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【監修】膝が痛いときの寝ながらストレッチとは?!姿勢別ストレッチも紹介!

膝が痛いときにはストレッチが効果的!効果的な原因や姿勢別のストレッチを紹介!
柴 雅仁 パーソナルトレーナー

監修者
柴 雅仁 パーソナルトレーナー

1987年、愛知県生まれ、神奈川県育ち。東京・立川を拠点 に活動する治療家・パーソナルトレーナー。Twitter・Instagram・Voicy等で痛みのない動ける体を作るための方法を発信。Twitterで公開した「動きを変える10秒アクション」が話題になり、現在総フォロワー数が20万を超える。鍼灸師/JCMA認定体軸セラピスト。 主な著書『最強のストレッチ図鑑』(SBクリエイティブ) 『新しい体幹の教科書』(池田書店)など計8冊。

膝が痛いときに効果的なストレッチはあるのでしょうか。そもそもストレッチで痛みが改善されるかどうか、疑問に思っている方もいるかもしれません。 

膝に痛みがあるときは何をしてもつらいものです。膝をかばうために行動が制限されることもあります。また、原因もよくわからないまま急に痛みが出てくることもあるでしょう。多くの場合、膝の痛みは年齢とともに膝の軟骨がすり減ってしまうことが原因です。 

では、痛みを緩和したり予防したりするストレッチや運動にはどのようなものがあるのでしょうか。膝が痛いときに行うストレッチには特別な機器は必要なく、手軽で簡単に行えるものがほとんどです。生活習慣のひとつとしてストレッチや運動を取り入れることで、痛みの軽減や予防を行いましょう。 

膝の痛みを感じる高齢者が多い 

膝の痛みを感じる方は、年齢が高くなるごとに増加する傾向にあります。40代から徐々に増え始め、悩む方が多くなっています。 

平成28年度の「手足の関節が痛む」と回答した有訴者率を年齢と男女別で見てみると、50代から一気に多くなっているのがわかります。また、間接の痛みを感じている方は、男性よりも女性の方が多いという結果が出ています。 

単位人口千対  総数  9歳以下  10代  20代  30代  40代  50代  60代  70代  80歳以上 
男性  40.7  1.8  11.5  7.9  16.9  27.3  45.4  63  87.1  109.9 
女性  70.2  1.6  10.3  12.5  22.2  42.2  84.2  98.8  139.4  173 

参照元:「平成28年度 国民生活基礎調査」厚生労働省 

膝の痛みを感じる原因にはさまざまありますが、中でも特に多いのが関節部分にある軟骨がすり減ってしまう「変形型膝関節症」です。年齢が高くなると発症しやすくなるため、50代以降は特に痛みを感じる方の割合が高くなっています。 

また、年齢を重ねると筋力の低下や活動量の低減が見られます。特に高齢になると外出する機会も減り、動くことも少なくなるでしょう。痛みがあるからといってあまり動かなくなると、さらに膝の痛みが出やすくなる傾向にあります。痛さを感じる前から予防しておくことが一番ですが、痛みが出てから意識的に身体を動かし対処することも非常に重要です。 

膝が痛くなる原因は何か? 

膝が痛くなる原因は何か

膝が痛くなる原因は年齢によっても変わってきますが、高齢者の多くは先に述べた「変形性膝関節症」が原因となる場合が多いといえます。膝の関節が炎症を起こすもので、加齢とともに自然に発症します。 

患者は特に女性に多く、痛みの多くは膝の内側に現れます。痛みの程度は少し休めば治るくらいの初期症状から、手術が必要になるほどの強い痛みがある末期症状まで3段階に分けられます。 

膝の内側が痛む原因は他にも、以下のような場所に炎症が起きている状態が挙げられます。 

  • 内側半月板(ないそくはんげつばん) 
  • 内側側副靱帯(ないそくそくふくじんたい) 
  • 膝の内側にある筋肉のハリや炎症 

また、膝の痛みが外側に出ることもあります。原因としては、以下のことが考えられます。 

  • 外側半月板(がいそくはんげつばん)の損傷 
  • 外側側副靱帯(がいそくそくふくじんたい)の損傷 
  • 膝の外側の骨につく大きな靱帯の炎症 

このように膝の痛みの原因はさまざまな箇所の炎症によって出ることが多いといえます。 

膝が痛いときはストレッチなどの運動が有効 

膝の痛みは、関節が硬くなったり縮んだりしていることで感じます。ストレッチは関節の柔軟性だけでなく、膝まわりの筋肉の萎縮にも効果的です。柔軟性を高めてくれるストレッチを行うことにより、膝の負担が軽くなり痛みの軽減が期待できます。 

