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ひと月の中でも変わり続ける「女性ホルモン」。変化に合わせた快適な過ごし方を伝授!

ひと月の中でも変わり続ける「女性ホルモン」。変化に合わせた快適な過ごし方を伝授!
山口 明美 日本初の膣プランナー

執筆者

日本初の膣プランナー

山口 明美

株式会社3FACE代表取締役。子宮内膜症、子宮筋腫、チョコレート嚢胞、出産後に14針を縫う会陰切開など、あらゆる婦人科系の不調に悩まされるも、膣ケアと膣トレに出会ったのを機に、不調が回復。さらに体重が26kg減、肌のシミが消えてノーファンデ歴12年。「美容寿命も健康寿命も延ばす」をモットーに、学校や家庭では学べない「膣」についての教育、商品開発、コンサル、セミナーなど幅広く活動。

毎月の生理について、多くの女性は「毎月何となく生理がきて、生理周期の前後は何となく不調で…」と漠然と過ごしているのではないでしょうか。実は1ヵ月の間に生理周期は4つに分かれ、それに合わせて女性ホルモンは大きく変化しています。女性ホルモンは女性の心と体に大きく影響を与えるため、女性ホルモンの波に合わせたライフスタイルを送ることは、わたしたちが快適に過ごすためにとても大切なことです。ここでは女性ホルモンや生理についての基礎知識から、それぞれの周期に合わせた過ごし方をご紹介します。

そもそも女性ホルモンとは?

そもそも女性ホルモンとは?

女性ホルモンは、生理や妊娠はもちろん、それにまつわる体の不調や心の不調にまで関わりを持っています。人体の臓器の働きを調整するホルモンは全部で40種類以上ありますが、その中で女性ホルモンと呼ばれるのは、「卵胞ホルモン(エストロゲン)」と、「黄体ホルモン(プロゲステロン)」の2種類です。どちらも脳の視床下部からの指令によって、卵巣から分泌されています。

エストロゲンは「美のホルモン」とも呼ばれ、女性らしさをつくるホルモンとして乳房の発達、皮膚、骨、筋肉、脳、自律神経などの働きにも関係しています。妊娠に関する作用としては、子宮に作用して受精卵のベッドとなる子宮内膜を厚くする働きがあります。エストロゲンは思春期から分泌量が多くなり、30代でピークに達し、更年期になると減少します。

プロゲステロンは「妊娠・出産のホルモン」と呼ばれ、母になる手助けをしてくれるホルモンです。子宮内膜を受精卵が着床しやすいように整え、妊娠を助けます。妊娠した場合は分泌が続き、赤ちゃんが育ちやすい子宮環境を整えますし、妊娠していなければ分泌量が減少し、子宮内膜を体外に排出させるのを助ける働きがあります。

卵巣にはこれらの女性ホルモンの分泌量を脳にフィードバックする働きがあり、脳は女性ホルモンが多い時は分泌を抑え、少ない時は多く分泌させるなど、必要に応じて視床下部に指令を出します。ところが司令塔である視床下部はストレスの影響を受けやすく、これが働かなくなると、生理の状態や体調にも影響がでてしまいます。

1ヵ月の生理周期と女性ホルモンの変化

1ヵ月の生理周期と女性ホルモンの変化

生理とは、子宮の内膜を覆っている膜(子宮内膜)が剥がれ落ち、それに伴い出血が起きる現象です。生理周期は1ヵ月の中でも、生理が始まってから終わるまでの月経期(約5日間)、生理が終わってもっとも快適に過ごせる卵胞期(約7日間)、妊娠の準備を始める排卵期(約3日間)、排卵が終わって次の生理が始まるまでの黄体期(約13日間)の4つの周期に分かれます。このような周期に合わせて女性ホルモンの分泌量は大きく変化し、心と体に影響を与えます。

月経の間の状態と過ごし方

月経の間の状態と過ごし方

月経期は体温を上げる作用のある黄体ホルモンの分泌がなくなり、体温が下がって体が冷え、血行が悪くなります。生理痛や頭痛、胃の痛み、生理の出血によって貧血気味になり、なんとなく体がだるくなることもあります。気分が落ち込みがちな時期ですが、生理が終わりに近づくと卵胞ホルモンの分泌が始まり、気分が高まってきます。

この時期の肌は敏感になり、乾燥や炎症などのトラブルを起こしやすくなります。スキンケアアイテムは刺激の少ないものや保湿効果の高いものを選び、新しいアイテムを試すことは控えた方が良いでしょう。体が冷え、血流が悪くなることで疲れやすくなるので、ゆっくりと湯船に浸かるなどして、体を温めてリラックスしましょう。

