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本当の自分らしさとは?自分らしく生きるための具体的な方法第2回(全3回)

本当の自分らしさとは?自分らしく生きるための具体的な方法第2回(全3回)
深谷 百合子 人を動かすコミュニケーター

執筆者
深谷 百合子 人を動かすコミュニケーター

国内及び海外電機メーカーで技術者として20年以上勤務。工場の「案内人」としてメディア対応、講演、環境教育にも携わる。「専門的な内容を分かりやすく伝える」をモットーに、立場の異なる人同士が理解し、協力し合えるための伝え方を工夫した。2020年に独立。「相手を動かす伝え方」をテーマに講師、コーチとして活動している。また、個人へのインタビューや企業への取材記事執筆を通じて、「知られざるストーリー」の発信を行っている。掲載媒体:WEB天狼院書店、天狼院書店WEB READING LIFEブログ

「自分らしく生きたい」「自分らしい働き方をしたい」と思う一方で、「自分が何をしたいのかわからない」「何が自分らしさなのかわからない」という方は少なくありません。あなたはいかがですか。

前回の記事では、自分らしさは、他者から「ありがとう」と言われたことの中にヒントがあるという話をしました。私たちは鏡がないと自分の顔を見ることはできません。それと同じように、自分自身のことも、他者を通してしか気づけないことがあります。それなのに、「あなたには、これが似合う」「あなたなら、これができそう」と言われたことに対して、「私に似合うはずがない」とか「私のことを買いかぶっているのでは」などと、他者からの意見を否定してしまうことはないでしょうか。せっかく自分らしさを生かせるチャンスかもしれないのに、もったいないですよね。

今回は、「自分らしい生き方」をどう実現していくのか、具体例を交えて紹介します。

1.自分の可能性をせばめているのは自分

自分の可能性をせばめているのは自分

あなたは、洋服を選んだり、髪型を選んだりするとき、どのようにしていますか。

私は以前は、自分がいいなと思ったものを選んだり、憧れのタレントの写真を持って行って、美容師に「この髪型にして下さい」と頼んだりしていました。でも、いざその通りになってみると、なんだかしっくりこないのです。「なりたい自分」「見られたい自分」にしてみたのに、なんだか似合わない。そんな経験、ありませんか。

ここで私のちょっと恥ずかしい写真とともに実体験をお話します。

それは、起業して初めてプロフィール写真を撮影したときのことです。仕事用のプロフィール写真など、今までに撮ったことがなく、どんな服装が良いのかもよくわからなかった私は、知り合いの女性起業家たちがSNSにアップしているプロフィール写真を参考にしました。その中から、「こういう感じの写真がいいな」と思うものをいくつかピックアップしました。

ネットで探して予約したスタジオで、私はそれらの写真をフォトグラファーに見せて、「こんな感じがいいです」と伝えて撮影してもらいました。ヘアメイクもプロに頼み、服装も自分の気に入ったものを選び、スタジオでプロのフォトグラファーに撮ってもらい、どんな写真になるだろうとワクワクしました。ところができあがった写真を見て、そのワクワクした気持ちは一瞬でしぼんでしまったのです。

確かに「いいな」と思った人たちの写真とよく似た雰囲気の写真でした。ヘアメイクをしてもらったおかげで、実物より数段いい感じの私になっていました。でも、ただ「きれいに撮れた写真」というだけで、どこか「これは本当の私じゃない」という違和感がぬぐえませんでした。 SNSで私の写真を見た方にも、私が何をしている人なのか、正確には伝わっていないようでした。

今だからわかるのですが、「こういう感じがいいな」というのは、自分がいいなと思う人のその人らしさであって、自分らしさではなかったのです。不本意な写真になったのは、フォトグラファーのせいではなく、私が自分のことをわかっていなかったからでした。

自分を知るための方法はたくさんあります。でも、私は出された質問に自分で答えながら、ちょっとした疑問も感じていました。それは、質問に答える自分がまっさらな自分ではなく、「私ってこうだよね」「私ってこういう人だよね」という「思い込み」を持って答えているのではないかと思ったのです。

