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胆石症とは?食後にみぞおち周辺の痛みの原因、症状、検査、治療をご紹介

胆石症とは?食後にみぞおち周辺の痛みの原因、症状、検査、治療をご紹介
甲斐沼 孟 医師

執筆者
甲斐沼 孟 医師

私は医師として15年以上キャリアを積んできました。これまで消化器外科や心臓血管外科を研鑽して参り、現在は救急医学診療を中心に地域医療に貢献しております。全国学会での学術発表や論文執筆などの多角的な視点で医療活動を積極的に実践しています。さまざまな病気や健康の悩みに対して、これまで培ってきた豊富な経験と専門的知識を活かして誠心誠意対応します。

胆石ができる割合は近年の食生活の欧米化や社会的な高齢化などが要因となって増加傾向であると指摘されており、その発症頻度はおよそ10人に1人といわれています。 

食事中に摂取した脂肪成分の分解を担っている胆汁という消化液は、肝臓で合成されており、これら胆汁を肝臓から十二指腸に運ぶ管構造を「胆管」と呼びます。

十二指腸に運ぶ管構造を「胆管」と呼びます。

胆管の途中で枝分かれする形で「胆のう」という袋状の臓器があり、この胆のうは一時的に胆汁を貯留しておき、油の多い食事を摂った際などには収縮して貯めておいた胆汁を十二指腸に排出します。

胆石症は、胆のうや胆管、肝臓領域に結石ができたものを指しており、食後にみぞおち周辺が痛む胆石発作などの症状が現れることがあります。 

今回は、胆石症の主な原因、症状、検査、治療をイラストを含めて丁寧に解説していきます。

1.胆石症は2種類

胆石症は2種類

1-1.コレステロール結石

普段から脂質の多い食事を続けていると、胆汁中におけるコレステロールの存在割合が増加し、その結果として次第に溶けきれなくなって結石成分となったものが「コレステロール結石」です。 

このコレステロール結石は、胆石症のなかの大半を占めており、加齢にしたがってその発症率は高まる傾向が認められており、そうしたことからもコレステロール結石は特に中年以降の肥満体形を呈する女性が発症しやすいといわれています。

1-2.色素結石 

コレステロール結石以外の胆石として、色素胆石と呼ばれる黒色石とビリルビンカルシウム石があり、それぞれのタイプが胆石症全体のおよそ20%を占めています。 (胆石症を全体とした場合、コレステロール結石が55%、黒色石20%、ビリルビンカルシウム石20%、その他5%です)

日本における成人の10人に1人は胆石症を保有しているとされており、高齢になればなるほど発症率が増加し、平均的な発症年齢は、胆のう結石が56歳前後、胆管結石が67歳前後であり、男女比率ではやや女性に多い傾向が見受けられます。

特に、赤血球の中のヘモグロビン成分が血管外に出る溶血反応や肝障害が原因となって黒色石と呼ばれるタイプの色素結石をつくることがあります。 

ビリルビンが主な成分として含まれている黒色石は、血液疾患関連でビリルビンが高値となる病気や肝硬変、心臓の弁置換術後などで胆のう内に形成されることが多く認められます。

また、ビリルビンカルシウム石は、一般的に胆汁の流れが悪くなり大腸菌を始めとする腸内細菌による感染の発症に反応して形成される石と考えられているので、この結石の場合には通常胆のう内部ではなく胆管部位に認められやすいことになります。

2.胆石症を引き起こす3つの原因         

2-1.40~50代の女性 

胆石症を引き起こす3つの原因 

女性は40歳以降になると、急激に女性ホルモンが減少して、それと同時にコレステロール代謝が悪化して肥満傾向に陥って胆石ができやすくなるといわれており、女性特有の多産経験や経口避妊薬服用なども胆石を生成するリスク要素として捉えられています。 

女性ホルモンのひとつであるエストロゲンはLDLコレステロールが過不足なく円滑に働くためのサポーター的な役割を果たしています。

エストロゲンの補助が乏しくなると、肝臓はLDLコレステロールをたくさん合成することから、中年期以降に女性ホルモンの産生量が減ってしまうことで血中のコレステロール値が増加しやすくなることで、胆石が形成されやすくなると分かっています。 

また40代以降になると、知らず知らずのうちにさまざまなストレスが負荷としてか掛かり、過労が胆石発作を誘発するリスクが指摘されています。日常的にストレスが溜まらないように、リラックスできる解消方法を実践するように努めましょう。 

