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老化や病は活性酸素が原因?酸化の対処法を紹介

正木 伸城(記事を編むライター)

執筆者
正木 伸城(記事を編むライター)

15,000冊超の読書で得た知識を武器に生活やビジネス上の出来事を言葉にし、思想的に深堀りする記事を編むのを得意としているライター。その他、マーケターやフリーランス広報なども生業にしている。「社会的弱者の方の声を聴診器のようにして聞いて、自身が拡声器となってその声を社会に広げる」が自身のテーマ。

みなさんは「酸素」というとどのようなイメージをお持ちでしょうか。生きていくうえで必要不可欠なもの?まさに、私たちの生存は、呼吸などによって酸素を体内に取り込むことで成り立っています。また、アスリート等があえて低酸素の環境(高地など)に身を置いてトレーニングすることで、体の酸素運搬能力・消費力を高め、自らのパフォーマンスを向上させていることをご存じの方もいらっしゃるかもしれません。なぜそうするかというと、効率よく酸素を活用できれば、身体の機能性がより高まることが知られているからです。 

一方で、酸素に関わる言葉のなかでも「酸化」というワードにはあまり良いイメージを抱かない方が多いでしょう。美容や健康に効くとされる「抗酸化作用(成分)」が注目されるようになって久しいですが、酸素の中には、どうやら、一部でシミや肌の劣化に関係するものがあるようです。 

私たちの身体は酸素を利用してエネルギーを作り出していますが、実は、酸素の中に「活性酸素」というものが必ず出てきます。これが、シミやシワだけでなく、糖尿病やがん、動脈硬化などの生活習慣病の原因になっているのです。 

ここでは、その「活性酸素」について解説するとともに、活性酸素との上手なつき合い方、体の「酸化」に対する対処法を紹介します。 

そもそも「活性酸素」とは? 

先にもお伝えしたとおり、私たちが生き延びていくためには酸素が不可欠です。ですが、私たちが身体に取り込んでいる酸素の一部は、外部の刺激などによって「活性酸素」に変わります。酸素に比べて不安定で、反応性が高いのが活性酸素です。 

そもそも酸化とは、物質と酸素が結び付くことで起こる化学反応のことを指します。例えば、金属がサビたり果物が変色したりするのも、それぞれを構成する分子や原子が酸素に反応して酸化するからです。 

活性酸素は、このような化学反応が起こりやすい酸素、「他の物質を酸化させる力が非常に強い酸素」のことを指します。私たちは呼吸によってたくさんの酸素を体内に取り入れていますが、そのうち約2%が活性酸素になるといわれていて、私たちの肌や細胞を傷をつけているのです。 

しかし、この活性酸素ですが、体に悪いことばかりをするわけではありません。活性酸素は、細胞内での情報伝達や免疫・代謝の調節、また殺菌力が強いことから、細菌やウイルスを撃退する役目を担っています。また、排卵や受精、細胞の分化といった生理を活性化させる物質としても役割を果たしています。 

ところが、この活性酸素が過剰につくられてしまうと、正常な細胞や遺伝子をも攻撃(酸化)してしまうのです。ここに、老化や病を進めてしまう活性酸素のやっかいなポイントがあります。 

活性酸素を多く発生させてしまう原因

私たちの身体は加齢とともに老化していきますが、活性酸素によって細胞が金属のように“サビる”ことがその一因です。活性酸素の影響で、タンパク質が変性したり、酵素がうまく働かなくなったり、過酸化脂質が生じたりすることがあります。また、遺伝子と反応すると、分解や突然変異が生じることもあります。これらによって、結果として老化やがん、動脈硬化などの原因が生まれてしまうのです。 

じつは、活性酸素によるこういった老化や病の因子は日々生まれています。ですが、それでも私たちが生命を保つことができているのは、酸化から自身の身を守るための防御システム「抗酸化作用」がもともと人体に備わっているからです。この作用により、私たちは活性酸素の発生を抑制したり、生じたダメージから細胞を修復したりしています。ですが、抗酸化の能力以上に酸化のストレスがかかると、さまざまなダメージが積み重なって各種症状として現れてしまいます。 

