「二拠点生活に興味があるけど、どれくらい費用がかかるのか不安」「なるべくリスクを避けて二拠点生活を始める方法を知りたい」そんな風にあなたも感じていませんか?
定年退職が見えてくる50代に差し掛かると、第二の人生をどう過ごすかを考え始める方も多いでしょう。毎日自宅でのんびり過ごすのも良いけれど、海外への移住や地方移住、そして二拠点生活(デュアルライフ)に興味を持つ方も増えています。
しかし、二つの拠点を行き来するとなると、それぞれで支払う家賃や住宅ローンなど費用面が気になってくることでしょう。そこで今回のコラムでは、二拠点生活を始めるにあたって必ず知っておきたい「かかる費用」をテーマに紹介します。
1.二拠点生活とは?気になる費用はどれくらいかかるのか
そもそも二拠点生活というのは、二つの場所に住まいを持ち、時期によってそれぞれの拠点に移り住みながら生活することをいいます。「平日は都内のマンションで暮らし、土日は田舎の一軒家で生活する」というライフスタイルが分かりやすいでしょう。
あるいは夏の間は北海道や東北地域、冬の時期は沖縄や九州の住まいで暮らすなど、季節に応じて拠点を変えるというのも二拠点生活です。
定年退職後の年金暮らしであれば、通勤のために住む場所に縛られることなく好きな場所に住むことができます。あるいは昨今のテレワーク・リモートワークに対応した働き方を実現すれば、仕事を続けながらでもセミリタイアのような形で二拠点生活を始めることができるでしょう。
そんな大きな注目を集めている二拠点生活ですが、気になる費用はどのくらいかかってくるのでしょうか?
1-1.二拠点生活にはそれぞれのスタイルがある
二拠点生活にかかる費用は、実は人によって大きく異なります。というのも、さまざまなライフスタイルで二拠点生活を送る方が多いからです。
たとえば、マリンスポーツや農業といった趣味のために二拠点生活を始める方や、都会の喧騒から離れて自然に囲まれたいという理由で二拠点生活を始める方、あるいは自身や配偶者の故郷でゆっくり過ごすために二拠点生活を始める方もいます。
どんなライフスタイルで二拠点生活を送るかによって、必要な住まいやインテリア・エクステリア、趣味嗜好のためにかける費用は全く違ってきます。そのため、二拠点生活の費用を考える際には、ご自身の理想とするセカンドライフを思い描きながら計算する必要があります。
1-2.初期費用・交通費に加え生活費はほぼ2倍に
一方で、どんなライフスタイルを思い描くとしても、必ず発生する費用がいくつかあります。
たとえば、それぞれの拠点を移動するための交通費。現在都内にお住まいで、関東からは距離のある地域で二拠点生活を始めたいと思った場合には、移動のたびに新幹線代や飛行機代がかかってきます。毎週のように長い距離を移動するなら、交通費だけでかなりの金額にのぼることも考えられます。
家を建てるならそのための費用、家や部屋を借りるにしても賃貸の初期費用、さらには荷物を運ぶための引っ越し費用など、新たな拠点を作るための初期費用も高額になります。二拠点生活を始めるには、ちょうど引越し1回分の初期費用がかかると見積もっておくと良いでしょう。
また、それぞれの拠点での光熱費、食費、日用品費などの生活費も忘れてはいけません。毎月の固定費は2倍、変動費も1.5倍ほどになると考えられますから、生活コストが増えることも考慮しながら二拠点生活をスタートする必要があります。
2.定年後に二拠点生活を始めるメリット
続いて、定年後に二拠点生活をスタートすることの魅力についても解説します。何かと費用面が気になる二拠点生活ですが、下記のようなメリットがあるからこそ多くの方に支持されています。
- オンとオフを切り替えやすくなる
- 交友関係が広がる
- 子どもや孫のための遊び場になる
それぞれのメリットを詳しく紹介しましょう。
2-1.オンとオフを切り替えやすくなる
