妊娠すると魚介類やお酒、カフェインなどの食品を制限されることはよく知られていますが、妊活中にも食べてはいけない食品は存在します。妊娠しやすい身体を整え、無用なリスクを避けるためにも、妊活中の食べ物にも配慮することが大切です。
今回のコラムでは、妊活中に食べてはいけない食べ物と、意識して摂りたい栄養素、そして男性におすすめの食事についてもご紹介します。妊活を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
妊活中は身体の調子を整える食生活が大切
まず前提として、「これを食べると妊娠しやすくなる」といった食品は存在しません。しかし妊娠後の体調を整えて元気な赤ちゃんをおなかの中で育てるためにも、早めのタイミングから準備することが大切です。
妊活中の食生活の基本は、特別な食品やメニューを取り入れるのではなく、日々のバランスの良い食事を継続することです。たんぱく質・脂質・炭水化物の三大栄養素をバランスよく摂取して、ビタミン・ミネラルを充分に補給することで、妊娠に適した身体づくりにつながります。逆に、ファストフードやスナック菓子、清涼飲料水などはできるだけ避けて、暴飲暴食や深夜の食事を避けることも大切です。
これらは妊活中に限らず、健康に過ごすための基本のため、まずは食生活の基本に立ち返ってみることをおすすめします。
妊活中に食べてはいけない食品
妊活中の食事で注意すべき点として、できるだけ妊娠中と同じような食事制限を設けることが推奨されます。もちろん厳格に食事制限する必要はありませんが、NG食品を避けておくことで、思わぬタイミングで妊娠が発覚しても胎児に与える影響を最小限に抑えられます。では、妊活中に食べてはいけないNG食品には、具体的にどのようなものが挙げられるのでしょうか?ここでは以下の3つの種類のNG食品についてご紹介します。
- 食中毒等を引き起こす生もの
- アルコール・カフェイン
- トランス脂肪酸を含む菓子パン・揚げ物
それぞれ詳しく解説していきましょう。
食中毒等を引き起こす生もの
妊活を始めた際には、妊娠中にもNGとされる生ものをできるだけ控えた方が良いでしょう。例えば、生肉・生卵・刺身などの食品が挙げられます。生肉には「トキソプラズマ」と呼ばれる寄生虫が存在し、妊娠中に感染すると胎児が「先天性トキソプラズマ症」を発症する可能性があります。
また、生卵にも「サルモネラ菌」が付着していることがあり、食中毒や流産を引き起こす可能性が指摘されています。刺身のような生魚には、同様に食中毒や流産を引き起こす「リステリア菌」に感染するリスクもあります。いずれの場合も、充分に加熱することでリスクを抑えることができるため、生ものはしっかり調理して食べるようにしてください。
アルコール・カフェイン
妊活中には、アルコール・カフェインの摂取を最小限にすることも大切です。妊活を始めて以降はお酒は控えるようにして、カフェインを多く含むコーヒーや紅茶は避けるようにすると安心です。いずれも妊活中・妊娠中に摂取することでどれだけの悪影響があるかははっきりと分かっていませんが、可能な限り控えた方が無用なリスクを避けられます。なお、カフェインは頭痛薬や栄養ドリンクにも含まれていることがあるため、成分表示をしっかりとチェックする習慣を付けましょう。
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トランス脂肪酸を含む菓子パン・揚げ物
菓子パンや揚げ物の原材料に含まれる「トランス脂肪酸」には、排卵や妊娠を阻害する可能性が指摘されています。トランス脂肪酸は、マーガリンやショートニングに多く含まれる成分で、悪玉コレステロールを増やしたり、心疾患のリスクを高めたりする可能性があります。トランス脂肪酸を多く含む菓子パン・揚げ物は、カロリーオーバーによる肥満のリスクも高めるため、日頃から控えるようにするのがおすすめです。家での調理の際には、オリーブオイルやアマニ油などのトランス脂肪酸が少ないオイルを選ぶと良いでしょう。
妊活中に意識して摂りたい栄養素とは?
