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【医師監修】むくみの症状とは?チェック方法と病気との関連性を解説

【医師監修】むくみの症状とは?チェック方法と病気との関連性を解説
村上 友太 医師・医学博士

監修者

医師・医学博士

村上 友太

福島県立医科大学医学部卒業。初期臨床研修修了後、福島県立医科大学脳神経外科学講座に入局。2019年同講座助教。2022年3月より、東京・新橋にある東京予防クリニックの院長として、一般内科疾患や脳神経疾患、予防医療を中心に診療している。脳神経外科専門医、脳卒中専門医、神経内視鏡技術認定医、抗加齢医学専門医。認知症学会会員、内科学会会員。医師の副業プラットフォーム「頼めるドクター」を主宰

「むくみの症状が出ているのかどうかわからない」「むくみがなかなか治らない」「むくみが出ているだけで病院に行って良いのだろうか」といった悩みを持つ方は多いのではないでしょうか。むくみが発生する原因には、水やアルコールを飲み過ぎたり、過度な食事制限をしたりするなど、さまざまな生活習慣が挙げられます。

むくみの症状がいつまでも治らない場合は、静脈瘤や腎臓病など病気を発症している可能性があるので注意が必要です。このコラムでは、むくみの症状をチェックする方法や症状別の受診先について解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

むくみの症状をチェックする方法

1.むくみの症状をチェックする方法

むくみの症状は病院に行かなくてもご自身でチェックが可能です。むくみの症状が出ているか気になる方は、試してみてください。

  • すねの内側の上部を押すと白い跡が残る
  • 足の内側を押した際に、へこんだ箇所がいつまで経っても元に戻らない
  • 靴下の跡がいつまで経っても残る

参照元:日本成人病予防協会:むくみ -気になるからだの危険信号-

チェックしてみて、上記のような状態が出ている場合は、むくみの症状が発生している可能性があります。朝と夜では身体の水分量が異なるので、朝と夜にチェックし、状態にどの程度の差があるのか確認してみましょう。

むくみと腫れの症状の違い

2.むくみと腫れの症状の違い

むくみと似た症状に腫れがあります。皮膚が腫れた状態になるのは、主に炎症が原因で、皮膚の特定の部分に血液が溜まって膨張した状態です。虫に刺されたり、かぶれたりして腫れている場合、痛みや痒みを伴うことがあります。

むくみは医療の現場では浮腫と呼ばれ、皮膚や皮膚の下に水が溜まった状態です。時間が経過してもむくみの症状が治らない場合は、体重の5%以上の水分が身体に溜まっている可能性があります。

むくみの原因となる5つの生活習慣

3.むくみの原因となる5つの生活習慣

むくみの症状が発生する原因には、水やアルコールを飲み過ぎたり、運動不足などにより新陳代謝が低下したりするなどの生活習慣が挙げられます。水分やアルコール、主な栄養素の1日の推奨摂取量は以下のとおりです。

水分2.5L
アルコール20g(ビール中瓶1本)
塩分7.5g(男性)、6.5g(女性)
たんぱく質65g(男性)、50g(女性)

参照元:厚生労働省「日本人の食事摂取基準

身近な生活習慣を見直すことでむくみの解消や予防が可能です。こちらでは、むくみの症状が発生しやすくなる5つの生活習慣について解説していきます。

水やアルコールをとり過ぎている

水は生きる上で不可欠なものではありますが、飲み過ぎには注意が必要です。身体の水分量が過剰になると排出がうまくいかず、血管の外に溜まってむくみを引き起こします。

水だけでなくお酒などアルコールのとり過ぎもむくみを引き起こす原因のひとつです。アルコールをとり過ぎて上がった血液の濃度を、身体が血管内に水を取り込んで濃度を下げようとし、取り込んだ水が原因でむくみを引き起こします。

塩分をとり過ぎている

体内の塩分濃度が上がると、濃度を下げようとして体内に水分を溜めこもうとしてむくみます。塩分が含まれる食べ物を食べ過ぎてしまうと塩分濃度が上がるので注意が必要です。

むくみを引き起こさないためには、身体の塩分と水分の均衡を保つことが大切です。日頃の食事の塩分を抑えることをおすすめします。

過度な食事制限をしている

過度に食事を制限すると、血液に含まれるたんぱく質が不足します。組織の新陳代謝や栄養補給をする役割を持つ組織間液が、血管の中に吸収されないことにより、むくみを引き起こします。

血管に組織間液が吸収されないと細胞の間に組織間液が溜まり、むくみの症状が現れるので、注意が必要です。ダイエットなどで食事制限をする際は、極端に食べる量を減らすのではなく、食生活の改善をおすすめします。

