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【医師監修】咳が止まらないときはどうする?原因や対処法を知って役立てよう

【医師監修】咳が止まらないときはどうする?原因や対処法を知って役立てよう
村上 友太 医師・医学博士

監修者
村上 友太 医師・医学博士

福島県立医科大学医学部卒業。初期臨床研修修了後、福島県立医科大学脳神経外科学講座に入局。2019年同講座助教。2022年3月より、東京・新橋にある東京予防クリニックの院長として、一般内科疾患や脳神経疾患、予防医療を中心に診療している。脳神経外科専門医、脳卒中専門医、神経内視鏡技術認定医、抗加齢医学専門医。認知症学会会員、内科学会会員。医師の副業プラットフォーム「頼めるドクター」を主宰

「なかなか咳が止まらない」「風邪は治ったのに咳が止まらない」「急に咳が出るようになった」といった咳の症状に悩んだことがある方もいるでしょう。「ただの咳」と軽く考えがちな咳ですが、悪化すると症状がこじれて辛い思いをするケースもあります。このコラムでは、咳が止まらない原因やその対処法を紹介するとともに検査方法などについても触れていくので、咳が止まらなくて困っている方はぜひ参考にしてみてください。

1.咳の役割とは

1.咳の役割とは

咳はウイルスや細菌、ホコリといった異物を追い出すための自然な反応で、身体を守る際に起こる現象です。その他にもアレルギーやストレスなどが原因で咳が出る場合もあります。咳は生体防御反射といって無意識に出てしまうため、ご自身ではなかなかコントロールできないのが特徴です。

2.咳の種類

咳は、主に乾性咳嗽(かんせいがいそう)と湿性咳嗽(しっせいがいそう)の2種類に分けられます。ここでは、それぞれの特徴や原因についてご紹介します。

2-1.乾性咳嗽

乾性咳嗽は、「コンコン」「コホコホ」「ケンケン」といった、軽く乾いたような咳が特徴的で痰が出ません。乾性咳嗽が出る原因には、喘息、マイコプラズマ肺炎、クループ症候群、アトピー性咳嗽、ストレス、血圧降下剤の副作用などが挙げられます。

2-2.湿性咳嗽

湿性咳嗽は、「ゴホンゴホン」「ゲホゲホ」など、胸の奥から出ているような濁った音の咳が特徴的で、痰が絡みます。湿性咳嗽の病気には、気管支喘息、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、肺がん、肺結核、副鼻腔炎、心不全、胃食道逆流症などが挙げられます。

3.咳が止まらない!咳が出るときに考えられる原因は?

ここでは、咳が出るときに考えられる原因についてご紹介します。

3-1.病原体

インフルエンザウイルス・ライノウイルス・コロナウイルスなどのウイルス感染が原因で咳が止まらなくなることがあります。また、マイコプラズマなどの病原体や肺炎球菌といった細菌によって、肺炎になり咳が止まらないという事態に陥るケースもあるのです。

3-2.アレルギー

ホコリやダニ、ペットの毛が原因で起こるアレルギーでも咳が止まらなくなることがあります。喉の痛み、鼻水、痰が絡むといった症状が特徴的ですが、喉がイガイガするような感覚があり、一度咳が出始めるとなかなか治まりません。

また、アレルギーの咳は、昼間よりも眠りにつくタイミングや朝方にひどく出てしまう場合が多いでしょう。何が原因でアレルギーを起こすかは人それぞれのため、病院での検査が必要となります。

3-3.有害物質

有害物質が混ざった粉塵やタバコを長い間吸い続けて、肺胞や気管支が慢性的に炎症を起こすと、咳が止まらないといった症状が出ます。中でもタバコが原因で発症する場合が多いCOPDは、肺気腫や慢性気管支炎とも呼ばれ、重症化すると呼吸困難で寝たきりの状態や、肺がん・肺炎のリスクが高まる恐れのある病気です。

