気が付いたらズボンの前が濡れていて恥ずかしい思いをした経験はありませんか。そんなとき、周りの目が気になるだけでなく気分まで落ち込んでしまいます。ここでは尿漏れに悩む男性に向けて、男性の尿漏れ事情や考えられる原因、予防法などについてご紹介します。また、吸水シートや尿漏れ対策パンツのおすすめ商品についてもまとめていますので、尿漏れに悩む男性はご一読ください。
男性の尿漏れ事情
テレビでは、女性の尿漏れ対策アイテムのCMを見かけることが多いです。そのため、「尿漏れは女性特有の悩みなのでは」と思われやすいですが、そういうわけではありません。ここでは、男性の排尿機能の仕組みや、尿漏れに悩む男性の割合をご紹介します。
男性の排尿機能のしくみ
膀胱にたまった尿は、すぐに排出されるわけではありません。尿が一定量たまることで脳に信号が送られ、尿意を感じます。そして尿が尿道を通って体外に出すことが排尿です。排尿の役割は、体のなかの老廃物を水分とともに排出することです。
男性の膀胱の下には前立腺があり、その中央部分を尿道が通っています。男性の尿道の長さは16〜25cm程度、女性が4㎝程度なので男性の尿道は、女性よりもかなり長いことが特徴です。
尿漏れに悩む男性の割合は?
製薬会社が40〜70代男性を対象に行った調査では、1年以内に尿トラブルの経験があるという男性は53%、尿漏れに限定すると12%という結果が出ています。つまり、約8人に1人の男性が尿漏れに悩んでいるということで、意外に多いことが分かります。
男性に多い悩みの内容
男性が悩んでいる尿漏れには、どのようなものがあるのでしょうか。
前述の調査では、排尿直後の尿漏れ79%、我慢しきれないことによる尿漏れ34%、そして重いものをもったときやくしゃみをしたときの尿漏れ14%となっています。 尿漏れを経験した方からは、「下着やズボンが濡れて見た目が気になる」「ニオイがするので周りに気付かれてしまう」などの声も聞かれます。正常な状態では、排尿回数は1日に5〜7回といわれています。そのため、1日に何度も直面する悩みであるといっても過言ではないでしょう。
病院を受診すべき?
「尿漏れぐらいで受診不要なのでは?」「歳だから仕方ない」と考える方もいるかもしれません。しかし、後述しますが、尿漏れには病気が隠れていることもあります。その場合には、早期に原因となる病気の治療を開始することが必要です。原因によっては、薬物治療や手術などにより尿漏れを劇的に改善できることもあります。尿漏れに悩んでいる方は泌尿器科を受診しましょう。
男性の尿漏れの原因は?
男性の尿漏れの原因には、前立腺肥大をはじめ、過活動膀胱や筋力の衰えなどさまざまなものがあります。ここでは原因について詳しく見ていきましょう。
前立腺肥大
前立腺が肥大化してしまう病気を前立腺肥大といいます。前述のように、前立腺は、膀胱の下に位置しており、尿道を取り囲んでいる臓器です。前立腺肥大になると、膀胱と尿道が前立腺によって圧迫されて、尿がうまく出せなくなってしまいます。
前立腺肥大の初期症状は、頻尿になる、尿の勢いが弱くなる、排尿後にもかかわらず残尿感があるなどです。肥大が進むにつれて膀胱内に尿が多く残るようになってくるため、お腹に力をいれた際に尿漏れする「腹圧性尿失禁」が起こります。また、尿が膀胱内にたまりすぎて溢れてしまう「溢流(いつりゅう)性尿失禁」が引き起こされるのも、前立腺肥大の特徴です。
加齢などによる筋肉の衰え
加齢による筋肉の衰えも尿漏れの一因です。男性の尿漏れと大きく関係しているのは、尿道括約筋。尿道をしめる役割を果たしている尿道括約筋は、排尿時にはゆるみ、排尿後には尿が出ないように尿道を固くしめます。しかし、加齢により尿道括約筋が衰えると、尿道をうまくしめられずに尿漏れが起こる場合があります。筋肉の衰えによる尿漏れは、排尿が終わったあとに尿が数滴漏れてしまうのが特徴です。
尿道括約筋が衰えていなくても、尿道括約筋をつかさどる神経の働きが弱くなったとき同じ症状が見られることがあります。この場合も、排尿後に数滴尿漏れするのが特徴です。
過活動膀胱
過活動膀胱とは、膀胱が活動し過ぎている状態を指します。膀胱内にそれほど尿がたまっていないにもかかわらず、排尿筋が収縮して急に尿意を催すのが特徴です。このときに我慢できず起こる尿漏れを、「切迫性尿失禁」といいます。
過活動膀胱の原因は、加齢やストレスの他、自律神経の乱れなどが考えられていますが、詳しいことはまだ分かっていません。過活動膀胱で見られる症状は、主に頻尿。トイレに頻回に駆け込むことも多いため、不安で外出を控えるなど、生活の質が低下してしまうことが特徴です。
内臓脂肪の増加による膀胱の圧迫
