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本当の自分らしさとは?社会と新しいつながりをつくるために必要なこと第3回(全3回)

本当の自分らしさとは?社会と新しいつながりをつくるために必要なこと第3回(全3回)
深谷 百合子 人を動かすコミュニケーター

執筆者

人を動かすコミュニケーター

深谷 百合子

国内及び海外電機メーカーで技術者として20年以上勤務。工場の「案内人」としてメディア対応、講演、環境教育にも携わる。「専門的な内容を分かりやすく伝える」をモットーに、立場の異なる人同士が理解し、協力し合えるための伝え方を工夫した。2020年に独立。「相手を動かす伝え方」をテーマに講師、コーチとして活動している。また、個人へのインタビューや企業への取材記事執筆を通じて、「知られざるストーリー」の発信を行っている。掲載媒体:WEB天狼院書店、天狼院書店WEB READING LIFEブログ

「子育てが一段落した」「定年が間近に迫ってきた」という時期を迎えると、「子ども関係でつながっていた人間関係が疎遠になってきた」「仕事以外での人とのつながりを新しくつくらなければならない」ということもあるでしょう。もう一度、社会と新しくつながるためには、どうしたら良いでしょうか。

私自身、54歳で独立してからは、さまざまなコミュニティに所属したり、SNSを通じて新しい人間関係をつくってきたりしました。ちょうどコロナ禍であったことから、オンラインでのつながりがほとんどでした。今ようやくリアルで対面する機会が増えているところです。

前回の記事では、「自分らしい生き方」をどう実現していくのか、具体例を交えて紹介しました。その中でも、「あなたがどんな人なのか」「何ができる人なのか」を発信することは、これからの時代、社会とつながるために有効な手段です。今回は、自分らしく社会と新しいつながりをつくるために、どんな一歩を踏み出していけばよいのか、具体例を交えて紹介します。

1.周りとの新しいつながりをつくる

周りとの新しいつながりをつくる

人から頼まれたことをやってみる、ちょっと不安だなと思うことでもチャレンジしてみる。そんな経験を積み重ねていくと、「もっとできるようになりたい」「もっと自分を役立てる場所に身を置きたい」と思うようになります。また、「いつか時間ができたらやってみたい」と思っていたことがある方もいらっしゃるでしょう。

「やってみたい」「面白そう」と興味を持ったことがあれば、思い切って飛び込んでみましょう。やりたいと思うことの実現や自分の成長のために大事なのは、「どのような環境に身を置くか」ということです。自分がやりたいと思っていることを既に実現している人がいるなど、目標となる存在、刺激を与えてくれる存在がいる環境に身を置きましょう。実現するまでの道筋が見えてきますし、何よりも「必ずできるようになるのが当たり前」という世界にいると、自分の当たり前の基準が変わります。自分ひとりではなかなか進まないことも、仲間の力を借りて進めていくことができます。

また、自分の趣味や特技などに関連したコミュニティに参加するという方法もあるでしょう。

今はオフラインだけでなく、学びや情報収集を目的としたり、共通の趣味を持つ人たちの交流を目的としたりする会員制のオンラインサロンも多数あります。たとえば、キングコングの西野亮廣さんが運営している「西野亮廣エンタメ研究所」、朝活コミュニティの「朝渋」などがあります。有名人が主宰するものだけでなく、個人起業家が主宰しているオンラインサロンも多数あります。

オンラインなら、全国各地にとどまらず、海外に在住する人とも知り合うことができるというメリットがあります。一方、どんな人が集まっているのかわからないというリスクもあるので、安全、安心な場であることを確認することが大事です。たとえば、望んでもいないのにいきなり何かを売り込まれたり、勧誘されたりして、嫌な思いをすることもあるからです。

SNSはビジネスの重要なツールにもなっているので、「ひょっとしたら将来、自分のビジネスのお客様になってくれるかもしれない」という人と知り合うことを求めて、つながりをつくろうとする人は少なくありません。私もそうですし、あなたも副業や起業をしようと考えていたら、同じように考えるかもしれません。

ですから、そうした前提があるうえで、サロンの主宰者やメンバーが、普段どのような発信をしているのか、事前に確認することをおすすめします。その人たちの発信内容や、そこについている他の人からのコメントの内容に、あなたが共感できるかどうか、その輪に加わりたいと思うかどうかで判断すると良いですね。

自分がそのコミュニティに参加したいと思う目的を明確にしておくことも大事です。サークル活動のように、皆で仲良く楽しい時間を過ごしたいのか、何かを実現するために励まし合ったり切磋琢磨できるつながりがほしいのか、悩みを相談し合える場が欲しいのか、目的はそれぞれだと思います。

そのようにして選んで参加したコミュニティは、あなたにとって安心でき、周りからもいい影響をもらえる場だと思います。そうした場で、自分の経験や知識、感じたこと、考えたことを発信してみましょう。そして、慣れてきたら少しずつ、不特定多数の人に向けて発信することに挑戦してみると良いですね。

2.自分の経験や知識をわかりやすく伝えるコツ

自分の経験や知識をわかりやすく伝えるコツ

あなたが自分のことを発信するようになると、その発信を受け取る相手は、「あなたがどんな人なのか」を知りたくなります。たとえば、私は今「自分らしさ」のことについて書いていますが、もし私が自分のことを何ひとつ書かず、何をしている人なのかを示すプロフィールもなかったとしたら、あなたはどう思うでしょうか。