長い時間同じ姿勢で過ごしている

デスクワークで座った状態が長く続いたり、立ち仕事でずっと立った状態が続いたりするなど、同じ姿勢で長時間過ごしているとむくみを引き起こしやすくなります。

同じ姿勢で過ごしているとふくらはぎの動きが少なくなりやすいです。ふくらはぎの筋肉は、血液やリンパ液などの体液を下半身から心臓へ送り出す役割を担っています。ふくらはぎの筋肉をあまり動かさない時間が長くなると、むくみます。体内の水分が下半身に滞って、むくみを引き起こさないためにも、適度にふくらはぎを動かしましょう。

運動不足などで新陳代謝が低下している

運動不足や血行不良などで、新陳代謝が低下するとむくみを引き起こしやすくなるので注意が必要です。新陳代謝が低下すると血液の循環が悪くなり、血液中に含まれる水分や老廃物の排出が滞り、むくみが発生します。

運動不足や血行不良以外に、低体温も新陳代謝の低下につながるので注意が必要です。夏は冷たい飲み物の飲み過ぎや冷房の温度などに気をつけて、体温が下がらないようにしましょう。

【要注意】むくみの症状が出る5つの病気

4.【要注意】むくみの症状が出る5つの病気

時間が経過してもむくみの症状が治らない場合、他に病気が発症していることが原因でむくみを引き起こしている可能性があります。病気によっては気が付かずに放置すると、状態が悪化して命の危険に関わる場合があるので注意が必要です。

こちらでは、むくみの症状が治らない場合に気をつけたい5つの病気について解説していきます。

静脈瘤

静脈瘤は、ふくらはぎにむくみの症状が出ている場合に考えられる病気です。足の静脈に血液の流れが滞ることにより発症し、立ち仕事が多い方や、女性に多く見受けられます。静脈瘤は自然に治る病気ではありません。

放置すると湿疹ができたり、潰瘍が発生したりする場合があるので、悪化する前に治療を受けることをおすすめします。

肝臓病

肝臓は血液中を流れるたんぱく質を作る機能を担っている臓器です。肝臓に異常が発生し機能が低下すると、たんぱく質が不足したり、血流の流れが悪くなったりします。皮膚が黄色くなるのが特徴です。

肝臓の機能が低下すると、血管の外に水分が出てむくみの症状を引き起こします。肝臓は沈黙の臓器と呼ばれ、病気が進行しても気がつくのが難しいので注意が必要です。むくみが治らない場合は早めに病院に行くことをおすすめします。

腎臓病

腎臓には、身体の余分な水分を尿として排泄する役割があります。腎臓が正常に働かないと老廃物を体外に排出できません。腎臓に異常が発生し、水分を体外に排出できなくなると、排出されず身体に溜まった水分が原因でむくみが発生します。

むくみは腎臓病の初期に見られる症状です。自覚症状が現れにくい病気ですが、むくみが何日も続く場合は腎臓病を疑いましょう。

心臓病

心臓は全身に血液を送り出す役割を担っている臓器です。心臓の働きが低下すると血液の循環が悪くなり、腎臓に流れる血液の量も減少します。血液の量が減ると腎臓は正常に役割を果たせません。老廃物を尿として体外に排出できず、むくみを引き起こしてしまいます。

むくみ以外に「息切れ」や「動悸」といった症状が現れている場合は、心臓病の可能性があるので注意が必要です。

低栄養

たんぱく質が不足すると、むくみが発生しやすいです。たんぱく質は筋肉を作る栄養素です。足の筋肉が減少すると、血液を下半身から心臓に送り出せなかったり、血液の流れが悪くなったりして、むくみの発生につながります。

たんぱく質の種類のひとつであるアルブミンは、血液に含まれる水分を調節する働きをしています。水分の調節ができないとむくみが発生する原因になるので、たんぱく質が不足した状態は避けることをおすすめします。

むくみの症状を解消する5つの方法

5.むくみの症状を解消する5つの方法

むくみの症状を解消する方法には、ストレッチやマッサージ、全身浴など自宅で試せる方法があります。食事内容を改善すれば、むくみの解消だけでなく予防が可能です。

こちらでは、ご自身で実践可能なむくみの症状を解消する方法について解説していきます。

ストレッチ

むくみが発生する原因として、血液やリンパ液の流れが停滞することが挙げられます。滞った流れを解消する方法として、ストレッチが効果的です。筋や関節を伸ばすことにより、凝り固まった筋肉がほぐされて血行の改善につながります。