ストレッチは難しくなく、すぐにできるところが魅力です。立ち上がったついでや家事のついでなど、何かの行動と合わせて行ってみても良いでしょう。少し行っただけでも膝の痛みに変化が出る場合があります。1日のどこかでストレッチを行うようにするなど、工夫して取り入れてみましょう。 

また、筋トレも痛みの軽減に有効です。膝に筋肉をつけることで安定感を得られます。膝が安定すると、関節を曲げたり伸ばしたりする動作をスムーズに行うことが可能になるでしょう。 

膝の痛みを予防するストレッチ 

膝の痛みを予防するストレッチはたくさんありますが、ここでは簡単で気軽に行えるものを3つご紹介します。 

スクワット【内ももストレッチ】 

太ももの筋肉を鍛える動きです。筋肉をつけると膝の痛みが抑えられるだけでなく、関節まわりが安定します。 

太ももの内側の筋肉を伸ばすことは、膝まわりの筋肉の柔軟につながります。 

スクワットの方法は簡単です。 

  1. 足を肩幅程度に広げます。足先は外側30度くらいを意識して立ちましょう。 
  2. 腰を後ろに引きながら前傾姿勢になり、ゆっくりと5秒かけてしゃがんでいきます。 
  3. 膝がつま先よりも前に出ないように意識しながら、5秒かけてゆっくりと元の位置まで戻します。 
  4. しゃがむときは、腰が落ち過ぎないよう膝の位置くらいまでを意識しましょう。この動きを5〜15回繰り返します。 
  5. 足を肩幅の二倍に広げます。 
  6. 膝の内側に手を当てて身体を捻ります。 
  7. そのまま30秒キープしてから、反対側も同様に行います。 

これを1セットとして、1日で2〜3セット行うようにしましょう。 

ふくらはぎとアキレス腱を伸ばすストレッチ 

ふくらはぎとアキレス腱を同時に伸ばすストレッチも膝が痛いときに効果的です。 

  1. 手すりや壁など、支えがある場所の前で、足を前後に開きます。 
  2. 後ろにある足の膝を軽く曲げます。ゆっくりと腰を落としてかかとは床から離れないように注意しましょう。 
  3. そのまま10秒間止まります。このときふくらはぎだけでなくアキレス腱も伸びるのを意識しましょう。 
  4. 次に上半身を前に倒して、頭のてっぺんからかかとまでまっすぐになるようにして10秒間止まります。このとき上半身は少し胸を突き出すようにしてください。 
  5. この動きを5~10回ほど繰り返して、反対側の足も同じように行います。 
  6. 壁に手を当てて片足を後ろに下げます。 
  7. 後ろ足のカカトを地面につけます。 
  8. 後ろ足の膝が曲がらないように注意します。 
  9. そのまま30秒キープしてから、反対側も同様に行います。 

足の後ろ側が伸びるため、とても気持ちの良いストレッチです。 

大腿四頭筋(太ももの前側)を伸ばすストレッチ 

太ももの前側の筋肉を伸ばすことは、膝まわりの筋肉の柔軟につながります。壁の前で行うストレッチをご紹介します。 

  1. 片手を壁について立ち、片足の膝を曲げてつま先を手でつかみます。 
  2. つま先をつかんだ手を、お尻の方へ引き寄せて太ももの前側をグーっと伸ばします。 
  3. 息をしっかり吐きながら30秒間保ちます。 
  4. 反対の足も同じように行います。 

膝痛でも寝ながらできるストレッチ 

膝が痛いときは無理をせずに休むことも大切です。しかし、あまり動かない時間が多くなると血行が悪くなり、痛みを悪化させる原因にもなってしまいます。立つのはつらくても寝ながらだったら少し動けそうというときにおすすめのストレッチがあります。 