では、どうすれば活性酸素の“悪さ”を抑止できるのでしょうか。まずは活性酸素が多く発生する原因となるものと、活性酸素が関わる疾患を以下に示します。 

<活性酸素が多く発生する原因>

ストレス、紫外線や放射線、大気汚染、タバコ(受動喫煙含む)、薬剤、過度の飲酒、酸化された食べもの等(特にマーガリンなどのトランス脂肪酸、ファストフード、加工食品、時間のたった揚げ物、インスタント食品やスナック菓子など) 

<活性酸素が関与する主な疾患>

動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞、がん、糖尿病、胃潰瘍、肺炎、脳血管性痴呆症、アルツハイマー型痴呆症、アトピー性皮膚炎、関節リウマチ、白内障、未熟児網膜症など 

身体の酸化に対抗する生活術

さて、私たちの身体を活性酸化から守る抗酸化作用ですが、こちらは加齢とともに働きが弱まっていくことが知られています。抗酸化作用が弱まれば、活性酸素の働きが強まり、体のあちこちに酸化の害が及んできます。 

それに対抗するには、①活性酸素の発生要因を避ける、②身体の抗酸化作用を高める、の2つのポイントを押さえることが大切です。その上で、具体的な「身体の酸化に対する対処法」を以下にご紹介します。 

  • ストレスをためない
    ストレスを受けると血流が悪くなります。これが元に戻る時に活性酸素が発生します。この繰り返しが酸化を促進してしまいます。 
  • 紫外線を避ける 
    紫外線を浴びると活性酸素が大量に発生します。活性酸素はコラーゲンなどの生成に影響し、肌のハリや潤いを保ちにくくさせ、メラニンの生成量を増し、シミの原因ともなります。 
  • タバコを控える
    タバコには、活性酸素や、その発生を助長する有害物質が多く含まれています。タバコを吸う方はもちろん、吸わない方でもタバコの煙にさらされることで、活性酸素が体内で多量にできてしまいます。 
  • 軽めの運動をする
    激しい運動は活性酸素の発生を促すため、注意が必要ですが、ウォーキングなどの軽めの運動は抗酸化作用を高め、体の酸化を抑えます。 
  • アルコールを過度に摂取しない
    肝臓でアルコールが分解される時に活性酸素が発生します。適量を心掛けてください。 
  • 抗酸化成分を摂る
    ビタミンでいえば、特にビタミンCとビタミンEに酸化(老化)を防ぐ働きがあります。ビタミンCはイチゴやトマト、ブロッコリー、ピーマンなどに、またビタミンEはナッツ類や大豆、アボカドの他、色の濃い野菜や香味野菜などに含まれているので、意識的に摂取しましょう。加えて、抗酸化力が強い成分には、次のようなものもあります(「ファイトケミカル」とも呼ばれる成分です)。これらを含む食品をたくさん知っておき、日々の食事の中に上手に取り入れていきましょう。 

<抗酸化力の強い成分> 

ポリフェノール(ブドウやブルーベリー、セロリ、パセリ、カカオなどに含まれる)、カテキン(緑茶などに含まれる)、βカロチン(ニンジン、カボチャ、トマトなどに含まれる)、リコピン(トマトなどに含まれる)、セサミノール(ゴマなどに含まれる)、含硫化合物(大根やワサビ、キャベツ、タマネギなどに含まれる)など。 

活性酸素は身体にとって大切な役目を担っているがゆえに、老化や病防止のために「活性酸素を減らそう」と考えるのは早計です。むしろ活性酸素について大事になってくるのは「上手なつき合い方」です。このコラムを参考にしつつ、ぜひ生活習慣や食生活を見直してみてはいかがでしょうか。

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