平日で過ごす拠点では仕事に集中、土日に過ごす拠点では趣味だけに没頭するなど、拠点を変えることによってオンとオフを切り替えやすくなるメリットが生まれます。土日の拠点には一切仕事道具を持ち込まないようにすれば、完全なプライベート時間を過ごせるようになるでしょう。
定年後で仕事を退職してからも、何かとやるべきことが出てくるものです。そうしたタスクに追われることなく過ごせる拠点を用意しておくことで、のびのびと過ごせる時間と空間が手に入るでしょう。
2-2.交友関係が広がる
二拠点生活をスタートしたことで、交友関係が大きく広がったという声も聞きます。単純に考えて生活範囲が2倍になるということですから、それだけ人間関係も広がりやすくなり、友人や知り合いも増えるでしょう。
それぞれの地域のイベントや体験教室に参加すれば、地元の人との交流が深まるだけではなく、遠方から訪れている観光客とも顔見知りになることができます。これまで出会うことのなかった分野の人たちと交流できることは、それだけで新たな刺激にもなるでしょう。
2-3.子どもや孫のための遊び場になる
定年後に二拠点生活をスタートする場合には、子どもや孫にとっての帰省先が1つ増えることになり、家族・親戚が遊びに来てくれることが増えるはずです。いわゆる別荘が1つ増えるわけですから、子どもや孫にとっても帰省を楽しみに感じてくれる可能性も高いでしょう。
また、友人を招いてお茶会を開いたり、ゴルフの帰りに立ち寄ってもらったりと、二拠点に住まいがあることで親しい人との付き合い方も変わってきます。定年後だからこそ親しい人との付き合いを大切にしたい方にとっては、二拠点生活を始めるメリットは大きいはずです。
3.定年後に二拠点生活を始めるデメリット
続いて、二拠点生活を始めることのデメリットについても解説したいと思います。
- 時間とお金がかかる
- 家族の理解を得るのが難しい
- 時期によっては行き来に苦労することも
ここで紹介したいのは、こちらの3つのデメリットです。それぞれ見ていきましょう。
3-1.時間とお金がかかる
二拠点生活の最大のデメリットは、時間やお金の面でコストが増大してしまうことです。移動のための交通費・交通時間はもちろん、生活費も上昇します。金銭的な余裕がある方にとっては気にならないかもしれませんが、老後資金に不安を抱えている方にとっては無視できないデメリットになりそうです。
3-2.家族の理解を得るのが難しい
夢のある二拠点生活ですが、周りの家族から理解を得るのは難しいかもしれません。特に配偶者の方が二拠点生活に前向きでない場合、強く反対されて計画が頓挫してしまう可能性もあります。
また、夫婦揃って二拠点生活を検討していたけれど、子どもの反対で考え直すことになった…というパターンもあります。一朝一夕で理解を得ようとするのではなく、長い目で見て二拠点生活を周囲に認めてもらうことが大切です。
3-3.時期によっては行き来に苦労することも
降雪シーズンには雪の影響で交通機関がストップして、二拠点生活がままならなくなる可能性も充分あります。特に北海道や東北地域は、自然豊かで土地も安い傾向にありますが、豪雪地域では冬場の移動が困難になる可能性も高いです。
逆に沖縄や九州は、台風のシーズンに注意しなければなりません。強烈な台風が上陸すれば移動が困難になりますし、往復スケジュールが大幅に狂ってしまう可能性もあります。そうした季節ごとの事情も踏まえながら二拠点生活を検討すると良いでしょう。
4.二拠点生活を始めたいと思ったら?まずやるべき5つのこと
続いて、定年後に二拠点生活をスタートしたいと思った場合に、まず取り組みたい5つの項目について紹介します。事前の準備をしっかり整えておいて、理想の二拠点生活を始めましょう。
- 二拠点生活の目的や理由を書き出す
- 家族や子どもに理解・協力してもらう
- 拠点ごとの滞在スパンを考える
- 初期費用と年間費用を計算しておく
- 拠点となるエリアを選ぶ
ここではこちらの5つの項目について取り上げます、
4-1.二拠点生活の目的や理由を書き出す
あなたが二拠点生活をスタートさせようと思ったきっかけは何だったのでしょうか?
