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【歩き方コンサルタント監修】散歩がもたらす7つの健康効果、毎日の習慣に上手に取り入れる方法

【歩き方コンサルタント監修】散歩がもたらす7つの健康効果、毎日の習慣に上手に取り入れる方法
篠田 洋江

監修者

株式会社Cowalking

篠田 洋江

3歳から94歳まで延のべ18,000人以上に健康ウォーキングを指導。180名以上の日本全国のウォーキング指導者の育成・指導の経験も。モデルやタレント、コンテストでの指導や審査員、産学連携の認知症予防ダンスの開発の経験をふまえ、身体もメンタルも喜ぶ楽しいウォーキングをスクールやメディアを通じて伝授。

本格的な運動には腰が重い方も、健康のためには体を動かしたいと思っているのではないでしょうか。そんな方におすすめなのが「散歩」です。

特別な道具も場所も必要なく、誰でも気軽に始められる散歩ですが、実は、散歩にはストレス解消だけでなく心肺機能の向上などさまざまなメリットがあるのです。散歩の効果や上手な取り入れ方について、歩き方コンサルタントの篠田さんにお話を伺いました。

散歩とは?

散歩とは?

忙しくて毎日があっという間に過ぎていく、そんな時こそ、ちょっと立ち止まって、自分の心と体に向き合ってみませんか?特別なことをする必要はありません。実は、手軽に始められる「散歩」が、毎日の生活や健康に変化をもたらしてくれるのです。

散歩は、単なる移動手段ではありません。美しい景色を眺めたり、好きな音楽を聴いたり、自分だけの時間を過ごすことで、心身のリフレッシュに繋がります。次の章から、散歩がもたらす具体的な効果について、歩き方コンサルタントの篠田さんと一緒に詳しく解説していきます。

散歩は、フリーウォーキングであり、公園をぶらぶら歩くような、景色を楽しみながら、自分のペースで歩くことを指します。一方、ウォーキングは、目標に向かって歩くような、少しアクティブなイメージです。フォームや時間を気にしながら、体を動かしたい方に適しています。

散歩がもたらす7つの健康効果

散歩がもたらす7つの健康効果

手軽に始められる散歩ですが、実は私たちの心と体に多くの影響を与えてくれます。毎日続けることで、よりその効果を感じられます。散歩がもたらす7つの健康効果について、ひとつずつ詳しく見ていきましょう。

ストレス解消とリフレッシュに

散歩は、ペースを決めず、好きな音楽を聴いたり、時には立ち止まって休みながら自由に歩くもの。単に体を動かすだけでなく、心もリフレッシュさせてくれます。たとえば、自然の中を歩くことで五感が刺激され、気分転換になり創造性を高める効果も期待できます。

また、散歩中に太陽の光を浴びると、「β-エンドルフィン」や「オキシトシン」という幸せを感じる神経伝達物質の分泌が促され、ストレスを軽減する効果が期待できると言われてます。また、心の安定や幸福感をもたらす「セロトニン」という神経物質も促されます。

散歩中、私たちは無意識のうちに五感をフル活用しています。鳥のさえずりを聞き分けたり、花の香りを楽しんだり、自然の中で深呼吸したりすることは、単に五感を刺激するだけでなく、脳を活性化しストレスを軽減する効果があると考えられています。自然の音や香りを楽しむことで心の奥底からリラックスでき、創造性を高めることができます。
また、 身体的な健康に加えて、社会的・心的な効果も大きいです。散歩をすることで、体の健康はもちろんのこと、社会的なつながりや心の平和も得られるのです。

体重管理のサポート

散歩は、有酸素運動の一種であり、継続することでカロリーを消費し、体重管理に役立ちます。また、基礎代謝を上げる効果も期待でき、太りにくい体作りをサポートします。

散歩は身体活動量を上げ、一日を活動的にしてくれます。継続すると基礎代謝が上がり、日々のエネルギーアップにつながります。結果的に太りにくいライフスタイルが自然と身につき、長期的な健康維持に役立ちます。

血流の改善

散歩は血圧を下げる効果も期待できます。規則的に歩くことで血管が柔軟になり、血流が改善され、高血圧の予防や改善に繋がります。また、脳への酸素供給がスムーズに行われることで、脳の働きが活発になります。

歩くこと自体、足を前に出すことで得られる効果がたくさんあります。たとえば、血流が増加し、足の裏やふくらはぎが刺激されます。特別なウォーキングをしなくても、買い物などの日常的な歩行でも血流が良くなりますし、足の裏・ふくらはぎに良い刺激を与えることができます。

脳の活性化

散歩は、体を動かすだけでなく、脳にも素晴らしい影響を与えます。新しい道を探したり、景色を記憶したりすることで、海馬の神経回路が強化され、記憶力や空間認識能力が向上すると言われています。散歩は、実は脳の活性化に非常に効果的な運動なのです。