「タバコを吸わないから大丈夫」と安心してはいけません。タバコを吸わない方でも受動喫煙の影響を受けたり、化学物質を扱う職場で常に有害物質にさらされていたりすると発症することがあるため注意が必要です。

3-4.薬の副作用

咳が止まらなくなる原因のひとつに薬の副作用があります。血圧を下げる薬を服用している場合、咳が止まらないなどの症状に悩まされることがあるでしょう。

特徴としては、痰が絡まない「空咳(からせき)」と呼ばれる咳です。「コンコン」という乾いた咳が出るため、風邪の症状と混同して気づかないケースもあり得ます。薬を服用し続けていて今まで咳が出たことがなかった方でも、ある日突然出始める場合があるので、注意が必要です。

3-5.飲酒

3-5.飲酒

お酒を飲んだ際に、急に咳が止まらなくなるといった経験のある方は「アルコール誘発喘息」を発症した可能性があります。咳とは無関係に思える飲酒ですが「アルコール誘発喘息」はアルコールによって気道炎症が起こり、咳や喘鳴などの症状が現れます。「ヒューヒュー」「ゼーゼー」という呼吸が特徴的で、悪化すると呼吸困難に陥る場合がある危険な疾患です。

4.長引く咳…咳が止まらない場合は「慢性咳嗽」かも?

何週間も長引くひどい咳の場合は、「慢性咳嗽」の可能性があります。ここでは、「慢性咳嗽」についてご紹介します。

4-1.慢性咳嗽とは

咳は持続する期間によっても、3段階に分けることができます。3週間未満の咳が「急性咳嗽」、3~8週間の咳が「遷延性(せんえんせい)咳嗽」です。そして、8週間以上咳が続くことを「慢性咳嗽」といいます。

1週間続くだけでも非常につらい咳を、8週間も放っておく方は、基本的にはいないでしょう。咳自体は軽く見られがちな症状のひとつですが、思いもよらない原因が背景に隠れているケースもあるため、早めの受診をおすすめします。

4-2.慢性咳嗽の症状

「慢性咳嗽かも?」と疑う余地のある症状には、次のようのものが挙げられます。「風邪にかかったあと、他の症状が改善しても咳だけが続く」「咳が長引くとともに胸の痛み・血の混じった痰が出る」「疲れ・ストレスが溜まった状態が続いて咳が出始めた」などです。こういった症状が出始めた場合に「慢性咳嗽」の可能性があり、早急に診察を受ける必要があります。

咳が持続する期間によって原因を推測することも可能ですが、基本的に2週間以上続く咳は風邪ではなく何か他の要因があると思って良いでしょう。風邪を引き起こす原因はほとんどがウイルスで、体内に侵入して増殖したとしても免疫機能が働くので、安静にしていれば自然に治ります。咳が止まらない場合や眠れないほどの咳が続くような場合は重篤な病気を疑うようにしましょう。

4-3.慢性咳嗽の原因

「慢性咳嗽」は、鼻や喉、気管、気管支などの気道、そして肺の病気が原因で引き起こされる可能性があります。気道の病気では、咳喘息、副鼻腔気管支症候群、喉頭アレルギーなどが挙げられ、喉の粘膜や気管支の炎症により咳といった症状が現れるのが特徴です。

肺の病気では、肺がん、肺結核、マイコプラズマ肺炎などが考えられます。また、胃食道逆流症といって、気道や肺の病気以外が原因で「慢性咳嗽」を引き起こす可能性もあるでしょう。

5.咳が止まらないときの予防と対策

咳が止まらない原因にはさまざまありますが、咳が長く続くことで仕事や学業を含めた多くの日常生活に支障をきたす場合があります。1回の咳で消費するエネルギーは約2kcalといわれていますが、100回の咳で200kcalとなり、これは軽いジョギングを30分行ったのと同じ数値。

咳が続くと体力が消耗されていくため、長く続く咳には医療機関を受診して適切な治療を行うことが大切です。しかし、咳が止まらないときにご自身でも可能な予防と対策があるので、参考にしてみてください。

参照元:放っておくと危ない!長引く咳には要注意!

