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できないことは「他活」という考え方で全てうまくいく

できないことは「他活」という考え方で全てうまくいく
斉藤 恵一 セルフマネジメントプロデューサー

執筆者
斉藤 恵一 セルフマネジメントプロデューサー

大学時代に歌舞伎町のホストの世界に飛び込むも半年間売り上げゼロ。そこから心理学を学びセルフブランディングに取り組み、約6年間売上げNO.1となる。現在は企業向けのコンサルティングやメンタリング、人材育成に取り組む一方、「ナカイの窓」や「ダウンタウンDX」等テレビ出演及び書籍やコラムの執筆等で活動中。

人生は長いようで短く、あっという間の人生を充実した豊かな人生にしていくためには、限られた時間やお金やエネルギーをどのようにマネジメントするかということがとても大切です。頑張っているのにうまくいかない理由は、もしかすると、頑張らなくても良いものにもエネルギーを分散してしまっているからかもしれません。やるべきこととやらなくても良いことを仕分けし、やるべきことに一点集中して時間やお金やエネルギーを使っていくという生き方のほうがきっとうまくいくのではないでしょうか。

そういうと、「とはいっても、頑張らなくても良いことでも、やらなければいけないこともあるよね」というツッコミが来そうですよね。その通りです。間違いありません。ですが、その「頑張らなくても良いけれど、やらなければならないこと」というこの欠けた部分を、あなたがやるのではなく、それを「好き」や「得意」としている人に頼ってみたらどうでしょう?というお話です。

1.そもそもなぜ頑張らなくても良いものまで頑張ってしまうのか?

好きなこと得意なことやりたいことだけやっていれば良いのに、なぜ、人はわざわざ嫌いなこと、苦手なことにも果敢にチャレンジをしていくのでしょうか?きっと多くの人は、親や先生から「逃げてはいけない」「逃げたら負け癖がつくぞ」「苦労は買ってでもしろ」「迷ったら難しい方へ」などといった「チャレンジしない人間はダメだ」という教えが刷り込まれており、その結果「ダメな人間と思われたくないから、嫌なことでもチャレンジをしなければいけない」と思っているのではないでしょうか。

また、人はさまざまなことを習慣化しています。早寝早起き、ダイエット、読書など、最初はやる気満々でスタートしても、多くの人が3日と持たずにやめてしまうことが多いでしょう。そして、そういう人は決まって「自分は何をやっても続かない」と自分を責めるという悪循環を繰り返します。

しかし、「やる気が出ない」ということは、「やりたくない」という心と身体の反応です。本当はやりたくないのに、なぜやろうとするのでしょうか。それは、「そのほうが良いこと」だと思っているからです。身体に良いから、仕事に役立つから、みんなが「良い」と言うから……。自分が本当に好きなことよりも、世間一般的に良いといわれているもの、すなわち「周りの物差し」に合わせて流されてしまうのです。

2.続かないもう一つの理由

続かないのにはもう一つ別の理由があります。それは、「続かないことで自分を再確認したい」という無意識の反応です。特に自己肯定感が低い人は「やっぱり自分はダメなんだ」ということを再確認するために、できないことにチャレンジして「何をやっても続かない」「できないヤツなんだ」と自分を責めたい傾向にあります。

そのようなことをする理由は、冒頭にお伝えした、子どもの頃に親や先生から刷り込まれたものが多くの原因です。そこで「だって嫌いなんだもん」「だって苦手なんだもん」「だってめんどくさいじゃん」と開き直れたら、自分を責める人にはなりません。しかし「自分はお金を無駄にする、親の期待に応えられない、面倒くさがりのダメ人間だ」と自分を裁いてしまう人は、本人も自覚のないまま罪悪感を抱えて生きていくことになり、どんどん自己肯定感を下げて自信を失っていくようになります。

3.悪循環を断ち切る新しい思考を持つ

悪循環を断ち切る新しい思考を持つ

自分で自分を責めることをやめるには、まずは意識的にこの悪循環を変えることが必要です。人間は仮説を立ててそれを証明しようとし、続かないことやネガティブなことが起きたとき、「どうせ私はできないし」「どうせ不器用だし」と、無意識に「できない自分」の証拠を集めようとします。そしてダメな証拠ばかりを集めて「ほら、やっぱりできなかった」と、仮説が立証されたことに安心するのです。その一方でそんなダメな自分から脱却するために、「もっと頑張らなきゃ」「もっと自分を変えていかないと」と考えているので悪循環にはまってしまいます。