散歩は脳にも良い影響を与えます。聴覚や視覚、嗅覚などの五感が活性化されることで、心と精神に良い影響を与えます。特にシニア世代では、聴力や耳の感度が気になる方も多くなりますが、外に出て様々な音を聞いたり、高い音や低い音、鳥の声などを聞き分けることが、聴力のトレーニングにもなります。

筋肉強化

歩くことで脚やお尻・腹筋・背筋など、全身の主要な筋肉を使います。さらに、激しい運動に比べて散歩は関節や筋肉にかかる負担が少ないため、ケガのリスクが低く長期的に無理なく続けられます。特に高齢者や筋力低下を防ぎたい方にとって、散歩は安全で効果的な筋肉維持の方法のひとつといえます。

可能であれば少し歩幅を大きくするとさらに効果的です。また、出発前に軽くストレッチをすると翌日に疲れが残りにくくなります。継続が鍵なので無理のない範囲で始めましょう。

睡眠の質向上

昼間に適度な運動をすることで、夜間の睡眠の質が向上します。ただし、寝る直前の激しい運動は避けましょう。

散歩中に目にする新しい景色や発見が心に安らぎを与え、『ドーパミン』や『βエンドルフィン』といった「幸せホルモン」が分泌されます。その結果、リラックスした気分になったり、やる気がアップします。日中、体を動かすことで心地よい状態で入眠しやすくなるといったメリットもあります。

地域社会とのコミュニケーション

散歩には身体的な健康面だけでなく、コミュニケーション面でも良い効果があります。忙しい日々の中で歩きながら交わす会話は、普段とは違う視点や気づきをもたらします。

近所の人とちょっとした挨拶やおしゃべりを交わすことで、地域とのつながりも感じられます。また、定期的に散歩をすることで地域の変化にも気づきやすくなり、より深く地元に根ざした生活を送れるようになります。

散歩の効果を高めるためのコツ

散歩の効果を高めるためのコツ

心と体に良い影響を与えてくれる「散歩」、せっかくならばその効果を最大限実感したいものです。篠田さんに散歩の効果を高めるためのコツについて教えていただきます。

「朝散歩」は体内リセットに効果的

篠田さん曰く、最もおすすめなのが「朝の散歩」です。その理由はなぜなのでしょうか?

朝の散歩は精神面に非常に効果が高いです。朝のうちに歩くことで心がリフレッシュされるだけでなく、日光を浴びることで体内時計がリセットされます。体内時計が一旦リセットされることで、15〜16時間後に眠気を促すホルモンが分泌され、夜には自然に眠くなるという仕組みが整います。
また、年齢とともに眠りにくくなったり、睡眠の質が低下していると感じる人も多いのですが、朝の散歩はその改善に役立ちます。精神的な安定も図れるため、特にストレスが溜まりやすかったり、うつ傾向がある高齢者の方には「朝の散歩」をおすすめします。

「食後」と「夕方」の散歩にもメリットあり

さらに、散歩するタイミングとしてもう一つ効果的なのが、「食後」と「夕方」です。

食後に軽く歩くことで、血糖値の上昇を抑え食後の眠気を解消できます。食後に眠気を感じる方も多いですが、食後に歩くことで血糖値の上昇を抑え、食後の眠気を解消します。
また、夕方の散歩も非常に良いリラックスタイムになります。体内のリズムが最も安定している夕方にゆっくり歩くことで心身が落ち着き、その後の夕食や睡眠がよりスムーズになります。

まずは片道5分からスタートでOK

散歩におすすめのタイミングがわかったところで、散歩の「目標時間」はどのくらいが適切なのでしょうか?

基本的な目安としては、20分以上の散歩が理想的です。太陽光にあたらない状態でも20分以上歩くことで、セロトニンなどの神経伝達物質が分泌され心身に良い影響を与えてくれます。
ただ、「20分歩かなきゃ」と思うと、プレッシャーを感じてしまうこともありますよね。「今日は歩きたくないな」と感じる日もあるかと思います。
そんな時は、まずは5分だけでも歩くことから始めてみましょう。たった5分ちょっと外に出て戻るくらいで十分です。もし余裕が出てきたら、その5分を10分、さらには20分に延ばしていくといいですね。5分歩いて戻り、また5分歩く。
これを1日数回繰り返すだけでも、習慣化しやすくなります。長く歩けるという方は、ご自身のペースで歩いて大丈夫です。なによりも続けることが最も大切です。

散歩はフリーウォーキング。数値目標はいらない

短い時間から無理なくスタートできる散歩。散歩をする際、週に何回といった具体的な目安はあるのでしょうか?