自分を探しているつもりなのに、自分で自分のことを決めているという矛盾を感じて、私は第三者の視点をもらおうと思うようになりました。そのうちのひとつが、プロのスタイリストに服を選んでもらうことでした。骨格、顔の形といった外見的な要素だけで判断するのではありません。「これからどんな人とどんな風に関わりたいのか」「どんな生き方をしていきたいのか」「どうありたいのか」「私と関わった方からは、どう見られているのか」「何が評価されているのか」について整理したうえで、プロの視点で服を選んでもらうのです。

最初、候補となる服を見たとき、「いいな」と思うものもあれば、「えっ、これ?」と思うものもありました。普段の私なら、決して手にとらないような色や形の服。一瞬、「これは私らしくないのでは?」と思いました。でも、自分らしさがわからないからプロにお願いしているのに、「私らしくない」と決めているのはおかしいですよね。実は、そこで抱いた違和感は、「自分がなりたいイメージ」と「自分が本来持っている自分らしさ」とのギャップだったのです。

他者目線を取り入れるようになって、私は本来持っている「自分らしさ」に気づいた、というより、認めることができるようになったという方が近いかもしれません。

左の写真が、起業してすぐの3年前に撮影したもので、右の写真は最近撮影したものです。3年の間に、ずいぶんふっくらとしましたが、左の写真の方は、「借りもののような私」であり、右の写真の方が私らしいと自分で納得できます。

左の写真が、起業してすぐの3年前に撮影したもので、右の写真は最近撮影したものです。3年の間に、ずいぶんふっくらとしましたが、左の写真の方は、「借りもののような私」であり、右の写真の方が私らしいと自分で納得できます。

ちなみに、右側の写真を撮影したとき、合計で74枚の写真がありました。その中からプロフィールに使う写真を1枚選ぶとき、私は自分では選びませんでした。自分で選ぶとどうしても、「自分の気に入ったもの」を選んでしまうからです。他者の目で見て「私らしい」写真を選んでもらいました。

「自分らしさ」は、探すものではなく気づくものだと、前回の記事で書きましたが、さらにいうと、「気づいて、認めること」かもしれません。

2.ワクワクの幻想―コワイと思うことを選んでみよう

ワクワクの幻想―コワイと思うことを選んでみよう

自分らしく生きようというとき、「ワクワクすることだけをやりましょう」と言われることがよくあります。その「ワクワク」とはなんでしょうか。「楽しいと思うことだけをやりましょう」という意味でしょうか。仕事をしていれば、楽しいことばかりではないし、日常生活だって、楽しいと思うことだけをやれるわけではありませんよね。

私は「ワクワク」という言葉にとらわれなくてもいいのではないかと思っています。むしろ、そうしたポジティブな感情よりも、「モヤモヤする」といったネガティブな感情にこそ、自分を知るヒントがあると考えています。なぜなら、ネガティブな感情は、強烈な「願望」の裏返しだからです。なぜモヤモヤするのか、なぜ嫌だと感じたのか、それがどうだったら良かったのか。しっかりと向き合い、言葉にしていくことで、自分の本当の「願望」が見えてきます。

さらにいうと、「ワクワク」は「楽しい」というより、この先に何が待ち受けているのかと恐る恐る扉を開けるのに似ています。前回の記事で、人から頼まれたことは、ワクワクしないことでも引き受けてやってみるようにしたら、自分らしさに気づけるようになったという話をしました。

人から何かを頼まれたとき、「ぜひやってみたいです!」というときもあれば、「あまり気が進まないけれど、私にできることなら」というときもあれば、「やれる自信がない」と不安に思うときもありますよね。この「気が進まない」「やれる自信がない」と思うときこそ、実は自分らしさに気づくチャンスでもあります。なぜなら、あなたが自分では気づいていないあなたの価値を、他人は知っているからです。「この人ならできる」と思うから、「扉」を用意してくれているのです。

