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上手な「褒めテク」

上手な「褒めテク」
斉藤 恵一 セルフマネジメントプロデューサー

執筆者
斉藤 恵一 セルフマネジメントプロデューサー

大学時代に歌舞伎町のホストの世界に飛び込むも半年間売り上げゼロ。そこから心理学を学びセルフブランディングに取り組み、約6年間売上げNO.1となる。現在は企業向けのコンサルティングやメンタリング、人材育成に取り組む一方、「ナカイの窓」や「ダウンタウンDX」等テレビ出演及び書籍やコラムの執筆等で活動中。

人から褒められて嬉しくない人はいません。

自分の長所を見つけて褒めてくれる人は、自分のことをよく見てくれて、よく理解してくれ、自分にとって心地良さを提供してくれる人です。そして、人は心地良さを提供してくれる相手に心を開きやすくなります。ということは良好な人間関係を構築していく上で「褒める」というスキルが高い人はとても優位に立てるということになるでしょう。

最近の人は自尊感情が低く、自分を褒めてくれる言葉に敏感に反応します。また、人は褒められると、さらに褒めてもらいたくなり、努力したり、褒めてくれる人と関係を強化しようという無意識の反応をしたりするようになります。そうなると、褒める側も心地良く、気持ち良くなり、結果的に良い関係性が構築され、双方にとって大きなメリットをもたらしてくれるのです。

しかし、他者を無理やり褒めようとすると、自分も相手もつらくなってしまいますから、見えない良いところを「自分が引き出す」ことを意識すると良いでしょう。

今回のコラムでは、そのような「褒めテク」についてまとめてみたいと思います。

1.人は褒めると伸びる

冒頭お伝えしました通り、褒められて嬉しくない人はいないと思います。そして、褒められると人は心を開きやすくなり、褒めてくれた人と良い関係性を構築していく方向に動いていくわけです。

また、「褒める」ことは中長期的には成長も促します。つまり「褒める」ことは部下や後輩を育てるときにも役立つということです。性格にもよるので一概にはいえませんが、基本的には叱り続けるより「褒めて育てる」ことが良い影響があることが多いでしょう。期待をこめて相手を褒めると、褒められた相手はより頑張ろうとして成長していくのです。これを心理学では「ピグマリオン効果」と呼んでいます。

心理学者のローゼンタールらは、無作為に選んだ生徒を「将来有望な生徒」と小学校の教師に紹介しました。すると、一年後、無作為の選んだはずなのに、選ばれた子どもたちの成長が明らかに伸びていたのです。教師が期待して接した結果、本当に成績が上がったのです。 褒めることは関係の強化にも役立ち、さらに人を伸ばすためにも使えるということですね。

2.褒め方の4つのポイント

2.褒め方の4つのポイント

褒める側も褒められる側もメリットがあるのであれば、どんどん相手を褒めていきたいところですが、褒めるにも4つのポイントがあります。そのポイントを押さえた上で効果的な「褒め方」をしていくことをおすすめします。

まずひとつ目は「2回目から褒める」ということです。

「褒めよう」ということを意識しすぎると、今度は「褒めなければならない」となり、一生懸命、相手の「褒めポイント」を探し出し、ついつい初対面から相手の良いところを無理やり見つけて褒めていきそうになってしまいがちです。次々に褒めると相手から「取り入っている」と思われ、信頼度をなくし、ときには誰にでも褒める人と思われてしまいます。

ですから、「褒める」のは、あえて2回目以降にすることがおすすめです。さらに「最初に会ったときから思っていたのですが・・・」と枕詞をつけて伝えることで、より効果を発揮するようになります。

2つ目は「小さなことから褒める」ということです。

人は褒められたい生き物であり、小さなことでも褒められると嬉しいです。逆に、大きなことは社交辞令と取られることもあるかもしれませんが、小さなことはよく見ていてくれなければ分からないからこそ、相手に感動を与えることになります。だから、誰も褒めないような小さいところをあえて探して褒めていくということを意識されると良いでしょう。

