2017年11月より運用が開始されたマイナポータル。初めて聞いた方や、聞いたことはあるけど内容までは知らないという方が多いのではないでしょうか。
このコラムではマイナポータルとはどういったもので、また何ができるのか、私たちの暮らしにどんなメリットを与えてくれるのか、詳しく解説していきます。
最後にはマイナポータルの登録方法についても紹介しているので、ご興味を持たれた方はぜひ登録してみてください。
1.マイナポータルとは?わかりやすく解説
マイナポータルとは2017年11月13日から運用が開始された、政府が中心となって運営するオンラインサービスです。スマートフォンや自宅のパソコンから、マイナンバーカードのICチップでログインすることで、行政手続きの検索やオンライン申請、お知らせなどを受け取ることができます。地方公共団体や国の行政機関が保有しているご自身の特定個人情報を確認することができ、ご自身の専用サイトといえるでしょう。
2.マイナポータルでできることは?
ここでは、マイナポータルでできることを9つ紹介していきます。
2-1.ぴったりサービス
ぴったりサービスでは3つのことを行えます。
1つ目は、自治体名を入力して子育てや介護、被災者支援など確認したいサービスを簡単に検索することで、手続きに必要な書類が確認できます。
役所に行って申請書類を提出したけれど、ほかにも必要書類があって手続きができなかった、という経験を一度はしていませんか。ぴったりサービスを使うことで、書類や添付書類、手続き方法などが把握でき、何度も役所に足を運ぶことを防げるでしょう。
2つ目は、自宅のパソコンやスマートフォンから児童手当などのオンライン申請ができることです。忙しくてなかなか役所に申請に行くことができない方でも、夜や休日などご自身の都合に合わせて申請が可能になります。
3つ目は、ユーザーに最適な情報提供をマイナポータル上で通知してくれるサービスです。例えば、子育て世帯への予防接種や自動手当の手続き案内などがご自身のマイナポータルに届き、確認できるようになります。
これまで書類で届いていた案内も、マイナポータル上で情報を閲覧できるので便利です。
2-2.法人設立ワンストップサービス
法人設立関連手続きをオンラインで行うことができます。これまでは法人を設立する際に、複数の手続きを行政機関毎に行う必要がありました。その煩わしい手続きが、法人設立ワンストップサービスを使えば、マイナポータルで一度にできるのです。
来庁する必要もなく、24時間365日手続きができ、手間や時間の削減につながります。対応している手続きは、国税・地方税に関する設立届や雇用に関する届出、定款認証・設立登記などがあります。
利用の際には法人代表者のマイナンバーカード、マイナンバー対応のスマートフォンもしくはパソコン、パソコンを利用する場合はICカードリーダライタが必要です。申請後も、マイナンバーカードでログインをすると、申請状況を確認することができます。
2-3.自己情報表示サービス
自己情報表示サービスとは、地方公共団体や行政機関が保有するご自身の個人情報を検索して、確認することができるサービスです。知りたい時点の日付を入力すると、税や社会保障、特定個人情報が確認できます。
2-4.年金記録の閲覧
マイナポータルからご自身の年金に関する情報をいつでも確認できる、「ねんきんネット」を閲覧できます。「ねんきんネット」のユーザーIDを持っていなくても、マイナポータルにログインするだけで、利用できる便利なサービスです。老後の資金計画を立てるのに必要な、年金見込み額も確認できます。
2-5.年末調整や確定申告手続き
2020年10月以降、年末調整や確定申告の手続きがマイナポータルを利用してできるようになりました。控除証明書など必要書類のデータを一括取得でき、各種申告書へ自動入力することが可能です。
これまで書面の控除証明書などを1件ごとに確認し、各種申告書へ記入や入力をしていましたが、マイナポータルを利用することで負担がかなり軽減されます。年末調整や確定申告の時期が近づいてくると、時間がかかって憂鬱に感じていた方は使うべき機能といえるでしょう。
2-6.マイナンバーカードの健康保険証利用申し込み
マイナンバーカードを健康保険証として利用するための申し込み手続きが、マイナポータルを使うことでできます。マイナンバーカードを持っているだけでは健康保険証として使うことはできないので、まず利用申し込みを行いましょう。
申し込み時に必要なものは、マイナンバーカードと数字4桁の利用者証明用電子証明書パスワード、マイナンバー読取対応のスマートフォンです。
