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【医師監修】肩こりになる5つの原因!危険な病気やおすすめの予防法を徹底解説

肩こりになる5つの原因!危険な病気やおすすめの予防法を徹底解説
柏木 悠吾 医師

監修者
柏木 悠吾 医師

宮崎大学医学部卒業。初期臨床研修終了後、宮崎県都城市の橘病院(整形外科専門病院)で、腰痛や膝の痛みなど全身の痛みや動かしにくさに対する手術・外来治療を中心に診療している。ロボットを用いた人工関節手術も行っている。日本医師会認定 健康スポーツ医、認知症サポート医、日本医師会認定 産業医。整形外科学会、人工関節学会、骨折治療学会会員。

「肩こりの原因が知りたい」「日頃から肩こりを予防したい」などと考えている方も多いのではないでしょうか。肩こりで私生活に影響が出ていても、原因が分からないと解消するのは難しいです。肩こりを放置すると、頭痛や吐き気に襲われたり、病気につながったりする可能性があります。 

このコラムでは、肩こりの原因と予防する方法について解説します。肩こりに潜む病気についても解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。 

肩こりになる5つの原因 

肩こりになる5つの原因

肩こりになる原因を理解していないと、慢性化してしまい症状が悪化する可能性があります。肩こりはまず原因を理解することが大切です。ここからは、肩こりになる5つの原因を紹介しますので、参考にしてみてください。 

同じ姿勢で長時間座っている 

長時間同じ姿勢をとり続けると、肩こりになりやすいです。特に肩こりになりやすい姿勢は以下のとおりです。 

  • 顎や顔が前に出ている 
  • 猫背になっている 
  • 肩が上がっている 
  • 作業台が肘よりも高い位置にある 

肩こりは肩甲骨周りの筋肉がこわばると発生します。顔が前に出たり、猫背の状態になったりすると、肩甲骨周りの筋肉に負担がかかってしまい、肩がこりやすくなります。 

長時間スマホを操作している 

スマホを長時間使っていると頭を下に向けた姿勢が続くため、首を痛めてしまいます。筋肉が緊張したり、血流が悪くなったりすると、酸素や栄養素の供給が不足してしまい、筋肉がこわばってしまいます。この状態を「スマホ首」といい、悪化すると咳をしただけで痛みを感じるほどです。 

また、スマホ首はストレートネックになる原因にもなります。ストレートネックとは、頚椎のS字カーブが崩れ、顎が突き出る姿勢になっている状態です。前傾姿勢は血流の悪化や肩こりだけでなく、頭痛や手足の痺れを引き起こす可能性もあるので注意が必要です。 

ストレスが溜まっている 

ストレスが溜まると、身体のさまざまな機能を調節する自律神経が乱れてしまい、それが原因で肩こりになることがあります。自律神経には、交感神経と副交感神経が存在し、ストレスが溜まると交感神経が優位になり、血管が収縮し血行が悪くなります。 

肩だけでなく身体中の血の巡りが悪くなることで、以下のような影響が出てしまいます。 

  • 顔色が悪くなる 
  • 表情に疲れが見える 
  • 顔の左右のバランスに差が出る 

肩こりを放置すると筋肉の緊張や血の巡りが悪くなり、症状が悪化する可能性があります。また女性の場合、美容にも影響が出る点にも注意が必要です。 

慢性的な運動不足になっている

慢性的な運動不足が続くと筋肉が弱くなってしまい、首や肩に負担をかけてしまいます。近年、リモートワークが普及したことで、自宅で長時間パソコンやスマホと向き合う時間が増え、運動不足になっている方も多いでしょう。 

長時間のデスクワークでは、悪い姿勢が続き、首や肩の後ろ側にあるこり固まりやすい筋肉と、弱く緩みやすい首の前の筋肉のバランスが取れなくなり、肩こりが引き起こされます。パソコンやスマホを操作する時間が長い方は、肩こりが悪化する可能性が高いといえるでしょう。 

身体が冷えている  

身体が冷えて血行が悪くなることも、肩こりの原因のひとつです。放置してしまうと、肩や背中のこりが痛みに変わる危険があります。 

冬や夏場の冷房で体が冷えてしまい、交感神経と副交感神経が体温バランスを整えようとすることで、自律神経が崩れやすくなります。放っておくと、肩や首のこりだけでなく、痛みにつながることもあります。 

