最近話題の「メタバース」って何?

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最近話題の「メタバース」って何?

最近、テレビや新聞、雑誌、WEBメディア等で「メタバース」という言葉があふれるようになりました。米「Meta(メタ)」(旧Facebook)といった、大手からスタートアップ企業まで続々と参入が進む「メタバース」市場は拡大の一途をたどっています。とはいえ、メタバースと聞いても全くイメージが湧かない方も多いでしょう。もしくは、イメージが湧く方であっても「メタバースって、バーチャルな世界で起こっている革命?みたいなものでしょ」と、理解が曖昧だったりします。

いまブームになっているメタバースですが、そもそもこの言葉は過去幾度か話題になってきました。今回のブームはその一つに過ぎません。ただ、技術の進歩により、このメタバースの具体例がたくさん登場してきたことで、徐々にメタバースという言葉の意味がハッキリしてきました。

とはいえ、正直、未だメタバースの明確な定義は存在しません。この現状を踏まえた上で、ここではメタバースに込められた意味合いを最新の情報をもとに可能な限り鮮明にしようと思います。少し、おつき合いください。

1. 「メタバース」という言葉はどこで生まれたのか

みなさんはメタバースという単語がどこで生まれたかご存じでしょうか。実はこの語は、文学から誕生しました。作家ニール・スティーヴンスンのSF小説『スノウ・クラッシュ』に登場する仮想世界の名前が「メタバース」だったのです。メタバースとは、「メタ=meta(概念を超える、上位概念のことを指す語)」と「ユニバース(宇宙、世界)」を組み合わせた合成語です。ニュアンスとしては「現実を超えた世界」というほどの意味になります。ここでは「インターネット上に作られた3D(3次元)の仮想空間」として捉えていただいて構いません。以下の画像のようなバーチャルな世界がメタバースとしてイメージされやすいでしょう。こちらはバーチャルイベントプラットフォーム運営企業「cluster」が提供しているバーチャル渋谷の世界です。

メタバースの世界(筆者のアバターが渋谷にいる様子)
メタバースの世界(筆者のアバターが渋谷にいる様子)

『スノウ・クラッシュ』のメタバースでは、VRゴーグルをかぶって体験する三次元のオンライン仮想世界で、アバターの姿でたくさんのユーザー同士がコミュニケーションをすることができます。

念のため用語の説明をすると、「アバター」とは、インターネット上の仮想的な世界で動作する利用者の分身のことを指します(上掲のバーチャル渋谷で手前に立っているのが筆者のアバター)。また、VRゴーグルとは、専用のゴーグルで人間の視界を覆う360°の「VR=Virtual Reality(仮想現実)」映像を映すことで、実際にその空間に居るような感覚が得られる技術に支えられたゴーグルのことを指します(以下の画像を参照)。

『スノウ・クラッシュ』に描かれたこのメタバースは、現代にあって、メタバースと聞いて想起されるイメージにかなり近いものがあります。メタバースでは、VRゴーグルが再現する世界、見えるもの、聞こえるものの精度が高いため、ユーザーは、仮想世界に居ながらにして、あたかもリアルでやりとりをしているかのように感じるのです。

2. 今この時点で提供できるメタバースの定義

さて、では、暫定的にメタバースを定義してみましょう。個人的に、よくまとまった定義だと感じている以下を紹介したいと思います。すなわち、メタバースとは「リアルタイムに大規模多数の人が参加してコミュニケーションと経済活動ができるオンラインの三次元仮想空間」(『メタバース進化論』技術評論社)です。

メタバースという仮想世界では、食事や排泄など以外のほとんどの生活の営みをその世界内で行うことができます。極端な話、あなたも仮想世界の“住人”になることができます。かつて、2007年頃に「Second Life(セカンドライフ)」というサービスが流行りました。セカンドライフはパソコン内のアバターを操作して世界中のユーザーとチャットや音声で会話できるサービスです。そこではゲーム内通貨も存在し、物や土地の売買が行われました。当時はネットの通信速度などが遅かったため、結局 「セカンドライフ」は一過性のブームで終わってしまいましたが、通信環境が劇的に改善され、進んだ現代にあっては、高い信憑性を持って「今度こそメタバースが来る」といわれています。

ちなみに、日本バーチャルリアリティ学会が2011年に刊行したVR技術の教科書『バーチャルリアリティ学』では、オンライン仮想空間として、メタバースの要件を以下のように定義しています(以下は要約です)。参考にしてください。

  1. 3次元のシミュレーション空間を持つ
  2. 自身を投影するアバターが存在する
  3. 複数のアバターが同一の3次元空間を共有できる
  4. 空間内にオブジェクト、アイテムを作ることができる

上記④は分かりにくいかもしれませんが、要は仮想世界内に外部から仮想の物品を持ち込んだり、建物や芸術作品などのオブジェクトをその世界内で作ることができるという話です。

このようなメタバースの技術がさらに進歩し、定着すれば、今後、メタバースの世界をメインに生きる人がさらに出てくるでしょう。メタバースの目的地は、「リアルを超えてもう少し居心地の良い場所」になるところにあります。現在、すでにメタバースをそのような場として活用している人が増えています。たとえば、メタバース内で起業し、事業を拡大させ、大儲けしている人もいます。メタバース内に教育機関を設置し、あたかも「皆でそこに受講者が集まって、一緒に勉強しているかのように感じられる授業」も実現しています。あらゆる生活上のことをメタバース内で成り立たせられるので、メタバースを本拠地とする人は、リアルにおいては本当に食事と排泄だけをするという状態になっていくかもしれません。それ以外の時間は、メタバースで過ごすのです。

3. フェイスブック社が社名を「メタ」に。可能性広がるメタバース

3. フェイスブック社が社名を「メタ」に。可能性広がるメタバース

そんなメタバースですが、こちらの世界では、ただ単に「リアルに近いコミュニケーション」が展開されているわけではありません。それこそ情緒的な、感情的なレベルでも人間関係のつながりが生じています。その代表例が恋愛です。

メタバースの住人にとって、メタバース内で恋愛をすることはすでにあたり前のことになりつつあります。前掲の著作『メタバース進化論』によると、メタバース住人の実に40%の人が「恋をしたことがある」と答えています。さらに、相手に惹かれるきっかけについては「相手の性格」が64%、「相手の性別は重要ではない」が75%など、メタバースならではの全く新しい関係性が生まれてきています。リアル世界において、恋愛の重要な要素になっていた年齢、性別、肩書などが仮想世界では関係がなくなるため、メタバースではより本質的なコミュニケーションが可能になり、人の属性にとらわれない恋愛もできるようになるかもしれません。

このような世界が現在進行形で進化し、市場を広げているのが「今」です。メタバースに多くの企業が可能性を見ているため、有名なところではフェイスブック社が社名を「メタ」に変更したのでした。さまざまな形でテクノロジーの進化が生活への影響を拡大している現代にあって、メタバースに注目しておくことに損はないはずです。興味を持たれた方がいらっしゃいましたら、メタバースの動向を追うことをおすすめします。