マイナポータルのアプリをインストールして、画面に従って手続きを進めていきましょう。パソコンでも申し込みはできますが、マイナンバーを読み取るICカードリーダライタが必要になります。
2-7.特定健診情報の閲覧
健康保険証の利用申し込みを行なった方は、マイナポータルで特定健康情報が閲覧できます。特定健康情報とは、40〜74歳までの方が対象となっているメタボリックシンドロームに着目した検診結果の情報です。
受診してから約3ヵ月後に閲覧ができるようになります。
2-8.薬剤情報と医療費情報の閲覧
マイナポータルでは、薬剤情報と医療費情報も確認できます。薬剤情報では、2021年9月以降に保険医療機関や保険薬局で調剤された薬の情報が閲覧可能。ほかにもジェネリック医薬品を選択した場合、費用がどのくらい削減できるのかもチェックできます。
医療費情報についても、2021年9月以降に保険医療機関や保険薬局で支払った医療費の情報が閲覧可能です。医療費として支払った金額が確認できることで、確定申告での医療費控除手続きが簡単に行えるでしょう。
2-9.医療費控除の手続きを自動入力
2021年分の所得税の確定申告から、医療費控除の手続きはマイナポータル上で自動入力が可能となります。自動取得は、毎年2月上旬以降できるようになりますが、2021年分は9〜12月診療分しか取得できないため注意しましょう。
2022年分以降からは、1〜12月診療分の情報が取得できるようになります。情報取得できるのは、原則保険診療分のみで、薬局での医療品購入分は情報の取得ができません。
3.マイナポータルのメリット・デメリットは?
ここからは、マイナポータルのメリット・デメリットを紹介していきます。
3-1.マイナポータルのメリット
まずはマイナポータルのメリットについて紹介します。
確定申告の手間が省ける
マイナポータルを利用することで、確定申告の手続きが従来よりも簡単にできるようになります。マイナポータルの機能を活用し、確定申告に必要な控除証明書などの書類データを一括で取得すると、各種申告書へ自動入力ができるのです。
これまでは、申告書に控除証明書などの金額を1件毎に手書きや手入力する必要がありましたが、マイナポータルを利用することで、手間や時間を大幅に削減できます。また、金額の転記ミスを防げるのもメリットのひとつといえるでしょう。
各種証明を手に入れやすくなる
マイナポータルで生命保険会社や証券会社などの外部サイトと連携をすることで、控除証明書や特定口座年間取引書を取得できます。
これまでに、年末調整や確定申告に必要となる生命保険の控除証明書が書面でまだ届かない、何ヵ月か前に届いたけれど見当たらない、と生命保険会社に問い合わせた経験や再発行を申し込んだ経験があるかもしれません。
これからはマイナポータルで連携することで各種証明が手に入りやすくなり、年末調整や確定申告で使用する書類を慌ててかき集めることもなくなるでしょう。
行政が保管する情報を必要なときに閲覧できる
特定個人情報は地方公共団体や国の行政機関が保有しており、必要な情報を選んで取得申し込みすると、閲覧が可能になります。取得できる情報は、税金や所得、年金関連、健康・医療情報などさまざまです。
ご自身の所得税や住民税を確認したいときや、年金資格情報を定期チェックしたいとき、ローン申請前に世帯主を確認したいときなど、いろいろな場面で役立ちます。
3-2.マイナポータルのデメリット
ここからはマイナポータルのデメリットを紹介していきます。
パスワードの管理リスク
マイナポータルでは個人情報の閲覧や手続きができる一方、パスワードをしっかりと管理しないと情報漏洩のリスクが高まり危険です。もちろんマイナポータルでは、いくつかのセキュリティ対策を実施しています。
例えばマイナンバーカードによる公的個人認証サービスを利用し、高いレベルで本人確認を行うことができ、成りすましや改ざんを防ぐことが可能です。また、過去の利用履歴を確認することができるので、不審な操作があればすぐに気付くこともできます。
しかし、マイナポータル側で高いセキュリティ対策をとっていても、任せっきりにせずご自身でも安全対策を取ることが大切です。マイナポータルを悪用されないためにも、パスワードやマイナンバーの管理はしっかりと行いましょう。
すべての企業と連携しているわけではない
マイナポータルは外部サイトと連携することが可能ですが、全ての外部サイトと連携しているわけではありません。もしも2つ以上の生命保険会社と契約していたら、一方の生命保険会社は連携していても、もう一方は連携していないためにデータと書類で管理しなければいけない、ということも起こり得ます。そのため年末調整や確定申告では、ご自身で管理や把握をしなければならない面もあるでしょう。
4.マイナポータルの機能はまだまだ拡大中!