肩こりを引き起こす7つの病気 

慢性化した肩こりを放置すると、恐ろしい病気を引き起こす可能性があります。ここからは、肩こりを引き起こす7つの病気を紹介しますので、参考にしてみてください。 

頚椎椎間板ヘルニア(けいついついかんばんへるにあ) 

頚椎椎間板ヘルニアとは、椎間板のなかに存在する末梢神経が圧迫され、痛みを引き起こす病気です。軽い症状の場合、首の痛みや肩こり、軽度の手の痺れなどを感じます。重症化すると、手や腕の感覚がなくなったり、手先を使う作業ができなくなったりする可能性もあります。 

肩の痛みが続いている場合は、かかりつけ医に早めに相談するようにしましょう。 

四十肩・五十肩(肩関節周囲炎) 

四十肩・五十肩は関節痛の1種です。肩を上げたり、水平に保つのが難しくなったりなど、肩の関節を動かしにくくなる症状が出ます。原因は明確になっていませんが、肩の関節が炎症を起こし「関節包」に広がります。 

筋肉や腱の柔軟性がなくなり、スムーズに動かなくなるといわれています。以下の動作を行った際に痛みを感じる場合は注意が必要です。 

  • 髪を後ろで束ねる 
  • 洋服を着替える 
  • 洗濯物を干す 
  • 電車で吊り革に掴まる 
  • 歯を磨く 

日本薬師堂「四十肩・五十肩とは? 原因、症状、治療法、寝方のコツについて」 

日常生活で行う簡単な動作が痛みを伴って困難になっている方は、四十肩・五十肩の可能性があります。症状が重たいと感じる場合は、早めに相談することが大切です。 

変形性頸椎症(へんけいせいけいついしょう) 

変形性頚椎症とは、頚椎が頭や腕の重さによって徐々に傷んでいく症状です。変形性頚椎症になると、変形に伴って痺れたり、筋力が低下して神経が圧迫されたりする症状が出ます。 

また、該当する部位の筋力低下や知覚障害を引き起こす可能性もあります。頚椎に痛みを感じる場合は、変形性頸椎症の可能性があるといえるでしょう。 

高血圧症

高血圧症は、自覚症状がない場合が多く、肩こりや動悸、のぼせ、息切れなどの症状を引き起こします。放置すると動脈硬化が進んで、心筋梗塞や脳卒中などの合併症を引き起こす危険があります。高血圧になる主な原因は以下のとおりです。 

  • 塩分の過剰摂取 
  • 高カロリー摂取による肥満 
  • 酒類の過剰摂取 
  • 運動不足 
  • ストレスの蓄積 

参照元:e-ヘルスネット「高血圧」 

症状としては、後頚部の痛みや重さなどが挙げられます。その他に激しい頭痛や嘔吐などの症状がある場合、高血圧緊急症や高血圧脳症などの可能性があるため、早急に受診するようにしましょう。 

腱板損傷(けんばんそんしょう)

腱板損傷とは肩周りの筋肉の肉離れをいいます。症状は四十肩、五十肩と非常に似ていて、混同されやすいです。少し遠くにあるものを取ろうと腕を伸ばしたときに強い痛みを感じたり、痛みで腕が上がらないなどの症状が現れます。損傷がひどい場合には手術を行ったほうがいいこともあり、早めに整形外科を受診することをおすすめします。

狭心症(きょうしんしょう) 

狭心症とは、冠動脈の血流が悪くなることで心筋が酸素不足になり、心臓機能の障害が発生する病気です心臓には全身に血液を送るという重要な役割がありますが、心筋への酸素供給が不足すると、充分な血液を送ることができなくなります。 

それにより、胸が締めつけられるような症状や放散痛という痛みを感じます。この痛みは、左肩にあらわれることがあり、肩こりと勘違いするケースが多い点には注意が必要です。 

心筋梗塞(しんきんこうそく) 

心筋梗塞とは、心臓を動かす心筋に血液が届かなくなることで激しく胸が痛む病気です。酸素と栄養分を3本の冠動脈(かんどうみゃく)を通して得る必要がありますが、冠動脈が詰まると、先にある心筋に酸素と栄養分が届かず壊死してしまいます。壊死した心筋は再生せず、心臓から充分な血液が送れなくなってしまい、最悪死に至ります。 