5-1.うがいとマスク

5-1.うがいとマスク

まずは、咳症状の原因になるウイルスや細菌を体内に侵入させないことが重要です。そのためには、うがいとマスクが全ての咳予防に有効な方法といえます。うがいをする際は、うがい薬を使用せず「水うがい」を行うのがおすすめ。なぜなら、うがい薬は病気を起こす細菌の攻撃から身体を守ってくれる細菌までも殺菌してしまう場合があるためです。

気分を変えたいときに使う分には良いですが、頻繁な使用は控えましょう。さらに、マスクを使用して咳やくしゃみによるウイルスの飛沫感染を防ぎます。すでに風邪を引いている方や風邪をうつされたくない方の両方がマスクを使用することでウイルス感染の予防に役立つのです。

5-2.ハチミツとコーヒー

咳が辛いときにはハチミツをなめたり、ハチミツを入れたコーヒーを飲んだりするのもおすすめです。ハチミツには抗酸化作用や抗炎症作用があるので、咳の改善に役立つとされています。また、カフェインにもハチミツと同じ抗炎症作用や気管支を拡張する作用があるため、咳予防が期待できるでしょう。そのため、コーヒーを飲むことで喘息の症状改善も期待できます。さらに、定期的にコーヒーを飲んでいる方は、全く飲まない方に比べて喘息の発症リスクが少ないという傾向もあるほどです。

5-3.湿度と気温をコントロール

咳の原因になるウイルスは乾燥していると活性化するため、湿度と気温をコントロールするだけでも咳予防の効果は上がります。例えば、インフルエンザウイルスは、気温26度、湿度50%という条件が揃うと活性が低下するといわれています。湿度と気温を保つことができれば風邪を引きにくくなり、咳の予防へとつながるでしょう。

気温をコントロールするのは、外気温との関係により難しい場合もありますが、湿度は加湿器などを利用することでコントロール可能です。湿度が低くなる11~3月くらいまでの期間は、加湿器を利用し風邪に気をつけて咳予防に努めましょう。

5-4.歯磨き

寝ている間に口の中の雑菌が増えるので、咳のもとになる口内細菌が体内に侵入しやすくなります。そのため、寝る前と起床してすぐの歯磨きが、咳の予防には必要といえるでしょう。

また、歯磨きをすることで、インフルエンザなどのウイルスや細菌といった感染対策にも効果が見込めます。朝だけでなく食後の歯磨きも大切なため、起床時・朝食後・昼食後・夕食後・就寝前の中で起床時と就寝前を含めた1日4回以上の歯磨きを心がけましょう。

5-5.呼吸筋ストレッチ

咳が止まらないなどの症状に悩まされている方には、呼吸筋ストレッチもおすすめです。呼吸筋ストレッチを取り入れると肺の機能をアップさせることができ、苦しさが和らぐため身体が楽になります。

まず、頭の後ろで両手を組み、鼻から息を吸いましょう。口から息をゆっくり吐きながら、腕を上に伸ばして伸び上がります。首を前に突き出して、後ろに腕を引きながら息を吐き切りましょう。呼吸を楽にする目的以外にもストレスや不安が減る効果も見込めます。

5-6.アルコールを控える

5-6.アルコールを控える

咳症状が出る「アルコール誘発喘息」の原因になり得るアルコールを控えるのもひとつの方法です。アルコールは身体の中で、アセトアルデヒドという物質に変化しますが、そのアセトアルデヒドが、気道を狭くしてしまうため、咳を誘発しやすくなります。また、アルコールには利尿作用もありますが、尿によって体内の水分が不足すると痰などが出にくくなる場合があるため、アルコールの摂取には注意が必要です。