ストレッチを行うと身体が温まり、代謝を上げることにもつながるので、むくみの解消だけでなく予防にもおすすめです。

マッサージ

むくみの症状が現れている部分にマッサージを施すことで、血液やリンパ液の流れを促進できます。マッサージを施す際は、心臓から離れた部分から血液やリンパ液を流すように施すとより効果的です。

足のむくみが気になる方は、ふくらはぎにマッサージを施すことをおすすめします。血液やリンパ液を循環させる役割を担っており、より効果的にむくみの解消が可能です。

全身浴

全身浴を行うことで、身体が温められて血行の促進につながります。湯船に浸かってゆっくり休むことで、むくみの解消が可能です。身体が温められるだけでなく、お湯の水圧が身体に適切な圧力を与えることにより、停滞している血液やリンパ液を流してくれます。

38℃前後のお湯で全身浴を行うとむくみの解消に効果的です。熱いお湯で全身浴を行うと身体がリラックスできず、血行の促進につながらないため注意しましょう。

洗顔

顔にむくみの症状が出ていると感じたら、洗顔をおすすめします。冷たい水と温かい水で交互に洗顔を行うことで、顔の血行が促進されてむくみの解消が可能です。

蒸しタオルと冷たいタオルを顔に当てる方法も、洗顔と同様の効果を得られます。洗顔を行った後は、肌の状態を守るために化粧水などで保湿をしましょう。

食事内容の改善

食事内容を改善することでむくみの症状を解消できます。むくみの症状が出てきていると感じたら、カリウムが豊富に含まれた食品を食べるようにしましょう。

身体にナトリウムが多くなると、水分を溜めこみやすくなります。カリウムには、ナトリウムを体外に排出する作用があり、むくみの症状を解消するのに効果的な栄養素です。カリウムはバナナやリンゴなど野菜や果物に多く含まれているので、積極的に食べましょう。

【ケース別】むくみの症状別の受診先

6.【ケース別】むくみの症状別の受診先

時間が経過してもむくみの症状が治らない場合は、他の病気を発症している可能性があるので注意が必要です。病気を発症している場合は長く放置すると治りが悪くなったり、重症化したりするので、早めに病院に行きましょう。

手や足、顔などむくみの症状が現れる部位によって、発症が疑われる病気は異なります。こちらでは、むくみの症状別の受診先について解説していきます。

手のむくみ

時間が経過しても手のむくみが治らない場合は、心臓に異常がある可能性があります。心臓は全身に血液を循環させる役割を担う臓器です。心臓が正常に働かないと血液の循環が悪くなり、手の血液が滞りむくみの症状が現れます。

手のむくみが数日経過しても治らなかったり、息切れがしやすくなったりした場合は、心臓の働きが低下している可能性があるので注意が必要です。手のむくみが治らない場合は、内科や循環器科の受診をおすすめします。

足のむくみ

足にむくみの症状が現れている場合は、静脈瘤を疑ってみることをおすすめします。静脈瘤は足に血液が溜まることによって発症するのが特徴です。放置をしても命に別条はありませんが、状態が悪化し治りづらくなります。

立ち仕事など1日の中で立っている時間が長いという方は、静脈瘤を発症しやすいので注意が必要です。足のむくみがいつまでも続くという方は、血管外科など専門の病院の受診をおすすめします。

顔のむくみ

顔にむくみの症状が現れて、時間が経過しても治らない場合は、腎臓の機能が低下している可能性があります。腎臓は尿を作り、身体に不要な物を排出する機能を持った臓器です。

腎臓の働きが弱まると、不要な老廃物や水分を身体の外に排出が難しくなり、むくみを引き起こす原因となります。顔のむくみ以外に、血尿や、尿が泡立つといった症状があれば注意が必要です。腎臓内科の受診をおすすめします。

全身のむくみ

全身にむくみの症状が現れて、時間が経過しても治らない場合は、病院を受診して検査をしてもらいましょう。問診をして場合によっては血液検査や尿検査、心電図など本格的な検査を受けられます。

気が付かないうちに他の病気が発症している可能性があるので、むくみが治らない場合は注意が必要です。内科や腎臓内科、循環器内科の受診をおすすめします。

おわりに

むくみの症状は足の内側を押したり、靴下の跡を確認したりすることで、ご自身でチェックが可能です。朝と夜では身体の水分量が異なるので、チェックをする際は朝と夜に行うことをおすすめします。むくみを予防するために水やアルコールの飲み過ぎなど、生活習慣の見直しを心掛けましょう。食事の際はカリウムが含まれる食品を食べるとむくみの発症を抑えられます。

むくみの症状がいつまでも経っても治らない場合は、他の病気を発症している可能性があります。症状が悪化しないうちに病院を受診しましょう。

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