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肩こりを予防する6つの方法 

肩こりを予防する6つの方法 

肩こりは運動をしたり、日常動作を見直したりすることで予防できます。自宅で手軽に行えるものもあるため、仕事の合間や休憩時間を利用して行うことが可能です。こちらでは、肩こりを予防する6つの方法について解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。 

ストレッチをする 

肩こりは、ストレッチをすると解消できます。ストレッチをすることで、身体の血の巡りが良くなったり、肩周りの可動域が広がったりする効果が期待できます。長時間同じ姿勢でいることが多い方は、筋肉が硬くなって肩がこりやすくなります。 

また、スマホを操作する時間が多い方も注意が必要です。猫背姿勢で首が前に出てしまっている方は、背骨や背中の筋肉に負担がかかり、肩こりの症状がさらに悪化する可能性があります。肩こりの症状を緩和するためにも、定期的にストレッチを行うようにしましょう。 

姿勢を正す 

人は立っているだけでも、頭と腕を肩で支える必要があります。そのため、普段から肩に大きな負担がかかっており、筋肉疲労を起こしやすくなっています。特に、背中の筋肉に負担がかかると、肩こりや腰痛につながってしまいます。 

筋肉疲労を防ぐためには、以下の姿勢を心掛けましょう。 

<立っている場合> 

  • 視線を真っ直ぐ向ける 
  • 顎を引く 
  • 肩の力を抜く 
  • お腹に力を入れる 
  • お尻に力を入れる 

<座っている場合> 

  • 顎を引く 
  • 背筋を伸ばす 
  • お腹とお尻に力を入れる 
  • 足の裏全体を床につける 

特にデスクワークが多い方は、前傾姿勢となることで、血行が悪くなったり、筋肉が硬直したりしてしまうことがあります。姿勢を直すことで肩への負担が減り筋肉疲労が緩和されるでしょう。 

ご自身に合ったベッドや枕に変える 

肩こりを予防するためには、寝ているときに使用する枕やベッドを見直すことも大切です。寝ている姿勢が悪いと、肩や腰に影響を与え、肩こりや痛みの原因になります。 

枕が高すぎたり、布団が柔らかすぎたりすると、背骨や背中の筋肉に負担がかかってしまうでしょう。枕の選び方で気を付けるべき点は以下のとおりです。 

  • 頭が適度に沈むもの 
  • 寝返りをしても頭が落ちないもの 
  • 頭の位置が高くならないもの 

また、敷布団を選ぶときは、身体が沈みすぎない硬さのものを選ぶのがおすすめです。ベッドや枕を見直すだけで肩や腰への負担が緩和されますので、肩こりに悩んでいる方は寝具の見直しを検討してみてください。 

日常動作を見直す 

肩こりを予防するために、日常動作を見直すのもひとつの方法です。日常生活で工夫できる動作は以下のとおりです。 

  • 腰を落として膝を曲げながら物を持ち上げる 
  • 脚を開き、軽く膝を曲げながら顔を洗う 
  • 洗濯かごを高い位置に置く 
  • 目線を斜め下に30cmほど離してスマホを操作する 

日常の動作にひと工夫加えることで、肩こりは予防できます。 

運動をする 

運動をすることで血行が良くなり、結果的に肩こりの予防につながります。運動を取り入れる際は有酸素運動がおすすめです。有酸素運動を取り入れると、血流が促され、体中に酸素や栄養が循環しやすくなります。ウォーキングや軽いジョギングなど、1日20分間、週に2~3回を目標にして楽しく続けられる運動を取り入れると良いでしょう。 

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身体を冷やさない 

解消したい部位を温めることで、血行が改善するだけでなく、疲労物質や痛み物質が流れ、肩こりや腰痛が改善されます。 

自宅で簡単に深部まで温める方法はゆっくり湯船に浸かることです。全身の血行が促進され疲労回復の効果が期待できます。シャワーだけ浴びるのではなく、湯船に浸かることを意識してみると良いでしょう。 

おわりに 

肩こりを治すためには、原因を理解して日常生活を見直すことが効果的です。また、ベッドや枕を見直したり、日常動作を見直したりすることでも肩こりの症状を緩和できます。 

肩こりに悩んでいる方は、このコラムで紹介した内容を意識して肩こりを改善してみてください。肩こりの症状が悪化し、手足の痺れや痛みを感じる場合は、かかりつけ医などに早めに相談しましょう。 

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