6.咳が止まらないときに行う検査

ここでは、咳が止まらないときに医療機関で行われる検査についてご紹介します。

6-1.胸部レントゲン検査

胸部レントゲン検査は医療機関ではX線検査と呼ばれ、放射線の一種であるX線という電磁波を利用する画像検査です。立位・座位・臥位(がい)などの体位で撮影され、検査時間は撮影する部位や回数によって異なりますが、10分程度が目安です。胸部レントゲン検査で発見できる呼吸器の病気には、肺炎・肺がん・慢性閉塞性肺疾患(COPD)・肺結核・肺水腫などが挙げられます。

6-2.胸部CT検査

胸部CT検査は、胸部レントゲン検査よりも多くの情報を得ることができます。身体の周囲からX線をあて、収集した身体の情報を解析して断層写真にする検査です。胸部CT検査では、肺がん・肺結核・気管支拡張症・慢性閉塞性肺疾患(COPD)の他にも、心臓疾患といったさまざまな疾患の早期発見が可能となります。

6-3.呼吸機能検査

呼吸機能検査は、喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)など、呼吸器の疾患を調べる際に用いられる検査です。「スパイロメーター」と呼ばれる計測機器を使って検査を行います。鼻から空気が抜けるのを防ぐためにクリップをつけ、マウスピースをくわえて呼吸を繰り返すことで、気道の狭さや肺活量などの呼吸機能を調べることが可能です。

6-4.呼気一酸化窒素検査

呼気一酸化窒素検査は、呼気に含まれる一酸化窒素の濃度を調べる検査です。喘息やアレルギーといった疾患で気道に炎症が起こると一酸化窒素の濃度の数値が上がるため、喘息などの有無を診断するのに用いられます。

6-5.血液検査

6-5.血液検査

咳が出る原因としてアレルギーを疑う場合に、血液検査を行うことがあります。血液検査を行うとアレルギーの有無や種類を調べることが可能です。咳症状のある咳喘息は、アレルギーを持っている方が発症しやすく、風邪などの感染症が引き金になる場合があります。そのため、アレルギー症状のある方はご自身が何のアレルギーを持っているのか、確認のために検査を受けても良いでしょう。

7.咳が止まらないときの治療法

なかなか咳が治らない、いつまでも咳が止まらないといったときには、原因になっている病気そのものを治療していく必要があります。ここでは、咳が止まらないときの治療法についてご紹介しましょう。

7-1.風邪など感染症が原因の咳

風邪などの感染症が原因の場合は、基本的には充分な栄養を摂って安静にしていれば治り、1~2週間もすると咳も出なくなることがほとんどです。咳や痰などそれぞれの症状の強さに合わせて、緩和させるための薬を用います。

7-2.感染症以外が原因の咳

喘息やCOPDなど、感染症以外が原因で起こる咳には、通常の風邪薬では効果が見込めません。慢性的な病気のため一時的に薬を服用するのではなく、ステロイド薬などを用いた治療法を行います。生涯にわたって薬を服用する必要があり、咳や呼吸困難といった症状をコントロールする必要があるためです。

8.2週間以上咳が止まらない場合は受診しよう

咳は、「風邪が長引いているのかな」など軽く考えがちな症状のひとつですが、2週間以上咳が止まらない場合は、病院や呼吸器専門のクリニックへの受診を考えましょう。一般的に風邪の原因は、80~90%がウイルス、残りが細菌とされています。

ウイルスの場合は安静にしていれば治る可能性があり、細菌の場合も抗生物質などを用いた治療が可能です。しかし、2週間以上咳が止まらない場合には、風邪ではなく重篤な病気の可能性もあるため、早急な診察と治療が必要になります。

おわりに

咳が止まらないときに考えられる原因や対処法についてご紹介しました。「ただの風邪による咳」と軽く考え、市販の薬などでしのいでいる方も多いでしょう。しかし、2週間以上咳が止まらない場合は重い呼吸器疾患を発症してしまっている可能性もあるため、早急に治療を開始する必要があります。

今回ご紹介した内容を参考に、ご自身で対処できる方法を取り入れながら、症状が悪化する前に病院などで受診して原因を突き止めることをおすすめします。

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