妊活中には食べてはいけないNG食品がある一方で、身体づくりのために積極的に摂りたい栄養素も存在します。必要な栄養素が不足すれば、胎児の発育にも影響を与えることがあるため、偏った食生活にならないように注意が必要です。ここでは妊活中に意識して摂りたい栄養素として、次の4つを解説します。
- 葉酸
- たんぱく質
- 食物繊維
- 鉄分
一つひとつご紹介していきましょう。
葉酸
妊活中に特に意識して摂取したいのが、ビタミンB群の一種である「葉酸」です。妊娠初期の段階で葉酸が不足すると、胎児の発育に悪影響を及ぼす可能性があります。厚生労働省が発表する「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針」の中でも、妊娠前から葉酸のサプリメントを取り入れることが推奨されています。葉酸を多く含む食品には、ブロッコリーやほうれん草、枝豆などがあります。
たんぱく質
たんぱく質は、人の身体を作るために欠かせない栄養素で、日本人女性に不足しがちな栄養素とも言われています。不足すると筋肉量が落ちて代謝が低下し、疲れやすくなったり痩せにくい体質になったりといった悪影響を及ぼします。たんぱく質は、肉や魚、卵、大豆製品などに多く含まれているため、充分に加熱して食生活に取り入れるようにしてください。
食物繊維
腸内細菌のエサになり、腸内環境を整えて免疫力を高めてくれる食物繊維も、妊活中に積極的に摂取しましょう。妊娠する身体との免疫力が低下し、感染症にかかりやすくなる傾向にあります。そのため妊活中から免疫力を高める食生活を心掛け、親子の健康を守ることが大切です。また、食物繊維は血糖値の急上昇を抑え、お通じを改善する効果もあります。食物繊維は、玄米や全粒粉を使った食品や、芋類、豆類に多く含まれるため、意識的に摂取量を増やしましょう。
鉄分
月経で貧血気味になることが多い方は、妊活中には鉄分を多めに摂取することも大切です。鉄は、体内に栄養や酸素を行き渡らせる役目を持った赤血球の生成に欠かせない栄養素で、不足すれば卵巣・子宮の働きにも影響を与えます。レバーや赤身肉の他、豆類や大豆製品、ほうれん草などにも鉄分が豊富に含まれているため、日々の食生活に取り入れましょう。
妊活中の食生活・生活習慣で気をつけたいこと
妊活中には、食べ物や栄養素に注意する以外にも、食生活や生活習慣で意識したいポイントがあります。一つひとつの食品や栄養素に気を配ることも大切ですが、食生活の全体像を考えながら妊活に取り組むことで、より良い結果にもつながるでしょう。ここからは以下の3つのポイントを詳しくご紹介していきます。
- 適切な体重を維持する
- 糖質に偏らない食事を摂る
- 身体を冷やさない工夫を心掛ける
それぞれ解説していきましょう。
適切な体重を維持する
妊活の観点からいえば、痩せすぎも太りすぎも悪影響が生じます。特に妊活中は無理なダイエットを避けて、適正体重を下回ってしまわないように注意が必要です。また、肥満も流産・早産のリスクを高めてしまうため、まずは適正体重に戻すダイエットを行ってから、妊活を始めるのもひとつの選択肢です。
なお、適正体重を調べるための方法として「BMI」を計算する方法がよく使われます。BMIは、「体重(kg) ÷ 身長(m) ÷ 身長(m)」で計算することが可能で、18.5以上25.0未満の数値が適正とされます。例えば、身長160cm(1.6m)で体重50kgの場合は、「50 ÷ 1.6 ÷ 1.6 = 19.5」となる計算です。妊娠前の適正体重を把握する際に使ってみましょう。
糖質に偏らない食事を摂る
外食やファストフードなどを頻繁に利用していると、どうしても糖質に偏った食生活になりがちです。丼ものや揚げ物、麺類などは糖質が多く含まれ、肥満や生活習慣病を招くリスクも高まります。コンビニや外食を利用する際にも、できるだけ野菜が多いメニューを選び、たんぱく質が豊富な食品を増やすことをおすすめします。
身体を冷やさない工夫を心掛ける
妊活では、身体を冷やすことはNGとされます。身体の冷えにより、卵巣・子宮の働きが弱まり、排卵障害を引き起こす可能性もあるためです。アイスクリームや清涼飲料水などはできるだけ控えて、温かい食べ物・飲み物を意識的に選ぶと良いでしょう。夏には冷房を弱めに設定したり、シャワーだけではなく入浴して身体を温めたりすることも効果的です。
男性におすすめの食事・生活習慣
妊活では、主に女性の食べ物や食生活についてフォーカスされがちですが、男性側にも注意しておきたいポイントがあります。ここでは妊活中の男性にとっておすすめな、食事・生活習慣について取り上げていきます。
たんぱく質・亜鉛が豊富な食事がおすすめ
妊活において男性側が意識して摂取したいのは、精子の原料となるたんぱく質と、前立腺の働きを維持する亜鉛の2つの栄養素です。特に亜鉛は、不足すると精巣の働きに悪影響を及ぼすとされているため、サプリメントなどを活用しながら補給すると良いでしょう。食品から摂取する場合には、牡蠣や煮干し、ナッツ類などを意識的に食べると良いでしょう。
家族で食事を楽しむサポートを
妊活中の男性にできる役割として、パートナーと一緒に楽しんで食事ができるようサポートすることも大切です。一緒に食事のメニューを考えたり、買い出しや料理を担当したりと、パートナーを手助けする意識を持つと妊活も成功しやすくなるでしょう。また、アルコールやカフェインを控えて、バランスの良い食生活を送ることで、健康を維持・増進することもポイントです。
おわりに
妊活で食べてはいけない食品には、生ものやアルコール・カフェイン、トランス脂肪酸を含む食べ物などが挙げられます。基本的には妊娠中に食べてはいけないとされる食品を避けて、バランスの良い食生活を送ることが大切なポイントとなります。また、葉酸やたんぱく質、鉄分といった栄養素が不足しないように心掛けて、妊娠に適した身体づくりを目指すことも大切です。パートナーとも協力しながら、健康的でストレスのない妊活に取り組みましょう。