3つ目は「具体的に褒める」ことです。

細かいことでも具体的に褒めるとリアリティが増します。「この資料は良いね」だけではなく、「この文章が分かりやすい」「この部分の構成が良い、視点も的確だ」など、細かいところを具体的に褒めることで、その部分がさらに強化されていきます。「可愛い」「素敵」も、具体的にどこが「可愛い」のか、どんなところを「素敵」と感じたのかを具体的に伝えることで、信憑性が増しますよ。

そして最後の4つ目ですが「否定されたら、再度褒める」ことです。

相手を褒めると謙遜して「いやいや・・・」と返してくる人もいます。

特に日本人は自己肯定感の低い人が多く、「受け取り下手」な人も多いため、褒めても否定されることが少なくありません。しかし、そこで会話が終わってしまうと単なる社交辞令で終わってしまいます。

そこで、すかさず「そんなことはありません」と相手の謙遜的な発言を否定するのです。それにより、褒めている言葉が真実だと伝わりやすく、相手はとても嬉しくなります。褒め言葉は「押しが肝心」なのです。

3.他人を介して褒める

さらに効果的な褒め方があります。それは、直接誰かを褒めるのではなく、第三者(他人)を経由して伝える方法です。これを「ウインザー効果」といいます。

たとえば、直接褒められるよりも、他の友人から「そういえば、先日○○さんが△△といって褒めていたよ」と客観的に聞くほうがより嬉しかったというような経験はありませんか?直接褒められるとお世辞や取り入りの可能性を疑うこともありますが、第三者に話していたということは、本当にそう思っていると感じるからなのです。


「本人に伝えて」などと言わなくても、第三者を経由して自然に当事者に伝わるものです。逆にいえば悪口もまた伝わってしまうものです。


たとえば、パートナーに感謝を伝えたかったり、褒めたかったりする時、第三者としてお子様に「ママってすごく頑張り屋さんだよね。ママがいてくれて本当助かるよね。ありがたいよね」と話しておくことで、お子様はママに対して、「この間パパがこんなことを言っていたよ」と間接的に相手にその言葉を伝えてくれます。第三者(お子様)を経由して伝えることで直接伝えるよりも効果的に褒めることができるのです。

4.けなしてから褒めるテクニック

アメリカの心理学者アロンソンとリンダーは「褒め方」の実験を行ない、さらに嬉しい「褒め方」テクニックがあることを発見しました。それは「褒める」「けなす」の順番によって受け取る側の印象が大きく異なったというものです。

それによると「けなしてから褒める」が最も印象が良く、逆に最悪なのは「褒めてからけなす」ということでした。これは「ゲインロス効果」といいます。


一度褒められてからけなされると最終的に強い不快感が残りやすく、けなしてから褒められると強く褒められた印象を持ちやすいのです。いわゆる「ツンデレ」はこのゲインロス効果であり、最終的に相手のことがとても気になってしまう現象ですね。

5.しっかりと相手を観察するということが大前提

褒められるというのは強い快楽なので、依存してしまう人もいます。褒められたいがために、自分の意思ではなく、人に褒められるように行動してしまうのです。そこで褒める側としては、自分の嬉しい感情をプラスして伝えたいところです。

たとえば頼んでおいた仕事がよくできていたとしたら「よくやった」と褒めるよりも、「この準備が整ったお陰でチームのみんなも喜ぶよ(影響)、ありがとう(感情)」というように、影響と自分の感情を伝えたいところです。すると自分が「褒められたい」という感情だけでなく、相手を「喜ばせたい」と思うようになり、モチベーションアップにもつながります。

いずれにせよ、相手を褒めるためには、しっかりと相手を観察するということが大前提になります。見てもいないのに褒めたら、それは嘘になり、その嘘は相手に伝わり、逆に不信感を持たれてしまう原因となります。だから、まずは相手に良いところを見ようという意識を持って、しっかりと相手と向き合い、相手の褒めポイントを見つけていきましょう。その意識がきっと相手にも伝わり、良い関係が構築されていくことになるでしょう。

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