生理痛の痛みを和らげてくれる作用のある食材を積極的に摂りましょう。体を温める作用があるしょうが、EPAを多く含むイワシやサバ、サンマ、鉄分が豊富な豚や鶏のレバー、赤身の肉などがおすすめです。

卵胞期の間の状態と過ごし方

卵胞期の間の状態と過ごし方

卵胞期は排卵を前に女性らしさを引き出す卵胞ホルモンの分泌が高まり、ツヤのある肌や美しい髪をつくり、心も体も充実してきます。卵胞ホルモンは排卵の準備をするとともに、排卵に向けて女性としての美しさを増してくれます。

卵胞期はコラーゲンが増え、キメが整ってとても好調な時期です。新しいスキンケアアイテムを試したり、肌はエイジングケアや美白ケアを積極的に行うのに適しています。代謝力が上がるので、ダイエットにチャレンジしても効果が出やすいでしょう。

この時期は大切な子宮内膜や卵子がつくられ、体と心は安定しています。しっかりと良い栄養と運動を取り入れ、体を整えることが大切です。たんぱく質、鉄分、カリウム、亜鉛、ビタミンEを積極的に摂るように意識しましょう。ごま、エンドウ豆、アボカド、アーモンド、ピーナッツ、うなぎ、モロヘイヤなどがおすすめです。

排卵期の間の状態と過ごし方

排卵期の間の状態と過ごし方

排卵期は、大きな不調はないものの、黄体ホルモンの分泌が高まって子宮内膜が充実し始め、下腹部になんとなく不快感や違和感を感じる時期。心身ともにテンションが高まりますが、黄体ホルモンは精神に不安定感ももたらすため、二面性のあるデリケートな時期でもあります。

肌は皮脂の分泌が高まり、くすみやたるみ、肌荒れに悩みやすい時期です。化粧水で肌にたっぷりと水分を与えて、肌の透明感を高めましょう。排卵による痛みを感じやすいので、マッサージなどで体をほぐすことも大切です。また気分の浮き沈みが激しい時期でもあるので、好きな香りのアロマを使うなどして、気持ちをリフレッシュするのもおすすめです。

この時期は体調を崩しやすく、おりものが増えて不快に感じる時期です。ごぼうやれんこん、しょうがなど、体を温めて血行促進効果のある食べ物を積極的に摂りましょう。体のだるさを感じたら、もち麦やトマト、りんご、ヨーグルトなどの低GIフードがおすすめです。

黄体期の間の状態と過ごし方

黄体期の間の状態と過ごし方

黄体期はプロゲステロンの影響を受け、心も体も不安定で不快な症状が出やすい時期です。体温の上昇やむくみ、便秘、肩こり、頭痛など体の不調に悩まされ、精神的にもイライラ、不安感を感じやすいです。

皮脂の分泌を促すプロゲステロンが優位になることで、肌はベタついてテカリやすく、ニキビやシミができやすくなります。この時期はクレンジングでしっかりと余分な皮脂を落とすケアが大切です。さらに血行不良のため、むくみやすくなります。適度な運動や入浴で汗をかいてデトックスを心がけましょう。

むくみや肌荒れ、イライラなどPMSで心と体に不調が出やすい時期で、食欲が増す傾向にあります。ため込みやすい時期なので、ジャンクフードやアルコール、カフェインはできるだけ避けましょう。メンタルが安定しないこの時期は、腸に多く存在するセロトニンを増やす食材(納豆やチーズ、ヨーグルト、味噌などの発酵食品)を摂るのがおすすめです。

更年期に入ると女性ホルモンはどうなるの?

更年期に入ると女性ホルモンはどうなるの?

今まで月経の感覚が順調だった20~30代は、適切な分量の女性ホルモンが正しく分泌されることが多いです。しかし卵巣機能は少しずつ衰えていき、早い方では30代後半から月経の量が減り、周期がバラバラになります。40歳を超えるころからはエストロゲンの分泌量は大きく低下し、ほてりやのぼせ、動機、めまい、イライラなどの更年期症状に悩む方が増えます。

女性にとって生き生きとしたライフスタイルを送るには、自分の生理の状態を把握することがとても大切です。今あなたが生理周期のどの期間に当たるのか、どういった症状が起こりやすいのかを把握しておくだけで先手のケアが可能になります。また「今は黄体期だから少しイライラするのね」と客観的に自分の状態を捉えることで、気持ち的にも余裕が生まれます。まずは女性と切っても切り離せない生理を詳しく知ることから始めてみましょう。

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