ここからは、マイナポータルの最新の機能やこれからの動きについて紹介していきます。
4-1. 2022年3月スタート!給付金などを受け取る「公金受取口座の登録」
2022年3月より、給付金などを受け取る「公金受取口座」の登録が始まりました。これは、マイナポイント第2弾の対象にもなっています。公金受取口座の登録目的は、公的給付を素早く確実に支給するためです。
預貯金口座情報を公金受取口座としてマイナンバーと一緒にマイナポータルに事前登録することで、申請者や行政の事務の簡素化が図れます。
4-2.2022年度以降から年金や児童手当などの給付にも接続予定
国税庁のe-Taxでは、2021年分の申請から「公金受取口座登録」のチェックボックスが設けられ、公金受取口座登録システムに、申し込んだ方の口座情報を登録することが開始されました。現在はe-Tax以外の連携は始まっていませんが、2022年度以降から年金や児童手当などの給付にも接続予定です。
5.マイナポータルを利用するための3ステップ
ここでは、マイナポータルの利用登録方法について紹介していきます。
ステップ1.マイナンバーカードと登録済みのパスワードを準備
まずは、ご自身のマイナンバーカードと、マイナンバーカードを市区町村の窓口で受け取ったときに登録した数字4桁の利用者証明用電子証明書のパスワードを準備しましょう。
設定したパスワードを忘れた場合は、住民票を置く市区町村の窓口でパスワードの再設定の手続きをとる必要があります。手続きに必要な書類は市区町村の窓口に問い合わせをするのが確実です。
マイナンバーカードの取得についてはこちらで詳しく解説しています。
関連記事:【マイナポイント第2弾】2万円分ポイントはいつまで貰える?マイナンバーカードの申請方法は?
ステップ2.パソコンやスマートフォンを用意
マイナポータルを利用するにはインターネット環境が必要なため、パソコンやスマートフォンを用意しましょう。マイナポータルのログイン方法は、ICカードリーダライタ・スマートフォンのQRコードリーダー・スマートフォンのブラウザの3つです。
ICカードリーダライタ、もしくはQRコードでログインする場合はパソコンを用意しましょう。ICカードリーダライタもスマートフォンのQRコードリーダーもマイナンバーを認証するために使用し、マイナポータルでの操作はパソコンで行います。
スマートフォンブラウザからのログインは、スマートフォンのみで操作が完了します。操作するときには、アプリのインストールやインストーラーをダウンロードしましょう。
パソコンの動作環境はWindowsの場合、OSはMicrosoft Windows 10・Microsoft Windows 8.1。Macintoshの方は、macOS Monterey(バージョン12.0以上)・macOS Big Sur(バージョン11.0以上)・macOS Catalina(バージョン10.15以上)です。
スマートフォンの場合、マイナポータルアプリに対応している端末が限られています。iOSはiOS 13.1以上がインストールされたiPhone7以降の機種が対象です。Androidは350機種以上あるので、ご自身のスマートフォンが対応しているか確認しておきましょう。
ステップ3.利用者登録を行う
マイナポータルにログインをしたら、利用者登録へ進みましょう。メールアドレスを入力して、利用者登録の情報を入力します。利用者登録の情報は、登録後でも修正できるので安心してください。
設定したメールアドレス宛に確認コードが届くので入力をし、最後に利用者登録の入力内容を確認したら利用者登録の完了です。
おわりに
マイナポータルを利用すれば、これまで役所に出向いて紙ベースで行っていた手続きや申請が、足を運ばなくてもオンライン上でできるようになります。
その他、外部サイトとの連携などによりデータ取得もしやすくなることから、手間や時間の削減につながり、私たちの生活の利便性を向上させてくれるに違いありません。
ただし、利用する際には、マイナンバーカードとパスワードをしっかりと管理したうえで適切に利用しましょう。