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【監修】姿勢別|腰が痛い!の前にストレッチで予防!腰痛の原因や症状についても紹介!

【柴先生監修】【姿勢別】腰が痛い!の前にストレッチで予防!腰痛の原因や症状についても紹介!
柴 雅仁 パーソナルトレーナー

監修者

パーソナルトレーナー

柴 雅仁

1987年、愛知県生まれ、神奈川県育ち。東京・立川を拠点 に活動する治療家・パーソナルトレーナー。Twitter・Instagram・Voicy等で痛みのない動ける体を作るための方法を発信。Twitterで公開した「動きを変える10秒アクション」が話題になり、現在総フォロワー数が20万を超える。鍼灸師/JCMA認定体軸セラピスト。 主な著書『最強のストレッチ図鑑』(SBクリエイティブ) 『新しい体幹の教科書』(池田書店)など計8冊。

運動不足や、腰に負担のかかる姿勢が続くことによって腰痛になり、悩んでいる方は多いでしょう。筋力を鍛えたり、良い姿勢を保たねばならないと分かってはいても、これまでの習慣を変えたり、姿勢を意識し続けるのは難しいことがあります。 

そんな方におすすめなのが、足や腰・お腹周りのストレッチです。オフィスや外出先などで、立った状態のままできるもの、自宅で寝転んだままできるものなどがあり、いつでも簡単に取り組めます。 

このコラムでは、腰痛の原因や症状についての詳しい解説と、腰痛予防のためストレッチを紹介していきます。特別な道具など必要としないストレッチなので、どなたでも簡単にできるでしょう。腰痛でお困りの方は、ぜひ試してみてください。 

腰痛とは? 

腰痛とは、病名ではなく、腰回りの痛みや張り・しびれなどの不快感を指す総称です。外からの衝撃や無理な動きが原因となって、急に腰が痛くなる場合や、筋力の低下・悪い姿勢などによって慢性的に痛みが続く場合があります。  

男性も女性も腰痛を訴える方の割合は高く、年々増加傾向にあるといわれています。腰は身体を支える大事な部分で、筋力の低下が進むと機能を果たせなくなります。これが腰痛を引き起こす原因です。  

また、最近は高齢の方だけでなく、若い世代でも腰痛に悩まされている方が増えています。スマホやパソコンの普及で、首や肩・腰に負担のかかる姿勢を長時間とっている方が多く、こうした使い方が腰痛を招きやすいといえます。  

腰が痛くなる原因と症状 

腰が痛くなる原因と症状

腰痛には、痛みの原因を特定できる「特異的腰痛」と、特定しにくい「非特異的腰痛」があります。それぞれの原因と症状について詳しく解説します。  

特異的腰痛 

特異的腰痛は、レントゲン・CTなどの画像検査や、問診・触診などによって原因を特定できる腰痛のことを指します。よくある特異的腰痛3つについて、詳しく解説していきます。 

椎間板(ついかんばん)ヘルニア 

腰椎と腰椎の間にある「椎間板」と呼ばれるクッションが飛び出し、神経を圧迫することで痛みやしびれなどの症状が出る腰痛を「椎間板ヘルニア」と呼びます。若い男性がなりやすいといわれています。  

脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう) 

背骨の中にある神経の通り道が加齢とともに狭くなり、腰椎や椎間板が神経にあたって痛みやしびれが出る腰痛のことを「脊柱管狭窄症」と呼びます。シニア世代に多くみられる症状で、女性の方がなりやすいといわれています。  

腰椎圧迫骨折(ようついあっぱくこっせつ) 

外部からの圧力や衝撃によって、腰椎が骨折することを「腰椎圧迫骨折」と呼びます。骨粗しょう症などで骨が弱くなっている高齢者、特に女性に多くみられるもので、多くの方が我慢できないほどの痛みを訴えます。 

非特異的腰痛(ひとくいてきようつう) 

非特異的腰痛とは、腰痛の原因を特定できないものを指します。腰の痛みがあっても、画像検査などで異常が確認できない場合は、非特異的腰痛とされます。以前は腰痛の85%は、この非特異的腰痛とされていましたが、近年はその根拠を見直すべきであると考えられています。  

非特異的腰痛としてあげられる3つの腰痛について、詳しく解説します。 

椎間板性腰痛(ついかんばんしょうようつう) 

過度な圧迫やねじれる動きにより、椎間板が傷ついて腰痛を発症することを「椎間板性腰痛」と呼びます。傷ついた椎間板を修復しようと神経が入り込むことで痛み、身体を曲げたときに最も痛みを感じます。  

