しないようにしてください。

4-2.水疱(水ぶくれ)はそのままにしておく

4-2.水疱(水ぶくれ)はそのままにしておく

先ほど水疱がある場合、水をかけないようにと記載しましたが、これは水疱が潰れるのを防ぐためです。水疱が潰れると、潰れた部分から雑菌が入り込んで症状が悪化する可能性があります。

潰れてしまった場合、破れた皮はそのままにして、ラップにワセリンを塗り傷口の上から巻いておきましょう。このとき、ガーゼは剥がす際に水疱の皮まで剝いでしまうかもしれないため、ラップの代わりとしてガーゼを使わないようにしましょう。

4-3.早めに医療機関を受診する

低温やけどは損傷レベルをご自身で判断できないので、発見したら早めに医療機関を受診しましょう。民間療法の中には、アロエや味噌を患部に塗る方法もありますが、低温やけどには効果がほとんどないといわれています。民間療法に頼って、病院に行かずに低温やけどを放置すると、症状が進行して手術や長期間の治療が必要になることもあり、危険です。

小さなやけどでも、病院に行くようにしましょう。やけどは一般的に皮膚科や形成外科を受診してください。

5.見た目がなんともない低温やけども放置は危険!

低温やけどの初期症状は少し皮膚の表面に赤みが出るのみで、見た目があまり変わらないのが特徴です。しかし、時間経過とともに皮膚の感覚がなくなり、黒ずんだり壊死したりするまでに至ることもあります。自己判断で低温やけどを放置していると、知らぬ間に重症を負っている可能性があり、危険です。

一見高温のやけどの方が刺激が強く、危険性が高い気がしますが、高温やけどであれば反射で手を引っ込めれば触れるのは一瞬で済みます。皮膚と熱源が触れる時間が短かければ、皮膚の損傷は表面のみで済むでしょう。

寒い季節には欠かせない温かくなるグッズですが、適切に使用してやけどをしないように注意しましょう。やけどをしてしまった場合は、早く対処をした方が良いので、なるべく早く受診して頂きたいです。

6.低温やけどを予防する方法は?

6.低温やけどを予防する方法は?

気付かぬうちに重症になることもある低温やけど。うっかりやけどしてしまわないよう、日頃からできる対策方法をご紹介します。

6-1.熱源が肌に直接触れないようにする 

使い捨てカイロの貼るタイプを使用する場合は、肌に直接貼るのではなく衣服の上に貼るようにしましょう。冬場の屋外は特に寒さを感じる頭や顔に意識が向きがちで、足やお尻といった局所的な部位の熱さには気付きにくい傾向にあります。

カイロが肌に直接触れると素早く温かさを感じられますが、低温やけどの可能性も高まるので、繰り返しになりますが、必ず衣服の上から使用するようにしてください。また、カイロはこたつの中や暖房器具の近くでは、急激に熱くなることがあるので注意しましょう。

6-2.寝ているときには暖房器具を使わない

冬の夜は冷え込むので、電気毛布や湯たんぽ、電気あんかなどを活用して快適に眠りたい方も多いのではないでしょうか。しかし、就寝時は熱さや痛みに鈍感になるため、周辺に熱源があると知らないうちに熱源に長時間触れ続けることになる可能性があります。

朝起きたらひどい低温やけどを負っていたということにならないよう対策をしましょう。就寝時には暖房器具の電源を切る、タイマー機能を利用するなどして、朝まで暖房器具に触れているという状況を作らないのがポイントです。

6-3.暖房器具はこまめに電源を切る

6-3.暖房器具はこまめに電源を切る

「温かい電気毛布に包まれていたら、うっかり寝てしまった」「ソファで寝ている間、足がホットカーペットに触れていた」ということは誰しも体験することでしょう。長時間暖房器具を使用するつもりがなくても、知らないうちに寝ていることはあるため、日頃から暖房器具の電源をこまめに切ることが大切です。

電源オフを忘れてしまいそうな方は、タイマー機能が付いている電気毛布やホットカーペットのタイマーを意識して使用するようにしましょう。

おわりに 

今回は低温やけどの症状や低温やけどを引き起こしやすいものを紹介するとともに、応急処置の方法もあわせて解説しました。低温やけどはゆっくり進行する症状なので、早いうちに発見することで防ぐことができます。ご紹介した予防法を実践し、もし低温やけどになったら対策方法を思い出して早めに対処するようにしましょう。

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