2-2.肥満 

肥満

みなさんご存知の通り、肥満は胆石のリスクが高まることになりますので、注意する必要があります。

日本肥満学会の判定基準では、Body Mass Index(略称:BMI)が18.5未満の場合に「低体重」、BMI18.5以上25未満が「普通体重」、BMI25以上が「肥満」であると定められており、肥満はその度合いによってさらに「肥満1」から「肥満4」に分類されます。

一度の食事量が多い肥満の方の場合には、一度に多くの食事を摂取することによって身体は自然とそれらの食べ物を消化するために胆汁をたくさん分泌放出します。 

胆汁が限られた通り道である胆道において一挙に大量に流れ出ることで、胆汁そのものが停滞してつまりやすい状況を助長させており、胆のうや胆管に負担が掛かって胆石が形成されやすいと考えられています。 

また、肥満体形の方が無理して過度なダイエットを施行すると胆石を形成するリスクを上昇させることが指摘されているため、根本的に日常レベルで適度な食生活と運動習慣を心掛けることが重要な観点となります。

2-3.飲酒          

飲酒  

適度なアルコールの飲酒は虚血性心疾患や脳梗塞のみならず胆石発症リスクをも軽減させる効果があるといわれていますが、過剰にアルコールを摂取すると逆に胆石が形成されやすくすると指摘されています。 

アルコールを普段から休肝日を設けずに毎日飲酒をしている場合、もしくは一度に大量(1日当たりの純アルコール摂取量が男性では40g以上、女性では20g以上)に飲酒する傾向がある方は脂質異常症や肥満体形を招くことからも、コレステロール胆石ができやすいと想定されます。 

アルコールそのものが、胆汁の内部濃度を濃縮してしまうことにつながるため、普段から飲み過ぎには充分に注意を払うように認識しましょう。 

それ以外にも、胆石症はもともとの体質以外に、普段から食物繊維やタンパク質が少なく脂質や糖質が多い食事を摂り過ぎることで発症しやすいと考えられています。

3.胆石症に関連する知識         

3-1.胆石症の初期症状

胆石症の初期症状

胆石症では自覚症状が乏しい症例もありますが、右側季肋部や心窩部(みぞおち周辺)に感じる激しい痛みが特徴的な症状が多いです。

場合によっては、右側の肩周囲や背部痛、腰痛やへその上付近の痛みを感じることもあり、数十分から数時間症状が持続することもあります。 

特に、食後や夜間に痛みが認められることが多く、脂っこい食事を摂取した後は充分に注意する必要があります。 

また胆のう自体に炎症が起こると、吐き気や嘔吐などの消化器症状のみならず、38度以上の高熱症状も見られ、胆石が仮に胆管に詰まって嵌頓する(これまでであれば横になったり、軽く押したりすると元の位置に戻っていた胆石が、はまり込んだ隙間にはまったまま、戻れなくなる状態)と、血中のビリルビン濃度が上昇して皮膚や眼球が黄色く変化する黄疸や肝機能障害を合併することもあります。 

3-2.胆石症のチェックリスト

胆石症のチェックリスト

実際のところ、腹痛などを自覚する有症状が現れる患者数の割合は年に数%とされており、日本の胆石病変を保有している方の8割程度は無症状のまま経過するといわれていますので、無症状の胆石は積極的な治療をせず様子を観察しても妥当であると考えられています。 

胆石症は自覚症状が乏しいケースでは治療を受けることなく、日常生活にも多大な支障はありませんが、時に胆石発作や急性胆のう炎などを発症することがあります。 

胆石発作とは、胆嚢にある胆石が移動して胆のうの出口部分(胆汁が流れ出る所)にはまり込んで戻れなくなることによって激しい痛みの症状が現れることを意味しています。

また、胆石に伴う疝痛発作を発症した場合に、短時間で自然と胆のう出口部の胆石病変が解除されずに長時間に渡って胆のう出口が塞がった状態が続くと、胆のう内部が緊満して胆嚢に強い炎症が引き起こされて「急性胆のう炎」という状態に陥ります。 

したがって、普段の生活で急激に腹痛発作を自覚する、あるいは発熱や右季肋部痛などの症状が出現していないかを自分なりにセルフチェックすることが重要となります。 

3-3.受診目安

受診目安

胆石発作が起こって自然に腹痛症状が改善しない場合には、胆のう収縮運動を抑制する作用を有する薬物を投与することで嵌頓胆石が自然と解除されて治癒することもあります。 

したがって、胆石を抱えた方が夜中などに右上腹部周辺の腹痛を万が一認めた際にはすぐに救急車を呼んで消化器内科など専門医療機関を受診するように認識しておきましょう。 

また、強い腹痛や発熱症状を認めた際には、急性胆のう炎を発症した可能性を考慮して、早急に病院を受診して抗生物質投与、胆のうドレナージ、外科的手術など迅速かつ的確に治療を実践する必要があることを覚えておきましょう。 