散歩はいわゆる「フリーウォーク」なので、歩いている時間を楽しむことがポイントです。「週に何回は歩かないといけない」という具体的な数値目標は不要です。無理なく歩くことを楽しみましょう。
ただし、認知症や生活習慣病、糖尿病の予防という点から見ると、散歩だけではなく、もう少し強度の高い運動(=ウォーキング)が必要になります。少し息が上がるくらいのスピードで週に3回、各回50分のウォーキングを行うのが理想的です。

日常の中に無理なく取り入れることが大切

継続が大切とはわかっているものの、慌ただしい日々の中でなかなか散歩の時間を作ることは難しいもの。散歩を続ける秘訣はあるのでしょうか?

40代・50代でお子さんがいる方だと「朝散歩をしよう」と思っても、実際には時間が取れないことも多いですよね。朝食の準備やお弁当作り、習い事への送迎などやることがたくさんあります。そんな中で散歩の時間を確保するのはなかなか難しいものです。時間的な余裕のない中、無理に散歩をしようとするとかえって精神的に負担になってしまいます。
たとえば、ゴミを捨てに行く5分間を「散歩」と捉えるところから始めてみるのが良いかもしれません。短時間でも散歩の時間として意識することがポイントです。
一方、シニアの方々は比較的時間に余裕がある場合が多いので、20分程度の散歩をゆったりと楽しむことができるでしょう。このように、散歩の取り入れ方は、年代や家族構成、生活リズムによって変わってくると思います。それぞれの状況に合わせて無理なく続けられる工夫が大切ですね。

散歩は「目的地」を決めるとはじめやすい

散歩は「目的地」を決めるとはじめやすい

散歩の効果がわかったところで、どんなコースを歩こうか迷われる方も多いのではないでしょうか?歩き方コンサルタントの篠田さんによると、初心者はまず、散歩の目的地を決めることが大切といいます。それは一体なぜなのでしょうか。

一番難易度が高いのは、自由気ままに歩くことです。「今日はこの道を歩いてみよう」「こっちに行ってみよう」というような自由な散歩は、実は最も挑戦的なスタイルなんです。歩き始めたばかりなら、まずはスーパーなど目的地に向かい、そこからぶらぶら自由気ままに歩いて家まで戻って来るのが良いですね。

散歩を続けるモチベーションを保つ方法

散歩を続けるモチベーションを保つ方法

毎日違った目的地やルートを見つけるのは大変ですよね。散歩を続けるモチベーションを維持するにはどのようにしたらよいのでしょうか。

実は、目的地やルートは毎日同じでもいいんです。左右で歩く道を変えるだけでも、昨日と今日では見つける景色が違うはずです。まずはここから始めましょう。そして、自分にテーマを設けることも効果的です。「今日は昨日と違う何かを発見しよう」というように、小さな目標を持って歩くと、毎回新しい楽しみを見つける目が育まれていきますよ。

デジタルデトックスで、日々新しい「発見」を楽しむ

散歩中、考え事をしていたり、スマホや時計をみながら歩いていると、せっかくの散歩の効果も半減してしまいます。スマートフォンやパソコンなど、デジタル機器に囲まれた現代生活。これらの便利なツールは、私たちの生活を豊かにする一方で、知らず知らずのうちに心身を疲弊させているかもしれません。散歩中は周りの景色に目を向け、発見を楽しむことが大切といいます。

周囲に家が少ない場所を歩くなら、果樹が実っているか、どんな草木が生えているかを観察したり、道に咲く花を探すのも楽しいですよ。たとえば、いつも右側の景色しか見ていなかったけど、今日は左側を見てみると「あれ、こんな店があったんだ」と新しい発見があったりします。
また、色をテーマにするのも面白いです。「今日は赤を見つけよう」と思って歩くと、意外と昨日気づかなかった赤い花が咲いていたり、今日は「黄色のもの」を探そうとしてみると、意外と目に入ってくるものです。
このように、自分で楽しみを見つけながら歩くことで、散歩の時間が自分だけのリラックスした幸せな時間になります。何か考え事やスマホを見て別の世界にいるのではなく、今この瞬間を楽しむこと。それが結果的にセロトニンを増やして、心身ともにリラックスした状態を作ってくれます。

散歩は五感をフルに使って楽しもう

散歩は五感をフルに使って楽しもう

散歩はただの運動だけでなく、日々の生活の中に「気づき」を増やし、心のリフレッシュにつながる貴重な時間です。デジタル機器から離れ、自分自身と向き合いながら自然や街並みを楽しむことで、心も体もリフレッシュできます。たとえ片道5分からの短時間でも、毎日続けることで大きな効果を実感できるでしょう。新しい景色や気づきが、あなたの日常をより豊かにしてくれるはずです。

※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。

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