いま副業が「熱い」です。特に副業の中でも人気があるのが「ライター業」になります。ライターとは、紙の雑誌やウェブメディアなどの原稿の作成、WEBサイトのサイト文やブログの記事執筆などを行う職業のことです。時には、ライティングの仕事だけではなく、取材や編集、校正・校閲など関連する業務に幅広く関わることもあります。記事執筆は、パソコンやスマートフォンなどのデバイス一つがあれば、いつでもどこでも行えるため、まさに副業にピッタリです。また、ライティングスキルはたとえば定年後にも活かせるため、生涯現役で働きたい方にとってもライターは熱い職業になります。
ここでは、そんなライターになるために必要な最低限の要件をご紹介します。
1.ライターになる王道2つの方法
まず、ライセンス的な話についてですが、ライターになるのに資格は必要ありません。「プロのライター」という表現がよくなされますが、プロとアマチュアを厳密に隔てる基準は存在しません。ある意味、職業として名乗る分には「名乗った者勝ち」というところがあります。ですが、当然ながら、しっかりした文章が書けなければ、そう簡単にライティングの仕事を得ることはできません。
①ライティング業務のある企業に就職
ライターになる王道としては、新聞社や報道機関、出版社や編集プロダクション、WEB関連企業などに就職する方法があります。そこで、上長などからの添削を受けつつ文章の腕を磨き、ライティングの基礎を覚えるのです。ライターになる道として、これは最も手堅い手法といえるでしょう。また、企業に就職した場合、ライティングの他にも、編集作業や校正・校閲、企画や取材相手へのアポイント、実際の取材などを経験できます。こうした多岐にわたる業務に接することで、ライターとして受託できる仕事の幅が広がります。
②最初からフリーランス(アルバイト)になる
ですが、ライターには資格がないので、最初から「ライター」と名乗って書き始めることもできます。もともと文章を書くことが好きで、日常的にブログやSNSなどで記事を書いている方なら、この選択も取れるでしょう。また、インターンで経験を積んだり、ライタースクールやライター養成講座でスキルや知識を身につけてから仕事を始める人もいます。ただ、たとえば「ランサーズ」や「クラウドワークス」といったクラウドソーシング(企業がインターネット上で不特定多数に業務を発注する業務形態)サイトで仕事を受けるにしても、企業で職務経験のある人よりは採用されにくい傾向があることは否めません。
ちなみに、ライターに向いている方の特性として以下が挙げられます。
- 「てにをは」の使い方など、日本語についてきちんと理解している
- 文章を書くことが好き
- 好奇心が旺盛
- スケジュール管理ができ、仕事の締め切りを守れる
- 修正依頼に即座に対応できる柔軟性を持ち合わせている
- 取材を行うためのコミュニケーション力がある
2.ライターの業務内容
このようなライター業ですが、ただ単にコラム記事を書くだけでなく、そこにはさまざまな業務の種類があります。たとえば以下のとおりです。
出版業界: 雑誌、ウェブメディア、フリーペーパーなどの原稿、記事執筆
WEB業界: WEBメディアの記事、ブログ、メールマガジン、ダイレクトメールなどの執筆
広告業界: コピーライティング、広告記事執筆
その他にも、科学的知見を専門とするアカデミックなサイエンスライターや、ゲームのシナリオライターといった仕事もあります。
これらそれぞれの業務内容によって、働き方はさまざまです。ただ、基本の流れとしては、まず編集者やディレクターから媒体・メディアなどの趣旨、そして依頼したい企画の説明、記事の書き方、文字数、単価などの金額設定などのレクチャーがあり、そこから記事を執筆。最初の原稿を「初稿」といいますが、初稿を相手先に提出すると、相手先から校正などが入り、そこから何度か修正のやりとりを経て、最終的に記事完成という段に致ります。
その上で、案件によっては、事前に情報収集や取材、インタビュー、写真撮影なども行うことがあります。先に述べたサイエンスライターであれば、最新の英文の学術論文を読み込むといった作業が発生したりもします。
なお、ライターの仕事をする上で忘れてはならないことがあります。それは、あくまでライターは「書いたものを納品する」ことを目的とするのではなく、「書くことを通して顧客(依頼者)の問題解決を行う」ことを目的とすべき、という点です。たとえば、昨今の企業には、各企業独自のメディア(=オウンドメディア)を設けているところがあります。もしあなたがオウンドメディアの書き手になったとしたら、達成すべきは「読みやすい記事を納品する」ことではなく、「検索に引っ掛かりやすい記事を納品してそのオウンドメディアに読者を呼び込み、最終的には企業の認知向上やその企業の商品・サービス販促に貢献する」ことになる点に注意が必要です。この点を忘れてライターを継続しても、いつまでたっても「二流」という状況を免れることはできないと思います。
3.フリーランスライターとして伸びゆくヒント
さて、先ほどライターになる方法として、①ライティング業務のある企業に就職、②最初からフリーランス(アルバイト)になる、の2つを紹介しました。最後にここで、フリーランスライターとして伸びゆくための足掛かりを書いていきます。
基本的には、以下5つのことに挑戦してください(①②については先に少し触れました)。
①ライティングの勉強をする
最初はライティングの勉強から始めましょう。日常的にブログやSNSで文章を書いている方でも、個人的にはライティング講座などを受講したり、文章術の本を読んだりすることをおすすめします。特に、WEBライターの場合、SEO(=検索エンジンを使ったマーケティング戦略のひとつです。Googleなどの自然検索結果にページを上位表示させやすくし、サービスや商品を知らないユーザーがページを見て検討する機会を創出する)などの専門知識やスキルが必要になることがあります。WEBライターの養成スクールに通ったりして、ライターに必要なスキルを習得しましょう。
②クラウドソーシングなどで実際にライターとして働く
ライティングの知識をつけつつ、まずは実際に案件を受注し、書いてみましょう。先にも述べたように、たとえば「ランサーズ」や「クラウドワークス」といったサイトなら、ライター初心者でも比較的業務を受注しやすいので、仕事獲得に便利です。実務を通して、顧客が求める「良い記事」のイメージと、あなたが思う「良い記事のイメージ」を修正作業などをとおしてすり合わせていく経験は、あなたの執筆能力向上に大きく寄与します。
③実際に働いた実績をもとに継続的に仕事を獲得する
クラウドソーシングなど書いた実績を溜めていくと、それをポートフォリオ的に活用して、さらなる案件受注に足を踏み出すことができます。また、実績がある程度溜まったら、ライターとしての自身のプロフィールも充実させましょう。プロフィールをきっかけにして仕事が舞い込んでくることもあるので、ここは手を抜かずに更新すべきでしょう。
④単価交渉をする
ライティングをする中でしっかり成果を出し、信頼されるようになったり、また、ある程度仕事が舞い込んでくるようになってあなたが仕事を選ぶ側になってきたとしたら、今度は記事単価の交渉をしてください。あなたが案件を選択する立場になったということは、あなたの市場価値が変わりつつある(上がりつつある)ということです。実績があれば、交渉もしやすくなります。
フリーランスライターの多くは低収入から始まります。
『フリーランス白書2019』によると、フリーランスライターの32%が年収200万円未満と回答しています。26.9%が年収200~400万円未満で、フリーランスライターの半数以上が年収400万円未満という状況のようです。単価を上げなければ、低収入から抜け出せないだけでなく、ライター業の継続も危ぶまれてきます。単価交渉はしっかり行いましょう。
フリーランスライターの活躍の場は年々拡大しています。未経験からでもチャレンジできる仕事が、ライター業です。このコラムで紹介した段取りを参考に、ぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。