簡単なストレッチなので、寝る前など横になったときにも行うように生活に取り入れてみましょう。ストレッチで柔軟性を上げることにより、筋緊張を取り除き、痛み緩和につながるため、膝の痛みの軽減効果があります。 

寝ながらできる脚上げ体操【裏ももストレッチ】 

仰向けに寝た状態でできる簡単な体操なので誰でも始めやすいストレッチです。体操をすることで、血流が良くなり筋力もアップします。 

  1. 足を伸ばして仰向けに寝ます。膝を伸ばしたまま、片足だけ10cmほどかかとを上げます。反対側の足は、痛みが大丈夫そうであれば立てておくと腰に負担がかかりません。 
  2. 上げた足はそのまま5秒間ほど止まってから、ゆっくりと足を下ろします。反対の足も行いましょう。左右20回ずつで1セット行います。 
  3. 片足を上にあげて膝裏を抱えます。 
  4. そのまま胸に近づけるように引っ張ります。 
  5. 30秒キープしたら、反対側も同様に行います。 

寝ながらできる横上げ体操【前ももストレッチ】 

横向きに寝た状態で行える体操です。 

  1. 横向きになり、下側の足は直角くらいに曲げます。上側の足は膝をしっかり伸ばします。 
  2. 上側の足首を床から10cm離して5秒間停止します。 
  3. 上側の足首をゆっくりと下ろします。左右20回ずつで1セット行います。 
  4. 横向きに寝転がったら上側の膝を曲げて、足首を持ちます。 
  5. かかとをお尻に近付けます。 
  6. そのまま30秒キープしたら、反対側も同様に行います。 

下側の足は安定感を出すために直角まで曲げることが推奨されますが、痛みがある場合は軽く曲げる程度でも構いません。また上側の膝もしっかりと伸びない場合は、無理をせず曲げたままでも行えます。 

寝ながらできる膝の筋肉を伸ばすストレッチ【お尻や外ももストレッチ】 

仰向けの状態で行います。こちらも寝るときや少し横になったタイミングですぐに行えるストレッチです。 

  1. 仰向けになり、両手で片方の太ももの裏を抱えます。 
  2. 抱えた足を胸の方に引き寄せて、5秒間停止します。もしも痛みが出る場合は無理をしないでください。この動作を5〜10回ほど繰り返します。反対も同じように行ってみましょう。 
  3. 膝を立てたら脚を4の字に組みます。 
  4. 下ろしてる方側の膝を抱えます。 
  5. そのまま30秒キープしたら、反対も同様に行います。 

膝痛でも椅子に座りながらできるストレッチ 

ストレッチは椅子に座ったままでも行うことができます。あえてストレッチの時間を設けなくても、家事や仕事の間に気軽に行うことができます。 

膝の裏を伸ばすストレッチ【裏ももストレッチ】 

椅子に浅く座って行います。 

  1. 片足を前に出して膝をしっかり伸ばします。このときかかとは床につけてつま先は立てた状態にします。伸ばした方の足の膝に両手を乗せて軽く押します。 
  2. 背筋を伸ばしたまま上半身を倒していきます。痛くなければつま先を両手でつかみ、さらに深く前屈します。 
  3. 反対の足も同じようにストレッチします。左右各15秒ほどを2セット行いましょう。 
  4. 片足を前に伸ばしつま先を立てます。 
  5. 伸ばした足側に体を倒します。 
  6. そのまま30秒キープしたら、反対側も同様に行います。 

膝の裏が伸びることによって血流も良くなります。血流が良くなると痛みの物質を一緒に流してくれるので、痛みを和らげることができます。 

膝の水平上げストレッチ【お尻と外ももストレッチ】 

椅子に浅く座って行います。 

  1. 前に片足を伸ばします。膝はしっかり伸ばして、つま先は天井方向に立てます。 
  2. 両手は椅子の横をつかんでおきます。足は膝を伸ばしたままの状態で、ゆっくりと上に向かって上げていきます。 
  3. つま先を手前に引き寄せることを意識しながら、足は水平を保ちます。そのままの姿勢で10秒間停止して終了です。反対の足も同じように行います。左右各10秒間を3セット行いましょう。 
  4. 脚を4の字に組みます。 
  5. そのまま体を前に倒します。 
  6. 30秒キープしたら、反対側も同様に行います。 