実際に私も、「できるかな」と不安に思いながら引き受けたことが、やってみたら意外とできて、相手から「ありがとう」「助かった」と言われることがありました。それを繰り返していくうちに、私の中で「頼りにされていることの喜び」や「価値を提供できている実感」が湧いてきました。

「ワクワク」とは、「自分が楽しい」と思うことをやって感じるものではなく、誰かの役に立った結果味わえる充実感なのかもしれません。

だから、「ワクワクしないからやらない」という選択は、チャンスを逃すようなものだと私は思います。「ちょっと怖いな」と思うことをやってみた先に、本当の「ワクワク」を感じられる日がやってきます。

「ワクワクすること」を見つけるのが先ではなく、目の前にやってきたことから逃げずに積み重ねてみてください。その先にきっと、あなただけの「ワクワク」が待っています。

3.あなたのことを発信してみよう

あなたのことを発信してみよう

「自分らしさ」をより強く自覚するためには、アウトプットを積極的にしていくことをおすすめします。

人は同じものを見ても、同じことを体験しても、皆受け止め方、感じ方はそれぞれです。人は皆、「自分のフィルター」を通して物事を見たり、聞いたり、受け止めたりしています。そして、その結果発せられた言葉や行動が目に見える形となって表れてきます。

インプットされてきた情報が、その人独自のフィルターでどう変換されたのか、自分でもなかなか気づけません。ほとんどは無意識で行われているからです。あなたも、何かを話すときや、何か行動をするとき、いちいち「なぜそうするのか」を考えているわけではないでしょう。

その「無意識」でやっていることを、意識にあげていくと、自分の「フィルター」、つまり「自分らしさ」がみえてきます。

前回の記事で、「頭の中にあるものを書き出してみる」という話をしましたが、「書く」という行為はまさに、無意識でやっていることを意識にあげていく手段です。何に対してどう考えたのか、どう感じたからその行動を起こしたのか。その一つひとつが「自分らしさ」を形づくっていることに気づけるようになります。

「文章にすること」だけではなく、写真が得意な方は、思わずシャッターを切った瞬間のことを振り返り、どこに心が動いたのかをメモしておくと良いでしょう。

そして、その自分が考えたこと、やってみたことを自分の中に留めておくだけでなく、SNSなどを使って発信してみてはいかがでしょうか。他人からの反応やフィードバックをもらうことで、さらに自分への見方が深まっていきます。

総務省の調査によると、40代、50代で利用率の高いSNSはLINE、YouTube、インスタグラム、X(旧ツイッター)、フェイスブックです。このうち、LINEは、個人的なメッセージのやりとりが中心です。また、YouTubeは動画編集などのスキルが必要となり、投稿するにはハードルが高いと感じる方もいらっしゃいます。これから個人で発信を始めるなら、インスタグラム、X(旧ツイッター)、フェイスブックが使いやすいでしょう。その中でも、実名登録で関係性を築きやすいのはフェイスブックです。写真などの画像が得意な方なら、インスタグラムが利用しやすいでしょう。しっかり文章として残したい方は、ブログもおすすめです。

SNSで自分を発信するのはこわいという方もいらっしゃるでしょう。まずは「見る専門」でもいいと思います。誰かの発信したものを見て、「私だったらこう考えるのにな」「私だったらこうするな」と思うことがあるはずです。そうした「私だったら」を集めていくのも、自分らしさに気づく手段となります。他人の「リア充投稿」に惑わされることなく、「私だったら」を探すという目的だと割り切って利用するというのもアリではないかと思います。

おわりに

自分らしく生きるための第一歩は、違和感やネガティブな感情を抱いたことも含めて、「良い、悪い」「できる、できない」というような判断をせずに、「そうなんだ」と受け止めることです。私たちは「自分のことがわからない」と言いながら、一方で無意識のうちにさまざまな「自分に関する事実」をふるい落としています。一旦何の判断もせずに、自分自身を丸ごと受け入れてみませんか。

次回は、自分らしく社会と新しいつながりをつくるために、どんな一歩を踏み出していけば良いのか、具体例を交えて紹介します。

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