椎間関節性腰痛(ついかんかんせつせいようつう) 

腰椎の椎間関節の動きが悪くなったり、炎症を起こすことで出る腰痛を「椎間関節性腰痛」と呼びます。身体をそらせる、あるいはねじる動きが負担となって、椎間関節にストレスがかかり痛みとなって現れます。  

仙腸関節性腰痛(せんちょうかんせつせいようつう) 

仙腸関節の緩みや、靭帯の伸びすぎで、炎症を起こして痛みが出る腰痛を「仙腸関節性腰痛」と呼びます。体幹や股関節周りの筋力低下によって起こりやすく、幅広い年齢層でみられる腰痛です。  

腰痛予防にはストレッチが効く? 

腰痛は、運動不足や姿勢の悪さなどによって、筋力が衰えたり筋肉の柔軟性が低下することでも痛みが出やすくなります。年齢とともに活動量が減ることで、筋力低下が起こり、筋肉も硬くなっていきます。  

筋肉が硬くなり柔軟性が低下すると関節可動域が狭くなり、少しの動きでも限界がきて痛みが発生します。腰の痛い部分だけに問題があるわけではなく、腰とつながっている足や背中などの筋肉の状態も影響します。  

そのため、筋肉を柔らかくするにはストレッチが効果的です。ストレッチには、硬くなった筋肉に柔軟性を取り戻し、関節可動域を広げる効果が期待できます。腰やお腹周り、さらには足・背中など全身の筋肉を伸ばし、柔らかくすることが腰痛予防につながります。  

立ちながらできる腰痛予防ストレッチ 

立った状態でもできる腰痛予防のストレッチを4つ紹介します。  

  • 太ももの前面を伸ばす 
  • 太ももの後ろを伸ばす 
  • 腸腰筋を伸ばす 
  • 胸をそらしてきれいなS字カーブを維持する  

自宅以外でもできるストレッチですので、仕事の休憩中や腰がつらいと感じたときなどにやってみると良いでしょう。筋肉がほぐれ、血行も良くなってすっきりします。 

太ももの前面を伸ばすストレッチ 

そり腰気味の方におすすめの、太ももの前を伸ばすストレッチです。  

  1. 壁に手をつき、立った姿勢の状態から、片方だけかかとをおしりに近付け、その足首を同じ側の手で持ちます。このとき、膝同士が離れすぎないようにしましょう。 
  2. 少しずつ膝を後方に引きながら、足の付け根は前方に押し出すように伸ばしていきます。このとき、急に引っ張ったり、過度に身体をそらしたりしないように注意しましょう。 
  3. 20~30秒ほどキープして、反対側も同様に行います。 

太ももの後ろを伸ばすストレッチ 

前屈をしたときに痛みを感じる方におすすめの、太ももの後ろを伸ばすストレッチです。 

  1. 足を肩幅の2倍ほどに広げます。 
  2. 片方の膝を曲げ、反対側の足の裏側を伸ばしていきます。伸びが弱いと感じる方は、足の幅を広げるとよりしっかりと伸びます。このとき、つま先はしっかり立てておきましょう。反動を付けず、じっくり20~30秒伸ばしていきましょう。 
  3. 1の姿勢に戻し、反対の足の裏を同様に伸ばします。 

腸腰筋のストレッチ 

デスクワークや長距離運転など座位の多い方におすすめの、腸腰筋のストレッチです。 

  1. 前後に足を開き、後ろ足の膝を床に付けます。 
  2. 両手は前方の足の膝にのせ、少しずつ前方に体重移動していきます。物足りなさを感じる方は、足の幅を広げてみましょう。 
  3. お腹から足の付け根あたりが伸びているのを感じながら、15秒ほどキープします。 
  4. 1の姿勢に戻り、足を入れ替えて反対側の同様に伸ばします。 

胸をそらすストレッチ 

猫背気味の方におすすめの、胸をそらすストレッチです。 

  1. 足は肩幅に開き、両手を後ろで組みます。 
  2. 顔は上に向け、ひじを伸ばした状態で胸を張ります。このとき、腕は身体からできるだけ離して、肩がすくまないように胸を張りましょう。  