「食習慣や運動習慣を変えたわけではないのに、年齢を重ねるにつれて肥満気味になってきた」という方も多いかもしれません。
中高年以降の男性に多くみられる内臓脂肪型肥満も、尿漏れの大きな原因です。これは、老化現象のひとつである筋肉量の低下と大きな関係があります。筋肉量と基礎代謝は密接に関係しており、筋肉量の低下に伴い、40代を境に基礎代謝がガクンと落ちやすくなっているのです。
内臓脂肪が多いと、くしゃみをしたときや重いものを持ち上げたときなどに尿漏れしやすくなります。このときの尿漏れも、前立腺肥大による尿漏れと同様「腹圧性尿失禁」に分類されます。
糖尿病などの病気
糖尿病や脊椎などの病気も、男性の尿漏れの原因となり得ます。糖尿病の尿漏れは、末梢神経障害によるもの。末梢神経障害は、糖尿病が進行すると起こる合併症です。末梢神経障害により膀胱の収縮をうまく調節できなくなり、尿の排出が難しくなります。糖尿病の場合は、喉が渇きやすくなり水分を摂ることも増えるため、尿量が増えて溢れ出す「溢流性尿失禁」が起こるのです。
尿漏れを引き起こす脊椎の病気には、腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)や椎間板ヘルニアなどがあります。これらの病気により脊髄からの神経伝達が阻害されると、尿漏れしやすくなります。
運動機能や認知機能の低下
運動機能や認知機能の低下により起こる尿漏れを、「機能性尿失禁」といいます。場合によっては他の原因が重なっていることもありますが、機能性尿失禁のみであれば排尿機能自体は問題ありません。身体がうまく動かせない、トイレに行くことを忘れてしまう、トイレに行きたいことをうまく伝えられないなどの理由で尿漏れするのが特徴です。
女性の尿漏れについて知りたい方はこちらのコラムをチェック
尿漏れに悩む女性必見!原因やトレーニング、対策アイテムを大公開
男性の尿漏れを防止する方法は?
尿漏れしてしまうと、周りの目も気になりますし気分も落ち込んでしまう方も多いはず。尿漏れしない方法があれば知りたいと考える方もいらっしゃるでしょう。ここからは、男性の尿漏れ防止につながる方法やトレーニングなどをご紹介します。
ミルキング
陰嚢(睾丸が入った袋)の裏側のつけ根部分を指でこするようにして尿をしぼり出す方法を、「ミルキング」といいます。ミルキングすることで、膀胱にたまっている尿を出すことができます。ミルキングが有効なのは、尿道をしめている筋肉である尿道括約筋の衰えによる尿漏れのとき。また、前立腺肥大などにより尿の勢いが弱い場合にも、有効であるといわれています。
ミルキングは、排尿後に行います。排尿時に出し切れなかった尿を出し切るためです。ミルキングでしぼり出した尿は、トイレットペーパーで受け止めると良いでしょう。ミルキングは手軽にできるため、筋肉の衰えや前立腺肥大などにより尿漏れしてしまう方はぜひ試してみてください。
膀胱に尿をためるトレーニング
膀胱に尿をためる「膀胱トレーニング」という方法もあります。尿意を感じたときに、できるだけ排尿を我慢するトレーニングです。膀胱の容量を広げる目的で行います。膀胱トレーニングは、主に過活動膀胱による頻尿改善におすすめです。重症の場合は、「我慢するなんて無理」というケースもあるかもしれません。その場合には、ある程度治療が進んでからトレーニングしましょう。
膀胱トレーニングの方法は、以下のとおりです。
ステップ1
まずは5分を目安に、できる範囲で尿意を我慢します。トレーニング中に漏れてしまう可能性もあるため、自宅で行うのがおすすめです。尿意が強くなると焦ってしまうかもしれませんが、深呼吸をして別のことを考えながら気をそらします。場合によっては、椅子に座る、足を組むなどにより尿意が落ち着くことも。尿意には波があるので、波が落ち着いたところでトイレに行きます。
ステップ2
5分我慢できるようになったら、尿をしっかりためられるようになってきたととらえて良いでしょう。そこからは、10分、15分、20分と少しずつ時間を延ばしていきます。最終的には、2〜3時間間隔の排尿を目標としましょう。
膀胱トレーニングなどの行動療法は、薬物治療と並んで過活動膀胱の診療ガイドラインで高く評価されています。
薬物療法
過活動膀胱の場合は薬物療法も有効です。多く用いられるのは、副交感神経を抑える抗コリン薬(プロピベリンやフェソテロジンなど)や、交感神経を促進するβ3作動薬(ミラベグロン)。どちらも膀胱の筋肉の緊張をほぐしてくれる働きがあります。またこれらの薬剤は、神経に働きかけて尿意をやわらげてくれる効果もあります。
尿漏れの程度が軽い場合には、市販薬を飲むのもひとつの手。漢方薬の八味地黄丸(はちみじおうがん)には8種の生薬が配合されており、尿漏れの他に頻尿や残尿感などにも用いられる薬剤です。