「なんかいろいろなことを書いているけれど、結局この人は何者なの?」「なんの根拠があって、こんなこと書いているの?」

そんな風に感じるのではないでしょうか。

この先、自分の経験や知識を誰かのために役立てたいと思うとき、「何を」発信するのかも大事ですが、もっと大事なのは「誰が」発信しているかです。なぜあなたでなければならないのか、その理由が必要になります。といっても、別にすごい肩書き、経歴や高い専門性が必要なわけではありません。あなたが経験したことはあなた独自のもの。あなたのエピソードは、あなたにしか語れないものです。「自分には実績がない」「自分は専門家ではない」と思う必要はありませんし、逆に背伸びをする必要もありません。

では、プロフィールは具体的にどのように書けば良いでしょうか。書き方のコツをご紹介します。

こちらの写真は、私のプロフィールです。

こちらの写真は、私のプロフィールです。

プロフィールは「現在」「過去」「未来」の順で書きましょう。時々、プロフィールを書こうとすると「履歴書」のようになってしまうという方がいらっしゃいます。でも、あなたの発信したものを受け取る相手が知りたいのは、「今、あなたは何をしている人なのか」です。

たとえば、あなたが会社員で、キャリアについて発信しようとしているなら、「会社員」としてもいいですが、「IT企業で採用を担当している会社員」のように、より具体的に書くと、相手にも伝わりやすいですね。あなたが母親で、子育てについて発信しようとしているなら「大学2年生の娘と高校3年生の息子の母」、趣味の登山について発信しようとしているあなただったら「登山歴20年の週末登山家」みたいな感じで、名乗ってみるのも面白いのではないでしょうか。

そして、転機となった過去の出来事など、自分が発信しようとする内容に関連する過去の事実を書いていきます。ポイントは「事実」を書くということです。たとえば「ワンオペ育児が辛かった」と書くよりも、「仕事を終えて帰宅すると、子どもたちに夕飯を食べさせ、お風呂に入れ、寝かしつけをしながら、自分も寝落ち。深夜に帰宅した夫に起こされ、夕飯の後片付けをする毎日だった」の方が、「辛さ」が伝わりませんか。「辛い」といっても人の受け取り方はさまざまなので、具体的な事実を書いた方が伝わります。

最後に、これからどんなことをしたいのか、自分の目標や夢を書くと、応援してもらえるプロフィールになります。

プロフィールは、長々と自分を語るものではないので、書ききれなかったことは、普段の発信の中で紹介していくと良いですね。自分の経験や知識を説明するのではなく、エピソード仕立てで書いてみましょう。たとえば、あなたがこれから「コーチング」について発信しようとしているなら、「コーチングとは」とコーチングの説明をするのではなく、コーチングによってどんな変化があったのか、そのエピソードを書くのです。

説明しようとすると、「私がこんなことを書いていいのだろうか」と不安に思ってしまいがちです。でも、繰り返しになりますが、あなたが実際に体験したエピソードは、あなたにしか語れないものです。どんな出来事があったのか、そのときあなたはどう考えたのか、その結果どうなったのか。これらを具体的に描写することで、相手に伝わる発信になります。

3.「ありがとう」と言われる経験を積もう

「ありがとう」と言われる経験を積もう

発信を続けていくと必ずぶつかるのが、「ネタ切れ問題」です。自分の経験してきたことだけをネタにしていたら、いずれ枯渇してしまいます。こうなると、「今日は何を発信しよう?」と考えるばかりで何も進まず、発信すること自体が嫌になってしまいます。

そこで活用すると良いのが、Yahoo!知恵袋や読売新聞社が運営する発言小町などのQ&Aサイトです。あなたのテーマに関連する人々の悩みをリサーチし、「私ならこう答える」というアイディアをためていきましょう。それが発信のネタになります。

こうして、あなたが経験してきたこと、乗り越えてきたこと、学んだこと、実現したことなどを発信し続けていくと、「今度詳しく話をしてほしい」「具体的なやり方を教えてほしい」という人がいずれ現れるでしょう。

そのときはぜひ、「私なんてまだまだ」と思わず、やってみてください。できれば、1コインでもいいからお金をいただいてやってみることをおすすめします。その方が、自分もモチベーションが上がりますし、長い目で見たら、相手とも持続可能な関係性をつくることができます。「お金をいただくなんて、言い出しにくい」と思ってしまいがちですが、あなたは自分の貴重な時間を使うわけです。ギブの精神は大事ですが、「なんでもタダで手に入れようとする人」とつながり続けることは、好ましいことではありませんよね。

とはいえ、お金を頂くことが難しいこともあるでしょう。そのときは、あなたから相手に何かを教えたら、相手からも何かを教えてもらう「価値交換」もおすすめです。

どちらにしても、教える場をつくってくれた相手に「ありがとう」と感謝をし、「ここまでしてくれるの?」というくらい、相手の期待を上回ることが、本当のギブだと私は考えます。そして、相手からもたくさんの「ありがとう」を受け取ってください。

その経験を積み重ねていったとき、あなただけの、あなたらしい道ができていることでしょう。

おわりに

人生の転換期には、「結局自分は何をしてきたのだろう」「やりがいや生きがいだと思えるものがない」など、不安に思うことが多くなります。その不安を解消してくれる「正解」は、誰かが教えてくれるのではないかと、外に求めてしまいがちですが、本当の答えは既に自分の中にあります。それは、あなたの頭の中にあるものを書き出すことによって見えてきます。どうぞ「ありがとうと言われる経験」の積み重ねと、ご自身の思いを言葉にする書き出しワークを続けてみてください。何者でもない、自分だけの自分らしい道が開けていきます。

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