なんとなく二拠点生活をスタートしてしまうと、うまくいかない場合や生活に飽きて辞めてしまうことになりかねません。そうならないように、二拠点生活でなければできないこと、二拠点生活にかける想いや目的について明確に言語化しておきましょう。はっきりと目的や理由を書き出しておくことで、家族の説得や計画づくりにも役立ちます。
4-2.家族や子どもに理解・協力してもらう
体力が落ちてくる50代や60代から二拠点生活をスタートすることは、肉体的にも大きな負担になります。できればご自身一人で取り仕切るのではなく、家族や子どもと一緒に楽しみながら二拠点生活をスタートすることが理想です。
そのためにも二拠点生活を始めたい目的や理由、それからかかる費用や予算なども事前に確認しておくと、理解や協力も得られやすいでしょう。
4-3.拠点ごとの滞在スパンを考える
二拠点生活をスタートすると決めたら、まずはそれぞれの拠点をどのくらいの期間で使用するのかを確認しておきましょう。あくまでメインは都内にある自宅で、週末だけ地方の拠点で暮らすのか。それとも地方の拠点で暮らすことをメインにして、用事がある時だけ都内の家を使うのか。
どんなライフスタイルで二拠点生活をスタートするのかによって、選ぶべき拠点のエリアも変わってきます。現在のお仕事状況や家族の希望も踏まえながら、二拠点生活スタート後の暮らし方をイメージしてみましょう。
4-4.初期費用と年間費用を計算しておく
二拠点生活を始める際に忘れてはいけないのが、初期費用とランニングコスト。最初にどれだけのお金がかかり、毎月どのくらいのお金が出ていくのかを把握しておくことです。特に年金と老後資金で今後生活していこうと考えている方にとっては、マネープランを考えておくことは非常に重要です。
拠点となる住まいを用意するなら、新築や中古の一戸建ての購入を検討する方も多いかもしれません。しかし初めての二拠点生活であれば、いきなり物件を購入するよりは賃貸で住み始めた方が、軌道修正がしやすく初期費用も抑えられるでしょう。
4-5.拠点となるエリアを選ぶ
具体的に拠点となるエリアも候補を挙げてみましょう。初めて二拠点生活を始めるのであれば、いきなり遠方の田舎にある住まいを選ぶよりも、自宅から1時間以内で通えるような場所を選ぶことをおすすめします。
二拠点生活は普通の引っ越しと同じで、一度住まいを構えたら二度と変えられないわけではありません。ご自身のライフプランやマネープラン、そして趣味嗜好に合わせて拠点を変更するなど、柔軟に決めていきましょう。
5.まずは「地方都市」へのお試し移住がおすすめ
これから二拠点生活をスタートしようとしている方におすすめなのが、まずは地方都市へのお試し移住から始めてみることです。いきなり地方の田舎に中古物件を買って、リフォームやリノベーションで自身の好みの住まいを作る…というのは、初めての人にとってはハードルが高いはず。そこで、最初はある程度利便性のある地方都市に長期間住んでみて、二拠点生活の雰囲気を体験してみることが役立ちます。
札幌、仙台、福岡、広島などの都市であれば、地方ならではの豊かな自然に加えて、高い利便性も両立することができます。まずは地方都市で暮らす経験を経てから、さらに奥地の田舎や集落に移住するかどうかを決めても遅くはありません。
都内からほど近いエリアであれば、八王子や鎌倉といったエリアも二拠点生活を始める場所として人気を集めています。いきなり田舎に拠点を構えるのではなく、こうした地方都市への移住を検討してみてはいかがでしょうか。
おわりに
二拠点生活を始める場合、生活拠点が2ヶ所になることで生活費も今の2倍ほどになることが予想されます。住まいが賃貸か購入か、どれくらいのスパンで滞在するのかによっても金額は変動しますので、一度具体的なマネープランを計算してみると良いでしょう。
二拠点生活には周りの手助けも不可欠ですから、配偶者や家族にも協力してもらえるように目的や理由をはっきりさせることも重要です。大まかなエリアや年間費用を計算したら、まずは地方都市へのお試し移住という形から二拠点生活をスタートしてみてください。