ただし、一度も医師の診断を受けずに市販薬に頼るのは危険です。尿漏れには病気が隠れていることもあるため、まずはしっかりと受診しましょう。
生活上の注意
尿漏れに関しては、生活のなかで工夫できることもあります。前述のように、内臓脂肪の増加は腹圧性尿失禁につながります。そのため食習慣・運動習慣を見直して肥満の予防に努めることが重要です。
また、カフェインやアルコールを摂取し過ぎないことも大切なポイントです。どちらも利尿作用があるため、尿量が増えて尿漏れしやすい状態になります。
排尿方法にも工夫したいポイントがあります。それは、洋式トイレに座った状態で排尿することです。立って用を足すのは楽かもしれません。しかし、立った状態では尿道内に尿がたまりやすいため、尿漏れしてしまうことがあります。座った状態で、陰茎を下向きにのばして尿を出し切るようにしましょう。
トイレに誘導してもらう
機能性尿失禁の場合は、家族にトイレへ誘導してもらうことが大切です。身体がうまく動かずトイレに間に合わない方は、あらかじめ家族にお願いしておきましょう。
男性の尿漏れにおすすめのアイテム
「尿漏れしたときにズボンが濡れるのが恥ずかしい」という方も多いでしょう。そんな方におすすめしたいのが、吸水パッドや尿漏れ対策のパンツ。これらのアイテムで尿漏れ対策をしましょう。
吸水パッド
ポリマー(吸着材)で尿をすばやく吸収してくれる吸水パッド。尿漏れに悩む男性におすすめの3商品をご紹介します。
ユニ・チャーム「ライフリー さわやかパッド 男性用20cc 少量用」
ちょい漏れに悩む男性向けの尿漏れケアパッドです。前側を幅広くカバーしてくれるワイド形状や、はみだしをガードしてくれるギャザーなどにより、尿がズボンにしみるのを防いでくれます。また、アウターに響かないこと、消臭ポリマーでニオイをとじ込めてくれることなども特徴です。ラインナップは、ご紹介している20ccの他に、10cc、45cc、80cc、120cc、200cc、250ccがあります。
ユニ・チャーム「ライフリー さわやかパッド 男性用20cc 少量用」の詳細はこちら
クレシア「ポイズメンズシート 少量用」
表面がやわらかく、つけ心地の良い吸水シート。幅125mmの幅広形状となっていますが、薄いため目立たず動きやすいのがポイントです。中央にプリントが入っていて装着する位置が分かりやすく、ずれ止めテープが長いためしっかり固定できます。「ポイズメンズシート」には、5ccの微量用と20ccの少量用があります。
ネピア「ネピア B-lock インナーシート120」
ムレやかぶれを抑えてくれる極薄型のインナーシート。シート全面にミクロレベルの穴を配置しているため、さらりとした肌触りが続きます。また、尿漏れしたあとも弱酸性の状態が持続するようになっているため、肌を健やかに保つ効果にも期待できるでしょう。尿の気になるニオイは、銀イオン消臭ポリマーとニオイ吸着シートがブロック&キャッチ。ラインナップは30cc、60cc、120ccの3種類です。
ネピア「ネピア B-lock インナーシート120」の詳細はこちら
尿漏れ対策のパンツ
次に、パンツタイプの対策アイテムをご紹介します。パンツタイプは、パンツの生地自体が尿を吸収して乾燥させてくれるものと、内側に吸収パッドがついたものがあります。
Dr EAST「MORE GUARD」
吸水・撥水の相反する機能をもったボクサーパンツです。内側は尿や汗などを吸収して素早く乾燥させてくれるようになっているため、いつでも快適に過ごせます。また、外側は撥水面となっており、尿漏れしてもしみ出さないようになっています。抗菌防臭加工がされていることもポイントです。汗が乾いたときに発生する嫌なニオイも軽減してくれるでしょう。生地が厚くないので着ぶくれせず、シルエットが気にならないことも特徴といえるでしょう。サイズはM・L・LL、カラーはブラックです。
カラダ快適研究所「尿漏れパンツ」
内側に吸収パッドがついたトランクスです。150cc分の尿を吸収してくれるため、尿漏れしてもさらさらで快適な履き心地が続きます。一般的なトランクスと変わらないチェック柄、尿漏れ対策用アイテムとは気が付かないかもしれません。サイズ展開はS・M・L・LL、カラーはブルー・ブラックから選べます。
おわりに
男性の尿漏れの原因には、病気や運動機能・認知機能の低下などさまざまなものがあります。もちろん加齢によるものもありますが、「歳だから仕方ない」と放置してしまうと気付かないうちに病気が進行してしまうことも考えられます。尿漏れが続くときは、一度しっかりと病院で診てもらうことが重要です。そのうえで尿漏れの対策アイテムもうまく取り入れながら、快適に過ごせるように工夫していきましょう。