ここであなたにひとつ質問があります。『ちょっと想像してみてください。あなたにとって一番大切な人は誰ですか?』

どうでしょうか?イメージできましたか?それは家族かもしれませんし、恋人かもしれませんし、お子さんかも知れません。

では、次の質問です。

『あなたにとってその「大切な人」は自分を色々と助けてくれる人ですか?それとも自分の方が相手を色々と助けてあげたいと思う人ですか?』

ちなみに僕は「一番大切な人は?」と聞かれたら、子どもの顔を思い出します。僕は子どもが自分のために何もしてくれなくても心の底から我が子を愛しています。この子のためならなんでもしてあげたいと思います。それは、子どもが僕に何かをしてくれたからということではありません。当然、色々な喜びを与えてくれはしますが、彼らは僕を助けたいと思っているわけではないと思います。

つまり、人は大切な人のことを「助けてあげたい」思う生き物なのであって、「助けてくれる人だから」という理由で人を好きになるわけではないということなのです。ところが、その逆も成立してしまうのが人間の面白いところなのですが、人間は「自分が助けてあげた人のことを後付けで好きになる」という性質もあります。これを心理学では「認知的不協和」といいます。どういうことかというと、何か辻褄が合わないことが起こったとき、変えられない過去の行動を変えようとするのではなく、人間は自分の考え方を変えようとします。「自分が助けてあげたのは、その相手を好きだからだ」というように、自分の思考と行動に一貫性を持たせいという心理が働いた結果です。このことから、人が何かを「してあげる」という行為は「相手に対して好意がある」という錯覚を自分自身に教え込む行為になりえるということが分かります。

4.役割を与えるということは相手に喜びを与えることになる

ここで「頑張らなくても良い」という冒頭のお話に戻ります。あなたの「嫌いなこと」「苦手なこと」を思い浮かべてみましょう。それはどんなことでしょうか?

次に、その思い浮かべた「嫌いなこと」「苦手なこと」を、「好き」で「得意」としている人があなたの周りにいないか探してみてください。もしその人に、あなたが「嫌い」で「苦手」なことをお願いして助けてもらえるとすると、どうでしょうか?あなたにとっては嫌なことかも知れませんが、その人にとっては好きなことです。そして、好きなことをやらせてもらい、相手の役にも立てていることになります。つまり「自分の好きや得意で貢献できている」という状態になります。この状態は、あなたは自分の「嫌い」を活かし、尚かつ相手の「得意」を活用して役割を与え、相手の自己肯定感を上げたということになりませんか?

さらに、先ほどもお伝えした通り、人は何かをしてあげると相手のことを好きになってしまうような性質があるので、あなたが周りから「助けてもらう人」になることによって、周りから「好かれる人」にもなれるのです。あなたは「嫌いなことや苦手なこと」を、「好きや得意としている人」に役割を与えて活用することで喜ばれ、さらにその人からも好かれる一方で、単純に自分でしなければいけないことが減って負担が軽くなるでしょうし、時間やエネルギーも生まれることでしょう。自分の欠けている部分を人に頼ってみると、まさに一石二鳥にも三鳥にもなってしまうわけです。

想像してみてください。あなたは泳ぐことが苦手です。そんなあなたがある日プールに行くと、溺れている子どもを発見しました。その時あなたが取るべき行動は「気合と根性でなんとかなるさ」と自分を騙してプールに飛び込むことではありません。それでは子どもが助からないだけではなく、あなたも溺れて二次災害となり、結果的に誰も喜びません。あなたは取るべき行動は、自分にはできないことを理解した上で、できる人を探し、その人に役割を与えて活かしてあげることです。つまりこの場合は、大きな声で泳げる人を探し出し、その泳げる人にプールに飛び込んでもらうことです。そうすることで子どもは助かり、子どもを助けた泳げる人はヒーローになれるでしょう。あなたもそんな光景を見て安堵し、喜びを感じることでしょう。これがみんながハッピーになれる方法なのです。

ですから、全てを一人で何とかしようともがき、悪循環に陥るのではなく、自分ができないことはそれを得意としている人にお願いをするという「他活」という選択肢をあなたの中にもうひとつ加えてみてほしいと思うのです。

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