膝に痛みが出る場合は、無理して行わないようにしましょう。 

膝の痛み改善に取り入れたい運動 

ウォーキング

膝の痛みを予防するには、膝まわりの筋肉を強化することや血流を良くすることなどが重要です。日常的に意識して生活の中に取り入れていけば、膝が痛いつらさも回避できるでしょう。体操やストレッチは気軽にできる改善方法のひとつですが、他にも膝の痛みを予防する方法がいくつかあります。 

ウォーキング 

普段運動をあまりしない方は、軽く歩いてみることをおすすめします。急にトレーニングを始めると、膝や関節に負荷がかかり過ぎてしまい逆効果です。ウォーキングは、膝の関節や腰などに負荷がかかりにくい有酸素運動なので安心です。膝の痛みの予防だけでなく、全身の運動にもなります。 

ウォーキングをするときは、ただ闇雲に歩くのではなく正しい姿勢で歩くように心掛けましょう。 

  • 身体を起こしながら歩きます。 
  • あごは軽く引いて、5mくらい先を見るように意識してください。 
  • 歩幅は広くなり過ぎず、膝が軽く曲がるくらいがベストです。 
  • 首もまっすぐに保ち、前後左右に動かないようにしましょう。 

はじめから長時間行う必要はありません。まずは30分くらいを目安にウォーキングしてみましょう。 

ハムストリングスのトレーニング 

ハムストリングスはお尻の付け根あたりから、膝の裏側まで伸びている筋肉のことです。この筋肉は膝を伸ばしたり、曲げたりする際に使われる大切な筋肉です。 

ハムストリングスの簡単なトレーニング方法をご紹介します。 

  1. 仰向けに寝て、身体をまっすぐな状態にします。 
  2. 片足を上に伸ばし、膝を少し曲げて足裏にタオルをひっかけます。タオルの端を両手で持ちます。 
  3. 両手でタオルを胸の方に引っ張りながら、足は逆方向に膝を伸ばすように力を入れます。その状態で10秒間停止します。これを5回繰り返します。 
  4. 反対側の足も同じように行います。膝の裏の筋肉を意識して行ってみてください。 
  5. 足を腰幅に開き、膝を軽く曲げます。 
  6. 鼠径部(そけいぶ)の真ん中を触ったら、そこから曲げるようにお辞儀をします。 
  7. これを10回繰り返します。 

何回かトレーニングをして慣れてきたら、タオルをつかむ位置を変えると強度が上がるので試してみましょう。 

内もものトレーニング【ワイドスクワット】 

立って行うトレーニングです。 

  1. 椅子に浅めに腰をかけ、足を肩幅に開きます。 
  2. 左膝の内側に右手、右ひざの内側に左手を当てます。 
  3. 膝を閉じるように力を入れます。その際、両手は逆の外側に向かって力を入れましょう。両膝と両手が押し合うようなかたちです。 
  4. 数秒間押し合って、一度休みます。これを何度か繰り返しましょう。 
  5. 脚を肩幅の2倍くらいに広げたら、つま先を斜め外に向けて鼠径部の真ん中を触ります。 
  6. 鼠径部(そけいぶ)から曲げるようにスクワットします。 
  7. これを10回行います。 

内転筋という太ももの内側を鍛えることができます。内転筋を鍛えると姿勢が安定し、リンパの流れも良くなります。膝の関節が安定することにもつながるので、太ももの筋肉の運動は膝の痛みに効果的です。 

膝が痛くなる原因はさまざまありますが、年齢を重ねるごとに変形性膝関節症で悩む方が多くなっています。膝の軟骨がすり減ることで痛みが出ますが、適切なストレッチ・運動により予防や痛みを軽減することができます。 
痛みの予防や軽減には手軽にできるストレッチがおすすめです。ストレッチを行うことで膝関節内の収縮が改善され、血流が良くなります。ストレッチを習慣化することで、膝の痛みのつらさが和らぎ、悪化させないような今後の予防にもなるでしょう。 
また生活の中で運動やトレーニングを習慣にしておけば、膝の関節を安定させる筋肉もつきます。痛みが出る前から、予防のためにストレッチやトレーニングをすることも大切です。 
痛みを我慢して行わず、無理なくゆっくり行うだけでもストレッチの効果は充分にあります。 

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