最近元気が出ない、身体が重い、眠れない…医者にかかるほどではないけれど身体の調子が悪いなと感じることがあるかもしれません。そのような不調を改善するための健康法がさまざまなメディアなどで紹介されています。白湯を飲むこともそのひとつで、知っている方も多いのではないでしょうか。お湯を沸かすだけでできる簡単な健康法ですが「なぜ身体に良いのか」、そして「正しい作り方」を知っている方は意外と少ないのではないでしょうか。たかが白湯、されど白湯、このコラムではアーユルヴェーダから見た白湯の効果と作り方を説明します。
白湯とは
白湯とは、水を一定時間沸騰させて作るものでただのお湯ではありません。温度は40~70℃で人の体温よりも高いことがポイントです。アーユルヴェーダについては後述しますが、アーユルヴェーダでいう「火」「水」「風」のエネルギーを持っており、人間の身体の調子を整えてくれるものでもあります。
アーユルヴェーダについて
アーユルヴェーダとは
アーユルヴェーダとはインドやスリランカ発祥の伝統医学です。サンスクリット語のアーユル(生命)とヴェーダ(科学)を合わせた言葉で「生命科学」という意味があります。不老長寿を目的とした医学で、西洋医学は症状が出ているところに注目し、薬で対処療法をしていきますがアーユルヴェーダは全身を診ます。そして、症状を取り除くのではなく、病気の原因を取り除く治療を行います。
アーユルヴェーダ的白湯の性質
アーユルヴェーダでは、身体は自然エネルギーから構成されていると考え、そのエネルギーを「ドーシャ」と呼びます。そのドーシャにはピッタ(火)、カパ(水)、ヴァータ(風)の3つの要素があります。3つのバランスが良い状態を健康な身体と定義しています。しかし、そのバランスが季節や生活習慣等で崩れると、身体に不調が現れてきます。人によって生まれつき体質が違うため、崩れやすいドーシャも変わってきます。白湯は「カパ(水)」を「ピッタ(火)」にかけて沸騰「ヴァータ(風)」させたものなので、その3つのドーシャ全てのバランスが揃った飲み物とされており、どんな体質の方にも合います。
白湯の効果
一日に飲む量は600mlを目安に
白湯は一日に600〜800mlを目安に飲みましょう。一度に一気に飲むのではなく、3~5回に分けてこまめに摂るのがコツです。あまり大量に飲みすぎると逆に胃腸に負担を掛けてしまうので気を付けましょう。
朝に白湯を飲むと良い5つの理由
3つのエネルギーの要素がすべて入った白湯はただのお湯ではなく、飲むと身体に良い影響がたくさんあります。
基礎代謝が上がる
白湯を飲むことで体温が上がり、基礎代謝も上がります。最も体温が低く、内臓も冷えてしまっている起床時に白湯を飲むとさらに効果的です。
身体に負担なく交感神経優位に切り替えられる
人間の身体は寝ている時に副交感神経が優位に働き、起きている時に交感神経に切り替わります。起床時に白湯を飲むと内臓を優しく刺激することができるのでその切り替えがスムーズになるといわれています。
エネルギーバランスを整える
前述したように白湯には人間の身体を構成する3つのドーシャ全ての要素が含まれています。どのドーシャのバランスが崩れていても白湯を飲めばエネルギーのバランスが整い、万能薬の役目を果たしてくれます。
免疫力が上がる
体温が低い朝に白湯を飲むと体温が上がりやすくなるので免疫力も上がります、体温が1度上がると免疫力は30パーセント上がるので、風邪を引きやすい人は一度試してみてください.
水分補給の習慣がつく
人の身体の60〜70%は水でできているので水分補給はとても大切です。一日に1.5〜2.0ℓの水を飲むと良いとされており、こまめな水分補給が必要です。朝の白湯習慣は立派な水分補給にもなります。
食事中にも白湯がおすすめ
食事中に白湯を飲むのも良いです。食べ物を一口食べる度に白湯を飲むと消化力が高まります。目安は一回の食事でコップ一杯を飲み切ることです。食べ物が身体の中で燃えやすくなり、アーユルヴェーダでの生命の源(オージャス)が体内で作られやすくなります。
就寝前の白湯の飲み方
就寝前に白湯を飲むのもリラックス効果があっておすすめです。就寝前は50℃ぐらいの温度の白湯をゆっくり時間をかけて飲むようにしましょう。夜中にトイレに行きたくなってしまう人は量を調節してください。
沸騰させる時間が大切!正しい白湯の作り方
15分間沸騰させることが大事
前述したように、白湯はただのお湯ではありません。カパ、ピッタ、ヴァータの性質をしっかり持たせるためには15分以上沸騰させてしっかりヴァータの性質を持たせることが大切です。
時間が経って冷めた白湯は効果なし
アーユルヴェーダでは3つの性質の要素が入ったものを白湯といいますが、冷めると「ピッタ(火)」の性質(ドーシャ)がなくなり、バランスの取れた飲み物ではなくなってしまうので注意が必要です。一度に一日分の白湯を作りたい場合は魔法瓶のような保温の効く容器に入れて保存し、一日で飲み切るようにしましょう。
白湯が冷めたものを再沸騰させるのも良くない
アーユルヴェーダの考えとしては、白湯を再加熱するのは良くありません。再度「ピッタ(火)」を入れることにより、バランスの取れた飲み物ではなくなってしまうからです。見た目には変わりませんがエネルギーのバランスは変わっているので注意しましょう。
白湯を作る手順
【手順】
- やかんに水を入れます。(沸騰して蒸発してしまうので少し多めに沸かしましょう。)
- 火をつけて沸騰するまで待ちます。
- 沸騰したらそこから15分間沸騰させ続けましょう。気泡(ヴァータ)を入れるのがポイントです。
- 火を止めて、保存容器に移します。
おわりに
これまで白湯を飲む習慣がある方も、なかった方もアーユルヴェーダ的な考えを簡単に取り入れることができます。どのような健康法も続けることが大事です。身体の不調を感じにくい身体にするためのひとつの方法としてぜひ実践してみてください。