3-4.検査 

胆石を有する患者さんにおいては、腹痛などの症状を自覚することで医療機関を受診するケースが多く、血液検査や色々な画像検査を組み合わせて腹部症状の原因を調査することで正確な診断に結び付けます。 

具体的な検査手段としては、腹部超音波検査、CT(コンピュータ断層撮影)、MRCP(MR胆管膵管撮影)、ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影法)、DIC(点滴静注胆のう造影検査)などの画像検査が挙げられ、それぞれの検査で特徴やメリットがあります。 

特に、胆石に関する精密検査のなかで最も簡便に標準的に施行される検査方法が腹部超音波(エコー)検査であり、胆のう内部における結石や肝臓内に存在する結石病変に関してはほぼ確実に結石エコーと呼ばれる像が描出できて診断に役立ちます。 

3-5.治療

基本的に、石灰化が無くコレステロ-ル含有が豊富な胆石病変の場合には、経過を慎重にフォローするか、一定条件のもとで経口胆石溶解療法や体外衝撃波結石破砕療法などの内科的治療が提唱されています。 

経口胆石溶解療法(けいこうたんせきようかいりょうほう、別名:胆汁酸溶解療法)とは、ウルソデオキシコール酸などの胆汁酸を内服することで、徐々に胆石成分を溶解していく治療法であり、基本的には直径15mm未満のコレステロール胆石に有効的といわれています。

また、外科的な手術をせずに体外から衝撃波を照射して、他の臓器を傷付けることなく、結石成分のみを細かく破砕する治療方法が体外衝撃波結石破砕療法(たいがいしょうげきはけっせきはさいりょうほう)です。

血液の流れや肝臓機能が悪化すると、本来なら排泄できるはずの石灰石やシュウ酸成分などを出し切れずに溜め込んでしまい、人によって若干の違いはありますが半年から2年程度かけて胆石が石灰化して体内に蓄積されると考えられます。

一方で、石灰化を強く認める胆石病変である場合や根治的治療を目指すケースでは患者状態が許せば腹腔鏡下胆のう摘出術による治療が昨今では主流となっていますし、胆汁性腹膜炎の場合には早期的に胆石を取り除き、腹腔内に溢れている胆汁を綺麗に洗い流してドレナージする外科的手術を受け入れる準備を進める必要があります。 

胆石症は急性胆のう炎や急性胆管炎の原因となることが多く、随伴するこれらの病態の治療を考慮した治療戦略が必要であると考えられています1)。 

3-6.自宅でできる改善方法 

一日中身体をあまり動かさずにずっと座った姿勢を持続している、あるいは甘い菓子や脂肪分の多い間食を摂取しながらテレビを長時間鑑賞して身体を動かさない生活を送っていると胆石が形成されやすくなります。 

自宅では、規則正しい食事を普段から摂取すると同時に、無理のない範囲で適度な運動をしながらストレスを解消するのも胆石症を予防する上で重要な要素となります。 

胆石症の発症を予防するために、脂肪成分をなるべく制限して日常的に食事内容を見直して、特に青魚を摂取する事で良好なタンパク質やEPAの栄養成分を取り入れることによって、胆石発作を軽減することが期待されています。 

4.改善しない場合は消化器内科専門医へ相談しましょう

胆石とは、胆道や胆のうに結石が形成される病気の総称であり、胆石は胆汁内に含まれているコレステロールやビリルビンなどの代謝成分が結晶化して固まることによって作られます。 

胆石が形成されると右季肋部やみぞおち周辺に痛みを感じる人もいれば、ほとんど無症状で経過する方もいらっしゃいます。 

みなさんの生活習慣や、全身状態や胆石部位などを総合的に判断して主治医が適切な検査法を判断していくので、胆石症を抱えている方で症状改善しない場合や胆石有無を検査してほしいという希望がある方は消化器内科専門医に相談しましょう。 今回の情報が少しでも参考になれば幸いです。

引用文献

1)今村 直哉, 七島 篤志, 甲斐 真弘:胆石症の外科治療. 胆道. 2018 年 32 巻 1 号 p. 51-61

DOI https://doi.org/10.11210/tando.32.51

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