首に痛みを感じるときは、顔を正面に戻して続けましょう。 

イスに座りながらできる腰痛予防ストレッチ 

イスに座った状態で行う、腰痛予防のストレッチを3つ紹介します。  

  • 腰を丸めて、腰椎やその周囲の筋肉を柔らかくするストレッチ 
  • お尻の筋肉を柔らかくし、股関節の可動域を広げるストレッチ 
  • S字カーブを正常な状態に導く脊柱起立筋のストレッチ  

自宅やオフィスなど、どこでもできるストレッチなので、ぜひチェックしてください。 

腰を丸めるストレッチ 

脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)の方におすすめの、腰を丸めるストレッチです。 

  1. イスに座った状態で、膝を抱えるように身体を丸めていきます。 
  2. 30秒ほどキープし、元の姿勢に戻します。これを3~4回繰り返し、腰付近を伸ばしていきます。 

ただし、身体を丸める姿勢は椎間板が押し出されやすいので、椎間板ヘルニアと診断されている方は行わない方は、痛みが強くなる恐れがあるため控える方が良いでしょう。  

股関節のストレッチ 

座位が多くお尻が疲れやすい方におすすめの、股関節のストレッチです。  

  1. イスに座って足を組み、身体を前に倒していきます。このとき、みぞおちを軽く丸めて行っていきます。 
  2. 呼吸をしっかり行いながら、10秒ほどキープします。 
  3. 足を入れ替えて、反対側も同様に行います。 

お尻が伸びるのを感じながらストレッチを行いましょう。  

脊柱起立筋のストレッチ 

腰痛やぽっこりお腹でお悩みの方におすすめの、脊柱起立筋のストレッチです。 

  1. イスに座り、坐骨に乗るように椅子に座る。 
  2. その状態で、ゆっくりと身体をひねっていきます。 
  3. しっかり深く呼吸を続けながら、20秒ほどキープします。 
  4. 息を吐きながら、ゆっくり身体を元の状態に戻します。 
  5. 同様に、反対側にもひねっていきます。 

ひねる動きは、呼吸を止めてしまいやすいので、しっかりと呼吸を意識して行いましょう。また、ゆっくりと無理のない範囲でストレッチを続けるのが大切なポイントです。  

寝ながらできる腰痛予防ストレッチ 

自宅でゆっくりと、寝ながらストレッチをしたい方におすすめの、2つの方法を紹介します。 

  • 腰痛と関わりの深いハムストリングスを伸ばすストレッチ 
  • 身体の歪みに効果的な、膝を倒すストレッチ 

布団の上でできるストレッチなので、寝る前の習慣にすると腰への負担が減り、腰痛予防に効果が期待できるでしょう。  

太ももの背面を伸ばすストレッチ 

前屈の動きがつらい方におすすめの、太ももの背面を伸ばすストレッチです。 

  1. 仰向けに寝た状態で、片方の足を持ち上げます。 
  2. 持ち上げた足を、真っすぐ天井に向かって伸ばし、できる限り膝が曲がらないようにキープします。このとき、反対の足は浮かせたりせず、床に真っすぐの状態で残しておきます。また、持ち上げている側のお尻や腰が浮かないように注意しましょう。 
  3. 「2」の状態を20秒ほどキープします。呼吸を止めずに行いましょう。 
  4. 反対の足と入れ替えて、同様に太ももの背面を伸ばします。 

膝を倒すストレッチ  

身体の歪みが気になる方におすすめの、膝を倒すストレッチです。 

  1. 仰向けに寝た状態で、両膝を立てます。 
  2. 両足を付けたままゆっくりと右に倒し、心地よく伸びるところで5秒キープします。 
  3. ゆっくり元の状態に戻し、左も同じように倒します。 

膝を倒すときに、肩を地面から浮かせたり、上半身を動かしたりしないよう気をつけましょう。倒しにくい方や痛みが出る側がある場合は、その方向に身体がねじれている可能性があります。 

同じ姿勢が続いたり、身体を動かす機会が少ない方は、筋肉が硬くなって腰痛になりやすい傾向にあります。また、年齢とともに筋力の衰えも重なるため、腰への負担はとても大きくなります。 
そんな腰痛を予防するには、身体の柔軟性を高めてくれるストレッチが効果的といえます。硬くなった筋肉を柔らかくし、関節の動きを最大限引き出してあげることで、腰への負担を減らし痛みを予防することも可能です。 
このコラムで紹介したストレッチは、自宅やオフィスで簡単に行うことができます。ぜひ取り入れて腰痛を予防し、快適な毎日を過ごしてください。ひとつからでもコツコツ続けることで、身体に良い影響を与えてくれるでしょう。

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